第13夜:monnequin's lullaby 4番
場所は移って喫茶店『フランベルジュ』
一番近い馴染みの店で、話を聞かれる心配の無い所だったので再びやってきたのだ
マスターには冷やかされたが、無視して席に座る
ちなみに凛と小夜が一純を挟み、残りの2人と向き合ってる形だ
「さてさて、何から話したらいいですかねぇ・・・・・・」
研究員は運ばれて来たコーヒーをズズッと啜る
「そうですねぇ・・・・・まぁ順序立てて話しましょう。この子の正式名称は君達も聞いたかもしれませんがRIK−0013Xといいます。この名前の通りわが社の開発している、いわゆる人型ロボット13号機の試作機です」
研究員はロボ子を見る
「最初は介護用に開発されたんですが、何だか作ってるうちにあれやこれやと機能を追加したり、試験的に新しい技術を組み込んだりしてたらいつの間にか物凄い事になってまして・・・」
研究員はアハハと笑いながら頭を掻く
「笑い事ですか・・・・」
そんな面白半分であんな兵器を搭載しないでもらいたい
「それで最終的には汎用人型決戦兵器みたいなのでいいんじゃない?的なノリになってきてねぇ、でも流石にこんな無茶苦茶な戦闘能力を持った機体を無意味に保有する事はできなくてね?上から解体命令が出たんですよ」
「解体命令?」
「そう、こっちも結構抵抗したんですけどねぇ・・・・・・遂に上層部も痺れを切らしたらしくて、さっきみたいにRIKシリーズを投入してきて強制的に取り押さえにでたんです。しかも最初は妥協案として戦闘システムの制限を出しておきながら、こちらのプログラム修正が終わると同時にコレですよ」
「まったく汚いやり方をする・・・・・」
凛が苦々しげにそう呟く
身内内での出来事だから、そういう事の嫌いな凛にとっては尚更不快なのだろう
「だから私達はこの子を外に逃がしたのです。・・・・・・・まぁ、逃がしたのがバレたらリストラされますので逃げられた事にしてあるのですが」
この人もこの人だなぁ・・・・・
「そして研究所から上層部にハッキングをかけて、13Xを追撃してる機体のデータを盗み見して、ここに駆けつけたわけです」
それがこの研究員の話した事のいきさつだった
しかし一純はまだ分からない事があった
「じゃあ何でこいつは雑貨屋になんか居たんだ?それになんで俺をユーザー登録した?別に小夜のヤツでもよかったわけだし・・・・・・」
研究員は困ったように頭を掻く
「それは私にも分かりません。本人に直接聞かない事には」
一純はロボ子の方を向く
「何でだ?」
単刀直入に尋ねる
「・・・・・・・・・・あの店にいたのは、追っ手から逃げてる途中に屋根から足を滑らせて頭部を強打したためフリーズ状態になりそのまま店の中に入れられた為・・・・・・・・・・そして貴方をマスターにした理由は・・・・・・・・」
ロボ子は俺をジッとみつめる
「・・・・・・・・・・・・優しかったから」
恥ずかしい事をサラッと言う・・・・・
「・・・・・別に何もしちゃいないが」
少なくとも俺にはそんな記憶は無い
「・・・・・・・・・・・・身体機能が停止してる間も私のセンサーは活動している・・・・・・・・・・マスターだけは私の事を人形ではなく人間のように扱ってくれた・・・・・・・・本当に人形である私の頭を優しく撫でてくれた・・・・・・・・」
そんな大げさに捕らえられたらこっちも恥ずかしいじゃないか
一純は少し恥ずかしそうに頬を掻く
「いやぁ〜、青春だねぇ〜、・・・・・・・・・青春ついでにさっきの事なんだが・・・・」
研究員は一純を向く
「この子を暫く預かってはくれないかい?」
研究員はそう言うと頭を下げる
すると今まで沈黙を保っていた小夜が口を開く
「却下です」
何故お前が答える妹よ・・・・・・・
「いくら機械人形でも、知らない男性と1つ屋根の下というのはいただけません!!預けるなら凛のところにでも預けたらいいでしょう!!」
当然の事ながら小夜は絶賛反対中だ
「その境遇には同情するがウチに預けたらスグに見つかってしまう、一応私も類家グループ会長の娘だからな・・・・・・・・だからといって一純の家に住まわせるのは私も反対だ」
こちらも、小夜よりはマシなものの反対派だ
「困りましたねぇ・・・・・・もしこのまま捕獲されて動力部を見られたら私逮捕されちゃいますよ」
なにやらサラッと不吉な事を言いながら研究員はアハハと笑う
「捕まるような動力って一体・・・・・・」
知らぬが仏というやつだろう
するとロボ子がポンと研究員の肩を叩く
「・・・・・・・・・大丈夫・・・・・・・・・私はこのまま逃げ続ける・・・・・・・・・・・・マスターと一緒に」
なんですと!?
「・・・・・・・・・・マスターと一緒なら平気・・・・・・・・だから心配しないで」
なんだか知らないうちに一緒に逃げるのが決定事項になってますが?
当然あのお二人が黙ってるわけ無く
「勝手な事を言うな機械人形風情が!!哀れな境遇と思い甘くしていれば付け上がりおって!!!私がこの場で解体してくれるわ!!!!」
凛でさえこんな具合なんだから当然妹君はもっとすごいわけで
「$%&Ω’(‘γ*:☆Ι殺!!””!*■〜;@!!!!!!!!!!!」
もはや解析不能なほどの切れっぷりだ
「・・・・・・・・・やはりこの2人はこの場で処理するべきと判断・・・・・・・マスター、許可を」
こちらも既に殺るき満々だ
「君も大変だねぇ・・・・・」
「人事のように言わないでください」
そうは言うものの一純もすでに諦めモードに入っていた
(・・・・・・・これはもう止められないな)
そう思っていたその時、救いの手は差し伸べられた
「それならこの店に住んでもらって欲しいんだが」
全員が声の元を見る
そこには声の主であるマスターが立っている
そして事のいきさつを話し始める
「実はさっき3年間捜し求めていた伝説のコーヒー豆がギアナ高地にあるかもしれないっていう電話がありましてこれから現地に行こうと思ってたんですが、その間店を空けるわけにもいきませんので、そちらがよければ私がいない間住み込みで店で働いて欲しいのです」
店長はまるでダイジェスト版のような説明口調でそう言った
俺達は声を揃えて返答する
「「「「是非ともお願いします」」」」
「・・・・・・・・・・・・え〜」
ロボ子以外はだが・・・・・
「・・・・・・・・・・・マスターと離れるのはイヤ」
そういって駄々をこねるロボ子と暴走する小夜と凛をなんとかなだめて、ロボ子を店に住まわせようと説得するのに1時間以上かかってしまうのだった
*
午後五時
フランベルジュの店内は先程とは変わり静かに時間が流れる
店内には一純とロボ子だけ
小夜と凛は帰宅し、研究員も研究所に戻り、マスターは早くも外国に飛んでいった
一純はロボ子に店の事を教えるために店に残っているのだった
本当はマスターが教えるべきだが、すでに日本から出て行ったしまっているのでどうにもならない
それでいいのか?マスター・・・・・・
そして今はロボ子にコーヒーの淹れ方を教えてる最中だ
「ところで・・・・・」
一純はロボ子に尋ねる
「・・・・・・・?」
ドリップされてるコーヒーを見てたロボ子が一純の方を向く
「俺はお前を何て呼べばいい?」
心の中では便宜上ロボ子と呼び続けてたが、流石に実際に呼ぶとなるとアレなネーミングなのでちゃんとした呼び名が欲しい
「・・・・・・・・・研究所では0013Xと呼ばれてた」
ロボ子は静かにそう言う
「いやそうじゃなくて、流石に番号で呼ぶのもなんだから人間らしい名前をつけようと思ってだな・・・・・・・」
ロボ子は少し考えると
「・・・・・・・・・・・マスターに任せる」
と言った
「そういうのが一番困るんだよなぁ・・・・・・・」
何食べたい?と聞き、なんでもいいと言われた時のお母さんの気持ちだ
「それじゃあな・・・・・・・・・」
うぅむと一純は考え込む
そして何か浮かんだらしく、顔を上げロボ子を見る
「マキネはどうだ?漢字表記で書くと麻紀音だ」
ちなみに漢字は適当に当てた
「・・・・・・・何故その名前?」
ロボ子改め麻紀音が首をかしげる
「マネキンをもじった、確かマネキンは『人の形をした』って意味らしいからな」
そういうと一純は麻紀音の頭を撫でる
「お前はロボットだけど、本当の人間のように付き合おうって意味だ」
麻紀音は撫でる一純の手をスルリと抜け、一純の背に手を回し抱きつく
「・・・・・・・・・・・・・一生大事にする」
一純を見上げる麻紀音の顔は無表情だったが、ギュッとしがみ付く腕の強さから麻紀音の嬉しさが伝わってくるようだった・・・・・・
to bo conntinued・・・・・・・・
「・・・・・・ってこんな甘い雰囲気で終わらせるもんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そう叫びながら小夜が入り口のドアを蹴破ってくる
「その通りだ、私達がお前達2人を残して普通に帰るかと思ったら大間違いだぞ」
天井から凛が飛び降りてくる
「もうこの際、機械人形がどうとか言わないわ」
そういって前からにじり寄る小夜
「そう、そんな事よりも・・・・・・・・」
凛も背後から迫ってくる
「「私達にもハグを!!!!」」
さっきの綺麗に終わったと思ったのは幻だったか・・・・・・
「・・・・・・・・・・マスター迎撃しますか?それとも・・・・・・」
麻紀音は抱きつきながら目線を小夜と凛それぞれに向け言う
「・・・・・・・・・・一緒に逃げる?」
そういった麻紀音の顔は少しだけ笑っていた
「「ハグをぉぉぉぉぉ!!」」
そういいながらにじり寄る2人に、これまでとは違う恐ろしさを感じつつ
一純はとりあえず逃走を図るのだった
このあと見事に捕まり、2人にたっぷりとハグされたのは言うまでもない
to be continued・・・・・・・・・・・
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