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大変遅くなりました!
一ヶ月以上更新できなかった事をお詫びします。
前回もでしたが、高校が予想以上に忙しく、しかも今現在テスト期間中ということもありまして遅くなっています。楽しみにしている方々には申し訳ないです。本当にすみません!
六十七話 滅亡滅亡の錯乱
:???:

 滅亡絶望ブルースカイコンプレックスおよび、日本一(やまとはじめ)は焦っていた。いや、どちらかと言うと錯乱していた。目の前に現れた三つの首を持つ化物――ケロベロスに睨まれ、体が硬直しているのだ。仕方がないといえば、仕方がないことだ。

 いままで出会ったことも見たこともない化物に睨まれて、体が硬直しない人間なんてこの世に何人いることか。いや、最低でも三人以上はいる。

 日本は頭の中でその思い当たる三人の人物を思い浮かべた。昔、この地域で最強といわれた三人。「亡霊」と「妖精」と「攻撃」。会った事のない「攻撃」は思い浮かべる事は出来ないが、真っ先にこの名前が思い浮かんだ。ランキング第一位、攻撃開始(ゼロアワー)。誰一人彼に勝つことの出来なかった。

 そんなことは――今はどうでもいい。目の前にいるこのケロベロスと、隣にいる少女――メルをどうにかしなくてはならないだろう。どう見ても戦えそうには見えないメル。やはり、自分が囮になって、メルをこの屋上から開放するべきだろうか。

 いや、もし上手くいかなかったときにメルは殺されてしまう。そんなことは、そんな最悪の事態は招きたくない。ならば、どうすればいいか? 

 考えても、逃がすと言う答えしか浮かび上がってこない。どうするも何も、この化物を倒さない限り、他に被害も出るし、なにより、死が自分達に追い討ちをかけてくる。それから逃げる為にはその死である、ケロベロスに立ち向かうしか選択肢はないだろう。

 日本はゆっくりと腰に差してある愛刀である、「桃源郷」に右手を添える。いつ、襲い掛かったとしてもこれで対抗できる。体はまだ震えている。恐怖している。だが、そんなものに打ち勝たない人間が二つ名なんて名乗っていいはずがない。

 自分はなんだ?

 滅亡と絶望だ。

 それはなんだ?

 自分の誇りだ。

 理由はなんだ?

 自分の生きる道だ。

 ならどうする?

 僕は――体が滅亡するまで――体が絶望するまで――

 ――破壊し続ける――

「メルちゃん、悪いけど、こいつは僕が倒すね」

「え?」

 予想もしていなかった言葉にメルは日本の顔を見る。驚きの表情だ。それに対して、日本はわざと余裕の笑みを浮かべてみせる。メルを安心させる為には、自分が強いと言う事を証明しなければならない。それには、適度な余裕と、強さが必要だ。

「無理です! お兄さん、知っているでしょう! これはケロベロスと言って凶悪な魔物。一般人のあなたが勝てるはずがない……!」

 ここで、メルのある言葉が日本に火をつけた。いや、つけざる終えなかった。その一言とは、「一般人のあなた」である。自分が一般人なんて想った事は一日たりともない。自分は異常で――過剰な人間だと想っている。一般人と言われるとなんだか、負けた気がした。

「メルちゃん、言ったでしょ? 僕は滅亡絶望ブルースカイコンプレックス。こんな犬っころに負けるような野暮な人間じゃない」

「で、でも……――」

「まあ、うん、しばらくして、隙が出来たらそこのトビラから逃げてね。少しの間は自分のみは守ってね。僕は滅亡絶望。壊すだけの人間だから、守れる自信がないんだよ」

 そういって、桃源郷を鞘から抜く。抜かれた刃に反応したように、ケロベロスも攻撃態勢へと移る。その様子を見て、一気にメルの顔色が真っ青に変わった。

「やめろ! 死ぬぞ!」

「メルちゃんって口調がちまちま変わるよね。最初会ったときとか上品に話していたのに、しばらくたってからはちょっと男口調。また上品に戻って、今度は男口調。ははは、おもしろいね」

「そんなことは今はどうでもいい! お兄さん、貴方死にます!」

 必死に日本の左腕を掴み、止めようとする。だが、そんなメルを見ようともせずに日本はただ一点――ケロベロスの目を見ていた。あの目に恐怖する自分を殺し、あの化物に勝つ。それには、ケロベロスの目を見て、そして恐怖に打ち勝つしかない。日本の頭の中はそのことでいっぱいいっぱいだった。

「お願いやめて! わたしはもう、誰かが死ぬのをこの目で見たくない! 戦争なんてまっぴらごめんなの! こっちの世界に来ても死を見らないといけないの!?」

 取り乱しながら、泣きながら、メルは自分の気持ちをただ純粋に日本にぶつけた。幼い少女の正直な気持ちだった。白銀の燕と呼ばれている彼女はその冷静かつ、国を勝利へと導く頭脳を持っていた。予想できるのだ、いろいろな事を。そのため、雨が降る前に、低く飛ぶツバメから彼女に二つ名が与えられた。

 だが、その二つ名は幼すぎる少女には重すぎた。そのため、少女は死が怖くてたまらなくなった。自分の死も、他人の死さえも。

 だから、メルは日本っが死ぬのを見たくないと願っているのだ。ただそれだけのこと。

「メルちゃん、悪いけど、僕は死ぬって事があまり怖くない人間なんだ」

「嘘だ! そんな人間はいません!」

「でも、それが僕なんだ」

 実際、損なのは嘘である。死ぬのが怖くてたまらない。ただ単に、少女を安心させたい。その一心で出た嘘だった。臆病な自分、それを隠してまで守るほどの価値がある人間なのかどうか、それは定かではない。だが、そんな躊躇をしていると、自分が死ぬ。少女も守って、できれば自分も生き延びたい。その願いをかなえるための、嘘だ。

「それじゃあ、メルちゃん、ちゃんと逃げるんだよ」

 腕を振り払って、メルト自分の距離を離す。桃源郷をケロベロスに向けて叫ぶ。

「僕は神刀、桃源郷遣い、日本一! この名に恥じぬ剣術、みせてあげよう!」

 刀を一振りし、そのまま一直線にケロベロスへ向かう。ケロベロスも日本に反応し、噛み付こうと走ってくる。日本は走りながら刀を構え、ケロベロスの目をまだ見ていた。

 震えはとまった。

 恐怖はもうない。
 
 我に負けはない!

 ケロベロスがぶつかりそうになる日本の頭めがけて三つの首のうち、左右の首が日本に襲い掛かる。どちらも首と胴と、急所を確実に狙っている攻撃だ。

「甘い!」

 一歩とどまって、後ろにバックスッテプをする。見事にケロベロスは空振りし、両首がぶつかり、体がよろけた。そのすきに、刀を構えて、ずっとこちらを睨んでいる真ん中の首を切り落とそうと飛び掛る。

 とっさに、真ん中の首は犬歯をにっと見せて、上から振り下ろされる桃源郷を口で受け止めた。この時、何時逃げようかと考えていためるの思考が変わる。これは、負けるのではないか。攻撃を受け止められ、今は混乱している二つの頭に噛み付かれて、死ぬのではないかと。

 だが、ケロベロスの様子もおかしかった。受け止めた刀を、真ん中の首は目を見開いて凝視していた。そして、ゆっくりとゆっくりと向かってくる刀。重力を増したように重くなる刀。崩れていく自分の牙。そして――

 桃源郷は牙を粉砕し、その後真ん中の首をまっ二つに切り裂いた。そう、これが滅亡絶望の由来。一撃必殺。沈黙信号(サイレントメーデー)と少し似ているが、似て非なる存在。それが滅亡絶望。

「さて、残りの二つの首も切り落としちゃいますか」

 地面にすとんと立った日本を、メルは口をポカーンとあけてみる事しかできなかった。
ええ、久々の夜月猫です。
皆さんに報告ですが、そろそろ改名しようかどうか迷っております。
なにか言い名前、意見などがありましたら、感想の部分に書いてください。
登録していない方でも感想を書けるようにしました。
あと。前作「魔法は効率よく使うべし」のレビューを七つ夜&夜つ七さんが書いてくださいました。
この場をお借りして、お礼の言葉を送ろうと想います。
本当にありがとうございました!
今後とも、夜月猫の作品をよろしくお願いします。
ブログはじめました『今宵の猫は月を見て鳴く』 小説家になろう 勝手にランキング


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