このかとほのか
この小説の最後の方に少々の性的描写が含まれています。ご了承の上お読みください。
自分は、すでに死んだと思っている。
自分は、つまらない小説しか書けないからだ。ゆえに、この「小説家になろう」に僕がいると他の皆の小説もつまらなく見えてしまうので、僕は撤退を決めた。自分は、自分は阿呆だと思っている。つまらない小説しか書けない変態だと思っている。自分は、自分を社会のグスだと思っている。
しかしながら、自分は、新たな妄想、言い換えればみんなに対する新しい嫌がらせを思いついた。したがって、その嫌がらせを、平然と皆の前に公表する。
これは嫌がらせではあるが、自分の妄想であることには変わりないので、500ポイントの評価をもらったら連載する。しかし、500ポイントなんで最初からありっこない。つまり、そういうことだ。変態の僕が、再びここにお世話になる義理はないということだ。
しかし、熱意のあるコメントを投稿するならば、連載しないこともない。自分は、高慢な人間であるので、自分の高慢についていける人に、アホの極みの役をお願いしたい。しかし、自分の高慢に耐えられる人に、自分の全てを教えたくはない。なぜなら、自分は意味不明なのだから。
自分は、自分の嫌がらせのためなら、平然と他の作品を盗作する。これも、盗作と理解して読んでいただきたい。
前
灰色の青空の下の灰色の草原に、一人の少年は立っていた。
雲の流れて行く灰色の青空を、少年は見上げていた。
周りは、灰色の山。少年は、その山をも、不満そうな顔をして見ていた。
「美南」
少年がその名を言うと、少年の後ろに控えていた少女は、うなずいた。
「身分についてどう思う?」
美南は、ため息をついて言った。
「そうですね・・・・・・」
美南の目からは、少々の涙が出ていた。
「父の命令には、さからえない」
「分かっております」
美南は、目からあふれている涙を抑えて、その少年の後ろ姿を眺めていた。少年は、えっぐえっぐと泣いていた。
「今日から中学生♪今日から中学生♪」
黒髪の少女は、張り切った声で、道の真ん中をくるくる回る。そして、かばんを天に放り投げ、落ちてきたそれをがしっと受け止める。その少女の制服のスカートは、それにつられて、ふわりと浮いた。
「見えるわよ」
その少女の隣で、眼鏡をかけた、いかにもまじめそうな少女がいた。
「別にいいじゃん」
はしゃいていた少女は、興冷めした。
「でも、公道では人がいるから」
「でも、学校の前だよ」
ぶーとほおを膨らまして、少女は言った。校門の前。たくさんの男子が見ている。眼鏡の少女は、にらんで言った。
「かのんさん、いい加減そういうのはやめていただける?みっともないから」
かのんと呼ばれた少女は、眼鏡の少女をにらみ返す。
「それが何よ」
「何でもよ」
眼鏡の少女は、そのまますたすたと歩いて行ってしまう。
玄関で、かのんは、げた箱の取っ手に手をかける。重い。少し重い。
「今日もか」
かのんは、ためいきをついてげた箱を勢いよく空ける。ばああっと、はじけたように、たくさんの封筒が、狭き空間から噴出してくる。下に落ちた数多の郵便物、いや消印が押されていないから郵便物ではないだろう、を拾い上げる。
「やあ、今日も告白?」
横から別な少女が声をかける。かのんは、黙ってうなずく。
「ほのかちゃん、手伝ってくれる?」
「あはは」
ほのかは、にっこりと言って、しゃがむ。
「今日もたくさんあるね」
ほのかがにっこりと言うと、かのんはむすっと、ほのかをにらむ。
「自分のげた箱、まだ見てないのに」
「あはは」
二人は、にこっと顔を見合わせる。
「小学生の時、学校第一と第二を争っていたからねぇー、」
ほのかが言うと、かのんは力強く言う。
「中学生になっても、負けないから!」
「あはは、返り討ちにしてやる〜」
ほのかはそう言い、立ち上がって自分のげた箱の取っ手に触る。
「あれ?」
取っ手の感触がいつもより異常に軽いのに気付いて、ほのかは驚いた。
「どうしたの?」
かのんが、顔を見上げる。
「ううん、何でもない」
どうしてなのよ。いつもはかのんちゃんみたいにたくさん入っているはずなのに。ほのかは、不審に思ってげた箱を開ける。
ひらりと、一枚の紙が舞い落ちる。ほのかは、その浮遊する紙をつかんだ。その紙は、ちらしのようであった。
「・・・・・・ん?」
”柏原ほのか氏 あなたを専属のメイトに任命します”
B5程度の紙には、それだけ、小さな印字でぼつりと書かれていた。
「はぁ?」
ほのかの眉毛は、吊り上がる。
「ん?どうしたの?その紙?」
手紙を集め終えたかのんが、立ち上がってその紙を見る。
「なーんだ、真っ白」
「えっ?」
ほのかは、驚いた顔をする。
「文字、書いているけど?」
「えっ?書いてないじゃない」
「書いてるわよ、ほら、ここに」
「ほのかちゃん、どうしたの?大丈夫?」
かのんが心配な顔をするので、ほのかは、複雑な顔をしてその紙を折りたたんでポケットに入れると、はあっとためいきをつく。
「やっぱり、引きだったのかな」
家に帰ったほのかは、そんなつぶやきをして、ポケットに入った紙をくちゃくちゃにしてポケットに入れた。それから、机に座り、朝にもらった教科書を開いて、眺めはじめた。
その次の朝、かのんとほのかはいつも通り、玄関で出会う。
「昨日、1つしか来なかったんでしょ?それも真っ白!」
かのんがほのかをあざ笑うと、ほのかもむすっとして返す。
「だまだま、よ!」
ほのかはそう言って、いきおいよく自分のげた箱を空ける。
「・・・・・・ん?」
ひらりと、2枚の紙が出て来たので、ほのかはその紙をつかむ。二枚とも、同じ文面であった。
”柏原ほのか氏 あなたを専属のメイトに任命します”
「何、それ」
かのんがのぞくと、ほのかは言った。
「昨日と同じ」
「何も書いてない」
「わたしを専属のメイトに任命するって書いてある」
「え、どこによ」
「見えないならいい」
ほのかは、その紙をくちゃくちゃにした。
「どうしたの?」
そこを通りかかった眼鏡をかけた少女がたずねると、ほのかはぶいと言った。
「あれよ、あれ。わかる?田辺」
「はぁ?」
田辺と呼ばれた、眼鏡をかけた少女は、しばらくほのかの顔を見ていたが、答えるつもりなしと悟ったのか、無言でそのまま通り過ぎた。それを見て、ほのかははあっとため息をついた。
「どうして、みんな、わたしのことを信じてくれないんだろう」
ほのかはそう言って、さっさと歩き出した。
「待ってよ!」
かのんも、ほのかの後を追う。
「昨日もおとといも、頭がおかしかったのかなあ」
ほのかは、そう言って、げた箱を開ける。4枚。同じ文面。ただ、陳列。
その次の日は8枚。
その次の日は16枚。
その次の日は32枚。
その来週の月曜日は64枚。
その次の日は128枚。
その次の日は256枚。
「ああ、もう!!」
木曜日のげた箱がなかなか開かないので、ほのかは顔を真っ赤にしていた。
「誰よ!どうせ512枚も入れたんでしょ!こんな小さいげた箱に!」
「手伝うよ」
かのんが声をかけると、ほのかは取っ手から手を離すと、はあはあとため息をつく。かのんは、取っ手に手をかける。ふわりと、取っ手があっさり開いたので、ほのかはびっくりする。
案の定、推定512枚と見られるその”手紙””ただの真っ白な紙”は、ぼんと爆発するように、そのげた箱から出る。そこらは、白まみれになった。
「はぁはぁ・・・・・・」
ほのかとかのんは、しりもちをついてため息をついた。
「一体、何がどうなったのよ」
かのんが言うと、ほのかは、かたわらにある一枚の紙を、面倒くさそうに読み上げる。
「柏原ほのか氏 あなたを専属のメイトに任命します」
ほのかはそう言い、紙をかのんへ放り投げる。かのんは、その紙をつかむ。真っ白であったが、かのんは、あえてその事は言わなかった。周りには、人垣ができていた。
後
その日の朝は、やげに賑やかだった。
「今日よ」
田辺がぼそりと言ったので、かのんは明るく言った。
「ああ、昨日先生が話してた転校生」
「あ、思い出した」
ほのかがにっこりと言ったので、かのんはほっとした。
チャイムが鳴ったので、それぞれ、自分の席に着席した。相変わらずスーツ姿の先生が、後ろに一人の少年を従えて、教室に入る。先生は、教壇に立つ。それに合わせて、学級委員長の田辺が号令をかける。
「起立 礼 着席」
生徒達が着席すると、先生はくるっと黒板の方を向いて、ものを書き出した。
”蓮本 姜”
先生はそう書いて、生徒達を向く。
「先週突然この街に引っ越して来た。蓮本姜。名前はキョウとも読むので間違えないように」
あごのひげをいじりながら、その先生は、姜に言った。
「さあ、自己紹介しなさい」
「はい、えっと」
その少年、姜は、そのかわいらしい顔からして、そのかわいらしい体つきからして、女子たちは皆、どきっとしながらお互いを見ていた。
「は、は、蓮本、姜です。え、ええと、よろしくお願いします」
照れているような顔だったのか、姜のほおは赤くなっていた。そんな姜の顔を見て、女子たちの興奮は絶頂に達した。
冷静な田辺は、立ち上がる。
「言葉、支えていませんか?」
あまりにも冷静だったので、女子たちは皆、田辺を見る。
「は、はい、あの、ええと・・・・・・」
しどろもどろする姜に、田辺はにこっとして、優しく言う。
「わたしたちは1年は組です。こちらこそよろしくお願いします」
「ああ、そのセリフ・・・・・・」
女子たちが田辺に向かってぎゃーぎゃー、日本語と思われる言葉をしゃべりだしたので、先生は怒鳴る。
「静粛に!」
女子たちは、一斉に静まった。
「さあ、一番後ろの席に座りなさい」
「はい」
姜はぼすりと言うと、教室の一番後ろまで歩いて行く。沿道の女子は、その香りを一生懸命にかいていた。
「転校生、かわいかったわね」
誰も歩いていない一軒家の連なりの間の下校の道で、かのんがるんるんるんとそう言うと、ほのかもにこっと言う。
「うん、結婚しちゃいたいくらい」
「あはは」
かのんも、笑った。
「それにしても、げた箱の紙切れ、明日は絶対1000枚だよ、どうしよう・・・」
ほのかは、空を見上げながら、苦笑いをする。
「任命」
いきなり、二人の後ろから声がしたので、二人は驚いて後ろを向く。後ろには、姜が立っていた。
「えっ・・・?」
「任命、と言ってるんだけど」
「何に?」
ほのかは、どきっとする。
「その顔は、心当たり、あるでしょ」
姜はそう言うと、ポケットから”紙切れ”を取り出すと、ほのかに示す。
「柏原ほのか氏、あなたを専属のメイトに任命します」
「はぁ?」
姜は、有無を言わさず、ほのかの腕をつかむ。足元が丸く白く光っているのに、ほのかも、かのんも気付いた。姜は、強引に、自分の唇を、ほのかの唇へ押し付ける。
「は・・・・・・?」
かのんは、それを見て氷になった。しばらくの間、二人は固まっていたが、やがて姜が唇を離すと、丸い円の光は消えた。
「は・・・・・・」
ほのかは、かのんと同じく凍てついていた。
「な・・・・・・」
ほのかは、顔を真っ赤にしていた。
「い、いきなり何を、」
かのんがやっとの思いで声をかけるが、姜は無視してほのかに言う。
「ほのかは、これから僕のメイト」
「な・・・ぜ?」
ほのかが言うと、姜はポケットから、茶色の小さな人の形をした人形を取り出す。
「な・・・何それ」
姜は、だまってその人形を、片手で揉みだした。
「ああっ・・・」
ほのかは、その場にばたんと倒れた。
「痛い!痛い!」
ほのかは、その場にのたれまわった。
「ほのか!」
かのんがほのかの体へ飛びつこうとするが、姜は柔道の要領でかのんを押し倒す。その姜の顔は、冷酷な目であった。
「あっ・・・」
姜に押し倒されたかのんは、顔を真っ青にする。
「僕は、おっぱいが好き」
姜がいきなりとんでもない事を言い出したので、かのんはこおりついた。
「もっとも、中学生は貧乳群だけど」
「な・・・何を」
かのんは、大きな声で怒鳴る。
「ひ、人の体で遊んでいたの!今まで!」
「さあ。でも、貧乳もそれはそれで好みかな」
姜は、平然とした顔で、嫌がるかのんの胸へ、手をかけようとする。
姜は、いきなり吹っ飛んで、塀へ体当たりする。
「えっ・・・・・・」
かのんは、上半身を起こす。
「た・・・田辺さん」
かのんの前には、田辺が立っていた。
「田辺さん」
ほのかが立ち上がってその名を言うと、田辺はぼそりと、姜に向かって言う。
「学級委員長として警告します。二度と、このようなことをしないでください」
田辺が気強く言うと、圧された姜は、ゆっくりと立ち上がると、田辺をにらむ。
「もう、しません」
「なら、早急にこの場を立ち去りなさい」
「はい」
姜は、かのんをにらみつけながら、その場を歩き去った。反省していない。絶対反省していない。かのんは直感でそう思ったが、田辺は、わなわな震えているそんなかのんに、声をかけた。
「どっちで怒っているかは分からないけど」
田辺は、数秒間を置いて、続けた。
「一人にかまっていたら、人生に嫌われるわよ」
「そ・・・・・・そうね」
かのんも、少々落ち着いたのか、ゆっくりと立ち上がった。
「で、でも、わたしは・・・」
ほのかは、うつむきながら、自分の唇をハンカチでこすりながら言った。
「・・・・・・最低」
「明日、特別会を開いて、そこで議論する。落ち着いて」
「はい・・・・・・」
ほのかは、涙をすくう。
「行こう」
かのんがほのかに声をかけると、ほのかは、目の周りの涙を手の甲でふくと、にっこりと言った。
「うん・・・・・・!」
二人は、再び歩き出した。その二人を、田辺は後ろから眺めていた。
「なぜ、邪魔をするのですか」
田辺の後ろから、姜の声がした。
「まだ行きすぎで、あんな事を繰り返してしまうかもしれないからです」
「うっ・・・・・・」
姜の声は、もう、それ以上は出なかった。
終
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