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奇術師の予言
作:七夕夜想曲



第十話 ベルモットと狙撃者


「博士、車を出してくれ!」
追跡眼鏡をポケットから取り出し、電源を入れながら新一が言った。
「よし、分かった。」
博士はガレージに向かった。
「それから・・・」
平次と快斗に向き直った。
「二人はここにいてくれ。巻き込むわけにはいかない。」
しかし、一筋縄に事が運ぶわけがなかった。
「アホ!今までにも、散々巻き込まれとるんやで!今更何を言うんや!」
「おい、新一。そいつらは俺の敵でもあるんだぜ。」
当然のごとく、二人は不満の声を上げた。
「いいから、聞け!」
新一が二人を制した。
「灰原を誘拐したのは、多分ベルモットだ。前回みたいに、俺相手なら多少手加減するかもしれないが、
おまえら二人はそうはいかない。特に快斗、もし仲間がいて、お前が『工藤新一』に間違えられてみろ。
その場でお前はあの世行きだぞ!」
「・・・・・・」
「・・・・・・分かった。俺達はデータの見直しをしとく・・・気を付けろよ、新一。」
新一は頷いて、ガレージに向かった。



「・・・哀君の現在位置はどこじゃ?」
博士が助手席の新一に聞いた。
「・・・ここから十キロの地点だな・・・その交差点を右に。」
それだけ言うと、新一は携帯電話のボタンを押した。
「・・・ジョディ先生、実は・・・」




(ここは?・・・・・・)
意識が戻った。
どうやらここは、廃ビルの地下駐車場のようだ。
見知らぬ車の後ろの地面に、哀は寝かされていた。
(どうしてこんな所に?・・・)
疑問が『どこ』から『なぜ』に変わったところで、車から降りてきた人物が銃口が向けてきた。
「・・・ベルモット・・・」
記憶が一挙によみがえって来る。
散歩中に後ろから声をかけられたこと。
そして、その次の瞬間、口に布を当てられたこと。
「裏切り者の処刑が始まるわよ・・・シェリー・・・」
そして一発の銃声が響き渡った。









『哀ちゃんが、誘拐された!?』
「多分犯人はベルモットだ。急がないとまずい・・・」
『分かったわ、FBIも動いてみる。』
「ありがとう先生。・・・現在、発信器の位置は天海ビルの地下駐車場。」
『OK!』
新一は携帯を切った。
(間に合ってくれよ・・・)







「・・・くっ・・・」
腕から血が流れる。
ベルモットが撃った最初の銃弾は、哀の右腕に当たっていた。
痛みに顔が歪む。
「・・・次は外さないわよ・・・」
ベルモットは引き金に指をかけた。
哀は思わず目を瞑った。
 
 ズキューン

再び銃声が響いた。
しかし、撃たれたのはベルモットの銃の方だった。
銃が腕を離れて飛んでいく。
「その子はあきらめろ、ベルモット!」
銃弾の飛んできた物陰から声がした。
しかし、その声は・・・
「赤井秀一!?そんなばかな!」
先日、殺したはずの赤井秀一の声だった。
ベルモットは予備の小銃を取り出し、物陰に近寄った。

・・・そこには誰もおらず、代わりに小さな機械が落ちていた。
(・・・これは?)
だが、それを拾う間もなく。
一台の車が駐車場に入ってきた。
「動くな、ベルモット!」
新一が時計型麻酔銃を構えながら言った。
「抵抗しても無駄だ。もうすぐFBIも来る。」
(じゃあ、さっきのはFBI?・・・どちらにしろ逃げるしかないわね・・・)
ベルモットは、新一が麻酔銃を撃つより先に車に乗り込んだ。
そして博士の車が来た方向とは、反対の出口から逃走していった。
「くそっ、逃がしたか・・・」
「新一君、わしは哀君を病院に運ぶぞ。」
「ああ、博士頼んだ。」





(・・・なんだ?)
新一はさっきの機械を拾った。
(これは・・・変声機?・・・!)
「コナン君!大丈夫なの?」
ジョディが到着した。
「うん、でも灰原が撃たれて、今病院に運ばれてるよ。」
「・・・そう・・・何か手がかりは?」
「・・・何もないよ・・・」
新一は、変声機のことについては、なぜか何も言わなかった。
「・・・私たちも病院に行きましょう。」
「・・・うん。」








「・・・作戦は失敗したわ、すぐに逃げなさい。それに赤井秀一のふりをして、
私たちを動揺させようとする人間がいるみたいよ・・・」










「博士、灰原の具合は?」
新一は処置室の前にいる博士に聞いた。
「おぉ、新一君にジョディ先生。詳しいことは分からんが、命に別状はないみたいじゃ。」
「そうか・・・良かった。」
─二時間後
「・・・終わりました・・・」
処置室から出てきた医者が言った。
「幸いにも、骨に異常は見られませんので、二週間ほど入院すれば大丈夫でしょう。」
どうやら筋肉の損傷だけですんだらしい。
三人は、哀が担架に乗せられて病棟に運ばれるのを見てから、しばらくして部屋に入った。
「調子はどうじゃな哀君?」
「今はいいわね、麻酔が効いてるからだとおもうけど。」
哀は上半身を起こして言った。
「・・・哀ちゃん、急で悪いんだけど、事件の話し聞かせてくれないかしら?」
ジョディが聞いた。
「えぇ、いいですよ。」
哀は散歩中に話しかけられたところから、話を始めた。









灰原 哀の奪還劇。
お楽しみ頂けたでしょうか?
次回は謎のスナイパーの正体を巡って男三人の推理が冴えます。
お楽しみに。
ちなみに『天海ビル』というのは日本を代表するマジシャンの一人である、石田天海氏の名前から拝借しました。
ご意見・ご感想・ご指摘などありましたらご遠慮なくお願いします。
今後も『奇術師の予言』をどうぞよろしくお願いいたします。











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