第二話 依頼人
「ふぅ・・・」
鍵の掛かった毛利探偵事務所の前でため息をつく一人の少女がいた。
「あっ、蘭ねーちゃんお帰り!」
「えっ?」
その少女は驚いてコナンをまじまじと見た。
(蘭ねーちゃん?それにこの子どこかで・・・あっ!)
「坊や、江戸川コナン君でしょ?お父さんがいつも褒めてるよ。『キッドキラー』って」
「えっ?」
今度はコナンが驚く番だった。
「私、中森青子。お父さんはキッド専任の警部の中森銀三よ。」
「あ、中森警部の娘さん。」
(それにしても蘭にそっくりだな・・・違うのは、セーラー服って事と、髪型ってとこか?)
「それで青子ねーちゃん。小五郎のおじさんに用事?」
「うん。ちょっと探してもらいたい人がいるんだけど・・・」
青子の笑顔が急に曇った。
「おじさんは出張で明日までいないよ。」
「えっ!?毛利探偵いないの?・・・どうしよう・・・」
「あっ、コナン君おかえり。」
「蘭ねーちゃん、おかえり。お客さんだよ。」
今度は本物の蘭が帰ってきた。
「・・・あなたどこかで見たような・・・」
蘭が青子を見ていった。
「うん。蘭さんだっけ?だれかに似てるような・・・」
青子もそう言ったきり考え込んでしまった。
(ハハハ、二人共がお互いに似てんだよ・・・)
「・・・へぇ、私と同い年なんだ。『青子ちゃん』って読んでいい?」
「うん。青子も『蘭ちゃん』って読んでいい?」
場所は喫茶店ポアロ。
小五郎が事務所の鍵を持っていってしまっていたので、やむを得ずそこで話をすることになった。
(・・・打ち解けるの早いな・・・)
横でアイスコーヒーを飲みながらコナンは思った。
思えば和葉の時も『平次の浮気疑惑』が解けた途端、二人は意気投合していた。
「それで青子ちゃん、お父さんに何の依頼?」
その話になった途端、青子の笑顔が曇った。
「・・・人捜しをお願いしたいの・・・」
そう言うと一枚の写真を取りだした。
「名前は黒羽快斗。青子の幼なじみで、江古田高校二年生。」
「・・・・・・」
蘭は食い入るように写真を見つめている。
「蘭ちゃん、どうかした?」
「あっ、ごめん。私の幼なじみにそっくりだったから。」
蘭は慌てて笑顔を取り繕った。
「いつから行方不明なの?」
「三日前の夜から。家にも誰もいないし、学校にも来てないの。」
蘭には青子の今の気持ちが良く分かった。
自分だって新一を待っている身なのだ。
青子の不安な気持ちはよく分かる。
「ねぇ、この人ってマジックするんじゃない?」
「「えっ!」」
いつの間にかコナンが写真を持っていた。
「うん。快斗はマジックが得意だけど・・・どうしてわかったの?」
青子は驚いて聞いた。
「簡単だよ。この快斗って人が写真の中で手に持ってるトランプは『バイスクル』っていって、
世界中のマジシャンが使ってるトランプなんだ。このトランプは普通のトランプに比べて少し高いんだけど、
その高いトランプが写真のテーブルに三個も積んであるってことは、
この快斗って人もマジックするんじゃないかと思って。」
コナンの知識に蘭も青子も唖然とした。
「さすが『キッドキラー』の小学生ね・・・」
「こういう所は新一にそっくりなんだから・・・」
(悪かったな・・・それより・・・)
どこかで見たような気がするんだよな。
いや見ただけじゃない実際に会ったような気もする。
そして・・・
(なんで懐かしい気がするんだ?)
「・・・えっ!蘭ちゃんの幼なじみって、あの有名な高校生探偵の工藤新一なの?」
「うん。でも私に言わせれば推理小説のためなら、徹夜でもなんでもする『大馬鹿推理之助』だけどね。」
「あー、青子も分かる。快斗もマジックのネタのためならなんでもする、『マジックおたく』だもん。」
すっかり打ち解けた二人は互いの幼なじみの愚痴をこぼしあっている。
(お前らなあ・・・)
「・・・その辺にしとけよ。」
「「えっ!」」
気が付くと三人のテーブルの傍に、一人の高校生が立っていた。
「か、快斗!」
青子が大声をあげた。
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