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奇術師の予言
作:七夕夜想曲



第八話 青子の言葉


「あれっ、あの三人はどこに行ったの?」
三人で昼食を準備していた時、蘭が和葉と青子に聞いた。
「あの三人なら『絶対上がって来んな』って釘さして、二階に行ったみたいやで。」
野菜を切りながら、和葉が答えた。
「うん。この前みたいに聞かれたくないからって、快斗が言ってたよ。」
青子も和葉に続いて言った。
「そういえば、青子ちゃん、あの後、快斗君になんて言ったの?」
蘭が鍋を火に掛けながら、青子に聞いた。
「あの後って?」
青子が首を傾げた。
「新一と快斗君との話を聞いた後の事よ。」
すると、青子がなぜか顔を赤くした。
「・・・言わなくちゃいけない?」
青子が小さな声で言った。
「ちょっと聞きたいなって思って。」
しばらく迷っていた青子だが、ゆっくりと話し始めた。





  



   快斗って、怪盗キッドなの?








快斗が二階で新一と平次に話している。
奇遇にも、男三人もその話をしていた。
「っと、こう言われたときは、心臓が止まるかと思ったぜ・・・」
快斗が続けた。
「天下の怪盗キッドも、青く美しい花の前には『形無し』って訳か?」
新一がそう言うと、快斗は赤くなりながらも、やり返した。
「うるせぇ!お前だって『蘭』という名前の花には、敵わねーだろ?」
ダイヤモンド・カット・ダイヤモンドの始まりである。
「・・・言ってくれるじゃねーか・・・」
新一も負け劣らず顔を赤くしている。
それを見て平次が、横槍を入れた。
「ほんま二人とも似たもの同士やな。隠事して、愛しの彼女を泣かせたり、
同じ組織を追っかけたり、それから容姿もやな。」
「「うるせー!」」
二人が同時に怒鳴った後、快斗が咳払いをして話をもとに戻した。
「・・・まあその辺はいいとして、続けるぞ?」









「快斗って、怪盗キッドなの?」
唐突に告げられたその言葉。
快斗は言葉を失った。
青子は尚も続ける。
「さっき、コナン君と・・・じゃなかった、工藤君と話してるの聞いてたんだよ・・・」
青子が静かに言った。
「!」
誰よりも一番、知られたくなかったひと
しかし、彼女は知ってしまった。
「ねぇ、答えて・・・快斗・・・」
沈黙が訪れた。
「・・・ごめんな青子、ずっと黙ってて。」
しばらくして、快斗が言った。
それは肯定の言葉。
(俺はどうすればいい・・・)
犯罪者である以上、青子のもとから去るしかない。
だが、どうして最愛の女性のもとを、去ることができるだろうか。
考えが堂々巡りしていると、急に青子の手が快斗の背中に回された。




(離したくない・・・)
青子はそう思っていた。
自分が問いただせば、快斗はきっと姿を消してしまう。
そんなことは分かっていた。
二度と会えなくなるかもしれない。
それも分かっている。
しかし、青子は彼に問い掛けた。
彼と隠し事なんて、絶対にしたくない。
その一心で・・・
だが、行動と裏腹に彼と離れたくないと思った。
彼の別の姿が犯罪者であろうと構わない。
快斗の替わりなんて絶対にいない。
ずっと一緒に居たい・・・
気が付いたら、彼を思いきり抱きしめていた。
「快斗・・・お願い!どこにも行かないで!ずっと青子の傍に居て・・・」




「青子・・・」
目の前の少女は涙を流しながら、ますます強く抱きしめてくる。
(どうして俺を・・・)
ずっと騙していたというのに。
自分は犯罪者であるというのに。
どうして青子は自分を必要としてくれるのだろうか。
「・・・本当にいいのか?俺なんかが傍にいて・・・」
思っていた疑問を青子に尋ねた。
青子は頷いた。
「・・・本当だよ快斗、ずっと傍にいて、青子は・・・」





    青子は快斗が好き・・・





「・・・今の俺が言えるのか分からねーけど、俺もだぜ青子。ずっと、ずっと青子が好きだった。」
夜も更けた街の中、二人は抱きしめ合った。
そして快斗は、彼女だけは何があっても絶対に守ると誓った。




「・・・へぇ、青子ちゃん大胆ね。」
蘭が微笑ましそうに笑って言った。
「ほんまや、アタシやったら道端でそんなことできへんわ・・・」
和葉はため息を吐きながら言った。
いまや青子の顔は、名前とは反対に真っ赤に熟れたりんごのようだ。
「ちょっと、やめてよ二人とも・・・それに、そろそろ火をとめなきゃ。」
見れば、たしかに鍋が沸騰している。
そのとき二階から新一、平次、快斗が降りてきた。
「蘭、ちょっと博士の家に行って来るぜ。データを一通り確認したから。」
新一が台所の蘭に向かって言った。
「もう少しでできるから、お昼ご飯、食べて行きなさいよ。冷めるとおいしくないしね。」
蘭が新一に言った。
「いや、ちょっと急ぐんだけど・・・」
しかし、和葉が新一に言った。
「工藤君、あかんで。いままで騙しとったんやから、そのぐらい聞くんがあたりまえやろ?」
それに加えて横から平次が口を挟んだ。
「そやな、食ってからでも遅くないし、和葉の腕前にしっかり文句言ったるか。」
「なんやて!」
平次の余計な一言から、いつもの夫婦漫才が始まった。
(おいおい、またかよ・・・)




そのおかげで昼食が予定より遅れたのであった。








更新が遅れてすみません。
なかなか話が進みませんが、次回は少し進展がある予定です。
大阪弁のつっこみ・ご意見・ご感想などございましたら、ご遠慮なくお願いします。
今後も『奇術師の予言』をどうぞよろしくお願いいたします。











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