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この作品には 〔ガールズラブ要素〕 が含まれています。

百合

キスの記憶

作者:codama
「ねえ、ちゅーしましょう?」
 ともみが急にそんなことを言うので、私は驚いた。
「ええ?」
「いいでしょ、ちゅーしましょうよ」
「……ちゅーって、好きな男の子とするものじゃないの?」
「そんなの関係ないわ。愛があれば平気って、この前テレビでやってたもん。それとも、みゆは私の事好きじゃないの?」
 そんな顔で言うのはずるい。
「それは……好き、だけど……」
「私はみゆの事好きよ、大好き。それこそ、ちゅーしたくなるくらいに」
 徐々に距離が近づく。真っ直ぐな目で見つめられ、私は逃げ場をなくしてしまう。
「で、でも駄目だよ、赤ちゃん出来ちゃうよ」
 当時の私は、その程度の知識しかなかった。
「いいじゃない。私達女同士なんだから、どっちに出来ても困らないし、いっそどっちにも赤ちゃん出来るのかもね」
「えええ?」
 心臓がどきどきして、頭も口も上手く回らない。
「まあまあ、細かい事は抜きにしてちゅーしちゃおうよ」
 彼女の屈託のない笑顔に私はたじろぐが、もう断ることは出来そうになかった。
「う、うん……い、一回だけだよ」
 目を閉じ、うーっと唇を突き出すと、やわらかい感触を感じた。

 本当は、少しだけ興味があった。
 もちろん、キスに。
 彼女ではなく、キスに。
 でもそれが、彼女への興味へと変わってしまったのは、一体いつからだろう。


 まさかあれが私の初恋だったなんて、誰が信じてくれるだろうか。いや、だったというよりも現在進行形と言うべきか。
 同窓会へと向かう電車の中、私は一人回想に耽る。
 幼稚園の時に、仲の良かった子としたキス。その感触がずっと忘れられなくて、私は彼女に恋してしまった。
 女なのに、女に恋してしまった。自分でも、それが不自然な事だという事は分かっていた。最初はよくある勘違いで、時間が経って、歳を取ってしまえば見方も気持ちも変わっていくと思っていた。でも、私の気持ちに変化はあらわれなかった。むしろ、歳を重ねる毎に、彼女に惹かれていったのかも知れない。
 好きで、好きで、仕方がなくて、いつの間にか目が合うだけでどきどきするようになっていた。頭ではいけない事だと分かっていながらも、自分の気持ちに嘘はつけなかった。
 いつからそうなってしまったのだろうか。今思い返してみても、はっきりと思い出す事は出来ない。ただ、どうにもあの時にしたキスの記憶が、感触が、脳裏に刻み込まれている。
 ゆっくりと右手で唇をなぞる。車内という事を忘れていたため、数人の視線が私に刺さる。
 ああ、いけない。いつもの癖で、ついやってしまった。
 時折彼女とのキスを思い出しては、唇がうずいてしまう。しかし、その疼きも今日で終わりだろう。
 私は今日、彼女に告白する。

 電車を降りると、人気でむっとしていた車内の空気から解放され、外は少し寒いくらいだった。バッグからスマートフォンを取り出し、時刻を確認する。午後六時三七分、この時間ならゆっくり歩いていても、集合場所には間に合うだろう。いざこうしてこの場に来てみると、久しぶりに彼女に会える喜びがふつふつと湧いてくる。
 もう、五年も経つのか。
「みゆ!」
 背後から声がして、驚いて振り向く。
 目の前に、見覚えのある女性がいた。
 いや、それ以前に私の事を「みゆ」なんて呼ぶ人は一人しかいない。
 卒業式の時に会って以来で、髪も伸ばしたようだが、間違いなく、私の目の前にいるのはともみだった。
「ともみ!」
 そう名前を呼んで、お互いに駆け寄る。女同士特有のハグコミュニケーション。髪から香る匂いや体の柔らかさを感じると、内心気が気でなかったが、何とか平静を保つ。
あくまで、友人として。
「久しぶり! 元気だった?」
「うん、元気元気。みゆも元気そうで何より」
 そう言って彼女が笑うと、歳相応の女らしさが垣間見える。当時と少しだけ差があったが、私はこの笑顔が大好きだ。その面影を今でも感じる。
 ああ、もう一度抱きしめたい。いや、抱きしめて欲しい。
 はやる気持ちをぐっとこらえ、集合場所へと向かいながら、彼女と思い出話に花を咲かせる。
 五年という月日は、人を変えるのに十分だったかも知れない。
でも、私の気持ちに変化はなかった。こうして会った今、隣を歩いているだけでもしあわせだった。彼女の一挙手一投足、すべてが愛おしい。はにかむ笑顔、よく通る声、小さな手、見て、聞いて、感じて、気持ちが溢れる。高揚して、紅潮する。
 いっそのこと、ずっとこの時間が続けばいいのに。隣を歩く彼女の横顔を見ると、つい、そんな事を考えてしまう。

 私は高校の卒業式の時に告白しなかったことをひどく後悔していた。
 幼稚園からずっと一緒にいて、小中高と同じ学校に通って、ずっとこの時間が続いていくと思っていた。けれど、終わりはあっさりと訪れた。
 進路。私は進学、彼女は就職だった。
 もともと、地元が田舎であるため、進学するなら上京は必須で、とても家から通える距離ではなかった。
 そんな事実を知ってしまってから、急に距離が空いてしまった気がする。隣で笑い合っているのに、自分がそこにいないようで、彼女がどこか遠くにいるように感じてしまう。
 私は彼女の事をずっと好いていたが、彼女は私の事をどう想っているのだろうか。
 急に、現実感が襲ってくる。このままではいられない。なあなあのまま、彼女をずっと想っている何て、どこかズレている。
 だからといって、告白するのか。あまりにも、現実的ではない。そもそも、恋愛に現実的とかあるのだろうか。
 分からない。少なくとも、彼女以外好きになった人がいない私には。
 今までの日々は何だったのだろうか。
 離れる事を意識してから、急に迷ってしまう。片想いでもいいなんて思っていたのに、簡単にぐらつく。もう、季節は冬に変わろうとしているのに、 私は決心がつかなかった。
 いや、むしろ心は動かなかった。この関係を壊してしまうのが嫌で、浮ついた恋心に酔っていたのだ。おそらく、私の恋は叶わない。ならいっそ、現実を知らずに、あるはずもない可能性に夢を見ていたかった。怖くて、ただ逃げた。自分の気持ちからも。
 結局、卒業式の日も春休みもそのまま過ぎ去ってしまい、気が付くと私は大学に通い始めていた。
 上京してからの生活は今までとはあまりにも一変して、このまま彼女の事を忘れてしまうのではないか。むしろ、そのチャンスかも知れない。
少しだけ、そう思った時期もあった。
 でも、結局忘れる事なんてできなかった。それ以上に、離れた事によって、より相手を大切に想うようになってしまったくらいだ。メールのやり取りもしたし、一度だけ、彼女がこっちに遊びに来た時もあった。
 そういった今までになかったメリハリが、余計に私を夢中にさせた。
 どうして、今日に至るまで告白する勇気が持てなかったのだろうか。
 きっと、私が男だったら、何の迷いも問題もなかったのだろう。でも、もしそうだったら、今のような気持ちも想いも感じなかっただろう。だから告白の後なんて、もうどうでも良かった。女同士なんて、どうでも良かった。それくらい、今は吹っ切れている。
 彼女が好き、という一心で。

 楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもので、気が付くと、もう集合場所に着いてしまった。
 同窓会は近所の居酒屋で、すでに何人かが集まっていた。私にとっては、久しぶりに顔を合わせる人が多かったが、周りはそうでもないのか、軽い挨拶程度で済んでいる。
 談笑で旧交を温めていると、残りの数人もやって来たので、晴れて宴会場へと移動し、お酒を飲み交わした。
 同窓会とは銘打っているが、実際に集まったのはクラスの半分程度の人数だった。ある程度仲のいいグループが固まっていて、それがそのまま参加したといった感じだ。しかし、この手のグループは案外卒業してからも変わらないものなんだな。地元にずっといると、恋人と出かける以外では女子会とかそういったことで集まったりするのだろうか。少し蚊帳の外な気分だったが、今こうして仲良くお酒を飲めるくらいには、交友関係が残っているようで安心する。
 もっとも、この後することで、それが一変してしまうのかと思うと、少しばかりにやけてしまう。
 きっとこれも、お酒のせいだ。浮ついて、ぽかぽかして、ふわふわする。酒に酔うのと、恋に酔うのは結構似ている気がする。そんな事を思い出すくらいには、酔いが回っていた。

 酔いのせいか、告白を考えていたせいか、いつの間にか同窓会は終わり、二次会のカラオケも終わっていた。終電の都合も考えてか、思ったよりも早い解散だった。
 記憶がなかったわけではないのだが、あまり印象に残っていないというか、私はそれほどお酒が強くないのかも知れない。内容として覚えているのは、酔って紅潮した彼女の顔が可愛かったとか、酔ってスキンシップが強くなったときは思わずどきどきしてしまったとか、そんな事ばかりだ。改めて、彼女への気持ちを実感する。
 こうして、隣を歩いて帰路へと向かっていると、電車の中で思っていた気持ちがしっかりと形になって固まる。
 どきどきする。
 どのタイミングで言い出せばいいのだろうか。
 緊張する。体が痺れてきて、歩いているという感覚が段々遠くなる。口の中が乾いてきて、会話をしている声が消えいってしまいそうだ。
 あと三十歩くらい歩いたら、告白しよう。そう、丁度街灯のあるあの辺り。あそこに着いたら、思い切って告白しよう。
 そう決心しても、足取りがおぼつかない。口から心臓が飛び出してきそうだ。今までに、こんなにどきどきしたことがあっただろうか。
いや、これから先、こんなにどきどきすることがあるのだろうか。歩を進める毎に、私の鼓動は焦る気持ちと同様に大きく、速くなっていく。
 もうすぐ、もうすぐそこ……。
 あと、三歩といった所で、突然ともみが立ち止まる。
「どうしたの?」
 私がそう聞くと、彼女は珍しく思いつめた顔をしていた。
「いや、ちょっと、あなたにだけは話ておこうと思って……」
「何よ、急に改まって」
 私は苦笑したが、これを好機とばかりに
「ああ、私も少し話しておきたいことあったし、ちょうどいいね」
 と、上手いこと自身の緊張を誤魔かした。
「そうなの? じゃあ、お先にどうぞ」
「いやいや、先に言い出したのともみでしょ」
 自分の伝えることが伝える事なだけに、先に話をすることは出来そうもない。
「そ、そうだよね。じゃあ、私から」
 そう言って、彼女は大きく深呼吸をする。その癖、今も残ってるんだ。少しだけ、微笑ましかった。
「あのね、私……」
 少し間を置いて、彼女は続けた。
「私……結婚するの」
 結婚するの。
 その言葉が、脳内でリフレインした。浮ついた脳内にエコーのように響いて、酔いも血の気も一気に引いていく。
「ケッ……コン?」
 時間に置いていかれるような感覚がした。急に目が冴えて、浮ついた感情がごっそりと抜け落ちる。
「うん……今年中にはって」
 急に、体の冷えを感じ始める。今日はこんなに寒かっただろうか。
「え、えっと……その……」
 何て言ったらいいのか、分からなかった。
 どういう対応をすればいいのか、分からなかった。
 予想もしていなかった彼女からの告白で、私の頭は真っ白になっていく。
「ごめんね、急にこんな話して……。さすがに、みんなの前で言うにはまだ早いかなって思ったんだけど、みゆには一番に報告したくて」
 彼女のはにかむ笑顔が胸に突き刺さる。しあわせそうな彼女の顔を見て、こんなに胸が苦しくなったこと何て今までなかった。言葉がでない。文字通り、言葉を失った。
 おめでとう、何て、とても出てこなかった。
「私からは以上です。ごめんね、変に大げさにしちゃって。……で、みゆの話って何?」
「わ、私は……」
 彼女と目を合わせられず、思わずうつむく。
 今、言ってしまっていいのだろうか。いや、そもそも、もう叶わないって分かってしまったから、どうしていいか分からない。
 結婚。あまりにもその言葉が重すぎて、どうにもならなかった。私はまだ、そこまで考えることも、そこに行く段階すら踏めていないのだから。
涙で視界がにじんでくる。自身の足先が伸びて見える。
「みゆ?」
 彼女が心配そうにこちらを覗き込んでくる。泣きそうな事を悟られたくなくて、今度は空を見上げる。冬の夜空は私の気持ちとは違い、きらきらと輝いている。雲一つない、満点の星空に大きな満月が浮かんでいる。
「あの、あのね……」
 もう、言ってしまえと思った。どうせなら、玉砕して、粉々になってしまった方が楽なような気がする。一度深呼吸をして、彼女に向き直る。冷たい夜風が頬に染みて、泣きそうになる。
「私……私ね、ともみの事ずっと……ずっと好きだったの」
 左頬を涙が伝った。やっと、やっとの思いで告白できたのに、言ってしまった後に残ったものは、酷い喪失感だった。
「……え?」
 今までに見たことのない、面食らった表情だった。
「え? 私の事ずっとって、ええ?」
「ずっと言いたかったんだけど、全然言い出せなくて……」
「え、あの、いや……その、本気なの?」
 無言で頷く。涙が止まらなかった。
「そう……なんだ……」
 彼女はそう言って、目を逸らした。
 ああ、引かれてしまったか。
 無理もない。結婚を控えた人が、よりによって同性から告白されたのだ。気も動転するだろうし、複雑な気持ちにもなるだろう。
 ああ、本当に、何をやっているのだろうか。一体、何をどうしたかったのだろうか。
「あの、その、気持ちは嬉しんだけどさ、私もう結婚相手もいるからさ……」
「そう、だよね。ごめんね、急に変な、話して、さ」
 嗚咽が交って変な話し方になってしまう。風が吹き付けて、頬が痛い。
「でもさ、私の事が好きって、いつから好きだったの?」
 そんなことを聞かれるなんて思ってもいなかったので、思わず驚いてしまう。目を見開いて、彼女を見てしまう。
「え? それは――」
 それから電車の中での回想の話から、今日の今に至るまでの経緯を洗いざらい全部話した。どういう所が好きだとか、恥ずかしげもなく、全部話した。
 涙と一緒に全部流れ出た。

「……そっか」
 すべてを話終えると、彼女はどこか満たされたような顔をしていた。
「ごめん……ごめんね……」
 何に対して謝っているのか分からなかった。言葉も涙も出し尽くした後に出てきたものは、それだけだった。
「そっかー、みゆは私の事ずっと好きだったのかー」
 どこか吹っ切れたように彼女は空を仰ぎ、大きく伸びをして、こちらに向き直る。
「気持ちに応えてあげることは出来ないけど、すごい嬉しいよ」
「……迷惑じゃなかった?」
恐る恐る私が聞くと、彼女はふっと笑った。
「全然。最初はさすがにちょっと驚いたけど、今思い返してみれば納得がいったというか、何というか」
 そう言って彼女は照れたように右手を頭に回した。その仕草も懐かしく感じる。
「あー、でも原因を作っちゃったのって私なんだよねえ……幼稚園の時にあんな事しなかったら、少しは違ったのかな……」
「そ、そんなことないよ! 別に私は後悔なんかしてないし、こんな事になるならとか微塵も思ってないから!」
 彼女に罪の意識なんて感じて欲しくなかった。
私が勝手に、勝手に好きになっただけだ。
「そうは言ってもさ、何か収集つかないというか、私の気が納まらないというか……」
 それからしばらく沈黙が流れる。お互いに何をどう言っていいのか分からなくて。
「……じゃあ、さ」
 図々しいとは思いながらも、私はそれを口にした。
「最後に……キスしてほしいな」
 あの時みたいに。そう、続けた。
 一瞬彼女は目を丸くしたが、ゆっくりと息を吐いてから
「いいよ」
 と短く言った。
 その一言で、私の事を友人として見ている事がはっきりと分かった。
 気恥ずかしさを覚えながらも、目を閉じて唇を軽く突き出す。あの頃と、同じように。
 真っ暗になった視界でも、足音で彼女が近づいてきていることが分かった。段々、近づいてくる。もう叶わない恋だと分かっていても、大好きだって人ともう一度キス出来る。それも、待望していた数年越しのキスだ。期待するなと言う方が無理な話だ。すべてを出し尽くした身体に、再び活力が湧きあがってくる。
 どきどき、どきどき。先ほどまでとは違った鼓動が、私の中を巡る。緊張して、口の中が乾いてきそうだ。目を閉じて思い出すのは、これまでの彼女との記憶。まるで、走馬灯のように、鮮明に思い出せる。
 ああ、そうか。そうだったんだ。私はその映像を見て、確信してしまう。これは恋の走馬灯なのだと。
 もう、この恋が終わってしまうのだと。
 彼女の両手が私の頬を優しく包む。あの頃と、同じように。外気で冷えた彼女の手はとてもひんやりとしていて、ぐしゃぐしゃになって熱くなった私の顔をゆっくりと冷ます。
 そして、キスの感触が唇に伝わる。やわらかくて、しっとりとしている。彼女の唇は、私の記憶にあったものではなく、大人の女性の唇だった。あの頃と、違って。
 そのキスが、恋の終わりをよりはっきりとさせる。私が好きだった彼女は、もういないのだと。あの頃から経った時間の長さを痛感させる。
キスをしていた時間はおそらく五秒程度だったと思うが、私にはそれ以上に長くキスをしていたように思える。
 ゆっくりと、唇が離れる。その感触に、熱に、名残惜しさを感じた。
 目を開けると、照れた彼女と目が合う。
「うーん、やっぱり女の子同士とは言っても、恥ずかしいものは恥ずかしいね」
 そんな事を言う彼女を見て、私もどこか安堵して微笑む。
「……ありがとね」
 消え入りそうな声で、そうつぶやいた。

 それから彼女と別れ、自分の部屋に戻るまでは、何だかんぼんやりとしていた。今日という一日が一体どんなものだったのかすら、曖昧に感じられる。しかし、じんわりと、これまでの日々を追うようにして、今日という日に何があったのかを実感する。
 失恋した。
 漠然と、どうしようもなく、私は失恋したのだ。
 気持ちをすべて吐き出し、涙も流し切ったように思えたが、また涙が溢れてきた。
 悲しくて、やるせなくて、仕方がないはずなのに、どこか満ち足りた思いでいるのが何だかよく分からなくて。いや、頭では分かっていても、心がまだ理解出来ていないのだ。
 恋が思い出になった。その事実に、対応できない私は、静かに自室で涙を流した。
 結局、おめでとう、とは言えなかった。

 こうして、私の初恋は終わった。

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