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今回は大家の同級生が登場!
第三話 大家さんは同級生なので錯乱
:ツムジ視点:

家に着いたので消える魔法も解いてもらい、二人が家を見上げながら見る。
俺の家は普通に言うとアパート。
父さんと母さんが暮らしていた家にはそこに雇われていたメイドさんや執事が住んでおり、俺は一人暮らしをしたかったので中学二年から一人暮らしを始めた。
アパートの名前は『倉岳(くらたけ)ハイツ』。ここのオーナーが倉岳と言うから倉岳ハイツと言うらしい。部屋が全部で一階に三つ。二階に三つの計六つ。部屋は五つ埋まっており、近所付き合いが普通に良い。それに住んでいる人たちは個性豊かだ。

俺は一階の一番右端の部屋。103号室の住人だ。
家の扉をあけて二人を中に入れる。

「オイ、ルーノ。靴は脱げ」

「あ、すまない」

こいつ等は靴を脱がない習慣があるらしい。
というとどっかの外国のやつ等か?

そう思いつつ二人をリビングに連れてきて四人が座れる机に座らせる。
二人は椅子に座ると同時に家の中をきょろきょろと見回す。

「まずはフリスとルーノの怪我だな。ちょっと待ってろ」

二人にそう言い残し、玄関を出る。
恥ずかしい事に俺の家には応急手当できる物が一つもない。
怪我はするけど自分で手当をしようとしないので家にはバンソウコウの一枚もない。
今度、買っておくか。

と、思いつつ向った先は隣の隣の部屋。101号室だ。
俺は何時もの軽い足取りでドアの前まで歩きインターホンを鳴らす。
ベルの音が鳴ると中から「は〜い」と大人の女性の声が聞こえた。

ドアが開き部屋の持ち主である龍守音色(たつもりねいろ)さんが出てきた。

彼女は大学二年生で俺がこのアパートに来る前から一人暮らしをしているらしい。
見た目は黒の髪が肩まで伸びており、身長が高く、何よりスタイルが良すぎる。
自分で言うのも恥ずかしいが胸がやけにでかすぎる。ほんと悲しいくらいに。
身長は俺よりすこし低いぐらいだから170ぐらいだと思う。
大人の女性という感じだ。

「あら、亡霊騎士(ゴーストナイト)君。どうしたの?」

「ちょっと救急箱貸してくれませんか?」

「いいわよ。ちょっと待ってね」

そう言って彼女は部屋の中に入っていく。
俺はその間自分の異名について不覚にも考えてしまった。

亡霊騎士(ゴーストナイト)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・笑える。
この異名がついたのは約三年前。まぁ俺が荒れていた時代だ。そのときに俺は徹底的に気に食わない奴、特に自分が一番偉い、自分が支配者だって言う奴を叩きのめしてきた。そのときの顔が幽霊のようだというからあだ名が亡霊(ゴースト)騎士(ナイト)というまんまの意味をくっつけて名乗られた異名、亡霊騎士(ゴーストナイト)。結構有名で龍守さんはこの異名が気に入っているらしくこの名前で俺を呼んでいる。

いち君とか言われるよりかはましだ。
頭の中で昔の事を思い出しているとドアが再び開き応急箱を持った龍守さんが出てきた。
応急箱は木製の物でそこまで大きくはなかった。

「お客さん?」

「何でそう思うんですか?」

「だって君は怪我をしていないでしょう?となると別の誰かが怪我をしている事になるからね」

「流石ですね」

俺は苦笑しながら相変わらず龍守さんの推理力には感心してしまう。
彼女はいわば探偵のような事もしている。結構有名で自分の部屋を事務所として活動しているらしい。
助手などは居らず、一人で事件などを受け持ち解決するという恐ろしい方だ。

「まぁ居候ですよ」

「居候?しばらく泊めていくの?」

「そう言うことになりますね」

そう言うと「ふ〜ん」と少し考えるポーズをとって数十秒たった。
その間にこの人は何を考えているんだろうと少し不安になる。
できれば俺にあんまり危害が加わらないようにしてほしいんだけど・・・・・・・・・

「よし、今日の夕方に住人全員で居候さんの歓迎会でもやろうか?」

「え!いや!それはちょっと・・・・・・・・」

「なぁに、気にする事じゃないわ。私から言っておくから居候さんに宜しくね」

「いや!だから!」

彼女は俺が言う前にドアをバタンっと閉めてしまい、俺だけが虚しくドアの前にたたずむ事となった。
えっと、これは非常〜〜〜にヤバイ状況だと俺は判断していいわけだよな?
となると、まず俺がやらないといけないことは?

「・・・・・・・・・・帰るか?」

何故疑問形になるかは不思議だがあえてそこは深入りせずに歩きながら自分の部屋へと戻った。

玄関を開けるとやっぱり二人は部屋をきょろきょろと見ていた。
それは始めてみる物ばかりで触ってみたいという気持ちがもろ体で表現されていた。
見ているこっちは苦笑したくなる光景で、二人とも子供じゃないんだからと言いたくなる。

ドアが閉まる音が聞こえたのか二人が同時に俺のほうを向いて目線は手に持っている救急箱に行っていた。俺は「ほら、応急処置するから怪我しているところ教えろ」というと二人は顔を見合わせて肯いた。
さすがに椅子に座ったままじゃ無理なので隣の畳の部屋に移動する。襖を開けて別の部屋に入るとまた、二人は部屋を三百六十度見渡す。そして畳を見て足で感触を確認したり擦ったりしていた。

「何してんだよ。ほら、座れ」

「あ、はい」

「分かった」

二人は畳に座り怪我をした部分を見せる。
フリスは足から血が出ていたのでドレスのすそを手でまとめて白くて細長い足を見せる。
俺は傷を見てそこまでひどくないと思ったので救急箱を開けて中をごそごそとあさりまくる。消毒液と綿棒、バンソウコウを取り出した。消毒液の容器の蓋を開けて綿棒を入れてちょんちょんと付ける。

「ちょっとしみるけど我慢しろ」

そう言って傷に消毒液のついた面倒をゆっくりと着けていく。

「っつ!」

「我慢しろ。これくらい。怪我した時よりかはマシだから」

俺の言葉を聞いて片目を瞑り険しい顔で肯いた。
俺は「そうそう」というと傷口から出てきた泡(たぶん菌だと思う)を反対の綿棒で綺麗にふき取って、バンソウコウをぺたりっ傷に貼る。

フリスは怪我した方の足をさすって、「ありがとうございました」と御礼を言った。
天使のような微笑で言ったので危うく気を失いそうになる。
ヤバイ・・・・・・・・・・物凄く可愛い。

妄想と戦いながら次にルーノの傷の手当てを始める。
ルーノはまず鎧を脱いで、鎧と剣を部屋の隅のほうに置きに行った。
そして服の右袖を捲り上げて切り傷を見せる。
同じように消毒液がついた綿棒で消毒する。ちょっと大き目のバンソウコウを貼ってやりまずは腕の傷をふさいだ。次に服をへそが見えるくらいまで捲り上げ切り傷を見せた。

それはちょっとばかし酷かった。
痣がたくさんできて腹からは血が今も少しだが流れている。

「まずは包帯だな」

俺は包帯を取り出し、床に置く。
今度は救急箱に入っていたハンカチを取り出し消毒液に浸す。
あ、ちょっと付け過ぎたが仕方がないか。
俺は何も考えずその消毒液がたっぷり吸い込んでいるハンカチで傷を拭いた。

「ぎゃあああああああああああ!!!ちょっとツムジ!痛いわよ!えぇ!?何をしたの!?」

「あ、ごめん。ちょっと消毒液つけすぎた」

「わざとでしょ!?」

「とんでもない。偶然だ」

バタバタと床をゴロゴロと転がり、涙目で訴えるルーノを座って平然と流す。
いや、だって本当に偶然じゃん。俺は悪くないと思うんだけど。悪いのはアレだ。勢い余って出てきた消毒液が悪いんだよ。

「まぁいいや。治療続けるぞ」

「良くない・・・・・・・・・」

涙目で訴えつつしぶしぶ座り治療の続きを始める。
包帯をぐるぐると巻いて傷口をふさいでいく。包帯を巻くたびにルーノに近づいて花のような香りがしてくらくらしそうだった。いかんいかん、正気に戻れ。俺は変態でもなければ変人でもない。いたって普通の高校生だ。うん。そうだ間違い無い。

フリスの時と同じように妄想と戦いながら治療を続ける。
包帯を巻き終わった後、後ろに回って痣に小さくはさみで切ったシップをぺたぺたと貼り付けていき、終わりに「はい終了」と背中を叩いてやった。

ルーノは「痛い!叩かないでくれ!」とやっぱり涙目で訴える。
彼女も鎧を着ていたら強くておっかなく見えるがこうやって見ると可愛い。
ああ、ヤベ。頭がくらくらする。

「ツムジさん?どうしたのですか?」

「あ、いやなんでもない」

俺は平常心を保とうと一回頬をつねって頑張った。
そして「ふぅ」と一息ついて立ち上がる。
二人もつられて立ち上がり一緒に畳の部屋を後にして再びリビングの机へと戻る。
ルーノの隣にフリスが座って、フリスの前の席に俺が座る事にした。

「あの〜ツムジさん?」

「ん?何だ?」

フリスが俺のかをじっと見ながら質問をしてきた。
俺はじっと見られても困るので視線を横にずらしてその場を乗り切ろうとした。

「どうして、片目だけ瞑っているんですか?」

「あ、これ?」

俺はそう言うと右手の人差し指で瞑っている左目を指差す。
すると二人は同時にうんうんと肯いて俺の答えを待っている。

「簡単に言うとこれは癖だ。ほら、普通に目は開けれるし、見えないって言うわけでもないんだよ」

そう言って左目を開けて証拠を見せる。
二人は「ふぅ〜ん」と納得してくれたようで俺はまた右目を瞑る。
するとルーノが右手で今度は俺の黒のマフラーを指差す。

「その、暑そうな布キレは何だ?」

布キレって扱い酷いなオイ。
マフラーを馬鹿にしちゃいかん。マフラー一枚で体が全然寒くならないんだから。

「これは、マフラー。布キレじゃないから。これはただ単に俺が寒がりなだけ」

またまた二人は「そうなんだ」と呟き納得する。
いちいち説明するのが面倒になってきたから今度は俺から質問してみる事にする。

「じゃぁ次は俺からの質問。まずお前等は何者だ?」

すると二人は黙り込んでしまいとても悩んでいるようだった。
疑問に思ったので立ち上がって冷蔵庫から麦茶を取り出し、乾燥機に入っているコップを二つ取り出して麦茶を注ぐ。二人の前において「これでも飲んで落ち着いてから話していいぜ」と言った。
二人はお茶をグビグビと飲んで一息つく。落ち着いたようなのでもう一度質問をする。

「もう一度聞くけど、本当にお前等は何者なんだよ?いきなり穴から現れたり、そんな格好してるし、鎧を着た男達に追いかけられるし」

フリスは思いつめた顔でこの一言で説明を始めた。

「異世界って知っていますか?」

「はぁ?」

その瞬間だけ耳がおかしくなってしまったのかと思った。

〜三十分後〜

「っと言うわけでわたくし達は異世界の『日本』という国に来たみたいです」

と一通りフリスが説明を終えた。
その間俺はというと開いた口が開きっぱなしで閉まらなかった。
顎がおかしくなったんじゃね?みたいなノリで閉まりませんでした。いや、マジで。

話をまとめると、

「お前等は戦争がおこるから逃げてきたんだな?」

「「はい」」

「そして戦争が無い、日本に来たと?」

「そう言う事です」「そう言う事になる」

二人同時に答え、俺は頭を抱えた。
だっていきなり自分は一国の姫で戦争があるから逃げてきましたなんていわれても「精神外科行け」と言いたくなってしまう。俺は溜息をついて考えた。これからの生活について。

俺はもう、こいつ等に住んで良いと言ってしまった。
となるといまさら引き返す事はできない。それに魔法を見せられては信じるしかない。

で、出た結論は。

「行き当たりばったりで何とかなるだろ」

だった。俺の突然の独り言に二人とも首をかしげる。「気にするな」とだけ言って再び立ち上がりさっきの畳の部屋に行く。あそこは一応俺の寝室なので私服などもあそこのタンスに入っている。
タンスからジーパン二枚と黒のTシャツと白の無地のシャツを取り出した。

そしてリビングに戻って二人に服を渡す。
フリスは渡された服を広げてまじまじと見る。
ルーノは服を一度見ると「これは?」みたいな顔で俺を見る。

「まず、着替えろ。そんな服だと色々と困るから」

そう言って二人を無理やり寝室へ連れて行き襖を閉める。
締める時にフリスが何か言っていたけどあえて聞こえなかったという事にしよう。

リビングの机について、自分のコップを取り出し麦茶を注ぐ。
それを一気飲みして喉を潤す。

「さて、錯乱は収まったか?」

自分に言い聞かせるように呟いてまたコップに麦茶を注ぎ一気飲みをした。


〜十分後〜

二人とも着替えが終わったようで机に座ってお茶を飲んでいると襖が開き、二人が出てきた。
フリスはジーパンに白の無地のシャツを着て恥ずかしそうにルーノの後ろに隠れている。一方ルーノはこれまたジーパンに黒のTシャツ。これが二人とも普通に似合っている。

俺は似合いすぎて驚いて右手の人差し指で頬をぽりぽりとかく。

「あの〜?どうでしょうか?」

「あ、ああ、全然大丈夫。OK。似合っているから」

そう言うと二人ともほっとしたように微笑んで胸をなでおろした。

二人はまた椅子にさっきと同じように座り、俺と向かい合わせになる。
さてさて、これからどうするか?
こいつ等が来た理由も分かったし、俺の自己紹介も終わっている。

そして、何か大事な事を忘れているような?

「・・・・・・・・・・・・あ」

「どうかしましたか?」「どうした?」

俺が口を突然あけて何かを思い出したように呟くと二人は疑問に思い質問をする。
すっかり忘れていた。今日の夕方、この『岳倉ハイツ』の住人達が俺の部屋で居候の歓迎パーティーをするという事を。このことに気づくと溜め息以外何もだ無いような気がした。
龍守さんは一度決めた事は絶対に曲げない性格だ。それならもう全員に言っているかもしれない。

「おい、ちょっと今日、客人が来るけどいいか?」

「何をしに来るんだ?」

「それが、お前等の歓迎パーティーだとよ」

「「へ?」」

以外だったらしく二人が間抜けな声を出してしまった。
それもそのはず、突然歓迎パーティーと言われても納得する方がおかしい。

と、そんなときにピ〜ンポ〜ンとインターホンがなる。

「もう来たかな?」と俺は呟いて立ち上がり玄関へ行く。
二人は緊張したように背筋をピンと伸ばす。その光景を見て思わず笑い出しそうになる。

ドンドンと急かすようにドアが叩かれ急いで玄関に行く。
そしてドアのノブに手をかけようとした瞬間。

「ツムジィィィィィィィィ!!!」

「グボッ!?」

いきなりドアが外れた。
うん。完璧に壊れたな。
そしてそのドアが真っ直ぐ俺とともにリビングまで飛んでいきガシャアンと音を立ててフリスとルーノの座っている机の真正面で床に着地した。俺がうつぶせの状態で上にドアが乗っている。
お、重い・・・・・・・・・・・

ドアを壊したと思われる張本人が靴を脱いで大きな足音を立てて俺の横まで歩いてきた。
フリスとルーノの顔は見えないけど物凄く驚いているんじゃないかと思う。
いきなりドアと俺が吹っ飛んできて知らない人物が入ってきたんだ。仕方がない。

「旋風!あんた、大丈夫なの!?気分が悪くなって帰ったて言うから」

ドアをどかし、おれの胸倉を掴んで無理やり立たせる。
そして、「心配した」というような言葉を言う。

俺を持ち上げる力があるから男と思う奴もいるかもしれないがこいつは女だ。
しかも、俺と同い年の娘で馬鹿力がある。

彼女の名前は岳倉詩得たけくらしえ
黒髪のポニーテールで身長は俺より小さく160の真中辺り。
黒の大きな瞳に整った顔立ち。
普通にみれば可愛い類に入る。
実際に彼女はひそかに男子、女子に人気があり彼女にしたいランキングではいつも上位にいる。
しかし、表向きはそうでも裏向きは全然違う。馬鹿力があり、弓道部時期部長候補、気づいた人もいるかもしれないがこの『岳倉ハイツ』のオーナーの娘でこの部屋の隣の102号室に一人暮らし。
親の代わりに大家さんをしている。ちなみにこいつがこの前言っていた殺気を放つ俺が唯一知っている女だ。つうか、首絞まってる!

「大丈夫なの!?旋風!?」

「お、お前のせいで死にそうだ!」

回復し始めたので反撃してみる。

「あら、元気そうで良かったわ」

「グハッ!」

持っていた手を突然離して俺を床に落とす。
突然の事なので立つ事はできずに床に叩きつけられたのでそのとき変な声が出た。
この野郎・・・・・・・・・・絶対にわざとだ。俺で絶対に遊んでいやがる。

「「・・・・・・・・・」」

フリスとルーノはそんな光景を唖然としながら見ていた。
彼女達は固まったまま動こうとしない。屍のようだ。

すると詩恵が二人に気づいて目が合う。
そして沈黙。数十秒間の沈黙が俺にしたら何時間もかかったような気がする。
そして俺は気がついたら再び詩得に胸倉をつかまれて前、後ろと激しく揺さぶられる。

「あんた!学校を早退したと思ったら見知らぬ女の子を家に連れ込んで!恥じを知りなさい!」

「いや!違うって!これは・・・・・・・・・・」

「言い訳無用!人間失格よ!」

彼女と話す時間が長ければ長いほど揺さぶるスピードがどんどん早くなっているような気がする。
じゃなくて確実に早くなっている。だってフリスとルーノが五人に見えるんだから。
ヤベ、気分悪くなってきた・・・・・・・・・・

「あ、あの〜すいません」

とフリスが救いの手を差し伸べようとするが、

「大丈夫!言わなくてもこいつはあたしが成敗するから!」

全く人の話を聞いていない。
あ、お花畑が見えてきた。わはは♪おばあちゃん、今からそっちに行くね♪

本格的に危なくなってきたので二人に「本気で助けてアイコンタクト」というのを送る。
ネイミングセンスの欠片も無いが今は名前を考えている時間なんて無い。

「・・・・・・すまない。ツムジが七人に見えて何を訴えたいのか分からない」

ルーノ!てめぇはなんで訴えたい事が分からないんだよ!
普通に「助けて!」だろ!誰もこんな状況で「お豆腐買ってきて」なんて訴えないから!
つうか俺は今七人に見える時点で俺の危機を察しろ!

俺は目を回しながら、自ら訴えてみる事にした。
そうじゃないと疲れきっている俺の体にダメージを与えたら本気で帰ってこれなくなってしまう。

「し、詩得!聞け!俺はこの二人を助けたんだ!訳の分からない連中から!」

「苦し紛れの言い訳を言わない!」

「ツムジさんは嘘をついてはいません!」

ぴたっとシエの腕の動きが止まる。
叫んだのはフリスだった。彼女は立ち上がって詩得を睨みつけるように、真実を伝えるように言葉をつなげていく。

「ツムジさんは見ず知らずのわたくし達を助けてくれました!色々お世話になったんです!それを悪く言わないで下さい!」

フリスの圧倒的な説得力で自然と詩得の腕の力が抜けていく。
完全に腕を離してやっとの思いで、脱出する事ができた。

「ご、ごめん・・・・・・・」

「わたくしはいいですからツムジさんに謝ってください」

優しく言葉を発しながら微笑むフリス。
詩得はくるりと俺のほうを向いて頭を下げる。

「ごめん・・・・・・・・・」

「い、いや・・・・・・そこまでしなくていいからさ。誤解が解けただけでもいいよ」

俺は苦笑しながら詩得の頭を上げさせる。
頭を上げた彼女は涙目で自分の罪を少しだけ実感しているのだろうか?

「何はともあれ、一段落?かな?がついたところだし。詩得、今日から居候するフリスとルーノだ」

「え?居候?」

詩得は驚いたような顔で俺を見る。
口元と目元がぴくぴくと動き何かと不満そうだ。

「駄目か?」

「駄目に決まっているじゃない!若い男と女が一つ屋根の下なんて!」

「駄目です!わたくしはツムジさんと一緒に居たいです!」

フリスまで意味不明な発言を言い出した。

「そんなの許しません!それなら二人はあたしの部屋に来ればいいのよ」

「だからわたくしはツムジさんのそばにいたいのです!」

「なにおぉ!?」

二人が口喧嘩?を始めたので俺はそっとルーノの横まで移動して肘でつんつんと突っつく。
すぐに気づいて顔を俺のほうに向ける。

「あれを止めてくれ」

俺の指差す方向はフリスと詩得がお互いに近づいて睨み合いをしつつ口喧嘩をしている光景。

「あれじゃご近所さんに迷惑だから、何とかしてくれないか?」

「無理だ」

ほぼ即答で言われた。
できれば俺も関わりたくないよ。
でも、これのせいで色々変な噂とか流れたら嫌だから止めないとね。

溜息をついて二人に近づく、二人が睨み合っているところで右手と左手で拳を作り、はぁ〜と息を拳に吹きかける。

「いい加減にしろ」

「痛い!」「いだっ!」

二人はしゃがみこんで頭を抑える。
俺は上から見下ろして睨みつける。

「二人ともしょうも無い事で喧嘩して、ご近所さんに迷惑だろうが?そこを考えろ」

「「で、でも・・・・・・」」

「正座!」

「はい!」「正座って何ですか?」

フリスは正座を知らないので詩得の座り方をみようみまねで座り、正座をする。
この後、俺の説教が十分ほど続いて二人が仲直りするまで頭を叩いた。

その間に「お、恐ろしい・・・・・・・」とルーノが机の下に隠れながら呟いたなんて思いもしなかった。
詩得「どうも、岳倉詩得です」

はい、今回は旋風の同級生の詩得が登場しました!
そこで、質問です。旋風とは何時知り合いましたか?

詩得「え?作者なのに知らない?」

知ってるけど、一応読者さまのために。

詩得「そうね、あいつは中学一年生の三学期の時にこの岳倉ハイツに引っ越してきたからそのときね」

そのときの第一印象は?

詩得「えぇ!?・・・・・・その」

ん?

詩得「か、かっこぃぃ」

最期の方が小さくて聞こえませんでしたー

詩得「死ね!」

ヘブシ!?
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