第5夜:ストーキング・ブギ 2番
ピンポンパンポ〜ン♪
『全校の皆さんに連絡です。只今生徒会室周辺にて恐ろしい殺気のようなものが発生し、数十人の生徒が倒れました。危険ですので全校生徒及び全職員は教室ならびに職員室から外に出ないようにお願いします』
ブツン
「おいおい〜、何か物騒な事になってんじゃね〜か?」
辞典の山から頭だけ出して佐倉が言った
「なんか生徒会室の周りの生徒がバタバタ倒れてたみたいだよ」
女の子のような顔立ちの男子生徒が佐倉に答えた
「おう御崎、相変わらず女みたいな顔しやがって、ホントに勿体な」
バキッ
「もう、顔合わせる度に変な事言わないでよ」
御崎はにこやかに辞典で佐倉をブッ叩いた
どうやらこのクラスでは辞典=武器の方程式が成り立っているらしい
「そういえば、いずみんはどうした?」
・・・・・・回復時間が早くなってるよ
「うん、それがね」
御崎はそう言うと一純の席を指差した
「なんか、ご飯食べながら寝てるみたい」
御崎の言うとおり、一純は箸を持ったまま寝てた
「・・・・・海賊王みたいな奴だな」
「もう、せっかく一緒に昼ご飯食べようと思って来たのに」
「まあまあ、どうせしばらくは教室から出られないだろうからゆっくりしてけよ」
佐倉もたまには普通の事を言う
「まず手始めに、俺をここからディグアウトしてく」「暇だし一純君にイタズラでもしよ〜♪」
御崎は佐倉を完全無視して、一純の所に駆けて行った
「・・・・・・・フッ、なんとなく読めてたさ」
哀れ佐倉は次の日までそのままだったそうな
※
一方、生徒会室周辺は死屍類類としていた
一般生徒数十人と侵入禁止の看板を置きに来た生徒会の方々が周辺で気絶している
そして根源である生徒会室の中では、龍と虎が会いまみえていた
生徒会室の中はまさに混沌だった
常人なら数秒も持たない位の殺気だ
そしておもむろに小夜が口を開く
「久しぶりね凛」
言葉こそ再会の言葉に聞こえるが、かもし出す殺気と、その目線の先の人物を射抜くような目線には、一切再会の喜びは無い
「貴様こそ生きていたとはな」
凛も、小夜のそんな気配に臆することなく不適に返す
そんな余裕のある凛の様子に小夜は苛立ちを覚えるが、顔に出すことなく言葉を続ける
「・・・・・・・・それはこっちの台詞よ、まさかまだ兄さんにつきまとっていたなんてね」
そう言うと小夜はポケットから小さな機械をいくつか取り出し、ガラガラと目の前の机の上に並べる
「・・・・やはり既に見つけていたか」
凛は、まるで予想していたかの様にそう言うと、静かに溜息を吐く
「貴女が9年前と変わっていないならと思ってね、徹底的に家捜ししたの・・・・・・・そしたら案の定見つけたわ、大量の盗聴器と隠しカメラをね」
小夜はやれやれいった風に肩をすくめる
「・・・・・全く、9年前に叩きのめしたっていうのに、兄さんへのストーキング癖はちっとも治ってないみたいね」
「フッ、叩きのめされたのは貴様方だろう?それに愛する者の事を知りたがる事の何が悪い?貴様の方だっていい加減兄離れしたらどうなのだ?」
凛の方も負けじと言い返す
互いに一歩も譲る気配はない
「・・・・・フフフ、元々こんな話だけで終わるなんて思ってないわ」
そう言うと小夜はガーターベルトに仕込んでいた拳銃を取り出す
というか最初から生徒手帳なんて頭に無いらしい
「実弾じゃなくて暴徒鎮圧用のゴム弾なのが残念だけど、貴女相手なら十分でしょう?」
それを聞くと凛はフフンと鼻で笑い、背中から一本の木刀を取り出した
「奇遇だな、こちらも残念ながら真剣を使う訳にはいかないので鉛を仕込んだ木刀を用意したが、貴様相手なら十分だろう」
二人の殺気で窓ガラスに亀裂が入り始める
「兄さんならお弁当に仕込んでおいた睡眠薬で眠っているはずだから、心配せずに死になさい」
「気が利くな、愚妹といえど一純に自分の妹が死ぬ姿を見せるのは忍びないからな」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
数秒程全てが停止した
だがそれは、これから起こる地獄の前のほんのわずかな静寂に過ぎなかった
「・・・・・・私のストーキング癖を治す手段が1つだけある」
「へえ?」
何かしら?と小夜が聞く
穏やかなやり取りに見えるが、殺気は先程と比較にならない位に膨れ上がる
「・・・・・・貴様を始末して一純と夫婦になればよいのだぁぁぁっ!!!!」
言うと同時に凛の斬撃が目の前の机を小夜の方へ弾き飛ばす
小夜はサッと横っ飛びでかわすと、そのまま弾丸を凛目掛けて数発撃ち込んだ
だが既に凛の姿は無く、後ろのドアが開かれていた
「・・・・・・ふざけた事言ってくれるじゃない」
小夜はゆらりと身を起こす
「でもそんな事は私が存在する限り、未来永劫有り得ないわ」
そう呟くと小夜は凛を追撃すべく、生徒会室から飛び出した
to be continued・・・・・
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