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腹グロ王子と子羊ちゃんsideM 3
作:狐狸川ゆうら



ひる。


「ハイ、と云う訳で今日の授業は終了。ソレでだ、この後片付けは…遅刻の上に体操着を忘れた室尾!と…おや?今日は他には居ないな。じゃお前一人だな。頑張れよー。解散!!」
「ええぇぇ!!」


 そんなぁ〜。


 ガックリと本日二回目の脱力。
 そうです、体育の授業の時に忘れ物や遅刻をすると、面倒くさい後片付けが待っているのです。
 しかも今日は俺、一人?
 クラスの奴らは既にガヤガヤと体育館を後にしていた。


 ポツーン。


「ハァァァ〜〜……」

 重い溜め息が口を付いて出る。それこそ肺の中の空気が全て吐き出される勢いだ。
 俺はぶかぶかのジャージを捲くり直し、渋々とボールの入った四個の鉄籠(今日はバスケの授業だった)を順番に動かす。
 普通は2クラス同時の授業だが、俺のクラスは何故か単体。その所為で、使うボールなど少ないハズなのだが、前の授業が2クラスだとソレもそのまま残っていたりする。

「ったく、使わないンだから、前の授業で半分は仕舞えっつーの!!」

 どんなに愚痴っても数は減ら無いので、俺は一人寂しく、うんせ、うんせ、と体育倉庫にそのボールどもを運び入れようと試みる。
 ところが、もう倉庫に入るぞ〜って所でガッツン!っと鉄籠ごと、俺の体は大きく弾き返された。

「あ、あれ?」

 別に俺、力が無いワケでも無いし(たぶん…)運動神経が悪いワケでも無いし(たぶん…)でも……な・ん・で、体育倉庫の扉のレールの段差がキツイのかな?
 押してダメなら引いてみなってんで、俺は自分が倉庫の中に入って、ボールの鉄籠を引いてみる。

「フン、ヌヌヌヌ…!」
 がん、がん、と当っては籠のキャスターが弾き返される。
「はぁ…はぁ…」
 だ、ダメだ。

 助けを呼ぼうにも、昼休みと云うこの状況がいけない。
 ツイてない…本当に今日はツイて無さ過ぎる……。
 ボールの鉄籠に凭れ掛る様に俺は脱力した。いっそ、このまま次の授業開始まで居てヤローか?
 しかし、そういワケにも……ジャージは貸主に返さなけりゃならない。
 それこそ香川が俺を探しに来てくれないかなぁ?なんて、ヘタレな事を考え出す始末だ。

「う〜ん」
 出て来るのはいい知恵ではなく、唸り声ばかりなり。
「う〜ん……」


「こんな所で唸ったりして、何してるんですか?」
「ひっ!!」


 突然、後方上部から降って来た声に驚き、カンガルーもビックリの高さまで飛び上がると一目散に倉庫の中に逃げ込んだ。

「な、な、中内!!何しに来やがった!?」
「何って、制服を届けに。クラスじゃもう既に女子もお昼を食べてます。そんな中で着替えたいですか?」
 ふ…と、目を細めて薄く笑う。
「〜〜〜!!」


 い、イヤかも知れない。


 ハイどうぞ、と中内は俺に制服を差し出した。
「……あ、ありがと」
 一応お礼は言って、出来るだけ素早く中内の手から制服を掻っ攫った。
「大変そうですね。折角だし、着替えている間に俺が運んで上げましょう」
 そういうや否や、中内は俺の返事を聞かずにあれよあれよと言う間に籠を中に運び込んでしまった。
 こうして合計四個もあった俺の敵は、いとも容易く中内によって収納されましたとさ。
 メデタシ、メデタシ。


 ……じゃねぇ!!


「……どうしました?着替えないんですか?」
 制服を胸に抱え込んだままの俺を見付けて、不思議そうに中内は言った。
「バカ!着替えるに決まってんだろ!何だよ、見んなよ!あっち行ってろって!!」

 俺は一瞬にして顔に火が付いたかと思うほど、真っ赤になった。
 別に男に見られて恥ずかしいワケではなかったが、どうにも中内が傍に居るってのがマズイ。
 教室で金谷たちに騒がれてからずっと考えていたコト。



 もしかしたら、アノあとは中内が付けたのではないか?って云うコト。
 いや、もう正確には完全にソレ以外考えられないんですけど……。



 デモ、何で俺にそんなコトをするんだろう?とか一体どう云う意味だ?なんてずーっと考えてる状態で…あまつにさえ、そんなヤツが悠然と見ている前で着替えられマスかっての。

「どうしました?まさか、恥ずかしいとか?」
「バカ!んなワケ…」

 俺は何でも無い風を装いながらゆっくり後退る。
 しかし、中内の鋭い観察眼は俺の変化を見逃さなかったようだ。さっきまでの無害な優しい微笑みは姿を消し、毒をバンバン吐き出すとってもイジワルな笑みに変わる。

「……ホント、昨日は可愛かったですねぇ」
「!!!!」



 赤かった顔が、一気に青くなっていく。



「何もするつもりは無かったんですケド。あんまり可愛いかったら、つい、悪戯をしたくなってしまいました」
「い、悪戯って…まさか、そ、その……あ、あ、あ、アレ?」
 引き攣った口元が、更に強張ってくる。
「金谷たちに騒がれた事ですか?」
 俺はコクコクと大きく頭を縦に振った。
「ハイ。まあ、他にもいろいろと……ね」
 ニヤリと中内の口元が歪んだ。



 いやー…ホント、人間、知らない方が幸せなコトってあるんですね。



「知りたいですか?」
「いいえ!!ちっとも、全然、全く、微塵も知りたくありませんッ!!っつーかむしろ、そのまま永久にお前の胸に仕舞って置け!!!!」
「ふぅん」

 つまらないなぁ的な顔をしながら、中内は俺を睨め付ける。
 ゾクゾクゾクぅっと、背筋を嫌な寒気が通り過ぎた。

「いいから、もう、着替えるから!出てけよ!!」

 中内は軽く溜め息を吐き、肩を竦ませると俺にクルリと背を向けて倉庫の扉の外へ出た。
 俺はその姿をしっかり確認した後、入り口に背を向けて出来る限りのハイスピードで着替えを始める。
 冗談じゃない、冗談じゃないぞ!あんな変態ヤローに目を付けられるなんて、俺はマトモに可愛い女の子と付き合って、結婚して、幸せな家庭を築くんだっつーの!!
 ぶつぶつと小声で俺は愚痴を溢しながら、一生懸命手を動かす。

 だが敵はツワモノでした。

 中内は倉庫内から出て行ったけれど、体育館からで行ったのでは無いコトを俺はすっかり、ころっと忘れてました。
 そうですよ、ええ、俺はバカですよ。
 あっさり人を信じるマヌケですよ。

「あ、ボタン一つ掛け違えてますよ?」


 俺の直ぐ耳元で中内の甘ったるい声がした。


「ひいぃぃぃぃぃ!!」
 ショックの余り、固まった俺の体を中内は後ろからしっかり抱き締める。
「世話が焼けますね」
 クスリと笑った吐息が耳元を掠めた。
「っ…!」
 体が自然とブルリと震えた。

「そんなに怖がらないで下さい。別に獲って喰おうってワケじゃ無いんですから。…あ、でもないか?」
 楽しそうに押し殺した笑いが、肩越しに伝わってくる。

「自分でも、こんなコト…不思議なんですケドね」

 ふいに、さっきまでのふざけた雰囲気が無くなった。
 顔が見えないから良く分からないけど、もし例えるとしたら、そう…薄い氷の上に立っている感じ。誤って動いたら、そのままドボンと落っこちてしまいそう。

「室尾の所為です。俺の頭はもうメチャクチャで……毎日、何をするにも室尾のことが頭から離れません。夢の中ですら、室尾が出てくる」

 中内の腕が俺の体をゆっくりと自分の方へと向かせた。
 俺はギリギリと油の切れた出来の悪いオルゴール人形みたいに、ぎこちなく回る。

「まったく、本当に、どうしてくれるんですか?こんなコト、こんな気持ちは…厄介すぎます。……責任を取って下さい。でないと、俺は何をするか分からない……」
 中内の右手が包み込む様に俺の頬に触れ、視線を無理矢理合わされる。


 無表情のクセに、やたらと目だけは熱っぽくて…ずっと見詰めていたら、その視線に焼かれてしまいそうだ。
 ソレが怖くて俺は強く目を瞑った。


「ふ…フザケンナ!!責任とか何とか、そんなの言うなら、お前が俺に対してだろーが!!!!」
 俺は必死になって、自分と中内との間に腕を突っ張る。


 冗談じゃない、冗談じゃない!!えーん、おかあさーん!!


 力の差は歴然だ。
 当然、体の大きさだって完全敗北。
 気が付けば、いつの間にやら、ゆるい圧力で、後ろにあった跳び箱に背中を押し付けられる状態になっていた。

「心配しなくても、俺はそんなに薄情な男ではありません」

 そう言うと、いきなり中内の唇が首筋に落とされ、その手は着かけのYシャツの中に一気に滑り込んで来た。

「……一生賭けて、責任を果たします」
「わーバカバカ!違うぅ!!ドコ触ってるんだよ!!ぎゃぁぁ!!ってか、一体どんな取り方さ!?俺が言ってるのとなぁーんか違う!ナンか絶対違う気がするぅ!!やだぁぁぁ!!」


 とにかく動かせる場所を全てムチャクチャに動かして脱出を試みる。だが、人間の中にある究極の力、火事場の糞力ですら俺は微塵も発揮できない。
 そんなの、ほんとにあるのかよ!?
 もしかして、例外的に俺だけ無いの!?
 だったら後は声を出そうと、俺は出来る限り息を吸い込むが、その顎を中内は無理矢理押さえ込み……次の瞬間、思い出したくも無い昨日の悪夢が!

「んむぅー!!」


 そう、いきなり口を塞がれてしまいました。


 って、だから、全く意味が分かりませんって!!!!!
 俺は中内の体を跳ね返そうと必死にモガクが相手はピクリとも動かない。暴れれば暴れるほど、中内は俺の体を強く拘束していく。

「んンー!!んー!」

 せいぜい俺の出来る最後の抵抗は、口を真一文字に引き結んで、思うように動かないが、頭を左右に振るぐらい。
 けれど、そのうちだんだんと息が苦しくなって、俺は本能的に口を空けて息をしようとした。
 が、その隙を突いて中内は俺の口の中に舌を捩じ込んで来る。

「ぁ…!」


 逃げようとすればするほど、深みに嵌って行く。コレじゃまるで底なし沼だ。
 なんだコレ、なんだコレ、なんだコレ〜!!


「んぅ!」


 誰か、助けてぇぇぇ!!


「おーい、取り込み中悪いんだけどさぁ〜」
「せめて、人目の無いところでやんない?そーゆーコトは」

 と、ふいにのんびりした声が二つ、俺たちに降りかかった。
 すると途端に、余裕の在った中内の顔がみるみる内に強張っていく。


 も、もしかして、コレは脱出のチャンス!?


不味い…
続きがあるのに、ドツボに嵌って上手く書けません(泣)
只でさえ、本業が押せ押せで更新が儘ならないってのに…
申し訳ありません、読んで下さっている皆様に、顔向けできません(撃沈)
でも、頑張りますので、どうぞ見捨てないでくださいませ〜!











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