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レストロ☆アルモニコ
作:烏丸



第14話:女色々長恨歌 1番


「・・・・・・なあ麻紀音?」

 一純はコメカミを押さえつつ麻紀音に尋ねる

「・・・・・・・・何?」

 麻紀音は、一純の座ってる席にメニューを運びつつ返事をする

「その格好は一体どうした?」

 麻紀音は「どこか変?」といった様子で首を傾げる

「・・・・・・・・・何か問題でも?」

「いや、問題というか何と言うか・・・・・・」

 一純は言葉に詰まる

 それもそうだ

 麻紀音の着ている服

 白と黒のコントラストが印象的なエプロンドレスに専用のキャップを頭につけたその格好はまさに・・・・・・・

「・・・・・・・一体どっからメイド服なんて持ってきたんだ?」


 そう、一純が学校から下校しフランベルジュに寄った所、メイド服姿の麻紀音が奥からトコトコ出てきたのである

 一純は入った瞬間思わず「すいません、間違えました」と外に出てしまった

 幸い、一純にはそういった属性は皆無なのでトチ狂った反応は無いが、流石に何時もの日常とかけ離れたモノの出現には、一瞬パニックになる

 まあ、アンドロイドが居る時点で日常とはかけ離れてるが・・・・・


「・・・・・・・・・ここの店長から電話があった・・・・・・・・・そして仕事中は、タンスの中に入っているこの制服を着用するよう指示があった」

(あのマスターの差し金か・・・・・・)

 なんか笑顔でサムズアップする店長が頭をよぎる

「・・・・・・・・・変?」

 麻紀音が心なし不安そうな顔をして尋ねる

 いや、変と言えば変だが・・・・・・

「安心しろ、似合ってる」

 ・・・・・・まあ、格好自体は似合ってるからいいか

 それを聞いた麻紀音はホットしたような顔をした・・・・・・気がする

「・・・・・・・・・ところで注文は決まった?」

「ああ・・・・・・じゃあコーヒー3つ」

 麻紀音は不思議そうな顔をする

「・・・・・・・・・マスターは普段もそんなに飲むものなの?」

 それもそうか、1人で3杯もコーヒー頼めば

 それに、俺だってまさかコーヒー3杯も飲む分けない、ちゃんと理由がある

「いや、もうすぐ小夜と凛も来るはずなんだよ、2人とも掃除当番らしくて遅れてくるんだ」

 帰るとき2人に声をかけたら

「「スグに追いつくから先に行ってて!!」」

 と、全く一緒の答えが帰ってきた

 まあ、結局追いつかれずに、ここまで辿り着いたわけだが・・・・・

 あの2人の事だし、そのうち来るだろ・・・・・

「・・・・・・・・・・・・そう、あの2人も来るの・・・・・・」

 麻紀音が少し沈んだ声でそう答える

「?・・・・・どうかしたか?」

「・・・・・・・・・・問題ない・・・・・・・・・ではコーヒーを淹れて来る」

 そういって麻紀音は奥に下がっていった

「なんか少し機嫌が悪くなった気がするんだが・・・・」

 何か変な事言ったか?

 この主人公は、例に漏れず朴念仁のようだ

 するとカランカランと店の扉が開き、2人の客が入ってくる

「兄さん、お待たせしました」

「待たせたな一純」

 勿論小夜と凛だ

「いや、そんなに待っちゃいない・・・・・とりあえず座れよ」

 一純はそう言うと席を勧める

 普段の2人なら一純の隣を巡り、ここで一悶着ありそうなものだが、何故か今回はアッサリと決着が付いた

「♪」

「・・・・・・・・むぅ」

 嬉しそうに小夜が一純の隣に座り、不満そうに凛が向かいに座る

 凛は唇を尖らせ小夜を睨む

(そんなに目で睨んでも無駄よ?ちゃんと公平にじゃんけんで決めた事なんだから)

 小夜はフフン笑い、凛の目線を無視する

 どうやら遅くなった要因はここにあるらしい

 2人が席に着くと、麻紀音がコーヒーを3つ持って奥から出てくる

「・・・・・・・・おまたせマスター・・・・・・と他2人」

 そう言いながら麻紀音はテーブルにコーヒーを置く 

「随分な言いようね・・・・・こっちは一応客よ?」

 その他扱いされたのが不服だったのか、小夜が唇を尖らせる

「落ち着け小夜、今日は機械人形と喧嘩するために来たわけではあるまい」

 珍しく凛が小夜をたしなめる

「そうだぞ小夜、今日は麻紀音の淹れるコーヒーを飲みにに来たんだろ?」

 一純にまで言われては小夜も大人しくするしかなかった

「・・・・・・それもそうですね・・・・・仕方ありません、今日のところは大人しくしておきましょう」

「そうそう、素直な小夜が一番可愛いぞ」

 一純の言葉に小夜は頬を赤らめる

「に、兄さんったら・・・・・・♪」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・むぅ」

 勿論他の二人は面白くないわけでして・・・・・・・

「・・・・・・・・・・ケーキも作ってくる」

 少し頬を膨らませて、麻紀音は奥に引っ込んで行く

 凛も少し機嫌が下降気味らしく、口がへの字になってきてる

 そんな凛の様子を知ってか知らずか、一純が凛に話しかける

「そういえば最近またアレが増えたらしいな凛」

「ああ・・・・そういえばそんな話も聞くな・・・・・」

 凛は機嫌が悪くなる一歩手前で、体制を取り戻した

「アレって・・・・・一体何なの?」

 小夜が頭にクエスチョンマークを浮かべ、2人にそう尋ねる

 二人は同時に小夜の方を振り向くと、口を揃えてこう答えた

「「丑の刻参り」」

「う、丑の刻参り!?」

 二人の口から出てきた言葉に小夜は少々驚く

「学校の裏に神社があるだろう?あそこの神社にあるデカイ樹に恨みを込めて藁人形を打ち付けると相手が死ぬっていう・・・・・まあ根も葉もない噂だ」

 そういうと一純はコーヒーを啜る

「最近暖かくなってきたからな、そういった者も増えているのだ」

 凛もコーヒーを啜る

「ふうん・・・・・・・・・」

 小夜も釣られてコーヒーを啜る







 ・・・・・・そして店内の時間が一瞬時が止まった






 時が動き出した瞬間、三人の口から黒い液体が放物線を描きながら吹き出された

 そして、そのまま三人の時間が、また30分程停止した

 ・・・・・・ていうか気絶してた


「・・・・・・・・・・・・♪」

 そして、店の奥では麻紀音が鼻歌を歌いながら、第二の悲劇『赤紫ケーキ』の製作に奮闘しているのだった・・・・・・






                *







 草木も眠る丑三つ時

 場所はとある神社

 一人の人影が神社の境内を横切る

 アップで束ねた長い髪が風に吹かれ僅かに揺れる

 勿論、類家凛その人だ

「・・・・・確か此処だと聞いたのだが」

 そう言いながらキョロキョロと周りを見渡す

 するとその目線が、注連縄のしてある巨木に目に止まった

 大人数人でも回りきるか分からないくらいの太さだ

「見つけたぞ・・・・・此れが『呪いの霊樹』だな・・・・・」

『呪いの霊樹』

 それはこの町に数百年前から伝わる伝説であり、この樹に呪いを込めながら藁人形を釘で打ち付けると、呪われた相手は必ず殺されるという、何とも恐ろしくもありがちな伝説である

「・・・・・呪いの類は信じてはいないが・・・・・・・・・まぁ、これであの2人が亡き者になれば儲け物だ」

 すると凛は懐から2体の藁人形を取り出す

 そして少し樹から離れると、何やら目を閉じ集中し始める

「・・・・・・あの2人を亡き者にし、一純と私が将来結ばれますように・・・・・」

 そして、目をカッと見開くと空中に藁人形を放ると、懐から小刀を取り出し藁人形目掛け投げつける

 そしてそのまま小刀は藁人形を貫き、霊樹に突き刺さる

「ふぅ・・・・・」

 と息を吐くと凛は、樹から小刀を抜く

「これで願いが叶うなら苦労はないがな・・・・・・・」

 そういうと凛は暗闇に消えていった






              *




 30分後・・・・・・

 同じ場所に、今度は別の人影が現れた

 ショートボブの髪とメイド服がイヤに目立つ

 どうやらこの方も、ちゃっかり話を聞いていたらしい

「・・・・・・・・・・・ここが情報の場所」

 無論、麻紀音だ

 麻紀音は樹の前に立つと、何やら機械っぽい音を出し始める

「・・・・・・・・・・・データ照合終了・・・・・・・この樹で間違いない」

 そういうとこちらも藁人形を2つと釘を、メイド服のポケットから取り出す

「・・・・・・・・・・呪いとは便利なシステム・・・・・・・・・こうするだけで願いが叶うらしい」

 そしてその釘を藁人形に打ち付け始める・・・・・・・・拳で

 ガンガンと音を立てながら、殴って釘を打ち付ける麻紀音

「・・・・・・これで!・・・・・・・マスターと!・・・・・・・・2人で!!・・・・・・・」

 そして釘を打ち終わると、背中から飛行機の翼みたいなのをシャキンと出し、夜空に飛んで行くのだった・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・って飛べるのかよ!!







               *





 そのまた30分後・・・・・

 ・・・・・・もう分かるよね?

 案の定そこには小夜の姿があった

「・・・・・私は兄さんを我が物にするためならどんな事でもするわ」

 そして案の定藁人形を、懐から取り出す

 するとその藁人形を、それぞれ樹に固定する

「そして、そのための準備も常に抜かりなしよ!!」

 そう言って小夜はポケットから銀色に光る弾丸を取り出す

 小夜はガーターベルトから拳銃を抜くと銀弾を装填する

「魔術的な力を込めた特製銀弾・・・・・製作期間4ヶ月、いざと言う時のために取っておいた超特別性・・・・・・・・今此処で使わせて貰うわ」

 小夜はそう言いながら、藁人形に標準を定める

 その目には狂気が宿っている

「・・・・・兄さんに手を出す女全員に天誅を・・・・・・・そして兄さんの愛を私だけのモノに!!」

 そういって小夜は引き金を引く

 弾丸は、銀色の直線を描きながら、藁人形の胸を貫き、樹の幹にめり込む

 弾丸を放った小夜はフゥと息を吐くと、何時もの顔に戻る

「・・・・・さて、早く帰って寝ないとお肌に悪いわ」

 そして小夜は拳銃を仕舞い、銀弾を樹に打ち込んだまま神社を後にするのだった・・・・・






           *




 小夜が帰った後

 長い時を経て、数多くの呪いを打ち込まれ続けた樹に、今異変が起き始めていた

 樹を中心に大気が震え、夜なのにそこはさらに深い闇を生み出していた

 数百年間打ち込まれた続けた呪いが、小夜の打ち込んだ『特別製』の弾丸に反応し集まりだしたのだ

 それは銀弾を中心に集まると禍々しい気を発しながら、まるで心臓のように脈動を始める

 そしてその心臓を中心に人の形のようなものが形成されていく

 やがて大気の振動が止み、夜が静けさを取り戻した時

 その闇に、確かに別の存在が生まれでた

 その姿は闇に紛れて見えないが、その口が動き声を発しようとしているのは分かる

「・・・・年月と・・・・・人の恨み辛みが、遂にワシに形を与えたか・・・・・」

 影は感慨深そうにそう呟く

「・・・・・・とりあえず、今ワシが成さねばならぬ事・・・・・それは先程のモノ達の願いを聞き届ける事・・・・・・・・・」

 影がユラリと揺らめく

「・・・・・・・・・・・あ奴等の思い人を消す事・・・・・・・・・・・・さすれば、あ奴等が思い悩む事はもう無いじゃろうて・・・・・・・・」

 クククと影が笑ったと思うと、スゥっと気配ごと影は掻き消えていくのだった・・・・・







to be continued・・・・・・・・・・・・・








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