それぞれの一年〜イヴ、クライド〜
みんなみんな笑っているのが1番だよね。
悲しい顔よりも嬉しい顔の方が誰だっていいに決まってるよね?
だから戦争なんてあっちゃいけないんだ。
戦争は笑顔を奪ってしまう呪い。そして命までもを奪うんだ。容赦なく。
それなら僕が戦争を終わらせる。そうすればみんな笑っていられるんだ。
人は悪いことをいっぱいしてきたかもしんないよ?でもいいこともいっぱいしたんじゃないかな?
宇宙の意思は悪いことばっかりを見ているんだよ。
だから僕は彼らに人のいいところを見せてあげるんだ。
俺は過去にすべてを失った。
この世界を憎んだ。人というものが信じられなくなった。
だから力を求め、パルバート学園に入った。
学園で一位になるのはたやすかったし、なにより相手に無関心であるのが心地よかった。
結局、人は自分だけしか見ていないんだ。
汚い生き物。イヴ、会った時は不思議な奴だった。
学園一位だった俺はあいつに負けた。
心が弱いと言われた。
そうなのかもしれない。理由がなんとなくだがわかった。
俺はもう一度人を信じてみようと思う。人の行き着く先がどこなのか、見極めるまでは人を滅ぼさせはしない。
窓からは夕焼けの景色がはっきりと見えた。
イヴは先程の話を思い出しては窓の外を眺めていた。
「………はぁ」
「溜め息とはらしくもないな」
イヴと同じようにクライドもまた窓の外を見ていた。
「うん。なんか色々ありすぎて整理がつかないんだ」
「…………そうか」
「クライドはさ、人は滅ぶべきだと思う?」
唐突な質問であったが、クライドは考えるそぶりを見せないで
「人は愚かな生き物だからな」
「……そっか」
しばしの沈黙が流れた。
会議室のドアが開く。反射的にイヴとクライドはドアに目をやる。
「…………ごめん。邪魔しちゃった、かな?」
「えっ、えぇ!あっいや、全然そんなことないよ!やだなー」
イヴは顔を真っ赤にさせ、必死に否定する。
周りから見ればとても可愛いものだ。
そんなこんなでリースがイヴをからかっていると、黙っていたクライドが
「それで何か用があるのですか?」
「いきなり核心を突くとはねぇ、まっいっか!あなたたち、あたしに付いてこない?アイラに聞けば、どちらも天魔第二段階を使えるみたいじゃない」
「………使えるけど、使いこなせないよ」
しゅん、とうなだれるイヴ。それをよそに
「俺もうまくは使えません」
「それでも構わない。使えるだけでもかなり変わるからね。それでこの一年を使って第二段階を完全に使いこなせる方法を教えてあげる。さらには第三段階もね」
「……………」
「……………」
またしても会議室は沈黙に包まれた。二人は天魔の第二段階を知っている。だからこそ、その凄まじさもよくわかっているのだ。
二人は何度も使いこなせるように練習をしたが、暴走の一歩手前になってしまうのだった。
「別に強制しているわけじゃないし、自分たちで出来るなら自分たちでやってもらってもいい。だけど、今は時間がないのよ。あなたたち二人の力はとても大きい。まっ、でも今答えろとは言わないから安心して」
そう言い残したリースはドアノブを引き、去ろうとした時だった。
「僕は……僕は、やっぱり強くなりたい!だから…教えて、天魔の使いこなせる方法を」
「俺も同じだ。今は力を付けなければならないみたいだからな」
リースはイヴとクライドを見ると、満面の笑みを浮かべて
「よく言った!」
イヴを力いっぱい抱きしめる。
「…………ぐるじ、い」
「いいからいいから!そうと決まれば行きましょ!」
「えっ、どこに?」
ちゃっかり逃げたイヴは学園で行うと思っていたので、頭に?を浮かべている。
「決まってるでしょ!竜の住む島オーブよ」 |