第十八話 折り鶴とフロッピー
─翌日
「・・・灰原の見舞い?」
放課後、いつものように下校していた矢先の事だった。
「そう、みんなで一緒に行ってこれを渡そう、って言ってたの。」
歩美が手に持っている折り鶴を見せた。
「そりゃ、良いけど、病院内であんまり騒ぐんじゃねーぞ。」
「「ハーイ!」」
(・・・病人でもないのに、なんか毎日通ってるな・・・)
そう思いながらビラを配っている女の人の前を通りすぎた。
「・・・毎朝新聞号外でーす!」
─米花総合病院
「・・・えっ?」
コナンは病室のドアを開けたが、中の様子にそのまま動きを止めてしまった。
「灰原・・・それは?・・・」
指差す方にはトランクが置かれ、本人は荷物をまとめている。
「見て分からない?今日で退院よ。」
哀は事も無げに答えた。
「おめー、大丈夫なのか?二週間入院の予定だったんだろ?」
「大丈夫よ、子供の皮膚は再生能力が高いらしいから・・・せっかく来てくれた吉田さんには悪いけど・・・」
そう言ってコナンの後ろの歩美を見た。
「・・・あれっ、元太と光彦はどうしたんだ?」
いつの間にか二人はいなくなり、そこには歩美が一人で立っていた。
「トイレに行ったみたい・・・はい、哀ちゃん!」
そう言うと歩美は折り鶴を差し出した。
「ごめんね、こんな物しかなくて・・・」
「そんなことないわ、ありがとう。誰かさんの奇妙なお土産より、よっぽどましよ。」
哀はそう言いながら意味ありげな顔でコナンを見た。
(ハハハ・・・)
「奇妙っていったら、今会った人も変な人だったぞ。」
ドアが開き、元太と光彦がやってきた。
「何かあったの?」
哀が聞いた。
「さっきトイレから出てきたとき誰かにぶつかってよ、こういわれたんだよ『お元気ですか?』って。」
「だから、それはその人が外国人だったから間違えたんですよ。」
「外国人?」
コナンが間に入って聞いた。
「ええ、帽子で顔はよく見えなかったんですけど、金髪でしたし、日本語のしゃべり方が少し変でしたから。」
光彦が答えた。
「・・・・・・」
「『大丈夫ですか?』と『お元気ですか?』・・・確かにニュアンスは似てるわね。」
哀はそう言いながらトランクを閉めた。
「みんな、お見舞いありがとう。私は大丈夫だから、もう帰った方がいいわよ。時間も遅いし・・・」
哀は時計を見ながら言った。
「じゃあ、またね明日ね、哀ちゃん。」
「学校で会いましょう。」
「遅刻すんなよ。」
そう言って三人は帰っていった。
「・・・・・・・工藤君・・・」
「ああ、分かってる、あとはどう接触するかだな・・・」
「・・・あ、新一、お帰り。」
「ああ、ただいま・・・おっちゃんは?」
「旅行の写真をみんなに見せてくる、って出ていったわよ・・・どうせそれを口実に飲みに行くんだと思うけど・・・」
「ハ、相変わらずだな・・・」
そう言いながらランドセルと一緒に眼鏡もテーブルに置いた。
「それで、どうだった、学校は?」
「・・・おめー、からかってんだろ・・・」
新一がそう言うと蘭は悪戯っぽく笑った。
「人生で二回目の小学校生活を満喫してるんじゃないかと思って。」
「あのなぁ・・・」
蘭は話しながら、キッチンで夕飯の支度をしている。
「・・・でも、良いことも少しはあったよな・・・」
突然言った。
「・・・例えば、蘭の手料理が毎日食えるとか・・・」
新一は無意識にそう言ってしまってから、その意味に気づき、途端に顔を赤くした。
「えっ・・・・・・」
蘭も顔を真っ赤にして、お互いにしばらく何も言えないでいた。
「・・・バカ・・・」
しばらくして蘭がポツリと呟いた。
─とあるバー
「・・・待たせたな、ジン・・・」
「気にするな、スネイク・・・」
一人の男がカウンター席に加わった。
「ところで例のことだが・・・」
「ああ、まかせろ、こっちには狙撃の名手が二人もいる・・・二匹の大きな青と黒の鳥の前では、さすがの気障な白い鳥でも敵わないだろうよ・・・」
|