第二章4月18日攻撃は最大の防御
『もしもし』
『もしもし、兄ちゃん?』
『ああ、俺だ……どうした?』
『いや、どうしたって言うかさ……姉ちゃんと何かあった?』
『……なんで?』
『ここ最近元気が無い……てのとはちょっと違うか……いつもの姉ちゃんに戻ったって感じかな?先週までの明らかに浮かれた感じじゃなくて、妙に落ち着いてると言うか……』
『いい事じゃないか。浮かれてっと、何に足元すくわれるか分からんからな』
『いや、別に少しくらい浮かれてもいいんじゃない?まだ若いんだし』
『それで若さ故の過ちを犯せと?』
『いや、無理に犯さなくていいけど……』
『……』
『姉ちゃんと喧嘩でもした?』
『……そんな所だ』
『そっか……』
『……』
『……それで原因は?何で喧嘩になったのさ?』
『性格の不一致』
『いや、そんな離婚会見のお決まりな台詞じゃなくて、具体的な理由が訊きたいんだけど』
『……まあ、色々とな……』
『色々って?』
『色々だよ……』
『……』
『……』
『……』
『……まあ、話したくないなら、無理には訊かないけど……』
『色々事情が有るんだよ……俺にもあいつにもな』
『ん~……確かに姉ちゃんも相当頑固なトコ有るけどさぁ……』
『……』
『……』
『……』
『……それで、どうするの?』
『どうって?』
『だから……このまま姉ちゃんと別れるつもり?』
『別れるも何も、別につき合ってた訳じゃねえし』
『そうなの!?仲良かったから、てっきり……』
『……』
『……』
『……今のあいつに必要なのは……そんな浮ついた関係じゃないだろ……』
『……ん~……兄ちゃんには兄ちゃんなりの考えがあるんだろうけどさぁ……僕は浮かれて兄ちゃんの事ばっか話してる幸せそうな姉ちゃんを見ている方がいいよ』
『……』
『……』
『……鷹文。お前があいつを側で支えてやってくれ』
『それって……兄ちゃんにはその気が無いって事?』
『有るとか無いとかじゃなくて……言ったろ?こっちにも色々事情が有るって……』
『……そっか……じゃあ、別に姉ちゃんの事が嫌いになった訳じゃないんだね?』
『……あいつの方はどうかは知らないけどな……』
『姉ちゃん?ん~……情の深い人だから、簡単に心変わりしたりはしないと思うけど……』
『まあ、あいつの事はともかく、お前とはダチで居たいとは思ってるよ』
『ああ、うん、それは僕も同じだよ。コアなゲームの話出来る人って、リアルには兄ちゃんくらいしか居ないし……出来れば、姉ちゃんとも早く仲直りして欲しいけどね』
『……また何かあったら電話なりメールなりしてくれ。ゲームの事でも、姉貴の事でもいいから』
『うん。そうする……じゃあ、これで』
『ああ』
夜の帳が下りると、風が変わった。
まとわりつく様に生暖かく湿っているのは、俺が川辺に立っているからだけではあるまい。
明日は一荒れ来そうだな……。
川原から遠くに見える、かつてここまで続いていた学校の桜並木に眼を向ける。
これであの桜も散ってしまうだろう。
明日の朝で、そのまま見納めになるやも知れないか……。
「待たせたな」
感傷を携帯と共に上着のポケットにしまいながら視線を土手に移す。
そこには学ランや私服を一様に着崩した、見るからにそれと判る一団が立っていた。
「……マジで俺等とやるつもりなんだな?」
聞き覚えの有る野太い声が念を押す様に訊いてくる。
一団の中でも一際大柄でリーダー格の男、田嶋だろう。
そう、こいつらは宮沢のダチで……かつてこの町で最強と謳われた宮沢の兄、宮沢和人の下に集った奴等だ。
「俺の実力を知りたいつったのは、あんたらだろ?」
「勘違いするなよ?てめぇに指図される義理はねえつっただけだ」
「同じ事だ。あんたらもそのつもりでこうして集まったんだろ?さあ、始めようぜ」
ジャケットと長袖のシャツを脱ぎTシャツ一枚になって見せる。
それで覚悟と戦意が伝わったのだろう。奴等もまたいきり立ち、肌で感じられる程の敵意を向けてくる。
「ゆきねぇのダチだからって、俺等が手出し出来ねえとか思ってんじゃねえだろうな?」
「てめぇは前から気に入らなかったんだよ!坂上に勝ったからって、調子こいてんじゃねえぞ!」
「チッ、上等だ。てめえに合わせてこっちは代表を一日一人づつ出してやる。それで俺等全員に勝ったらてめぇの勝ち。一度でも負けたらそこで仕舞いだ。それでいいな?」
「はぁ?何言ってやがる?全員まとめて来いよ。かつてお前等が、坂上智代にそうした様にな」
「「「なんだとぉ!?」」」
田嶋のけして悪くはない提案に、しかし俺は挑発的な言葉でそれに応えた。
そりゃあ、一度に多人数を相手にするより、タイマンの方が遥かに楽だ。
しかも奴等の人数は20人近い。
普通に考えれば、勝てる筈も無いだろう。
だが、俺にはこいつらだけに半月以上も費やしてられる程のんびりしてられる時間は無いんだ。
出来れば今日一日で片を付けたい。
もちろん、勝算は有る。
宮沢和人がそうであった様に、先程の田嶋の提案しかり、こいつらは卑怯な行為を好まない比較的硬派な連中だ。
腕に覚えのある奴程、プライドも高くフェアな勝負を望むはず。
基本は一人づつ、多くても下っ端が数人、丸腰相手に凶器を使ってくる確立も低いだろう。
ならば、要はタイマンを20本やるような物。それならどうにかならなくも無い。
「なんや女一人に勝ったくらいでデカイ面しくさりおって、いてまうぞこのイチビリがぁ!」
「その女一人に、数人がかりで挑んで負けた奴等はどいつだよ?」
「それは蛭子じゃボケェ!」
「俺等を蛭子と一緒にすんじゃねえよ!」
「いや、俺等だって女だから手加減してやったんだよ!」
「鬼畜な蛭子と違ってな、俺等は紳士なんだよ!俺等が坂上に手を出さなかったのはなぁ、女を苛める様な真似したくねえからであって、ビビッてた訳じゃねえ!」
「ちょっ、待てよ!俺達だって坂上が生意気だったからちょっと灸をすえてやろうとしただけだぜ?」
「うだうだやってねえで、とっととかかって来いよ。ビビッてないならな」
何か話が蛭子いじりになって来たので、某胸に七つの傷がある男の様に右手の指をクイクイッとしてみせ“来い”と再び挑発してやった。
「てめえ、その大口、叩けなくしてやらぁっ!!」
それでついにぶち切れたか、一人の男が威勢よく叫ぶと一団から離れ、川辺に立つ俺目掛けて一直線に土手を駆け下りて来る。
「うおおおおおおおおおっ!!」
男は雄叫びと共に走りながら右腕を振りかぶり、駆け下りた勢いをそのまま乗せた拳を放つ。
だが、
「!!」
ドボンッ!!
次の瞬間、男は回転しながら数メートルぶっ飛び、背後で派手な水柱を上げていた。
大した事はしていない。
かわすと同時にを足をすくってやっただけだ。
あんなあからさまな大振りのパンチ、当たれと言うほうが無理が有る。
「次!」
一応男がもがきながらも水面から顔を出した事だけ確かめてから、俺は土手に向かって次の相手を促した。
俺が多対一を選んだ理由の一つがここにある。
一対一での勝敗は、完全な決着以外有り得ない。
それには相手の戦意を喪失させるか、立ち上がれない程のダメージを負わせる必要が有る。
同等の条件下で、相応の覚悟をしている相手に対してだ。
人間と言うのは、案外打たれ強い。
始めから食らう覚悟をしていれば、ある程度の攻撃には耐えられるし、ダメージを逃がす事も難しくない。アドレナリンも出ているから、痛みにも鈍感になる。
俺が智代の攻撃に耐え凌ぎきった様にだ。
喧嘩慣れしている奴等なら、尚更だろう。
そんな相手を倒すには、『相手の覚悟を圧倒的に上回る程強烈なダメージ』を与えるか、『相手に覚悟する間すら与えない程の“疾さ”』で攻撃する他無い。
それは例え多少の技量の差が有ろうと、いや、有ったなら有るなりの対処をされる事を考えれば、一人倒す事だけでも容易では無く、加えてこちらの手の内を晒しながらの20人抜きともなれば、それこそ至難の業である。
だが、これが多対一と言う圧倒的優位な状況ならどうだろう?
“これで負ける訳が無い”大概の人間ならそう高をくくるだろう。
そしてその瞬間、奴等は“20分の1”に成り下がる。
その傲慢が、今の男の様に有り得ない軽率な行動を取らせる。
それはつまり、始めから覚悟させない事……すなわち『相手に覚悟する間すら与えない程の“疾さ”』を偶発的に生みだす事に他ならない。
要は相手を油断させ、本気を出される前に戦力を削ろうって腹だ。
「調子にのってんじゃねえ!うらぁっ!!」
二人目のやや小柄な男もまた、走ってきた勢いを利用して跳び蹴りで突っ込んで来る。
「グエッ!!」
身体をひねってかわすと同時に腕を伸ばした俺のラリアートをカウンターで首筋に食らい、二人目もまた跳びこんで来た勢いでバシャン!!と水際に没した。
「次!」
二人目が直ぐに立ち上がって来ないのを確かめ、すかさず土手に目を向けた。
これも多対一の利点の一つだ。
二人目はともかく、一人目は川から上がって来て「おいおい」と二人目の介抱に向かっている。
つまり、彼にはまだ余力が十分に有る訳だ。
勢いあまって吹っ飛んだだけであり、落ちた先は川だったのだから当然だろう。
タイマンであったのなら、再び俺に向かって来ていたハズだ。
しかし、彼には少なくとも今は戦意が無い。
自分の順番が終わったと“錯覚”しているからだ。
無論、これはただの喧嘩なのだからそんなルールは無いし、俺も警戒を怠るつもりは無い。
だが、田嶋の提案もあってか、この場には何となく順番に一人づつと言う暗黙のルールが出来ており、そして俺もまた矢継ぎ早に催促する事によって、その雰囲気を出来るだけ維持するよう努めている。
多対一の優位感を与えつつ、実質は一対一。俺にとって理想の状況だ。
その事実に誰かが気付いてばらすか、あるいは往生際の悪い奴が現れた瞬間この均衡は崩れ乱戦になるだろうが……それまでに出来るだけ数を稼ぎ、あわよくば幹部クラスを引きずり出したい。
そう、俺の最大の狙いはそれだ。
初めから本気で20人全員を倒せるなんて思っちゃいない。
それどころか、田嶋をはじめとする何人かは互角か、下手をすれば俺より強いだろう。
奴等の中には形式上宮沢和人の下についている事になってはいたが、仲間内でカリスマ性のあった宮沢をリーダーとして担いだだけで実力的にほぼ同等とされていたり、あるいは宮沢に挑んで敗れはした物の互角の闘いをしたという連中も何人か居る。
だからこそ、俺はこの形式を選んだ。
出来るだけ本気の奴等と戦わない為に。
そしてその上で、俺の最大の“強み”を見せつけ認めさせる為に。
「なかなかやるじゃねえか!次は俺が相手だ!」
三人目の相手は小走り近付いて来ると、十分に距離を取った位置で身構えた。
やや細身だがかなりの長身で手足が長く、構えも様になっている。
身のこなしや、いきなり仕掛けて来ない冷静さからいっても、恐らく格闘技経験者だろう。
構え的には空手か……無論、それだけで判断するのは危険だが。
「いくぜ!」
「!!」
予想外の距離から、上段回し蹴りが伸びてきた。
かろうじてブロックが間に合った物の、疾さ、威力ともに申し分無い。
何より驚くべきはその間合いだ。
俺より頭一つ以上高い彼の長身と、確かな技術から繰り出されたそれは、俺の間合いの倍近くある様にすら感じられる。
ほぼ同じ身長なのにリーチがやたら長くてとんでもなく疾い智代との闘いの経験がなければ、恐らくまともに食らっていただろう。
まだ三人目だってのに……いきなり厄介な相手が出て来やがった物だ。
例えるなら、素手で槍の様な長柄武器を相手にしている感覚。
男はこちらの攻撃が届かないのをいい事に、次々とその長い脚で技を繰り出してくる。
名前は知らないが、こいつは相当な実力者だ。
何かの拍子に最近ドロップアウトしてきた新顔だろうか?
恐らく空手の大会でも、こいつなら結構良い所まで行きそうである。
いや、むしろ完全に競技向きだろう。
「どうした?後が無いぞ!守ってばかりじゃ勝てないぜ!」
ジリジリト押され、ついに片足が水に浸かった。
長槍の刺突の如き攻撃を両手両足を盾にして防ぐ事だけで手一杯の俺に対し、攻撃の手を休める事無く余裕の表情で挑発してくる。
悔しければ間合いをつめて懐に入って来いと言う事か。
安い挑発だ。
どうせ入れる気など無いくせに。下手に入ろうとすれば、カウンターの餌食だろう。
いや、むしろ至近距離専用の技が有るのかもしれない。
長い手足を活かし、相手の間合いの外から一方的に削ってポイントを奪う。
これが空手の試合であれば、俺は成す術無くやられていただろう。
差し詰め、『攻撃は最大の防御』と言った所か。
もっとも、その本当の意味を理解する者は、そう多くは無いが。
ふと、蹴りを放つ相手の動きに、智代の幻影が重なって見えた。
可笑しさがこみ上げて来る。
一番最初に闘った相手があいつで。
次が宮沢和人の仲間全員か……。
まったく……いきなりハードル高過ぎだろう。
それまで、喧嘩なんかした事無かったのにな……。
黙想……。
目を閉じると、見えてくるのは天駆ける龍の如く飛び回るあいつの姿。
おかしな物だ。
ろくに口もきいていないと言うのに。
俺は今、こんなにも近くにあいつを感じている。
これが……かつてあいつが歩んでいた道。
これが……あいつの背負っている業。
これが……今の俺があいつにしてやれる唯一つの事。
「なっ!!」
それまでやりたい放題だった男の攻撃が、絶句と共にピタリと止んだ。
正しくは、後ろ回し蹴りにきたその長い右足を、俺が右手で掴んで止めたのだ。
「遅えよ……坂上智代の蹴りは、もっと疾くて強かった」
「ぐっ、あっ、があああああああああっ!!」
そして次の瞬間、絶叫と共に男はのた打ち回って地べたに這いつくばる。
俺が掴んだ足首を捻りながら両手で引っ張り、左脇に抱える様にしてアキレス腱と関節を極めたのだ。
いくら槍並みのリーチが有ろうと、蹴りも拳も生身の肉体である事に変わりは無い。
そしてこれは試合では無く、掴もうが投げようが極めようが何でも有りの喧嘩だ。
こちらの攻撃が相手に届かないなら、あちらから届いてくる物を攻めるまである。
確かに『攻撃は最大の防御』だ。
そりゃあ全ての敵を攻め倒してしまえば、守る必要は無くなるだろう。
でもそれは、あくまで“全ての敵を倒せるなら”の話だ。
攻撃>防御、攻撃が防御より強いと言う意味ではけして無い。
攻撃≦防御、攻撃もまた防御の一形態、手段に過ぎないと考えるのが正しいのだ。
守る事を忘れた攻撃は本末転倒。反撃を許した時点で、たちまち脆さを露呈する。
しかし多くの人間は、攻撃は防御より強いと勘違いしている事が多い。
だから時にあえて気持ちよく攻め続けさせ、防御を忘れさせるのもまた戦の常套手段ではあるが。
「うがあああああああああああああ!!」
身体を海老反りにした男の絶叫が木霊する。
「やせ我慢してないで、早くギブアップしろ。でないと折れるぜ」
「くっ、誰が……ぐあああっ!!」
警告するも聞き入れられず、やむなくじょじょに締め付けを強くしていく。
既に極まった関節技から抜け出す事は、プロでもなかなか難しい。
加えて格闘技経験者でも派手な打撃や投げ技に比べ、地味な関節技について精通している人間は少ない。
時折身体を捻ったり、無理な体勢から空いた足で蹴ってくるが、下手な事をすれば余計に自分の首を絞めるだけだ。
「てめえ!!放しやがれ!!」
その時だった。バシャバシャと水際を駆けて来た一人の男が横槍を入れて来る。
二人目を介抱していた一人目の男だ。
だが、奇襲ならせめて音を発てずにするべきだろう。
「あててててててっ!!」
左手だけで足を極めながら、空けておいた右手で拳を受け止めこちらも捻りあげる。
しかし、それで均衡が壊れた。
「うらぁっ!!」
一人目に触発されたか、続いて二人の男が仲間を助けようと土手を駆け下りてくる。
やむなく俺は、二人を引きずる様にして川の中に入っていく。
「なっ!?や、やめろ!!」
「ぐああっ!!うっぷ!!」
地面につっぷしていた長身の男の顔が水に浸かり、苦し気にもがく。
だが、溺れさせるのが本当の目的では無い。
そこで二人を水中に投げ捨てる様にして解放すると、間近に迫っていた二人に向けて水面を蹴った。
「「おわっ!!」」
ちょっとした津波が起こり、バッシャーンとそれをかぶった二人が思わず怯んだ。
その一瞬の隙をついてすかさず間合いを詰めた俺は、右の男に向けてローキックを放つ。
「ぎゃっ!!」
ベキツと鈍い音がした。
薪を鉈で割るイメージで振り下ろした一撃を軸足に食らい、右の男は腰砕けに倒れこむ。
これでこいつは暫く立てない……と言うか、下手すれば今ので折れただろう。
「て、てめえ!!」
そしてすぐさま左を向くと、左手で振り上げられた右腕の上腕部を制し、右手で相手の髪を掴んで引き寄せる。
「ぶっ!!」
身長差を逆に利用して鼻っ面にヘッドバットを叩き込む。
そしてがら空きとなった腹に、追撃のヤクザキック。
吹っ飛んだ男は、顔と腹を押さえてその場に蹲る。
これで5人目、四分の一か……。
しかし予想以上に早く均衡が壊れちまった……相手の出方によってはやばいか……。
そう懸念しながら、土手に視線を移す。
だが、次に出てきた男はたった一人でゆっくりと土手を降りて来ると、威風堂々と俺の前に立ち塞がった。
田嶋と同じか、それ以上の巨漢である。
ボロボロの学ランに額には白い鉢巻、肌蹴た学ランの下からは筋肉質の肉体と腹に巻かれたサラシが覗いている。
そうか……この漢があの……。
「フンッ!どうやらただのイチビリちゃうようやのぉ!じゃが、それも終いじゃい!!喧嘩十段のこのワシが、直々にいわせたらぁ!!」
「来たか……溝口……!!」