表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/309

17.どんどん増えてどんどん高く

 率直に言おう。

 やり過ぎた。


 いつのまにか我が家が七階建になっていた。


「これ、もうビルだな……」

「そうですねっ」


 サクラはにこにこつやつや、笑顔である。 


「エレベーターも、付いているんだな」

「はい、魔力で似たような装置を作りました!」


 寝て起きて食べて散歩して、サクラと仲よくして寝る。

 こんな生活を一週間続けた結果がこれである。

 

 正直、かなりただれた生活をしてしまっている自覚はある。


「いや、でも、俺、回数はかなり少ない気がするんだけど」


 むしろ、一週間のうち一回しかしていない。

 それ以外は添い寝してたくらいなのに。

 どうしてこんなに出来たのだか不思議である。

 

 回数的に言えば、せめて一階層だけだろう。


「主様の魔力が強すぎるので、一度しただけですぐに満タンになるようです。だから一度した後、しばらくの間は、触れるだけでも出来るようになったのだと思います」

「え? つまり……添い寝しただけで増築されると?」

「はい!」


 おいおいおい、

 更に増築方法が簡易化されたよ!

 

 いや、別に家が広くなるのは良いんだけどさ。


「ここまで来ると、下の方とか見えないんだよな」


 一直線に立っている物だから、窓から下を覗き込んでも、中がどうなっているのか分からない。

 

 警備とか大丈夫なんだろうか。

 ここ数日、最上階と一階以外は出入りしていない。

 一応、同期して確かめたり、ゴーレムとかには任せているけどさ。


「大丈夫ですよ。主様のゴーレムがあれば、基本的に侵入者なんて楽勝です!」


 確かに、侵入者は即座に排除するようにしている。


 二階には、あのリンゴ収穫用の刃物ゴーレムがスタンバイしているし、三階には岩で作ったゴーレムを置いてみた。

 

 重みで床が抜けるかなあ、とも思ったが、サクラというか、我が家は魔力でコーティングされているらしく、かなりの重さに耐えられる頑丈さがあるらしい。

 

 更に、そのほとばしる魔力お陰で、弱い虫とか、獣とかが迷い込んでくることはない。

 盗賊や、強盗などにも、まだ襲われた事は無い。


「だからまあ、警備とかはオッケーだとしても、――部屋の使い道がないんだよな、本当に」


 一階が出来ただけで、使い道で四苦八苦していたのに、それが六つ重なった。


 どうしよう。使い道に悩む。


 選択肢がリンゴ置き場か、リンゴの木置き場か、ゴーレム置場か、人狼が持ってきた食糧置き場しかない。

 というか、それが一階だ。


 一階と最上階しか使ってないんだけど、いいのかこれ。


「そこまで急いで決めないでもいいんじゃないでしょうか。別に腐るものでもありませんし」

「まあ、それもそうなんだけどな」


 グダグダ言ってきたが、別に悪いことではない。

 特に、最上階の景色はすばらしいんだ。


 朝昼晩で、それぞれの空がきれいに見えるし、


「ここまで遠くを見渡せるから、地理も分かってきて面白いんだよなあ」


 自分の家を中心に、西には岩場が、東には森がある。

 森の奥の方には街らしき物体が見える。


 あそこが、姫魔女の言っていた王都だろうか。


「こんな見晴らしがよくて、住み心地のいい場所で、毎日食っちゃ寝出来るんだから、贅沢だよな」

「ふふ、褒めて頂いて、ありがとうございます」


 それにこの頃、自宅の上空を飛竜が飛ぶことも無くなったし。

 空を羽ばたく音で睡眠を妨害される事もない。


 この高さがあると、自宅の周囲は完全に俯瞰できるし、防衛する時の見張り台にもなる。……まあ、同期があれば、見る必要すらないけれども。


 視力も多少は上がっているので、森の中にいる人狼なども見えるし。


 ……というか、あいつら今日も旅人を案内してんだよな。


 なんでもこの頃、金を稼ぐことを覚えたらしい。森を抜けたい人間と交流したり、物々交換をして、俺への食いものを調達していたりもする。


 王に渡す食料が毎日同じものでは駄目だ、という気持ちだと、人狼のリーダーからは聞いている。

 さすがに悪いので断ろうとしたら、『至らぬこの身と命をもってお詫びをします』とか言い出したので、断れなかった。


「まあ、平和的にやってて、俺に迷惑掛からないなら、なんでもいいけどな」 


 うんうん、と頷いていると、人狼がこちらを向いた。

 どうやら俺の視線に気付いたらしい。

 相互の間で数百メートルの距離があるのだが、


『我が王の魔力は強すぎるので、他人の視線とは異なっています。故に、我ら人狼は、主様の視線であれば、どれだけの距離が離れていようと、感じることが出来ます!』


 なんて言われてしまって、現に今も気づかれている。そして、

 

「うわ、人前で土下座すんなって、あいつら」


 こちらを向いて、膝をついて礼をしまくってきている。更には、


「我らが王よ――!! 我々は今日も、我らが王のご命令通り、平和的に過ごしておりますぞ――!」


 は、恥ずかしい。

 土下座りながら、滅茶苦茶大きい声で言っている。

 恥ずかしいから本当にやめてほしいんだけど!


 旅人もすっごくビックリしてるしさ!


「これ……あとで人狼のリーダーと話さないと駄目だな」

「慕われてるんですよ、主様は」


 あれは慕っているとかそういうレベルじゃないと思う。

 このまま恥ずかしい目にあうのも嫌だし、言い含めておくとしよう。

 

「……でもまあ、こうして、色々な場所を観察できるようになったのも、家が大きくなったからだよな」


 本当に、悪いことじゃない。

 だから、もうちょっとだけ、拡張拡大しても、いいのかもしれないな。

続きは現在執筆中です! なるべく早め(昼とか夕方とか)に出せるように頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
●コミックス最新3巻発売のお知らせ
4/19(金)に『俺の家が魔力スポットだった件』のコミックス3巻が発売されます!
 面白いので是非お手に取って頂ければ嬉しいです! 
↓の画像はコミックス3巻の表紙です。クリックでコミックス3巻の公式サイトに飛べます。
avsf2uwqhujmfl939pohhpkl2j8k_1255_e6_k5_5sbz.jpg
  ●同時連載作品のご紹介
こちらの連載も応援して頂けると嬉しいです!
最強の預言者な男が、世界中にいる英雄の弟子に慕われながら、世界を回る冒険者をやる話です。
 100人の英雄を育てた最強預言者は、冒険者になっても世界中の弟子から慕われてます
https://ncode.syosetu.com/n2477fb/

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ