「ねー。なんでさ、全国のトイレには必ず花子さんがいるの??」
「はっ?」
その唐突な問いは夏の暑さでぐったりとしている莉美 に梓がなげかけたものだった。
「だからさ、日本全国の学校には必ず似たよーな怪談があってさ、必ずトイレって花子さんがいるじゃん?なんで?」
「…いきなり何?暑くてとうとう頭おかしくなった?」
莉美が呆れたように言うと梓は憤慨だとでも言うように声に力が入る。
「夏といえば怪談でしょ?
んで、ふと疑問に思ったから聞いただけだよ!」
「…つまりは暇なせいで余計な事を考えちゃった訳ね」
梓の突拍子もない発言はいつもの事なので莉美はため息をつくと梓の暇潰しに付き合ってあげることにした。
目で先を促すと梓はにっと笑い話を続ける。
「だってさ、なんでトイレなの?
トイレで死ぬ子っている?普通に考えてさ。
それになんで3番目の個室?」
たかが学校の怪談についてここまで熱く語る奴もいないだろうなと思いながらも莉美は黙って話をきく。
「だいたい花子さんって何者?!」
(…トイレにいる幽霊でしょ)
と思ったが莉美は何も言わない。
「なんで一家に一台みたいにどこの学校にもいるのよ?
しかもなんでおかっぱで赤いスカートってイメージなんだろ?」
「あぁ。そのイメージは映画とかのせいだと思うよ?」
莉美はやんわりと口を挟む。
それを聞いて梓は納得したような顔をする。
「そっか…。
あっ!!」
「今度は何?」
「花子さんの名字ってなんなんだろうね?」
梓の突拍子もない話は蝉の声をBGMにまだまだ続く……。 |