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【完結絶対保証】ロシアンルーレットで異世界へ行ったら頭脳派の魔法使いになっていた件【三部作:完結】 作者:日比野庵

第三部:フォーの迷宮編

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20-178.見せ物の幕は降りたぜ

 
「ぐがぁ」

 ベスラーリが背中を押さえて(うずくま)る。

 ベスラーリは、自分の傀儡(くぐつ)が仲間をヒロ達の所に案内するのを見届けると、こっそりと柱の影に隠れさせた。小悪鬼(ゴブリン)達との戦闘を観察する為だ。その闘いぶりから、ヒロのパーティが意外と高い戦闘力を持っていることが分かった。小悪鬼(ゴブリン)の大群を退けた彼らは二人の冒険者(ロンボクとミカキーノ)を加え、奥へと向かった。その後をつけようと、隣の柱に移動しようとした矢先のことだった。刃物か何かが刺さった感覚がベスラーリの顔を苦痛に歪ませる。

「どうした?」

 バレルの声にも反応できない。ベスラーリは激痛に耐えながら、傀儡(くぐつ)との五感共有のうち痛覚だけを切る。だが、それで痛みが無くなる訳ではない。強い光に目を閉じても瞼に残像が残るように、共有した痛覚を遮断しても、痛みは暫く残るのだ。危険な目に遭いそうな時には事前に痛覚をカットしておくことは出来るが、全く予想していない時に不意打ちを喰らえばまともに痛みを味わうことになる。今のベスラーリがそうだ。

 ――はぁ、はぁ。

 背中の激痛に激しい息をする。痛みは先程よりは和らいではいたが、まだ声が出せるレベルではない。ベスラーリは手でバレルを制するのが精一杯だった。

 しばらくして、声が出せる程度にまで痛みが薄れた頃、ベスラーリは、まだ共有していた痛覚以外の()()の感覚が段々と消えていくのを自覚した。

――殺られたか。

ベスラーリはこれまでの経験から即座にそう判断した。

「……バレルの、おっさん。見せ物の……幕は降りたぜ。三度目はなしだ」
「何があった。ベスラーリ」
傀儡(にんぎょう)が殺られた。何かで刺されて、止めをさされた。終わりだ」
「ちっ。傀儡(くぐつ)だとバレたのか?」
「それはないな。単に生き残っていたからだろうぜ。女神リーファの御加護もこれまでだったってことだ」

 ようやく激痛から解放されたベスラーリが立ち上がる。

「俺はこれでオサラバするぜ。あとは、おっさんの好きにしな」
「待て、ベスラーリ。まだ契約は終わってないぞ!」

 ――ドス。

 引き留めるバレルの足下に、ベスラーリが放った短弩(クロス・ボウ)の矢が突き刺さっていた。

「俺は視てやるとはいったが、何度も視ると約束した覚えはないと言ったろう。傀儡(にんぎょう)が死ねばそれで終わりだ。それでもやりたきゃ、餌持って小悪鬼(ゴブリン)に道案内させるんだな」

 ベスラーリは、捨て台詞を残して、その場を去っていった。

 取り残されたバレルは、顔を歪ませていたが、ちっと小さく舌打ちした後、フォーの迷宮に入っていった。

◇◇◇

「……くしゅん」

 フォーの迷宮最深部のホールで、リムが小さくくしゃみをする。

「大丈夫か、リム」
「えぇ。大丈夫です。ちょっと埃っぽかったものですから」

 リムはヒロにニコリとして答える。確かにリムのように埃っぽいが、不思議と空気が澱んでいる感じは受けない。どこかに換気孔でも造ってあるのだろうか。フォーの迷宮(ここ)に棲みついているモンスターを除いて、このホールに俺達以外で来た者はいるのだろうか。それとも、すでに未攻略領域に踏み込んでいるのだろうか。

 ヒロはエルテが入手しフォーの迷宮(ここ)の地図を頭に思い浮かべた。地図には此処に入る切っ掛けとなった、沈む床についての記載はなかった。そういえば、どうしてあの時、床が沈んだのだろう。そのお陰でこのホールに来ることができたのだが、何がトリガーになったのか。

 ヒロは首を振った。

「どうしたい。ヒロ」
「いや、何でもない」

 ソラリスにそう答えたヒロは心に浮かんだ疑問を振り払った。ここは迷宮なのだ。まずは先へ進んで探索を続けるのが先だ。分からないことはフォーの迷宮(ここ)を出てからゆっくり考えればいいことだ。

「終点だぜ」

 ソラリスがぽつりと言った。 

 通路の端にたどり着いたヒロ達の前に、大きな扉が立ちはだかっていた。

◇◇◇

 通路の突き当たりに設けられた扉は、高さが人の背丈の三倍あり、横幅は二倍程あった。銀の地に蔓草らしきものをあしらった金の装飾が施されている。観音開きのように、真ん中を押し開けるタイプの扉だ。取っ手らしきものは見あたらなかったが、肩の高さの辺りに鍵穴のようなものがある。

「この先にお宝があるのか?」

 扉に近づこうとしたヒロの前にソラリスが割って入る。

「ヒロ。ここはあたいの出番だよ」
「そうだな。頼む」

 ソラリスは扉の前に立つと、慎重に調べ始める。鍵穴をしばし覗いたあと、懐から針金のようなものを取り出して、先端を指で少し弄ると、鍵穴に差し込んだ。しばらくカチャカチャやっていたが、直ぐに終わり、ヒロに向かって白い歯を見せた。

「開いたぜ。いや開いてたぜ。鍵は掛かっちゃいない」
「はっ。とんだ特技もあったもんだ。お前が盗賊だってことを忘れていたぜ」
「勝手にいってろ、ミカキーノ。今じゃこっちが本職さ」

 ソラリスとミカキーノのやりとりをロンボクがそれくらいに、と宥める。先に進みましょうと促した。

「入りましょう。ヒロさん」
「きっと何かありますよ、ヒロ様」
「そうだな」

 エルテとリムの声に押され、ヒロは扉を押し開けた。
 

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