第三十四話 P.S. I LOVE YOU
「お姉ちゃんが妊娠してた・・・・・・」
「そうだ・・・・・・」
重苦しそうに口を開いた。
「明美が殺された後に知ったことだ。不本意ながら、この組織の名前を出して司法解剖の結果を聞き出した・・・・・・父親が誰かはすぐに分かった。ベルモットから報告を受けていたからな・・・・・・」
「なるほど・・・・・・あなたは我が子を殺された父親の怒りに怯えていた・・・・・・」
「その通り・・・・・・」
沈黙が訪れた。
「・・・・・・もう一つ聞きたいんですが・・・・・・」
新一が言った。
そして、厚史の横にいる女の方を見た。
「これはアンタにだ、ベルモット」
そして、こう言った。
「・・・・・・ジョディ先生に代わって聞く・・・・・・どうして歳をとらないんだ?」
「ジョディ、そっちはどうだ?」
『50パーセントは制圧したわ・・・そっちは?』
「順調だ、それから二十一階に大きな獲物が寝ころんでるぜ・・・誰かに確保させてくれ、俺は上に行かないと行けないからな・・・・・・」
『OK!ヘイジに行かせるわ』
「了解」
通信が終わると携帯のメールを開いた。
愛しい人が自分に最後に送ったメールを・・・・・・
P.S.
普通の生活を望んでいます。貴方の子供と一緒いるような・・・・・・愛してます
「・・・・・・どこから話せばいいのかしらね・・・・・・」
ベルモットはしばらく考えていた。
「簡単に言ってしまえば、薬の人体実験の結果こうなったのよ・・・・・・」
「・・・・・・人体実験・・・・・・」
「十一年前のことだ・・・・・・」
厚史が言った。
「薬品研究は私が抜けてからは、格段に効率が落ちていた。私が発見した理論を下地にした研究で、当の本人が抜けたんだから当然の結果だろうな・・・・・・そんな中、長い年月を掛けてある薬が出来上がった。そして、それをベルモットに投与した。」
「その薬はまさか・・・・・・」
「ああ、不老不死薬APTX4869Bだ・・・・・だが、完全ではなかった。なぜなら・・・・・・」
「不老ではあるけど、不死ではないから・・・・・・」
厚史の後をベルモットが継いだ。
「その薬は、細胞を永遠に再生するという目的は達成できていたわ。でも制作側も思いも寄らない欠点があった・・・・・・それは、体内の免疫が徐々に壊れていくというもの・・・・・・」
ベルモットはそう言った。
「その結果が今の私に状態・・・・・・確かに年は取らないけど、いつ免疫に限界が来て死ぬか知れない、いわば免疫不全状態・・・・・・」
「原因は不明だった。対処方法もない。少なくとも私の頭ではどうにもできなかった・・・・・・」
厚史はそう言った。
「・・・・・・それで、アンタは容貌が変わらないという事を世間に気付かれない為に、一人二役で『シャロン』と『クリス』を演じ分け『クリス』の存在を世間に定着させた。そして、頃合いを見て『シャロン』を死んだことにし『クリス』として生きることにした・・・・・・」
新一はそう言ってさらに続けた。
「そして、アンタは自分をこんな体にした研究とそれを引き継いだ宮野を憎んでいた。それで、港で当時の灰原を殺そうとした・・・・・・」
それを聞いたベルモットはどういう訳か、少し口元を緩めた。
「さすがは東の高校生探偵なだけあるわねCool guy。でも最後の一行だけは間違いよ、確かに研究の続行には反対していたし、憎んでもいたわ。それでも彼女を殺したいとまでは思わなかったわ・・・・・・」
「・・・・・・どういうことだ?」
新一は眉を吊り上げた。
「相手に銃を向けておきながら、殺意はなかった?ふざけるのもいい加減に・・・・・・」
言い終わる前にベルモットが二つ目の銃を放って寄こした。
「その時に使おうとした銃よ・・・・・・」
新一は仕方なくその銃を調べた。
だが、そうしている内に顔色が変わっていった。
「・・・・・・なんてこった・・・・・・」
銃から取りだした弾丸を手にし、しげしげと眺めている。
「・・・・・・麻酔針が埋め込まれてる・・・・・・」
「えっ?」
そう言って志保もそれを見た。
「それだけじゃねぇ・・・・・・」
そういうとその麻酔針を引き出した。
「・・・・・・博士が作ったやつにそっくりだ・・・・・・」
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