15.あの日に帰りたい
次の日、最初に和葉を目にした時にはすでにアイツが隣にいた。
それを目撃した生徒たちは驚き、平次にとって聞きたくもないニュースは、2時間目が終わる頃には、すでに校内中に広まっていた。
久しぶりに勇樹と話したのは、休憩時間になっても席から動けずにいた平次を心配して、堪らず声をかけてきた時だった。
「大丈夫か?」
返事をせず、ゆっくり勇樹に顔を上げた平次。
そして、また項垂れる平次の前の席にただ座って傍にいた。
勇樹は例えこうなっても、平次のことを見捨てたわけじゃない。
損な意地っぱりな平次の性格を親友としてわかっていたから。
昨日、ゆりが家に訪ねてきた。
泣き腫らした目で。
和葉が誰を好きになろうと、ゆりにそれを否定する権利はない。
でも、親友が喜んでいるのに、自分は「おめでとう」と言ってあげれなかった。
そんな自分が嫌で、でも和葉が平次を諦めてしまった事実が悲しくて。
ゆりが落ち着くと、
平次と和葉が意地を張って喧嘩していたこと、
平次が告白されるたびに和葉が気にして強がっていたこと、
毎日二人が並んでいたこと、
二人が見てきたことを勇樹が話し始め、ゆりも泣き笑いでいろいろな二人を思い出して話していた。
二人がまた以前のように並ぶことを祈りながら。
今日一日ずっと、席に座っているわけにはいかなかった。
「・・・・服部。顧問が呼んどるで。」
なかなか立たない平次に、行かないのかと思った。
(・・・・昨日の・・・サボりんことか。)
ノロノロと立ち上がり、廊下に出て行く。
自分を見て、廊下にいた男子生徒が何か言ってるのはわかったけど、その内容がわかっているから聞こえないふりをする。
『やっぱり、服部と遠山はただの幼馴染やったんやな。』
否定してやりたかったが、和葉のことを思うと言えない。
顧問のもとへと歩きながら、平次は和葉との毎日を思い出していた。
これが、夢だったら。
目が覚めて、また和葉が自分のもとへ帰ってきてくれたら。
「へいじ!!」
(あ・・・・やっぱり・・・夢やったんやな・・・・)
「・・・・か」
和葉が平次を呼ぶ声に、急に元気になり振り返る。
「永治!!もう、待ってえな!」
寂しい。
平次を通り過ぎて、先にいた永治のもとへと走っていく。
自分を見ずに、視線は最初から永治に向けられていた。
ただ、それを見て思った。
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