挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
【完結絶対保証】ロシアンルーレットで異世界へ行ったら最強の魔法使いになってしまった件【第三部:フォーの迷宮編】 作者:日比野庵

第二部:レーベの秘宝編

101/125

13-101.青い珠

 
 ――!

 ヒロは咄嗟に身を屈めるとバリアを張った。今度は全身を覆うタイプのバリアだ。黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルの出方を見極める迄は、最大防御に徹するべきだ。ヒロは次に来るであろう、魔法攻撃に備えた。

 ――!?

 しかし、意に反して何も起こらない。周囲を見渡しても何の変化もない。だが、空の様子がいつもと違っていた。

(なんだ? この空は?)

 先程まで茜に染まった夕焼け空が紫色になっていた。こんな空の色は初めてだ。異世界の此処ではこんな現象があるのか。いやそれにしても、いきなり此の変化は不自然だ。

(何かの罠か?)

 ヒロは、自身のバリアが織りなす六角模様を睨みながら、必死で起こり得る可能性を考えた。だが如何せん情報が少なすぎる。有効な答えは見いだせない。

 黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルがゆっくりと右手を下ろすと、ソフトボール大の青い珠が生まれた。それは、しばし宙を漂った後、ヒロに向かって動き出した。

(青い珠!?)

 ヒロは身構えた。スティール・メイデンのロッケンを退けた魔法の珠と同じものだと直観した。ロンボクは、この青い珠はマナを吸い取る魔法だといっていた。本当であれば、自分の魔法が無効化されてしまうかもしれない。背中に冷や汗が流れる。

 そんなヒロの危惧に反して、今度も特に何も起こる様子はなかった。だが、ヒロの緊張が少し解け、ふぅと一息吐いた時、それは起こった。

 ――パキン。パリパリ。

 ヒロの張ったバリアの外側が雲母を割ったかのように薄く剥がれ出した。一気に壊れるというものではないが、時間を掛ければいつかは無くなってしまうとはっきり分かるものだった。

(青い珠のせいなのか?)

 焦ったヒロは思わず立ち上がったが、足下の草に足を取られた。倒れないように踏み出した足が、落ちていた枯れ枝を踏み折る。

(しまった!)

 パキンと乾いた音が黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルの耳に届く。黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルは振り向きざま、右手を振り、再び風の大太刀をヒロに見舞った。

 ――ビィィィィン。

 ヒロの頭上で半透明の幕が震えた。黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルの攻撃をまたしてもヒロのバリアが防いでくれた。だが、今度は無傷では済まなかった。黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルの風刃を受けた部分に大きく亀裂が入っている。黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルが放った青い光球の影響かもしれない。同じ攻撃を受けつづけたら、そのうちに破壊されてしまうだろう。

(何時まで保つ……)

 ヒロは修復を試みるが上手くいかない。これも青い珠の影響かもしれない。バリアを一旦解除して張り直す事も考えたが、それこそ青い珠の力で張れなくなる可能性がある。それ以前に、バリアを張り直すまでの間は無防備だ。自分の姿を晒している今の状況下では流石に危険だ。

 このままではジリ貧だ。ヒロは奥歯を噛みしめた。

 だが、黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルも動きを止めていた。何かを考えるかのように天を仰ぐとヒロの方に向き直り、ゆっくりと近づいてくる。

 このままバリアで全身を覆って逃げ出すという選択肢もなくはない。だが、あの青い珠と黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルの攻撃でバリアが破壊されてしまう危険も考えて置かなければならない。何しろ既にバリアには(ひび)が入っているのだ。

(……どうすればいい)

 ヒロの額に汗が滲んだ。
 
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ