アラタナハジマリ 23
エピローグ
夏の高揚の残滓。
華やかに賑った祭りの後には、それぞれの空虚な片付けが待っている。
それが秋の始まりを告げる最後の音色。
黒澤怜の場合。
月が白城に堕ちるのを、何本目かになるタバコを吸いながら見届けた後。
怜はつまらなそうに、パンプスの硬めの踵でコンクリートの地面を小さく三度叩いた。
その号令を持って、彼女が夢の国に張っていた魔術が解かれ、夢の国が今現在の姿を現した。
あちこちが凄惨に破壊しつくされた、その惨状を見て魔女は皮肉げに笑う。
「夢の国の崩壊。中々に作為的じゃないか――『唯一の一』。歴史の筆記者」
無人の高所から流れるその呟きは、当然誰にも届かず残暑厳しい九月の空に消える。
「お前らの考えなんぞ知ったことじゃないが、今はまだその思惑に乗っておいてやる」
黒い古書を左手に抱えた女が、柔軟な繊維質のような紫煙を口から吐きながら言った。
タバコの煙が風にかき消され、黒澤怜の姿もビルの屋上から姿を消した。
遠くでサイレンの音が聞こえた。
ルートヴィヒ・シュトライヒャーの場合。
怪人の打撃に半殺しどころか、もう殆ど全殺しとなった部下たちを介抱する為に、ルートヴィヒは、パーク内に植えられた木の枝を躊躇なく切り落として添え木に使い、自分の服を破って血止めに使う。
周囲の木々は丸裸。
彼も服を破りすぎて丸裸同然だった。
先ほどは、ありがとう、と彼らが生きていた事に感謝したのだが、応急処置を施しながらあくせく回っていくうちに、少しずつ思い直した。
やっぱり、これをやった相手に感謝するのは間違いだ。
とはいっても、元はと言えばこちらから仕掛けた戦いなのだから、この惨劇に恨みを覚えるのも正解ではない。
今の彼にあるのは憤怒だった。
部下たちを守りきれなかった、自分への憤怒。
いつだったか、彼の主が言った言葉を思い出す。
「一人も兵の死なない戦などない。それでも死なせたくないというのなら、自分が全ての兵の代わりになることだろう。我はそうしてここまで上り詰めた」
その強靭な台詞は彼だからこそ言える言葉なのだ、とその時は受け流した。
だが今その考えを改めた。
守りたいもの、死なせたくないものが、今はっきりと理解出来た。
もっと強くなろう。
ルートヴィヒは、添え木をした左掌を握り締める。
全部じゃなくて良い。
少なくとも自分が守りたいものだけは、傷つかせないために。
ルートヴィヒは『盾』として、もっと高みへ上ることを決意した。
そして右ポケットから、携帯電話を取り出すと、ある場所へ連絡する。
その電話相手は、二つの選択を彼に迫る。
褐色長身の男は迷わず、
「救急でお願いします」と言った。
ヴィンセント・ワーナーとエドワード・エルガーの場合。
セラミックの白馬、巨大なコーヒーカップ、ブラスティックの兎。
夢の国の城の裏側では、怪物の腕により投擲され破壊したそれらが、奇妙な形をしたオブジェとなっていた。
そのオブジェの一つに、傷ついた体を乱暴に手当てしたヴィンセントが、険しい顔をして腰掛けていた。
彼が見るその先には、月が堕ちた城がある。
自分の娘がいる城の最上階。
そして、恐らくもう一人の少年、天倉竹もまだそこにいる。
その事実に、戦いが終わったにも関わらず、ヴィンセントは顔の筋肉をどうしても緩める事が出来なかった。
そのヴィンセントに向けて一つの足音、そして一人の声がかかった。
「お嬢様が心配ですか? 我が主」エドワードはニコやかな顔で言った。
「まあ心配しなくても平気でしょう。僕も『神殺し』が創った月が堕ちるのは見ましたけど、アマクラは手を抜いてくれたみたいですからね。怪我はあっても死にはしていないと思いますよ」
そんなエドワードの台詞に、ヴィンセントは鼻を鳴らす。
「ふん。そんなこと我にもわかっているわ。アマクラが手を抜いた事も、我が娘が生きている事も。それにそもそもお前が言っていたであろう。解決士は女に甘いと」
「ありゃ、そうでしたね。じゃあどうして、そんなに厳しいお顔を?」
「……決まっておろう。こんな夜更けに男女が二人だぞ」ヴィンセントは苦々しい顔をしていった。
ただの親馬鹿だった。
全くの予想外だったのか、エドワードが声に出して笑う。
「ははは、そんな事が心配だったんですか我が主」
ヴィンセントは笑うエドワードを、じと目で睨んで言う。
「そんな事、などという軽いものではない」
「失礼しました」エドワードは、すぐに笑うのを止め、真顔に戻る。
そして、すぐにいつもの軽薄な笑みを浮かべて、言う。
「まあそっちも心配ご無用ですよ、我が主」
「……頭の中が生殖器のお前に言われても安心できぬわ」
「酷い言われようですが、まあ真実なので反論はありません。でもそんな僕が言うからこそ、大丈夫ですよ。アマクラは僕と違ってまともですから。保障付きです」
「……保障か。それは……」ヴィンセントは言葉の続きを言わない。
だが何が聞かれたのかわかったエドワードが、答えを言った。
「アマクラが、アレクサンドラお嬢様に手を出す『歴史』はありません。それが保障です」
最後の調整者は続けて言う。
「それで、どうでしたか? 長年の望み、天野カガチへの復讐は果たせましたか、我が主」
「……わけがなかろう。お前もわかっていた通りの結末だ。しかしやはりお前が奴の言う、最後の調整者だったか」
「ええ、そうです。まあそこまで隠していたわけじゃないんですけどね。現にお嬢様なんかは薄々気付いていたみたいですし」
「それは、お前がわざと気付かせたのだろう」
「どうして僕が?」
「アレクサンドラが、選ばれた者だからだ。天野カガチを殺すのは我が娘だ」
エドワードが目を見開く。
「……驚いた。どうしてわかりました? 『白い暴君』から教えられましたか?」
「……いや、なんとなくだ」
「なんとなくですか。はは、それじゃあ反論のしようもない。まあするつもりもありませんけど。お嬢様が選ばれていることは確かですからね。だからこそ『こいつ』を託すんです」
エドワードはそう言うと、自分の懐から小さな金属片を取り出して、ヴィンセントに差し出した。
丁度、タバコの箱と同じくらいの長さで細身、鋭い菱形をした鈍い光沢を放つ金属片の先には、真赤な血液が付着している。
まるで、今何かを貫いたかのように、新しい血だった。
「――それが『聖槍』ロンギヌス」征服主がゴクリと唾を飲み込む。
「そうです。意外と小さいでしょう? まあお陰で、肌身離さず持っていられたわけですけど」エドワードが言った。
「……その血は新しいな」
「ええ、新鮮そのものですね。といっても僕の血じゃないですよ。でも聖なる血という意味では同じものですかね。この槍に付いた血は、僕のご先祖を刺した2千年以上前から、この状態ですから。消える事無く、絶える事無く。それじゃあ、これは渡しておきます」
ヴィンセントがそれを受け取る。
どんな不思議か聖者の血が瑞々しく滴る、その槍先を手に取った魔人の手は、その血で汚れなかった。
まるでその槍と彼の手の世界が断絶しているように。
ヴィンセントは一瞬、怪訝そうな顔をした。
しかし、すぐに納得する。
『ロンギヌス』。
かつてこの槍で貫かれた聖者のわき腹からは、とめどなく血が溢れたという。
神の加護を受けていたはずの聖者ですら殺す。
それこそがこの聖なる槍の奇跡なのだろうと。
「その槍であれば、いくら死なない怪物でも、再生できない傷を負わすことができます」聖者の子孫は言う。
「……我は、これを我が娘に渡せば良いのだな?」
「ご自由にどうぞ、と言いたいところですが、そうして下さい、我が主。何故だかはわかりますよね?」
「ああ、わかっておる。例えこれが、怪物を殺せるものだとしても、我では奴は殺せないのだろうからな」
ヴィンセントのどこか悲しげな声にエドワードが頷く。
「その通りです。魔人たる我が主ではそれを扱えない。その槍で僕のご先祖を刺した者もそうでしたが、聖槍はただの人が扱わなければいけない。それが『歴史』の定めです」
「『歴史』の定めか……口惜しいが、我はそこには行けぬのだな。理解したくなかったが、どうしようもないほどに理解できてしまった。それが悲しい」ヴィンセントが肩を落として言う。
「……あとはお嬢様に託してください」
「そうしよう。そうするしかないようだからな……しかし良いのか? 我がこれをアレクサンドラに渡せば、我が娘は天野カガチを殺すのであろう? 奴はお前の仲間ではないのか?」
魔人が聖者に聞いた。
その声には敵意すら伴っている。
秩序を守る騎士団の王として、そちら側にいる者を見過ごせるわけがない。
それが例え自分の部下であろうとも。
しかし正邪は屈託なく笑う。
「ははは、何を言っているんですか。良いに決まっていますよ我が主。僕が忠誠を誓っているのは、後にも先にもあなただけですから」
それは言葉の通り、何の裏も無い本心からの笑みだった。
「……我に忠誠を誓うのが、『歴史』だからであろう?」
「ええ、そういうことです。ですから僕は何があろうと最後まであなたの剣として、役目を果たすつもりですよ」エドワードは堂々と言い切った。
それにヴィンセントは、呆れた声で返す。
「今まで暗躍していた奴の言う事を、我が信じるとでも思っているのか?」
「信じてもらえなくても良いです。僕の存在理由を知っておいてもらうだけで。まあ本音を言えば信じてもらえた方が良いんですがね」エドワードが軽薄な笑みで肩をすくめる。
「くくっ。抜けぬけとよく言うわ」ヴィンセントは毒気を抜かれたように、どこか諦めたように笑った。
「良い。お前を信じよう。エドワード・エルガー。お前はこれからも我が剣として働き、そして我が剣として死ね」
その言葉にエドワードは跪いて、最後まで変わらない忠誠を表した。
舘花直人と大神深翠、山吹蒼香の場合。
舘花直人は後悔していた。
何に後悔していたかというと、今この場にいることをである。
彼は自分の戦いが終わった後、城の前で竹の事を待っているか、それとも蒼香と深翠のいる方に行くかの二択で、迷わず美少女の方を取り、破壊の限りが尽くされた入園門前に戻っていた。
美少女二人と自分一人。
男であればテンションが上がらないわけがない、夢のようなシチュエーション。
なのだが、彼のテンションはかなりの速度で落ち始めていた。
何故なら彼は、さっき紹介されたばかりの美少女二人に対して、殆ど会話という会話が出来ていなかったからである。
戻ってきた時に挨拶を交わした程度だった。
舘花は、見かけこそB‐BOYなのだが、その中身は結構純情な人物だった。
その辺が、見かけ通りの松田と違うところである。
とはいっても基本女の子が好きな舘花である。
普段であれば、さすがにもう少し会話も出来た。
しかし、今の舘花はそれが出来ずに後悔がガンガン溜まっていた。
深翠と蒼香の二人は、座った体勢のまま戻ってきた舘花に軽く挨拶を交わすと、完全に二人で会話を始めてしまったのだ。
これで話を振ってくれるならまだ良いが、二人は疲れている様子で、その会話自体気だるそうなぽつぽつとしたものだった。
疎外感でいっぱいだった。
――イジメっすか。そんな勘繰りをしてしまうくらいに。
だが蒼香と深翠は、舘花の心境に全く気付いていなかった。
一番性質の悪い無意識の犯行である。
舘花は仕方ないので、竹が早く戻ってくるのを願いつつ、二人の美少女の会話に聞き耳を立てることにした。
「……ねえ、何であの狼から深翠の声がしたの?」蒼香が聞いた。
「ああ、あれですか。あれは別に種も仕掛けもないですよ。あの狼は、もともと私の影ですから、当然私としての意識があります。まあ、ああやって口を利くには、一体にまとめないと無理ですけど」
「意識の分割ってわけ?」
「そんなところです。それも最近出来るようになったんですけどね。蒼香と同じで私も成長しているんですよ。……というか今ので思い出しました」
深翠がやや垂れている目で睨む。
「……うっ」何を言われるのかわかったのか、蒼香がバツの悪そうな顔をした。
深翠はたじろぐ蒼香を、十数秒じーっと睨み付けた後、
「やっぱりやめておきます」と簡単にいって、睨むのをやめた。
「え? 何で? 死にそうになった文句を言うんじゃないの?」肩透かしをくらった蒼香が言った。
「いえ、言いません」深翠が含み笑いをする。
その含み笑いの意味を蒼香は考える。
先ほどの戦いで二人は、深翠の『神殿』を出現させる為に時間稼ぎをする必要があった。
それには、騎士団の一番目の聖剣を受け止めなければならない。
その防御策として蒼香は9枚の羽根、深翠は緑影の狼を3体出して、それらを全て防御に回す予定だった。
しかし、蒼香は2枚の羽根を攻撃に回してしまった。
それは完全に失策だったのだが、そのミスを深翠がなんとか防いだ。
3つに分かれていた狼を一つに戻すことによって。
その理由は一つにした方が強いから、なのだが、ならば最初から一つしておけば良かったのではないか?
何故、深翠はわざわざ弱いとわかっていて、3体に分割して出現させたのか。
そして、何故ああも一瞬のうちに、まるでわかっていたかのように蒼香の失策を回収できたのか。
「――あっ、もしかして?」蒼香が、何かに気付いて声をあげた。
深翠が頷いた。
「……深翠。あなたも私と同じこと考えてたでしょう? だから三体に分けて出したのね?」
今度は蒼香がやや吊り上がった目で睨んだ。
「そんなところです。でも睨まなくても良いでしょう。同じ事を考えていても、それを実戦して失敗したのは蒼香です。私はそのミスを回収したんですから」
むしろ感謝してください。と、しれっとした表情で深翠が言った。
「うっ」
それを言われては、何も言い返せない蒼香だった。
舘花は暫く、そんな美少女の仲良さげな会話を聞いていたのだが、いい加減、このなんともいえない疎外感を受ける状況に嫌気がさしたので、携帯電話を取り出して、まだこちらに戻ってこない竹に電話をかけることにした。
「あ、もしもし。竹? 今どこにいんの? ……え、まだ城? マジっすか。あとどんくらいかかりそう?」
舘花が電話をし始めると、二人の美少女の会話が止まった。
「ういー、了解。じゃああと十分くらいね。ん? ああ、余裕っしょ。ってかさ、騎士団ってあんなもんなの? なんかもっと強いの想像してたら、超弱かったんだけど」
舘花の電話の相手が竹だとわかると、蒼香と深翠が立ち上がった。
舘花は、『あれ? 何か近付いてきてるんすけど、何で?』と困惑しつつ、電話越しで反す竹の説明に耳を傾ける。
竹の説明が何故か小声で聞きづらい。
それでも説明を聞き終えて、舘花は納得し、
「あー、そういうことね」と困窮した声で言った。
何故困窮していたかというと、二人の美少女が目の前で、なぜか怒りのオーラを発していたからである。
その二人が静かな、しかし怒気を含んだ声で舘花に言った。
「それ、竹さんですよね?」
「ちょっと携帯貸してくれる?」
そう言われて、舘花は慌てて電話を切りかけていた竹に言う。
「えっとさ、竹。何か電話代わりたいらしいから、代わるわ」
竹の「うえ」という奇妙な鳴き声を聞き流し、舘花が携帯を耳から離して蒼香と深翠をみた。
二人は二人ともが手を差し出していた。
「……えっと、どっちに渡せば良いんすか?」
そう舘花に言われて、二人は無言でアイコンタクト、というには火花散りすぎですよ的な意思疎通する。
『私が代わる』
『いえ、私が代わります。それで今日の失敗はチャラにします』
『……』
そんな彼女たちにだけわかる、無言の議論の結果、不承不承な顔をしつつも蒼香が手を引いた。
舘花が携帯を深翠に渡す。
深翠は携帯を受け取り、静々と第一声を口にする。
「――プロポーズってなんのことですか?」
冷淡な鬼のような声だった。
こわっ!!
当事者でない舘花ですら本気で思ったのだから、言われた竹はたまったものじゃないだろう。
実際、『ひいっ』という竹の悲鳴が、携帯を渡した舘花にも小さく聞こえた。
更に深翠の横で、蒼香が全くの無表情で携帯をにらみつけている。
うわっ、この子たち、恐えぇ!
美少女二人の周囲に、どす黒いオーラが見える。
今まで竹の事を羨ましく思っていたが、少し憐れに思い、やっぱりそれでも少し羨ましい舘花であった。
憐憫と羨望と恐怖が舘花の内心を支配している最中も、深翠は竹と会話を続けている。
「だから、なんの事ですかって聞いているだけです。……え? でもそれは正当防衛です。私たちは悪くありません。……はあ、ですがそれとこれとは関係ないじゃないですか」
少し会話を続けていくうちに、竹がどんな魔法を使ったのか、深翠の口調が第一声と比べて、徐々に柔らかいものに変わっていった。
その横にいる蒼香も眉をひそめて渋い顔をしているものの、さっきよりも怒りのオーラが薄らいでいる。
「……はい。わかりました。それじゃあ戻ってきた時に、ちゃんと納得のいく説明してください。……え? 荒川さんですか? はあ、私は気付きませんでしたけど」
何か話題が変わったのか、深翠が一度携帯を耳から離して、蒼香に何事か聞く。
「荒川さん? いたっけ?」それに蒼香が首を横に振った。
「だそうです。何の話だったんですか? はあ、良くわかりませんけど、わかりました。それじゃあ舘花さんに代わります」
会話を終えた深翠が、「ありがとうございました」といって舘花に携帯を返した。
「もしもし。じゃああと十分くらいね。ういー、お疲れぃ」そう言って舘花が携帯を切った。
舘花はあと十分間、またあの疎外感を味わうのか、と暗澹とした気持ちになる。
しかし、舘花の思惑に反して蒼香が舘花に声をかけた。
「ねえ、舘花君。ちょっと聞いて言い?」
思いがけず声をかけられてテンションが少し、というかかなり回復する舘花。
しかし外見上はあくまでも普通を装った。
「何?」舘花はいつも通り、やや低めの声で聞き返す。
「舘花君てさ、何でおいちゃんて呼ばれているの?」蒼香が言う。
「ああ、ナイスです蒼香。あとで竹さんに聞こうと思っていましたけど、今は竹さんに聞きたい事が他にありますからね」深翠がうなづく。
「うん。もし途中でその話しちゃた時には、それで話を逸らしそうだしね。どうせだから本人に聞こうと思って」
それでどうなの? と二人の美少女は期待をその蒼と翠の瞳に輝かせる。
そんな瞳を向けられて、舘花は刹那言い淀むと、
「あ、ああ。えっと、俺も全っ然わっかんねえ」と身もふたも無いことを言った。
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