13.二度君に恋する
扉の隙間から見える光景に、もう一度呼ぼうとした和葉の名が、息がうまくできなくて喉で止まった。
向き合う二人は、和葉と見たことのある男。
話したこともない隣りのクラスの男子だった。
( ・・・・たしか・・・山中・・・・やったっけ・・・・・)
聞けば痛みが走る名前になってしまう予感。
こんな時まで働いてしまう探偵の記憶力を呪いたかった。
聞こえてくる会話の内容に、金縛りにあったかのように体が固まって動かない。
今度は平次の番だった。
「あ、あのな・・・」
「なに?遠山さん?」
「・・・その・・・あたし・・・・あたしな・・・」
「ん?」
「委員会で・・山中君と話すようになってから・・・」
「・・・・実は・・・あたし・・・・」
お願いやから・・・
その先を言わんといてくれ。
オマエに言いたいことがあるんや。
・・・和葉
「・・・・・・山中君が好きなんや!!/////」
「・・・・え?」
「その・・・あの・・・・そやから・・・・」
「俺も好きや。」
耳を塞ごうとしても
体が動かない。
「・・・・・・・ほんまに?」
「ああ、そうやで。俺も、遠山さんと話すようになってから気になってたんや/////」
「ほんま!!」
「もう、なんやねん////俺の言うこと信じられへんの?」
「ちゃう!!ちゃうよ!!!」
「これで俺ら、両思いっちゅうやつやな!」
「うっわあぁぁ//////どないしよう〜!!嬉しすぎや〜!!」
「そんなら・・和葉って呼んでもええ?」
「当たり前やん!!彼氏なんやし・・な?/////」
「俺のことも永治って呼んでな?」
「うん!!なんやいきなりは恥ずかしいなぁ////」
(気持ち悪。)
産まれてこの方、貧血なんか起こしたことがなかった。
上がっていく和葉の声のトーンとは反対に、自分の血液が頭から下がっていくのを感じた。
動かない足をなんとか保たないと、倒れてしまいそうだった。
(・・・・勇樹の・・言うた通りやったな・・・・アホなんは・・・俺やったんやな・・・・)
和葉と俺は、見事なまでに正反対だった。
真っ赤な顔の和葉と真っ青な顔の自分。
モジモジと動く和葉の体と指一つ動かせない自分の体。
泣きたいぐらい嬉そうな和葉、泣きたいぐらい胸のとこが痛い自分。
成就した和葉、失恋を知った自分。
和葉
俺は
オマエんことが
二度も落ちた恋は、自覚した途端、見事に砕け散った。
|