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第11話 王族たち

 ティアンナのみならず大勢の少女たちにとって、英雄ダルーハ・ケスナーは憧れの的であった。

 その憧れの英雄が今、凶悪極まる逆賊・暴君として、目の前にいる。

「この王宮は、かつてはヴァスケリア王族の住まいであった。が、今は我が居城である」

 跪きもせず挑戦的に突っ立ったままのティアンナ、を咎めるふうもなく、ダルーハが言う。

 甲冑姿でどっしりと玉座に座るその姿には、まるで今までもずっと国王であったかの如き風格があった。

「ゆえに貴女を、客人として迎えよう……ティアンナ・エルベット王女。よくぞ来られた」

「王宮など、いくらでも差し上げます。貴方がその玉座にふさわしい政を、なさっているのであれば」

 ティアンナはまっすぐに、視線と言葉を返した。

 猛々しい隻眼の容貌をニヤリと興味深げに歪めてダルーハは、睨む王女の眼差しを受け止めている。

 だが続いて発せられた言葉は、ティアンナに対してのものではなかった。

「ムドラーよ、さぞかし苛立っておろうな。本当は今すぐにでも、この姫君の身体を弄り回したくてたまらんのだろうが」

「は……い、いえ……」

 ティアンナのすぐ近くで、魔獣人間ヴァンプクラーケンが、引きつった声を出した。

 その顔面の肉は、潰れかけたまま瘡蓋のように固まってしまっている。

 拉致した王女を伴って、王宮に到着した途端。ムドラーはティアンナ共々、ダルーハに呼び出されたのである。

「まあしばし待て、興味が湧いたのだ。王族の男どもがクズばかりである中、たった1人の王女だけが小賢しくも健気に戦っている……一目、会ってみたいと思うではないか」

「ダルーハ卿。ヴァスケリア王家による悪しき体制は、貴方によって破壊されました」

 これは謁見と言うべきであろう。今やダルーハ・ケスナーが国王であり、ティアンナの方が目通りを許される立場なのだから。

 謁見が許されている間に、言うべき事は言っておかなければならない。

「卿には、新たなる体制を築く義務がおありです。民のための、善き政治体制を」

「民のため、か」

 ダルーハは嘲笑った。

「……曲がりなりにも地方領主という地位にまで上り詰めた結果、俺は1つ思い知ってしまったのだよ姫君。民衆という輩は、甘やかせば際限なくつけあがり腐ってゆく。とな」

「……だから、民衆を虐げていると?」

「はっははは、こんなものは虐げているうちに入らんよ」

 笑いながらもダルーハは、1つしかない目をギラリと獰猛に光らせた。

「あの赤き竜がしでかした大殺戮と比べれば……俺が今やっている事など、暴君の真似事に過ぎん。王女よ、そなたは知るまいが20年前のここヴァスケリア王国は本当に地獄であった。王国とは名ばかりで国王には何の力もなく、赤き竜とその配下の魔物どもに、人々はただ蹂躙されるがままであったのだ」

「ダルーハ卿が、その地獄から王国の民をお救いになったのでしょう?」

「その通り。俺が少数の仲間と共に、あの赤き竜と戦う羽目になった。何故かわかるか、ティアンナ王女」

「……貴方が、1番の武勇の士であられたから……?」

 少数の仲間がいた、というのは、ティアンナは初耳だった。

「違う、他に誰もやろうとしなかったからだ。どいつもこいつも魔物どもの悪行を見て見ぬふり、だけではない。竜の怒りを恐れて、俺たちの邪魔をする者どもまでいた」

 ダルーハの隻眼が、燃え上がった。憎悪の炎だった。

「本当に……腑抜けばかりであった。あの頃のヴァスケリアは、王侯貴族も民衆も。まあ今も大して変わるまいが、な……想像してみろティアンナ姫。あの時のレフィーネは、今の貴女と同じ年頃の娘であった。それが生け贄として、まるで物のように……あの赤き竜に、捧げられたのだぞ。うら若き王女を人身御供として、ヴァスケリアの腑抜けどもは己が身の安全を確保せんとしたのだぞ」

「レフィーネ・リアンフェネット王女……私の、叔母に当たる方です」

「違うな。レフィーネ・ケスナーは我が妻であって、王家の娘などでは断じてない」

 ダルーハの声が、重く、低くなった。

 地獄の底から響く声。そんな陳腐ですらない表現しか、ティアンナには思い浮かばない。

 近くでヴァンプクラーケンが、巨体をすくませ、震え上がっている。

「ヴァスケリア王家の者どもは、レフィーネを捨てたのだからな。まるで餌を与えるかの如く、あの赤き竜に……」

 ダルーハの精悍な口髭が、唇もろともめくれ上がった。真っ白な牙が剥き出しになり、ギリッ……と噛み合う。

「そのせいで、レフィーネは……竜の子などを……ッ!」

「何ですって……」

 ティアンナは息を呑んだ。

「では……まさか、ガイエル様は……」

「……奴の事など、どうでも良い」

 ダルーハは、いくらか落ち着いたようだった。

「とにかくだ。民衆など支配者にとっては、弱い者いじめの対象にしかならんのだよ。民のための政治などと最初のうちは気にかけていても、いずれは必ずそうなる」

「忠告……というわけですか。長く一地方を治めてこられた方から、政治を知らずに綺麗事ばかり言っている小娘への」

 言いつつティアンナは、魔石の剣を抜き放った。

 今や一国の支配者でありながらダルーハ・ケスナーは、目通りを許す相手に帯剣を禁じていない。禁ずる必要などない、という事であろう。

「忠告など必要ありませんダルーハ卿……私は今から、貴方に殺されるのですから」

「こっ小娘! ダルーハ様への無礼は許さぬぞ!」

 ヴァンプクラーケンが、触手を震わせて怒り狂う。

 ダルーハが、軽く片手を上げた。

 それだけで、怒り狂う魔獣人間がピタリと硬直した。

「……俺に戦いを挑むか、姫君。ヴァスケリア王族として」

「全力で抗いなさいダルーハ・ケスナー。さもなくば、私が貴方の首を刎ねます」

 構えられた刃の根元で、魔石が白く激しく発光する。

 細い刀身がバチッ! と電光を帯びた。

「卿が全力で抗えば、私など一瞬にして跡形もなくなるでしょう。そうなる前に申し上げておきます……ダルーハ卿は、奥方を愛しておられたのですね」

「……本当に命が要らぬようだな、この姫君は」

 1つしかないダルーハの目に、燃えるような殺意が宿った。

 見つめ返し、ティアンナはなおも言う。

「どうかお考え下さいダルーハ卿。奥方が今の貴方を御覧になったら、一体どれほど悲しまれる事か」

「ふ……ふふっ、ふは、ふぁはははははははははははは!」

 殺意の炎を隻眼の中で燃やしたまま、ダルーハは笑った。

 これほど凶暴で禍々しく、そして哀しい笑顔を、ティアンナは見た事がなかった。

「言わねばわからぬか小娘! 死んだ者はなぁ、悲しみなどしない! 喜びもせぬ! 何も、何もしてはくれんのだよ死んだ者は!」

「ダルーハ卿……」

 このダルーハ・ケスナーという男の心が、ほんの少しだけ、ティアンナはわかったような気がした。

 民衆を、憎んでいる。

 かつて命を賭けて悪しき竜と戦い、救った、このヴァスケリアという国を。ダルーハは、憎んでいる。

 憎しみと暴力に満ち溢れたダルーハ・ケスナーという男が、しかし竜退治の後20年近くは特に暴虐的な事はせず、貧しいレドン地方の田舎領主という身分に甘んじていたのだ。

 レフィーネという妻が、いたからだ。

 彼女が生きている限りダルーハは、溢れんばかりの憎悪を眠らせておく事が出来た。田舎領主で穏やかに一生を終える運命を、ダルーハは受け入れただろう。レフィーネ・ケスナーが生きて傍にいてくれるならば、だ。

 その妻が、死んでしまった。

 溢れんばかりの憎悪を、眠らせておかねばならない理由を、ダルーハは失ってしまったのだ。

「……奥方のもとへ送って差し上げます、ダルーハ卿」

 ティアンナは床を蹴り、斬り掛かった。

 半ば跳躍に近い踏み込み、と同時に、魔石の剣を振り下ろす。バリバリと電光を帯びた刃が、ダルーハのたくましい首筋に向かって一閃し……

 そして、止まった。ダルーハの左手。人差し指と中指が、放電する刃の切っ先をピタッと挟んでいる。

 そのまま軽く、ダルーハは左手首を捻った。

 それだけで、斬撃に用いた全ての力と勢いが、ティアンナの身体へと逆流した。

「あ……っ」

 自分の身体がグルリと回転し、床に投げ出されるのを、ティアンナは呆然と感じた。頭を打たぬよう受け身を取るのが、精一杯だった。

「真っ正面から、俺に斬り掛かるとはな」

 ダルーハの声が聞こえた時、ティアンナは、玉座の近くで無様に転倒している己の姿に気付いた。

「あの頃のヴァスケリア王族に、貴女の10分の1でも気概があれば……」

「……嬲るのですか、ダルーハ卿」

 ティアンナは立ち上がりながらも、呻くしかなかった。

「全力で抗え、と言ったはずです……さあ、私を殺しなさい」

「ムドラーよ、先送りにしていた傀儡の件だがな」

 とりあえずティアンナの言葉は黙殺してダルーハは、すくみ上がっている魔獣人間に隻眼を向けた。

「この姫君で良かろう。ティアンナ・エルベット第6王女に、即位していただく。くれぐれも……女王陛下を魔獣人間に作り変える、などという無礼を働いてはならんぞ」

「何を……! 仰せられますか……!」

 ヴァンプクラーケンが、悲鳴じみた声を発する。瘡蓋状の顔面がピキッとひび割れ、微かな血がしぶいた。

「ダルーハ様、それは……それは、あまりにも……」

「ムドラーよ、俺は同じ事を何度も言わされるのが大嫌いでな」

 獰猛な殺意を孕む隻眼が、顔の潰れた魔獣人間を睨み据える。

「だが貴様には功績があるゆえ、もう1度だけは言って聞かせてやろう。こちらのティアンナ姫を……否、ティアンナ・エルベット女王陛下を、魔獣人間になどしてはならぬ。俺はな、非力な人間が無様にあがく様を見たいのだ。魔獣人間があがいたところで、面白くも何ともないではないか」

「しっ、しかしダルーハ様」

「……ムドラーよ、3度は言わぬぞ」

 ダルーハのその言葉だけで、ヴァンプクラーケンはもはや何も言わなくなった。6本の吸血触手を震わせながら、巨体を平伏させて黙り込む。

 ティアンナも震えていた。屈辱の震えだ。

「傀儡政権として……この私を、擁立しようと言うのですか……っっ!」

「嫌とは言うまい? 傀儡政治とは言え政治が出来るのだ。貴女の立ち回り方次第では、俺を上手く押さえ込む事が出来るかも知れぬ」

 ダルーハは、本当に愉しそうである。

「……俺の暴虐から王国の民を、いくらかでも救えるかも知れんぞ?」

「ダルーハ卿……やはり私を、嬲っておられるのですね……」

「その通り。俺は弱い者いじめが大好きでなあ」

 本当に愉しそうに、ダルーハは嘲笑った。

「弱者が懸命に、無様に、健気に、蟷螂の斧を振り立てる。その様を見るのが愉しくてたまらんのだ。まさに強者にのみ許された悦楽よ」

「ダルーハ・ケスナー……ッ!」

 ティアンナは唇を噛んだ。

 自分は今この男に、飼い犬のように扱われている。その屈辱を、噛み潰した。

 とりあえず、殺されなかった。ムドラー・マグラのおぞましい研究の餌食にも、ならずに済んでいる。

 今は、この幸運を活かすべき時だった。

 ガイエルに向かって偉そうに言い放った通り。己の戦いを、する時なのだ。



 この父親が死んでも自分は全く悲しまないだろうな、と常日頃モートン・カルナヴァートは思っていたが、本当にその通りになった。

 ヴァスケリア国王ディン・ザナード3世の死が、公式に布告されたのだ。

 モートンにとっては、月に2、3度会話があったかどうかの父の死である。どうでも良かった。

 第1王子のマナック・バルナードは王都エンドゥール陥落時に殺されているから、次期国王は、順当にゆけばモートン・カルナヴァート第2王子である。

 が、今が順当とは程遠い状況である事はモートン自身、嫌になるほど身に染みている。仮に国王になれたとしても、喜ぶ気持ちなど欠片ほども湧いては来ないだろう。

 今、この国の真の支配者が、誰であるのか。それはヴァスケリア国民であれば、子供でも知っている事だ。

 こういう時の王族というものが、いかに惨めな存在であるかも、モートンは身に染みていた。

 そんな時に間髪入れず、もう1つの布告が発せられた。

 その内容はモートンにとって、父親の死などよりもずっと衝撃的なものだった。

「あのティアンナめが……女王として即位した、だと」

 とある町の、酒場である。2階が宿屋となっており、今日はここで宿を取ろうと思っていたところだ。

 ダルーハ軍による被害が、奇跡的に少なかった町である。酒場も普通に営業しており、夕飯時の今は客で賑わっている。

 いや。賑やかなのは、中央のテーブルを占領しているダルーハ軍兵士の一団だけだ。

 5人いる。うち4人は鎧姿の歩兵。1人はローブを着て魔石の杖を携えた、攻撃魔法兵士だ。

 どちらもゴロツキ同然の輩である事は疑いようもなく、やかましく騒ぎながら派手に飲み食いをしている。

 5人とも金は払わないのだろうな、とモートンは思った。

 店内には、普通の町民と思われる客も、いる事はいる。だが皆、中央のダルーハ兵5名からは出来るだけ離れた隅の方の席で、居心地悪そうに安酒をすすり、あるいは手早く食事を進めている。

 そんな町民たちに紛れ込むようにして、旅人が2人。店の壁際の席で、目立たぬようにしていた。

 2人とも、薄汚れたフード付きのマントで、顔も身体もすっぽりと覆い隠している。片方は小太りで、もう片方は背が高く体格が良い。

 モートン・カルナヴァート王子と、そしてガイエル・ケスナーである。

「ダルーハめ、一体何を考えておるのか……」

「傀儡政権、という奴だろう」

 ガイエルが嘲笑った。

「……くだらん事をするものだ、実に」

 貴様は少し、安心しているのではないのか。そう、モートンは口に出してしまいそうになっていた。

 ダルーハが傀儡として擁立する、のだとしたら、ティアンナ・エルベットは少なくとも殺されてはいないという事だ。

 あの妹とガイエルが、どこまで親密な関係にあるのか、モートンにはよくわからない。

 仮にこの2人が男女として結ばれる、などという事態が起こったら。逆賊ダルーハの血を引く、この人間ならざる若者が、自分の義弟という事になってしまう。

 そこまで考えて、モートンはある事に思い至った。

「……今気付いたのだがなガイエル・ケスナー。レフィーネ王女の息子である貴様もまた、ヴァスケリア王家の血縁者という事に一応なる」

「兄上、とでも呼んでやろうか」

「それは御免こうむるが……お前、下手をすれば王位を狙える位置にいるのではないか? 腐るほどいた王族は、何しろダルーハがあらかた殺し尽くしてくれたのだからな。私とティアンナ以外にも、1人か2人は生き残っておるかも知れんが」

「……あんたはどうなのだ、モートン王子」

 半ばフードで隠されたガイエルの美貌が、モートンに向かって少しだけ眼光を強めた。

「妹君がダルーハに擁立されてしまったわけだが……正当性というものを考えれば、第2王子の方が王位に近いのではないのか? 何なら俺があんたを擁立してやろうか。ティアンナ姫も、傀儡の王位など要らんだろうからな」

「……擁立されたところで何も出来はせん。私の名前では、諸侯も兵も集まりはせんよ。すでに実証済みであろうが」

 モートン・カルナヴァート第2王子を総大将とする王国正規軍は、ダルーハ軍によって完膚なきまでに打ち砕かれ敗退した。結果として、そういう形になった。

 事実、王都エンドゥールの奪還も果たせぬまま王国正規軍は解散してしまったのだから、勝ち負けで言えば、明らかに敗北である。国民の目には、そうとしか映っていない。

 ヴァスケリア王族の威光は、今度こそ完全に、地に墜ちた。

 もはや頼みの綱は、モートンの眼前にいる、この人間ではない若者だけだ。彼に、何としてもダルーハ・ケスナーを殺してもらわなければならない。

 あのブラックローラという少女も、そう言えば同じような事を言っていた。ガイエルを助けて、ダルーハを倒させようとしていた。

「……あのブラックローラとかいう小娘、一体何者だったのだろうな」

 ぽつりと、モートンは口に出した。

「実にかいがいしく貴様の手当てをしていたが……おい、そう言えば傷の具合はどうなのだ」

「問題ない」

 ガイエルは、マントの下から右腕を出して見せた。

 包帯の巻かれた右前腕が、拳を握ったり開いたりしている。

 一時は指を動かすのもままならなかった右手が、確かに回復してはいるようだ。

「……まさか俺の心配をしてくれているのか? 兄上殿」

「よせと言っておる。貴様のような怪物が弟などと」

 この男と妹の仲がどう進展するかは本人同士の勝手だが、とにかく兄などと呼ばれるのは我慢ならない。

「あのブラックローラという娘も言っていたがな。ガイエル・ケスナーよ、貴様には万全の状態でダルーハと戦ってもらわねばならんのだ。当然、勝ってもらわねばならん。そして私が王族として安穏と暮らせる日々を、取り戻してもらわねばならんのだよ。以前も言ったが、どこかでひっそりと畑を耕す生活など、私には出来んのだからな」

 王位など、あの妹にくれてやる。

 仲の良い兄妹ではないが、それでも兄が安穏と生活出来るくらいの捨て扶持はくれるだろう。

 ガイエルが、右の拳をグッと握った。

「そうか。俺がダルーハに負けて殺されるような事があれば……モートン王子は、迷惑するか?」

「大いにする」

 力強く、モートンは頷いて見せた。

 ガイエルは微笑した。いや、苦笑か。

「……では、負けられんな」

 その時。酒場の中央で、騒動が起こった。

「おらおら、酌をしろお酌をぉ。あと下着なんか穿いてんじゃねえよ」

「俺らダルーハ軍がこの町を守ってやってんだからよぉ、俺らへの接客を最優先させなきゃいかんぞう?」

 店の給仕の女の子に、ダルーハ兵5人が絡んでいる。5人がかりで女の子1人を捕まえ、スカートに手を突っ込んだりしている。

「やっ……やめて下さぁい……」

「かか可愛い声出すじゃねえかよ、んん? もっとイイ声出させてやんぜぇおうおうおう」

 当然、止めようとする者はいない。居心地悪そうにしている町民の客たちも、店の主人や他の従業員も。

 ガイエルが、物騒な溜め息をついた。わけのわからぬ質問を口にしながらだ。

「……モートン王子、臓物はお好きか?」

「……好きなわけがなかろう」

「では、しばらく目をつむっている事だ」

 言いつつガイエルが、席から立ち上がった。

「俺は、臓物も血も脳漿も大好きなのだよ。何しろ俺は」

 残虐だからな、とでも言おうとしたのだろう。

 だがもう1人、すでに立ち上がっている客がいた。

「征服者ダルーハ軍も、被征服者たる町の人々も……」

 灰色のローブに身を包んだ、中年の男である。40歳前後、であろうか。

「酒や食事の場では仲良く出来るはず、だと思うのだが。どうかな?」

 髭のない穏和な顔立ちは、しかし一癖ありそうなものを感じさせもする。

「何だ、てめえ……」

 ダルーハ兵たちは、しかし当然ながら穏和でなどいられない様子だ。

「誰に向かって偉そうな口きいてんのか、わかってんのかテメエ……」

「偉そうに聞こえたのなら謝る、すまなかった。もちろん君たちがダルーハの兵隊である事は承知の上で、物を言っている」

 灰色のローブの男が言いながら、ちら……と視線をこちらに向けた。ガイエルの方を、見たようだ。

「私はただ、君たちを助けたいのだよ。わからないかな……このままでは君たち、1人残らず殺されてしまうぞ」

「何だあ?」

 女の子を捕まえていた兵士の1人が、そんな凶暴な声を発しながらも。男の視線を追って、ガイエルに気付いたようだ。

「……おう何だテメエ。俺らの事、睨んでる? もしかして」

 兵士が、とりあえず給仕娘から離れて、ガイエルの方に向かって来る。腰に吊った長剣を、ギラリと抜き放ちながら。

 その剣をガイエルに突きつけ、兵士はなおも命知らずな言葉を吐いた。

「男のクセに綺麗な顔しやがってよぉ、鼻ちょん切ってマヌケ面にしてやろうか? んん?」

 ガイエルは何も応えず、ただ右手を動かした。

 包帯を巻かれた右手が、一見無造作に、しかし凄まじい速度で振り下ろされる。その速度で、包帯がちぎれ飛んだ。

 と同時に。兵士の長剣が折れて、床に突き刺さった。

「……よし」

 手刀の形に振り切った己の右手を、ガイエルは満足げに見つめた。傷の癒えた、完全に力を取り戻した右手。

「……な……」

 半分ほどの長さになってしまった剣を呆然と持ったまま、兵士が間抜けな声を出す。

「何……しやがった? てめえ今……」

「何だ、わからなかったのか。仕方がないな、もう1度しかやらんからよく見ておけ」

 言いながらガイエルが、またしても右の手刀を振るった。

 兵士の首が、刎ね飛ばされた。

「ああ、だから言わない事ではない……」

 高々と舞う生首を見送りながら、灰色のローブの男が、嘆かわしそうな声を発する。

 頭部の失せた兵士の屍が、尻餅をついた。そこへガイエルが声をかける。

「こちらの第2王子殿が、臓物は苦手だと仰せられた。だから生首で勘弁してやる」

 その生首がモートンの眼前に落下し、テーブル上に転がった。目が合った。

「ひっ……ひぃ……」

「何だ、生首も駄目なのか」

 ガイエルが呆れている。

 店内は、静まり返っていた。

 ダルーハ軍兵士もそうでない者たちも、唖然または呆然としている。

 そんな中、1人がようやく言葉を発した。

「てめ……刃向かいやがったな……」

 ただ1人の、攻撃魔法兵士だった。

 魔石の杖をガイエルに向け、喚いている。

「俺たちに……刃向かいやがったなぁああああああ!」

 その魔石が、赤く輝き始めた。攻撃魔法が、放たれようとしている。

 まずい、とモートンは思った。ガイエルは無傷でも、近くにいるモートンは無事では済まない……

「これだから、まったく……」

 灰色のローブの男が、何やらぶつくさと文句を漏らしつつ、軽く片手を掲げた。

 途端。魔力を迸らせる寸前だった魔石が、杖の一部もろとも砕け散った。破片と火花が、攻撃魔法兵士の顔面を直撃する。

 悲痛な絶叫を響かせながら床に倒れ込み、転げ回る彼に、灰色のローブの男が声をかけた。

「攻撃魔法兵士という人種は、これだから好きになれんのだ。魔力を、破壊と殺傷の手段としてしか見ておらん……魔法というものを、根本から学び直してみるのだな。そうすれば魔石など用いずとも、このくらいの事は出来るようになる」

「あんたは……」

 ガイエルが、興味深げな声を発した。

「攻撃魔法兵士、ではない……本物の、魔術師か」

「ゾルカ・ジェンキムと申す者……よろしく、ガイエル・ケスナー殿」

 灰色のローブの魔術師……ゾルカ・ジェンキムが、ガイエルに向かって恭しく身を折って見せる。

 魔術師らしからぬ物品をゾルカが身に帯びている事に、モートンはようやく気付いた。

 蛇、いや細長い竜の姿が、巻き付くように彫り込まれた鞘。に収まった、一振りの長剣である。

 それが、灰色のローブ姿の、腰の辺りに吊られているのだ。

 顔に火傷を負った、あるいは失明しているかも知れない攻撃魔法兵士に、感心にも肩を貸してやりながら。ダルーハ軍の兵士たちが、捨て台詞も吐かずに店から逃げ出して行く。モートンが思った通り、金を払わずにだ。

 店の主も、それを咎めようとしない。どころか、咎める相手を間違えている。

「あ……あんたたち、とんでもない事してくれたな!」

 モートンよりも小太りの度合いが著しい店主が、その身体を暑苦しく揺らしながら、ゾルカとガイエルに詰め寄っている。

「ダルーハ軍の兵隊を、よっよりによって殺すなんて! それも店の中で! いい事をしたつもりなんだろうがな、これでこの店もダルーハ軍に睨まれる事になっちまったぞどうしてくれる!」

「すまん、申し訳ない」

 ガイエルが、素直に頭を下げた。

 この男がおとなしいうちに店主は怒りを鎮めるべきだ、とモートンは思った。

「良い事をしたつもり、というわけではないんだ……この店は、俺が責任を持って守る。俺がダルーハを殺せば、無法を働く兵隊もいなくなるだろう。あと少し、我慢して待っていて欲しい」

「だ……ダルーハを……殺す……?」

 店主の肥満体から、へなへなと力が抜けてゆく。頭のおかしい客を店に入れてしまった、という絶望感が、丸出しである。

 気を取り直したかの如く店主は、咎める相手を変えた。ガイエルから、彼に助けられた給仕の女の子へと。

「お前、そもそもお前が悪いんだぞミリム! お前が嫌がったりせずにおとなしく、兵隊の慰みものになってれば! こんな事にはならなかった!」

「……何だその言い草は」

 ガイエルの口調が、一変した。フードの下の秀麗な顔立ちが、メキ……ッと危険な歪み方をする。

 長剣を折り首を刎ね飛ばす右手が、店主の胸ぐらを掴み寄せた。

「貴様……女子供を生け贄にして、保身を図ろうと言うのか」

「…………!」

 店主が、息を詰まらせ青ざめる。

 その傍で、ミリムと呼ばれた給仕の女の子は、ただ泣くだけだ。

「お……おい、そこまでにせんかガイエル・ケスナー」

 控え目に、モートンは止めに入った。

 この男が本気で暴れたら、町の1つや2つは容易く滅びる。そこそこは税収を見込めそうな町が、廃墟と化してしまう。

 店主の胸ぐらを掴むガイエルの右手を、ゾルカが優しく叩いた。

「怒りをぶつける相手を……間違えてはならんぞ? ガイエル殿」

「……貴様は何故、俺の名を知っている」

 放り捨てるように店主を解放しながら、ガイエルは訊いた。

「名乗った覚えはない……いや、以前どこかで会ったのか?」

「君が赤ん坊の時に、な」

 ゾルカが微笑んだ。

「あの頃のダルーハは、どこにでもいる子煩悩な父親だった。君の誕生を祝う宴席に、私を招いてくれたのだよ」

「ダルーハ・ケスナーの旧知の者か」

 いくらか責めるような声を、モートンはつい出してしまった。

 竜退治の英雄による、この凶行とも言うべき叛乱に、もしかしたら多少なりとも関わっている人物。なのかも知れない。このゾルカ・ジェンキムという魔術師は。

「いかにもその通り、第2王子殿。あの大馬鹿者を止められなかった無能者の1人でございますよ」

 ゾルカの微笑が、モートンに向けられる。心の中を見透かすような、眼差しと笑顔だった。

「まあ座り直しましょう、お二方……ああ店主殿、ご迷惑でしょうが今しばらく店に居座らせて欲しい。ダルーハの兵隊が仕返しに来るような事があれば、追い返して差し上げるゆえ」

 青ざめ尻餅をついたままの店主に、ゾルカはずしりと重い小袋を押し付けた。銀貨が詰まっている、のだろう。

 モートン、ガイエル、それにゾルカ・ジェンキムの3人で、同じテーブルを囲む事となった。

「……要するに、こういう事だ。ガイエル殿」

 まずは、ゾルカが口を開いた。

「人間とは、こういうもの。強い者に人身御供を捧げて、己だけが生き延びようとする。善いか悪いかではなく、そういうものなのだ。ダルーハは、それが許せなかった……息子である君も、そうか?」

「……親父殿に、聞いた事がある」

 ゾルカの問いには答えず、ガイエルは言った。

「19年前の竜退治……その過酷な戦いの日々を共に過ごした、4人の仲間の話をな」

「ほう、ダルーハがそんな話を」

 ゾルカが、嬉しそうな声を出した。

「吟遊詩人たちは、何しろダルーハ1人の事しか謡おうとしないからなあ。私たちだって、多少は役に立ったと言うのに……でもまあ、ダルーハ自身がそれを忘れずにいてくれたというのは喜ばしい事」

「ダルーハの……竜退治の、仲間だと?」

 19年前であるから、モートンも知ってはいる。

 悪しき竜が率いる魔物の軍勢に、ダルーハは単独で立ち向かったわけではない。

 配下と言うか仲間と言うか、そういう者たちによって、一時は部隊規模の戦闘集団を構成していた。最終的には4、5人にまで絞り込まれたようだが、どういう面々であったのか、まではモートンも知らない。

 ゾルカが言うように、ダルーハ個人の武勇だけが語り継がれてしまっているからだ。

「4人の、旅の仲間……その1人はドルネオ・ゲヴィンだな? 俺が殺したが」

「知っている。彼は最後までダルーハに付き合ったという事だ……私と違ってな」

「あんたはダルーハを見限ったか。まあ、あの通りの男だからな」

 ガイエルが笑うと、ゾルカもいくらか哀しげに微笑んだ。

「確かに、昔から傲岸不遜にして傍若無人な男ではあった。そんな男でも、しかし王国の民を本気で救おうとはしていたのだよ」

 実際、救ってくれた。悪しき竜を倒し、王国の民を救ってくれたのだ。

 当時9歳の少年王子だったモートンも、竜退治の英雄ダルーハ・ケスナーには、本気で、純粋に、憧れたものである。

「それが何故、今は……自分で救った王国の民を、こうして苦しめておるのか」

 思わずモートンは、疑問を口にしていた。

「……まるで、己が倒した悪しき竜の魂を、そのまま受け継いでしまったかのようではないか」

「あながち間違ってはおりませんよ殿下。ダルーハは竜の返り血を浴びて1度、死にかけております。どうにか一命を取り留めて目覚めた時には、人間ではなくなっておりました……あの赤き竜の悪しき力を、確かに受け継いでいるとは言えます」

「そんなものが原因ではないだろう。あの男が、ここまで王国の民を憎むようになったのは」

 ガイエルが言いながら、腕組みをした。

「……要するに、先程のような事があったからだな? ゾルカ殿」

「いかにも、そうだ。あの兵士たちを赤き竜に、絡まれていた娘をレフィーネ王女に、店主殿をヴァスケリア国民に、それぞれ置き換えてみれば……ほぼ当時と同じ状況となる」

 ゾルカが、遠くを見つめた。

「あの頃のヴァスケリアの民は、赤き竜を恐れるあまり、我々に非協力的な事この上なかった。情報はくれない、宿を貸してくれない、物も売ってくれない。私たちの隠れ場所を、竜の配下の魔物に密告する。途方に暮れている我々に、毒入りの食物を差し入れる。挙げ句、ダルーハと恋仲であった王女を、竜への生け贄としてしまう」

「復讐、というわけか……」

 モートンの声が、震えた。

「だがな……そんなもの全て帳消しにして余りあるほどダルーハは今、王国の民を殺戮しているのだぞ……!」

 怒りだった。腹の底から沸き起こる怒りの念が、モートンの全てを震わせる。

「どれだけの人間が死んだと思っている! どれだけの税収が失われたと思っている! 自分らも19年前は辛い目に遭った、などと言って全て正当化するつもりではあるまいなあゾルカ・ジェンキムとやら!」

「もちろん、そのようなつもりはありませんよ」

 モートンの怒りを受けても、ゾルカの笑みは穏やかなままだ。

「……良き怒りです、第2王子殿下。民の苦難を憤る、王族の怒り……貴方のような御方がヴァスケリア王族におられる事、本当に嬉しく思いますぞ」

「……聞いていなかったのか貴様。私はただ、税収の激減を憤っているだけだ」

 ヴァスケリアの国民には、とにかく税を納めて、モートンの王族としての安穏とした暮らしを支えてもらわなければならないのだ。

 畑を耕す、などという惨めな生活をしないためにも、1人でも多くの国民に生き残ってもらわなければならないのである。

「まあ、そういうわけだゾルカ殿。モートン王子のためにも、俺はダルーハを殺さねばならん」

 ガイエルが言った。

「……かつての仲間だからと言って、止めたりはするまいな?」

「もちろん。殺してでも止めなければならないのは、ダルーハの方……私とて、奴を見限ったきり傍観に徹していたわけではない」

 答えつつゾルカが、腰の長剣を鞘ごと外し、テーブルの上に置いて見せた。

「ダルーハを止めるべく、私なりの事を試みてはきた。その成果が、この剣なのだが……まずは抜いてみてくれないか、ガイエル・ケスナー」

 というゾルカの言葉に従って、ガイエルがその長剣を手に取った。

 細長い竜の姿が、巻き付くように彫り込まれた鞘。そこからスラリと、白い刃が滑り出す。

 両刃の、厚さと鋭さを兼ね備えた、実に見事な刀身である。その刃を、ガイエルがじっと観察している。

 ゾルカが、さらに言った。

「先程のように、その剣をへし折って見せて欲しい」

「……いいのか?」

「君に素手で折られるようでは使い物にならない、という事さ」

 ゾルカの言葉を受けて、ガイエルは立ち上がった。長剣を左手で構え、右手を手刀の形にしてユラリと揺らす。

 揺れた、と見えた時には、振り下ろされていた。

 抜き身の刀身が、ガイエルの手刀に打たれて震えた。微かに震えた、だけだった。

「これは……!」

 震えの止まった長剣を、ガイエルは目を見開いて、じっと見つめた。

 その刀身は、少しも曲がらず、傷1つ付いていない。

 ガイエルの右腕が突然メキッ! と痙攣した。刃のようなヒレが、ジャキッと広がる。

 右の前腕だけが、あの魔人のそれに変化していた。

 そのヒレ状の刃を、ガイエルはいきなり、眼前の長剣に叩き付けた。

 魔獣人間の肉体をも叩き斬る斬撃を受け、両刃の刀身がまたしても震える。震えただけで、またしても無傷だ。刃こぼれ1つない。

「これは……何なのだ、この剣は」

 ガイエルが、息を呑んでいる。

「ゾルカ殿……あんたが、作ったのか?」

「金属を精製する際に、いくらか魔法的な手段を用いてみたのさ。別の物質を混ぜてみたり、元素の配列を少々いじってみたりと」

 自慢するふうもなく、ゾルカが語る。

「その製法で、剣だけでなく鎧も作ってみようと思っている。腕が良く魔法にも理解のある鍛冶師が何人も、私に力を貸してくれているからね」

「魔法の剣に……魔法の鎧、か」

 ガイエルが呟く。そんな陳腐な呼び名しか、思いつかないようだ。

 もっと何か洒落た名付け方はないものか、とモートンが考えている間にも、ゾルカとガイエルは会話を続ける。

「ガイエル殿、率直な意見を聞きたい……その剣でダルーハを殺す事は、出来るだろうか?」

「長剣一振りだけでは、もちろん無理だ。あんたの言う通り鎧と一揃いになったものを、それも大量に生産し、精鋭戦士の一部隊に装備させる。そのくらいは必要だろうな」

「ふむ……やはり、数を揃えなければならないか」

「その剣を」

 モートンは口を挟んだ。

「貴様が使えば良いのではないのか、ガイエル・ケスナー」

「俺は、素手で叩き潰す戦い方が、身に染み付いてしまっているからな」

 右前腕で刃のヒレを畳み、筋肉と皮膚の下へと収納しながら、ガイエルは応えた。

「剣というものは、例えばティアンナ姫のように正しい技量を身に付けた剣士が正しく使わないと、たやすく損耗する……この剣は切り札だ。俺ごときが振るうべきではない」

 ガイエルは長剣を、竜の巻き付いた鞘へと刺し戻し、恭しくゾルカに返した。

「喜べモートン王子。俺がダルーハに敗れ殺されたとしても、まだ希望がある。こちらのゾルカ殿には、王家の名において最大限の援助を行うべきだ」

「……援助するような力など、だから私にはないと言っている」

 憮然と応えながらモートンは、もう1人の王族の事を思った。

 自分は自分の戦いをする。そんな偉そうな事を、ティアンナは言っていたものだ。

 だが今この王国は、人間など虫ケラ同然に扱う、もはや魔王と呼ぶべき怪物2体の、殺し合いの場と化しつつあるのだ。

(そんな中で、己自身の戦いなど……一体何が出来ると言うのだ、ティアンナよ……)

 


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