挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
魔獣と滅びゆく世界の戦記 ※章立てにより改題(2017.8.04) 作者:椋鳥

本章第一部 一姫当千の許嫁は戦場で火の騎士と踊る

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

40/62

4 最後の使者-2

***


 世界の南域、リア・ファール大陸の中央に君臨せし聖シュライン王国は、行政上の首都に当たる聖都プロセルピナと、宗教上の聖地である聖院ラトという二大都市を抱えていた。前者にはリア・ファールで最高峰の国際士官育成学校・ルクソール剣学院が設置されており、例えばクロエ・クインシーなどは、皇国アルカディアにおける士官学校在籍期間の内大半を学院への留学に当てていた。後者、ラトにはリア・ファールで唯一公式に認められている星術学院が開かれていて、ニナリス・ボルジアが少女時代から学んでいたことは広く知られていた。

 聖都プロセルピナこそ北部の騎馬民族国家・グルファクシーに占領されていたが、聖院ラトは依然健在と伝わっており、それは聖シュラインが大陸に誇る星術士団<ネキオマンティア>が控えていることに因った。抜きん出て優秀な星術士アーティフィサーを一手に抱えるラトがあるからこそ、グルファクシーの侵攻はプロセルピナに留まっていると目された。リア・ファールの残る四大国からすれば、いつ<ネキオマンティア>が動員されてプロセルピナが奪還されるものかと、この一年はそれだけが待たれていた。

 その聖院ラトから使者が訪れているということは何やら一大事に思えたが、レイフ・ヤタガラスはそれを聞かされても、自分のような末端の軍人に役目が回ってくることもあるまいと高を括っていた。それであったので、参謀本部から呼び出しがあった際には、まさかその件と関係があるとは想像だにしていなかった。

「・・・・・・国防軍のレイフ・ヤタガラス中尉であります」

「お初にお目にかかります、ヤタガラス卿。小生は聖シュライン王国の星術学院で代表を務めさせていただいております、イオナ・エゼルエルと申す者。以後、お見知りおきいただければ幸いです」

 女だてらに堅苦しい口調で自己紹介を述べたイオナ・エゼルエルの外見は、レイフの目に十四、五歳の少女と映ったが、聞けばこれで二十代後半の成人女性であると言う。イオナの背丈は小さく、萌葱色の髪はポニーテールにまとめられていた。星術学院の正装である、金糸で刺繍が施された薄紫色の長衣はぶかぶかで、袖は余り裾が地面を擦っている始末であった。

 参謀本部の殺風景な会議室において、少女然としたイオナは奇異な存在に見えた。レイフはテーブル越しに向き合うイオナを前に些か気後れした。これは何かの責め苦であろうかと、自分の隣で腰掛ける二ナリス・ボルジアに助けを求めるかのような視線を送った。

「レイフ様。緊張なさらないで結構ですよ。イオナ師は気難しいタイプではありませんから」

「左様です。小生、学院では気さくな教師として皆に親しまれております故」

 少女の見た目をしてそのように慇懃に喋るものだから、レイフは一向に違和感を拭いきれないでいた。軍服の袖に手汗を擦り付け、レイフはイオナと二ナリスの両者に、自分がこの場に呼ばれた理由を問い質すことにした。

「エゼルエル様が、ボルジア少尉の星術アーティファクトの師匠であることは分かりました。それで、私は何のために呼ばれたのでしょうか?」

「最近、リア・ファールの各地で魔獣ベスティアの動きが活発になっています。ヤタガラス卿は、半年前に北域で起きた事変を御存知でしょうか?<不毛のデッドバレー>の崩壊と、神獣二匹が陥落した件です」

「はい。市政に報道されている程度に、ですが。かの最後の勇者、ラグリマ・ラウラが決起して、<黄昏宮トワイライトメナス>と<雷伯サンダーカウント>を伐ったのだとか」

「左様です。<ネキオマンティア>は、かの事変がリア・ファールの魔獣ベスティアにも影響を与えたものとの推論を発表しました。魔獣ベスティアはこの世界における本拠地を失い、代替の地を求めて跳梁し始めたのだと。貴国でも西部一帯で魔獣ベスティアの狂暴化が観測されていますね?」

「はあ」

「はあ、ではありませんよ、レイフ様。イオナ師は、レイフ様に白羽の矢をお立てになったんです。<ネキオマンティア>からの正式要請です。西部はシジマ連峰の魔獣ベスティア調査に、国防軍から護衛兼案内役を出して欲しいとのことです」

 二ナリスは補足すると共に、レイフに目配せをした。彼女はレイフに対して、何はばかることなく軍令でシジマエリアに向かえると言ったのである。ニナリスのサインによりレイフの黒瞳に点った新たな活力を、イオナは見逃さなかった。

「二ナリス嬢が言った通りです。リア・ファール西部の被害は余所と比べて深刻に思えます。事によると、強力な魔獣ベスティアの降臨があるかもしれません。調査・探索へのご協力、お願い出来ましょうか?人選に関してはダイダロス・ボルジア閣下より、小生に全権が特別委任されておりますので。お引き受けいただけたなら、間もなく正式な軍令が発行されるはずです」

「軍令とあらば、無論拝受します。ですが、なぜ私なのです?ボルジア少尉の推薦というだけでは、正直納得し難いものがあります。私はこの通り若輩の身ですし、軍ではいち中尉に過ぎません」

「勿論、卿が大剣豪アズライール・クインシーの直弟子だからです」

(やはりそれか・・・・・・)

 レイフはさもありなんと心中で頷いた。アズライール・クインシーはラナン・クロス、引いてはリア・ファール大陸屈指の勇者であり、彼に師事した剣士は誰もが一角の人物に成長していた。世界最強の女闘士スレイヤーと謳われたアリス・ブルースフィアや、<千刃サウザンズ>ラグリマ・ラウラすらも、アズライールに剣の手ほどきを受けていた時期があると伝えられていた。

 かつて<不毛のデッドバレー>で繰り広げられた決戦にも参加した師を引き合いに出されると、レイフは己が実力に劣等感を覚えた。彼はたゆまぬ精進によって確かな剣の技を身につけたものだが、師と比べられては決して満足が行くものではなかった。

 イオナは出されていたカップを手に取り、温くなった紅茶を口に含んだ。彼女とて過度の緊張から口中は乾いており、それもそのはず、先の戦争介入によって聖シュラインとラナン・クロスの関係性は難しい状態にあった。いわば、イオナは単身で敵中に飛び込んできたにも等しく、幸運にも二ナリスへ渡りがつけられたことで任務が滞らずに済んでいた。

 そんなイオナが必要とした人材の要件は、第一に魔獣ベスティアに力負けのしない強者であること。これは魔獣ベスティアの調査に赴くのだから当然の条件であり、ラナン・クロス共和国国防軍の重鎮ダイダロス・ボルジアはそれを聞いて良い顔はしなかった。

(当たり前ですよね。腕利きを貸し与えるということは、その分自軍の戦力がダウンするということですから)

 他に、聖シュライン王国の宗教上の事由から、<光神エトランゼ>の熱心な信徒は不可とされた。これは、聖シュラインが<星神レストリネビュラ>の信仰を国是としているからで、リア・ファール大陸では、世界の北域や中央域といった周辺と異なり<星神レストリネビュラ>を崇拝する向きが強かった。聖院ラトはネビュラ大湖の畔に築かれていて、神の名を一部冠したこの巨大な湖によって水運が発達していた。聖シュラインの全土からしてネビュラ大湖の水資源の恩恵に預かっており、繁栄の礎は<星神レストリネビュラ>の加護にあると信じられていた。

 最後に、イオナはこれで、ラトに本拠を構えるリア・ファール最強の星術士団<ネキオマンティア>の幹部にあたり、人を見る目にはある程度の自負があった。それ故、ラナン・クロスの国防軍より紹介された人物が、自分と旅をするのに値する勇者であるかどうかを見極め、該当しないようであれば速やかに皇国アルカディアへと転進するつもりでいた。

(一目見て分かりました。レイフ・ヤタガラスは傑物。大剣豪から剣を教わった事実はさておき、彼にはまだまだ力が秘められています。それは、彼に大いなる成長の余地があるということ)

「・・・・・・ところで。聖院からの調査派遣と言われるに、人員がエゼルエル様お一人というのは如何にも手薄に感じられるのですが。何か事情がおありなのですか?」

「イオナ、とお呼び下さいませ。ヤタガラス卿のご指摘は尤もであります。とは言え、聖シュラインに余剰な人員など存在しない点もまた事実。ご承知の通り、プロセルピナはグルファクシーの占領下に置かれたままですし、東部のフラガラッハ連邦とは国交が遮断されております。内憂外患、今の聖シュラインにとっては、一人の星術士アーティフィサーを国外に出すことすら大事なのです。ましてや魔獣ベスティアと切った張ったの出来る戦士など、引く手あまたの状況でして」

「イオナ様、承知致しました。微力ながら、お手伝いさせていただきます」

「お力添えいただけると聞き、安堵しました。ヤタガラス卿と二ナリス嬢に御同行いただけるのでしたら、この調査の前途は洋々でしょう」

 イオナは幼い顔に笑みを浮かべ、レイフへと向けて小さな手を差し出した。レイフは感情を表に出すことなく平静を装って握手に応じた。その様子を微笑ましく見守っていた二ナリスであったが、ふと問題に気付いたようで、すまなそうな素振りで二人の握手に割って入った。

「水を差すようで申し訳ないのですけど。私は行けませんよ、イオナ師?」

「あら?」

「なにっ?」

 唐突な二ナリスの申し出に、イオナとレイフは同時に疑問符を浮かべた。

「私、次の軍事作戦にお呼ばれしてまして。お父様直々のお達しなので、断り切れませんでした。ですから、シジマへはお二人だけでお出かけください。あ、イオナ師。くれぐれも、レイフ様に色目を使ったりはしないでくださいね。私のですから」


***


 整えられた総髪はくすんだ銀色をしていて、顔立ちは精悍であるが額に刻まれた皺は深かった。五十歳を幾つか過ぎていたが、ダイダロス・ボルジアは軍服を隙無く着込んでおり、厳めしい顔をして列席者へと静かな圧力を発していた。会議には十数人もの国防軍幹部が席を連ねていたが、一人を除いてはダイダロスの威勢に媚びへつらうばかりであった。

(会議など、これでは形式だけのものであるな。気骨ある武人はクインシー一派にしか残っていない、というのであれば問題だ。いざ戦争が始まれば、クインシー一派にだけ功を立てさせるわけにはいかんのだからな)

 ダイダロスは自派閥のみで固められた上層部の顔色を一通り窺って、己が采配の失敗を部分的に認めた。この日自分が奏上した議案に対して何ら不備の指摘が為されないことは、軍政の常道から大きく外れていた。皆が萎縮して意見を出せないというのであれば、ダイダロスにとってそもそも会議を開く意味など見い出せなかった。

 誰もが自分と目を合わせようとはせずに俯いている事態を受け、ダイダロスは致し方なしと、末席に座した青年将校を指名することで発言を許した。この人物だけが終始ダイダロスへと挑戦的な視線を向けていた。しかしながら、青年はこの場において階級が一番下に当たり、参謀本部の慣習によれば発言が許されぬ立場であった。

「ご指名を頂戴しまして、至極光栄であります。恐れながら、大将閣下が立案された計画に対し、小官より修正を動議させていただきたく。当国単独で聖シュラインの藩領を攻撃するとあらば、最低でも二大国が潜在敵国として数えられましょう。その点に配慮を講じたいと存じ、私案をご聴講いただけますでしょうか?」

 ナイジェル・フルアーマーはまるで用意していたかのように、流暢に意見を述べた。細目で印象に残りづらい薄い顔立ちと、対照的に目に止まりやすい若白髪の長髪をした骨太の軍人で、三十三という男として脂が乗った時期に国防軍准将の高位にあった。

 ナイジェルをここまで取り立ててきたのはダイダロス自身であったが、彼の冷酷無比な性向と切れ過ぎる頭脳はダイダロスも警戒するところで、これまでは懐に置いて活用するのでなく、離れた場所で好き勝手をさせてきた。ナイジェルは対外的な作戦においては降兵や民間人の殺戮をも辞さず無理矢理勝利を呼び込み、対内闘争においてもクインシー一派をよく揺さぶって切り崩した。彼が功績の大なることから将官にまで達したことで、ダイダロスも参謀本部の参事官位を与えざるを得ず、こうして幹部会議で同席することとなった。

「我らが第六藩領を処罰するにおいて、聖シュライン以外に敵となる大国とは、ラナン・クロスとどこか?」

 ダイダロスの問いに、ナイジェルは物怖じすることなく堂々たる口振りで答えた。

「南部のゼオーラ同盟です。二対一で我が国が劣勢を晒せば、即座に参戦してきましょう。かの国は商業国家故、利には聡いですから」

「フン。民兵が中心のゼオーラなぞ、図体がでかいだけの弱卒揃いよ。むしろ掛かってきたなら返り討ちにして、海洋利権を召し上げる良い機会ではないか?」

「小官にはそうは思えません。確かにゼオーラの戦力の大半は民兵です。ですが、領内に徴用可能な傭兵マーセナリー闘士スレイヤーを数多く抱えておりますれば。首都リュムナデスには、リア・ファールで最大規模のスレイヤーズギルドもございます。一対一でかの国と戦うのであれば何も問題はありませんが、アルカディアや聖シュラインと結び、三国で向かって来られると厄介です」

「・・・・・・それで、修正事項とは?」

 ダイダロスが本題へと切り込んだことで、ナイジェルは口の端を僅かに吊り上げ、愉悦を滲ませて自説を披露した。

「聖シュラインの裏切りに対する報復が趣旨なのですから、第六藩領の征伐を第一に考えます。まず、干渉を避けたい対象はアルカディアとゼオーラです。そこで両国と個別に交渉し、対聖シュラインの連合を模索します」

「何だと!?貴官、何を馬鹿げたことを抜かす!」

 ダイダロスが声を荒げた。列席の参謀たちも訝る表情をありありと浮かべ、ナイジェルに対し夢想家の類のレッテルを貼った。だが、ナイジェルの本領はここからであった。

「小官の申し上げている内容がこと外交領域に及ぶことは自覚しております。しかしながら、軍事作戦と外交分野や経済施策は切っても切り離せません。小官の諜報によりますと、アルカディアの外交政策は真っ二つに割れているのだとか。即ち、此度の聖シュラインによる調停行為を是とする勢力と、否とする勢力。そして、アルカディア皇帝の信頼が厚いとされるレブサック・スペクター伯爵は後者に身を置いているのだとか。これを利用しない手はありません。スペクター伯の勢力と、聖シュラインの藩領割譲に関する密約を交わし、同時に侵攻すれば良いのです。我々は第六藩領へ。アルカディアには第七藩領にでも攻め入って貰えば良いでしょう。そしてゼオーラ同盟。かの国は、フラガラッハ連邦が鎖国を敷き続けているため、東部方面の交易において益が出せず苦しんでおります。現状、主たる交易相手は我々西部諸国と、方々に散らばった聖シュラインの藩領です。第四、第五あたりの藩領とはそこそこの取引量があるようですが、元々聖シュラインが統一されていたころの強気な値決めが継続されていて、ゼオーラの大商人たちの不満は沸点間近と聞きます。そこで彼らの利点を説くのです。ここで幾つかの藩領、例えばゼオーラと近距離の第五藩領などを抜けば、プロセルピナに居座るグルファクシーとも取引が可能になると。グルファクシーは北部から出張って中央プロセルピナを占拠しているので、補給線に難を抱えていると推測されます。ゼオーラが海産物や糧秣を持ち込めば、一もニもなく飛びつく算段が成立するのです。商業流通にも難儀しているプロセルピナ周辺の事情を斟酌すれば、高利での融資も成立し得ると考えます」

 ナイジェルは一旦言葉を切った。席上の各人は頭の中で計算を働かせ始めており、ダイダロスすらも何ら遮ることなく黙考していた。それらを観察することで手応えを確かめて後、ナイジェルは念押しするように先を続けた。

「無論、アルカディアやゼオーラがこちらの口車に簡単に乗るとは考えておりません。ですが、こうした可能性を提示してやることが肝要なのです。聖シュラインの第六藩領を攻撃した我が国に剣を向けるべきか否か。アルカディアやゼオーラの首脳が迷った段において、選択肢として想起されるように策を提供するのです。我が国は軍事力においてリア・ファールで一、二を争う強勢であると知られていますから、ラナン・クロスと戦うよりかは、聖シュラインの領土を奪取する方がリスクが小さいかもしれないと迷わせてやれれば御の字です。なぜなら、少しでも時間が稼げれば、三国を各個撃破するチャンスも見えてくるからです。例えば、ゼオーラが策に乗らなかったなら。アルカディアだけでも乗ってくれれば、両国で聖シュラインの藩領を征服した後、反転攻勢でゼオーラを叩き潰せば良い。逆もまた然り。或いは、二国共に乗らなかったとして、迷ったが故に事態を静観するに止める可能性もあります。大事な点は、どの道に落ち着いたとして、相手方が混乱するだけで当方に何も損がないということに尽きます」

「・・・・・・正論よな、フルアーマー」

「有り難うございます、大将閣下。つきましては、アルカディアとゼオーラに策を仕掛けるにあたり、根回しや要員の都合に関しては、閣下の人脈と政治力を頼りとさせていただく他に考えがございません。何分、末席たる小官には荷が勝ち過ぎておりまして」

「それについては問題ない。諸将、フルアーマー准将の修正動議に対して異論はないか?賛成とあらば直ちに政府へと打診して、出兵と対外工作について早期の諒承を取り付けるとしよう」

 ダイダロスが問いを発し、参謀たちは挙って賛成を唱和した。ダイダロスからすれば、ナイジェルは彼の出兵計画を補強してくれたことになり、持論が通ったのだから何も不満はなかった。その上、ナイジェルがダイダロスの政治力を当てにして見せたことは、小狡い手と分かっていてなお彼の自尊心を大いに満たした。

 ナイジェルからして、高級士官とはいえ一軍人に過ぎない身の上から、政府を動かして一国を外征ないしは外交に走らせることなど独力では実現不可能な話であった。ダイダロスの庇護下にあればこそここまで大胆な策を弄することが出来るのだと、ナイジェルは客観的に実情を理解していた。ナイジェルにあるのは個人の地位向上に対する肥大した欲求だけで、これはある意味ではレイフ・ヤタガラスと似通っていた。レイフと決定的に異なる点として、ナイジェルは他人を、自分に利用されるか踏み台になるだけの駒としか見なしていなかった。派閥の長たるダイダロスからして、自分を助ける駒だと割り切っていたので、ナイジェルは同情や道義とは無縁な立ち位置から、鋭利で非情な策をいくらでも講じることが出来た。

(まずは聖シュラインを弱らせて、我が地位を盤石なものとする。何せようやく中央に召還されたのだ。軍内部や政府に使い勝手の良い駒がないものか、せいぜい目を光らせておくとしようか)



+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ