表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

135/309

116.強化されたモノづくり

 午後、俺は店をゴーレムに任せて居住スペースにいた。


 あれから調整を加えて、自動で商品を出して、自動で金を受け取るくらいはできるようになったので、あとは放置しておいても大丈夫だろう。


 ……買いに来るのはどうせ、人狼とか、戦闘ウサギとかだろうしな。


 というか、今日も既に一度、人狼やウサギたちは買い込みに来ている。

 まあ、その時にゴーレムを試運転して大丈夫そうだったので任せている訳だが。


「ともあれ、こっちはこっちで動くか。なあ、サクラ」

「はい、主様。こちらが、使いきれなかったリンゴの在庫と魔石類です」


 そう言ってサクラは、リンゴと魔石を持ってきた。


「ありがとうよ、サクラ。ヘスティから色々作ってみると良いって言われたからな、今のうちにやっちまおう」

「お手伝いしますー」


 といっても、小型ゴーレムを作ったり、アーマーを作ったり、この前作った杵を更に大きく太くしていったりと、地味な事ばかりだけど。


「まあ、これも適当に切りあげたら外にでるか」

「了解です。今日は風の日ということもあって、街では風の力で花火が打ち上がるそうですよ。ディアネイアさんが言ってました」


「へえ、今日の出し物は派手だな」


 最終日だから、シメという意味もあるんだろうか。


「だったら、早めに店を閉めて街を回ってから、こっちに戻ってきて花火を見るか。人の少ない場所だし」

「ふふ、そうですね。人が一杯いる場所で見物しても、疲れちゃいますし」


 もしもこの店から見れないようなら、自宅に戻ってみてもいいかもしれない。


 あそこまで成長した我が家の最上階ならば、花火くらいは確認できるだろうし。ずっと楽な体勢で見られるだろう。


「しかし、なんというか、街に来て三日も経つと、家が恋しくなってくるな」

「ふふ、そう言って頂けると私、とてもうれしいですよ」


 サクラはそっと寄り添ってくる。

 家でもよくやっていたことだけれども、この店でやられるとまた感じが違うな。


 そんな事を思いつつ、ながら作業でリンゴを樹木化していると、


「あ、主様。樹木が凄く巨大化してますけど、大丈夫ですか?」

「え?」


 見れば、天井と床を突き抜けるほどの高さで、リンゴの樹が出来あがっていた。


「おわ、マジだ。……いつもよりも、調整が難しいぞ」

「へスティちゃんが言っていたように、主様は強化状態になっているようですね」

「みたいだな」


 見れば適当に作っていたウッドアーマーの腕も巨大化しているし。

 いつも通りに力を込めると、いつも以上の大きさになるようだ。


 慣れるまでちょっと大変そうだが、


「でも、魔力が発散してれば直るんだろ?」

「はい。いつも以上に魔力が溜まっているだけですからね。発露するものが強化されているだけですし」

「ならいいさ」


 ちょっとでかいウッドアーマーとかゴーレムとか作っておけば、その内、元通りになるだろう。

 でかく作っても、店の地下に格納できる場所を作ったから問題ない。


「ああ、この際だ。店の改造とかも一気にやっちまおうかな」


 店の周囲には、リンゴの樹木を何百も束ねた大木があるし、それを利用するのもいいだろう。

 また、魔石の杵を取りつける部位なども作る必要がある。


 ……そう考えると、この強化状態は大きなモノづくりをするのに丁度いいかもな。


 これは、良い経験になった。

 そう思いながら、俺は床に置かれたリンゴを一つ手に取ろうとしたのだが、


「おっとと」


 窓から吹きこんできた突風を受けて、リンゴはコロコロと床を転がっていった。


「今日は微妙に風が強いな」


 窓を半分ほど閉めた後で、俺は空を見上げる。

 青空だが、雲の動きは早めだ。


「風ですか。無事に花火が、上がるといいですねえ」

「そうだな」


 そうして俺はサクラと会話しながら、リンゴの樹木で巨大なアーマーなどを作り上げていくのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
●コミックス最新3巻発売のお知らせ
4/19(金)に『俺の家が魔力スポットだった件』のコミックス3巻が発売されます!
 面白いので是非お手に取って頂ければ嬉しいです! 
↓の画像はコミックス3巻の表紙です。クリックでコミックス3巻の公式サイトに飛べます。
avsf2uwqhujmfl939pohhpkl2j8k_1255_e6_k5_5sbz.jpg
  ●同時連載作品のご紹介
こちらの連載も応援して頂けると嬉しいです!
最強の預言者な男が、世界中にいる英雄の弟子に慕われながら、世界を回る冒険者をやる話です。
 100人の英雄を育てた最強預言者は、冒険者になっても世界中の弟子から慕われてます
https://ncode.syosetu.com/n2477fb/

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ