22.予想以上の
春休みに入ったので二人は部活を休み、大阪にしばらくいるつもりだった。
そのことは、平次にも和葉にも言っている。
和葉は喜んでいたと蘭が言っていた。
平次に言った新一は、平次は何も言わなかったが何かあったと考えていた。
大阪へ向かう新幹線の中。
新一も蘭も、早く大阪へ着かないかとそのことばかりしか考えられなかった。
「・・・新一。着いたらどうするの?」
「服部が、和葉ちゃんやアイツらの友達も向かえに行くことになったと言ってた。着いたら、そのまま遊びに行くらしい。」
「服部君がそう言ったの?」
「いや、和葉ちゃんが俺たちに彼氏を会わせるのも兼ねて、行きたいらしいぜ。」
「服部君も彼女連れてくるのかな?」
「あれから、連絡しても服部のヤツ電話にでねえんだ。・・・・俺にもわかんねえ。」
「・・・服部君、大丈夫かな?」
「諦める気は無いと思う。和葉ちゃんは・・・どうなってんのか見てみないとわからねえよな。」
「私たちみたいに、・・・・なるといいね。」
「そうだな。そのために行くんだからな。」
蘭は、新一が心強い言葉を返してくれることが嬉しかった。
これから見る親友たちの結末が幸せとなるようにまた祈り始める。
新一も、自分に言い聞かせることで、冷静さを保とうとしていた。
ホームを抜け、大阪の街の景色が広がる出口へと歩いて行くと、見知った顔が見えた。
初めて会う二人の男女と、和葉、その隣りに寄り添うまた見たことの無い、すぐに和葉の彼氏だと気づいた少年。
そして、一人で立つ平次だった。
平次の顔を見て、新一たちは言葉が出なかった。
新一が想像していた平次ではなかった。
それ以上の辛さと苦しみが隠せず、今にも壊れてしまいそうな顔だった。
それを見て、親友を襲ったものの重大さに気づく。
「・・・よぉ。工藤、姉ちゃん。」
「・・・・・服部。」
「蘭ちゃん!工藤君!元気やった?」
現実を見て、蘭は喜びながら駆け寄ってきた和葉は和葉じゃないと思ってしまう。
(・・・・だって・・・和葉ちゃんの隣りにいるのは・・・服部君じゃないんだもん・・・)
再会の喜びよりも、見て知ってしまった現実にドッと悲しみが押し寄せてくる。
笑ってあげたいのに、うまく笑えなかった。
「紹介するな!この人があたしの彼氏、山中 永治や!」
和葉に紹介され、永治も蘭たちに挨拶する。
(・・・初対面なのに・・・・・第一印象、・・・暗いと思われちゃうかな。)
本当だったら、こんな形で紹介される人ではなかったのにと、表情を変えることができなかった。
新一は、じっと永治を観察するかのように顔を見て答えていた。
「で、このカップルがあたしと平次の親友の、市川 勇樹と、泉 ゆりやで!」
平次ほどではないが似たような顔した二人に、新一も蘭も、この二人は自分たちと同じなのだと直感した。
それを示すかのように、4人は自然と握手までしていた。
「・・・・ほんなら、楽しんで来いや。」
「お、オイ!!服部!?オマエどこ行ってんだよ!」
6人の輪から離れ、一人平次がいきなりどこかへ行こうとするのを、新一は咄嗟に止めた。
「服部君も、行くんでしょ!?」
「平次、なんや府警に行かなあかんといけんのやって。」
「なんで行かないんだよ!?オマエも来い!!服部!!」
止められても、そのまま行こうと歩くのをやめない平次を新一は追いかける。
和葉たちから少し離れた場所で、平次は新一に向かい合った。
「・・・・なんでやって?・・・見たらすぐわかったやろ?」
「・・・オマエ、彼女とは別れたんだろ?それは見たらすぐわかった。」
「そんなら、わかるやろ?・・・アイツとおる和葉とおりとうないんや。」
「それなら、俺はオマエと行くぜ。」
「ダメや。工藤は姉ちゃんたちと行ってこいや。」
「でも」
「頼むわ。姉ちゃん一人にしたらあかんやろ?」
「あ・・・」
変わってしまった親友にショックを受けている蘭に、平次も気づいていた。
でも、蘭がなぜそんなに和葉に彼氏ができたことでショックを受けているのか気づいていない。
「帰ってきたら、話聞かせろよ。蘭も連れて行く。」
平次が来たくない気持ちなのはわかる。
会ってすぐに話を聞きたかったが、まず和葉がどう変わっているのか知りたかった。
平次が気づけなかった和葉の想いは、あんなにも大きいものだと知っていたから。
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