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宇宙人がいる社会

SFの略は、「スペキュレイティブ・フィクション」と「社会・フィクション(敢えて”社会”は日本語)」って事で、よろしくお願いします。
 僕の住む町では、宇宙人がいる…… 事になっている。そして、宇宙人がいる事になっているからには、それに対抗する為の組織も存在する。その名を『宇宙人対策委員会』という。宇宙人対策委員会は、僕の町にある組織の中ではとても大きな組織で、町の中核になってすらもいる。
 もう随分と昔から、宇宙人対策委員会(以下、対策委)は僕の住む町にある。対策委の歴史は古い。皆は「宇宙人に対抗する為には仕方ない」と言って、宇宙人対策委員会の維持の為に、お金を出しているのだ。
 対策委の主な活動内容には、もちろんパトロールや監視などもあるのだが、そういった直接的なものだけに限らず、例えば、農業畜産といった食糧生産、道路や公共施設の建設などのインフラ事業、その他、医療福祉事業などなどと幅広く関わっていた。宇宙人への対策の為には食糧生産を疎かにする訳にはいかないし、公共施設が整っていなければやはり弱味になる。医療福祉だって、もし仮に病原菌を用いた攻撃を宇宙人がしてきた場合には効果を発揮するし、戦闘による負傷者を治療する場面でも重要になって来る。だから、対策委ではそれらの機能の充実に力を入れているのだ。
 その昔、対策委はパトロールなどしか行っていなかったそうなのだが、「宇宙人対策の為には食糧の確保は重要だ」という提案から始まり、徐々にそういった別分野の機能拡充も担当するように成長していったらしい。もちろん、対策委のメンバーが直接そういった分野で働くケースは少ないが、その関わりは深かった。関わる分野が拡がる度に、宇宙人対策費は増額されていったが、やはり住民の皆は「宇宙人に対抗する為には仕方ない」と言って、それに納得してくれたらしい。もっとも、多少の反対はあったみたいだけど。
 ただ、近年では、その様相が少しずつ変わってきている。従来は“1.まず、目的が公表され、2.住民が納得をし、3.それからその為のお金を集める”という流れで行われていた対策費の増額プロセスが、いきなり何の説明もなく“お金を集める”から入るケースが多くなってきているのだ。その場合、怒った住民が強く説明を求め、それから対策委が渋々目的を発表するという流れになるのが常なのだが、それが苦しい言い訳のような内容の為、住民から不満の声が出る場合がほとんどだった。対策委はそれでも、強引に押し切ってしまうのだけど。
 「昔の対策委は、こんなんじゃなかったのに……」
 などと、僕のお爺ちゃんはよく愚痴っている。お爺ちゃんによれば、“ゴラルド鈴木”という人が宇宙人対策委員会の委員長になった辺りから変わり始めたのだという。ゴラルド鈴木は、自らの身内や仲間などで委員会の上層部を固めてしまい、強い権力を手に入れていると言われている。それでこんな横暴がまかり通っているのだ。対策委は、農業、公共施設、医療福祉などの各方面に影響力がある為、そのトップにいるゴラルド鈴木グループには皆、逆らえないのだ。
 だから僕は、ある日、「ゴラルド鈴木さえいなければ、この社会はもっと良くなるのにな」と、そう近くの家に住むオリバー・セルフリッジさんに言ってみたのだった。ところが、セルフリッジさんは、その僕の言葉に対し、
 「そうとばかりも言えないと思いますよ、ロマス高橋君」
 などと返すのだった。僕は当然、それを不思議がった。
 セルフリッジさんは、外国から来た人で、社会や文化を研究している学者さんらしい。彼は僕の住むこの町を、とても面白いとそう言ってくれている。この人は、背は高いけど痩せている上にとても優しそうな顔をしているものだから、少しも怖くなくて、僕は何度か会ってすっかりと仲良くなってしまった。
 「どうして? ゴラルド鈴木は悪くないっていうの?」
 僕がそう疑問を口にすると、セルフリッジさんは、首を横に何度か振り、それからニコニコと笑いながらこう言った。
 「いいえ、違いますよ。ゴラルド鈴木さん達には明らかに問題があるでしょうね」
 「じゃ、どうして、ゴラルド鈴木がいなくなっても変わらないと思うのさ?」
 「僕が言いたいのは、仮にゴラルド鈴木さん達がいなくなったとしても、権力を抑える仕組みがなければ、いずれはまた同じ様な体制になってしまう、という事ですよ。
 権力には、集中してしまい易いという特性があるのです。権力を握った者は、当然、自分達にとって有利な体制を作ろうとするでしょう? すると、それによって更に権力が強くなり、もっと有利な体制を作る。すると、更に権力が強くなり… という正のフィードバックが起こり、権力は一部に集中をしてしまうのです。
 ゴラルド鈴木さん達のように権力を欲する人達は何処にでもいます。彼らは何も特別な人達という訳ではないのですよ。本来は、それほど悪い人達でもないのかもしれない。ですが権力を握れば人は狂います。人間とはそういうものです。ならば、問題の根本原因は、ゴラルド鈴木グループの横暴という表層ではなく、権力を抑える仕組みがないという点だと判断するべきでしょう。権力を握りさえしなければ、彼らも皆から嫌われる存在にはなっておらず、何処にでもいる普通の人達だったのですから」
 そのセルフリッジさんの言葉の意味を、僕は理解したようなしていないのような変な気分になった。分かるけど、上手くイメージし切れないというか。
 だけど、とにかく、僕はその時にこんな事を言った。
 「じゃ、これから、権力を握れないような仕組みを作れば良いってこと?」
 「いえいえ、既にゴラルド鈴木さん達に権力を握られてしまっている今の状態では、そもそも権力を抑える仕組みが作れないですからそれは無理でしょう。
 大きな変化。まぁ、革命が起こるのを待つしかないでしょうね」
 そう語るセルフリッジさんの表情は、少しだけ寂しそうに思えた。ただ、それから顔を明るくすると、彼はこう続けた。
 「しかし、ま、革命と言っても、ここに住む人たちは穏やかな人達が多いですから、それほど悲惨な事にはならないかもしれませんが」

 それからしばらくが経った、ある時だった。
 新聞に大ニュースが掲載された。ゴラルド鈴木達が、宇宙人対策費を不正に搾取し、その一部を自らの財産にしてしまっていた事が発覚したのだ。
 しかも、「あなた達の搾取の所為で、費用不足に陥り、宇宙人対策が疎かになるのではないですか?」という記者の質問に対し、苛立ったゴラルド鈴木はこんな答えをしてしまったのだった。
 「馬鹿か。そもそも宇宙人など、存在しているはずがないではないか!」
 当然、この発言は物議を呼んだ。実を言うのなら、それまでも密かに議論されていた事ではあったのだ。“宇宙人はいるはずだ”と皆が思っているから“いる”事になってはいるけど、誰もその存在を証明できてはいない。
 いや、もちろん、目撃証言なんかはあるよ。夜中歩いていたら、小さな全身真っ白の人間を見たとか、UFOが飛んで行ったとか、変なチップを身体の中に埋め込まれたとか、その手の話はたくさんある。でも、何と言うか、社会的に認知されるレベルの決定的な証拠は一つも出て来てはいなかったんだ。
 “――果たして、宇宙人は本当にいるのか?”
 ゴラルド鈴木グループへの不満や不信感も手伝って、その疑問は皆の中で大きくなっていったようだった。そしてやがて、およそ宇宙人対策委員会が発足してから、初めての“対策費の不払い”という問題が発生してしまったのだった。対策費が集まらない。それはそのまま、宇宙人対策委員会の維持ができない事を意味していた。
 もちろん、払っていない者は注意をされたのだけど、
 「対策委員のトップが、そもそも宇宙人の存在を否定しているのに、どうしてその対策費を支払う必要があるのだ?」
 と、そう文句を言われれば、もうそれを咎める事はできなかった。まぁ、そりゃ、そうかもしれない。僕だって払いたくないもの。そういう人達が現れれば、「ならば自分も」とそれに倣って、対策費を払わない人が更に増えた。するとそれを見て更に不払いが増える。そして、そうして、呆気なく宇宙人対策委員会は、存続不可能寸前の状態にまで陥ってしまったのだった。
 当然、責任を取る形で、ゴラルド鈴木は委員長を辞任、重要ポストにある各種役職のお偉方もそのほとんどが更迭されたり辞任に追い込まれた。しかし、それでも宇宙人対策費の不払い問題は解消しなかったのだった。当然、宇宙人対策は行えない。それを心配する人達もたくさんいた。
 「もし、宇宙人がいたら、一体、どうするのだろう?」
 「このチャンスに、奴らは攻め込んで来るのじゃないか?」
 ただし、今のところ、宇宙人に怯える心配はなさそうだった。攻め込んで来るどころか、相変わらずに姿を見せる兆候すら見せない。

 「セルフリッジさんは、どう思う? 本当に宇宙人はいないと思う?」

 そんな頃、僕はセルフリッジさんにそう質問をしてみた。すると、彼は少しだけ困った顔をして、こんな返しをするのだった。
 「僕がどう思っているかは別問題にして、少なくとも宇宙人が“いない”と証明する事はできませんよ」
 僕はそれを不思議に思う。
 「どうして?」
 「そもそも“ない事”を証明するのは、極めて困難だからです。これは“悪魔の証明”などと呼ばれているのですがね。
 例えば、地球に宇宙人がいない事を証明する為には、この地球のあらゆる場所を未知の観測手段を含めてのあらゆる手段で観測しなければいけません。これは事実上不可能です。もちろん、他の幽霊や未知動物や犯罪原因説なども同様ですね。ない事の証明は極めて難しい。時折、これを知らない人が、ない事を証明できたかのように言う場合がありますが、だからそれは疑った方が良い。
 そして、だからこそ“ない事”の証明が不可能である点を根拠とするような主張には警戒をするべきなのです。それは疑似科学である可能性がかなり高い。或いは詭弁や詐欺の類かもしれない。それは当たり前の事を言っているだけで、なんら根拠にはなっていないのです」
 それを聞くと、僕は少し困惑しながらこう問いかけた。
 「宇宙人がいるっていうのは、疑似科学なの?」
 「残念ながら、そう捉えるしかないと思います。宇宙人がいると思われるようなその周辺の証拠はたくさん出ていますが、決定的な証拠は何年経っても出ていませんよね。実はそのような特徴を、ツチノコやネッシーや幽霊なども同様に持つのです。疑似科学には“ない事の証明が困難である為に生き残ってしまうが、何年経っても成果を出さない”という特性があるのですよ。もっとも、この考えも決定的な科学と疑似科学との線引きにはならないのですがね」
 僕はそのセルフリッジさんの言葉をじっくりと考えてみた。それから、こんな結論を出す。
 「でも、少なくとも、宇宙人がいるかどうかは分からないって点は事実なんだよね? それを扱うのが科学的じゃないってだけで」
 それを聞くとセルフリッジさんは微笑みながら「ええ、その通りです」と、そう応えてくれた。そしてそれから、こんな事を言うのだった。
 「それに、仮に宇宙人がいないのだとしても、それは飽くまで自然科学上の話であって、社会的には宇宙人がいても良いと僕は思いもするのですけどね。特にこの町の場合は」
 僕にはその言葉の意味が分からなかった。だから、こう尋ねてみたんだ。
 「それは、どういう事?」
 するとそれにニッコリと笑って、セルフリッジさんはこう返すのだった。
 「きっと、いずれ分かると思いますよ」

 宇宙人対策委員会が休止状態に陥ってから、しばらくが経過した。対策委のメンバーには、当然、給与は支払われていない。実質、失業状態だ。更に以前は対策委から各団体へ支払われていた活動支援金も支払われなくなった。そうすると、当たり前に生活に困る人達が現れた。対策費で生活していた人達はもちろんだけど、それ以外の人達も。例えば、飲み屋のダイナマイト源さんだとか。
 「対策委の連中が、酒を飲みに来なくなっちまったもんだから、商売上がったりだよ。どうすりゃいいんだ」
 彼はそんな愚痴を言っていた。つまり、対策委がお金を使う事で、生活できていた人達もその被害を受け始めてしまったのだ。もちろん、そうなると、ダイナマイト源さんみたいにその被害を受けた人達もお金を使わなくなる。すると、その影響を受けてまたお金を使わない人達が出て来て…… ま、つまりは、そんな感じのプロセスが繰り返されて、どんどんと“お金の巡り”は減っていってしまったのだった。要するに、不景気になったって事なのだけど。
 そして、皆が貧乏になれば犯罪が増える。しかも、犯罪を抑える役割を果たしていた対策委のメンバーはいないから、治安もとても悪くなってしまった。
 やがて、そんな中で、セルフリッジさんは変な事を言い始めた。
 「これは、或いは、“宇宙人の攻撃”かもしれませんよ」
 いやいやいや。何を言っているのだろう? そんな事、あるはずないじゃない。僕はそれを聞いてそう思った。どう考えたって、皆がお金を使わなくなった所為だよ。どうしちゃったの、セルフリッジさん?
 ところが、その彼の言葉を、町の皆はそれなりに真剣に受け止めてしまっているようなのだった。
 「――だから、さっさと、宇宙人対策委員会の活動を再開しましょう」
 ただし、それは“宇宙人の攻撃”という部分ではなく、後半の“宇宙人対策委員会の活動を再開”という部分についての反応であるように僕には思えていた。
 『宇宙人なんて、いてもいなくてもどうでも良い。でも、宇宙人対策委員会という社会的機能は重要で、だからそれを活かす為に、宇宙人はいる事にしよう』
 暗黙の了解で、皆の間にそんな認識が出来上がってしまっているようだったんだ。そうして、それを契機として、再び対策費を集める運動が起こったのだった。ただし、ゴラルド鈴木の失敗を受けて、“権力の集中”が起こり難い体制にするようなシステムが対策委に盛り込まれる条件付きだったけど。
 具体的には、上層部には三人以上身内を配置してはいけないといった事や、対策費を増額するプロセスがルール化されたり、委員長でも絶対に護らなくてはならない、ルールを決める為の上位のルールが制定されたりした。また、皆の監視の目が行き届くように、上層部のメンバーはプライベートをある程度は、公開しなくてはいけない決まりにもなった。それで、仮に上層部の誰かの財産が不自然に増えたりすれば、簡単に見抜く事ができるって訳だ。
 更に、上層部のメンバーは、町の皆の選挙によって決定される事も決まった。これは実はセルフリッジさんの提案らしい。
 「選挙という制度は、完全ではありませんが、それでも“権力の集中”を防ぐシステムとして効果を発揮します。権力者が横暴を行い、社会への負荷が高まれば、上層部は変えられてしまうのですから」
 というのは、その時のセルフリッジさんの弁。
 やがて、宇宙人対策委員会は再スタートを切った。当初は上層部の新メンバーの不慣れもあって軽い混乱もあったけど、基本的には順調に滑り出したようだった。そして、対策費がメンバーの労働賃金として支払われると、そのお金が社会を巡って、景気は回復をした。皆はそれにとても満足しているように思えた。そしてその時になって、ようやく僕はセルフリッジさんの言っていた事の意味を理解できた気になったのだった。
 あの時、セルフリッジさんは、こんな事を言っていた。
 『それに、仮に宇宙人がいないのだとしても、それは飽くまで自然科学上の話であって、社会的には宇宙人がいても良いと僕は思いもするのですけどね。特にこの町の場合は』
 なるほど。確かに、この町にとっては、宇宙人はいる事にしておいた方が良いのかもしれない。
 それで、ある日そんな事を僕はセルフリッジさんに言ってみたんだ。
 「ま、道路の信号機みたいなもんですよ。赤が止まれで、黄が注意で、青が進め。そんなルールなんて自然科学的にはないでしょう? でも、世の中には必要で、だからそういうルールが社会には設定されているのです。他にもお金だとか、マナーだとか、似たようなものはたくさんありますが」
 すると、彼はそんな返しをして来た。僕は疑問を口にしてみる。
 「でも、社会的なルールと、自然科学的な法則は、やっぱり別ものでしょう? 宇宙人がいるいないは、自然科学的なものだと思うけど」
 「そうですか? 僕はそんなに明確に識別できるものではないと思いますよ。“自然科学的に正しい”とされている事だって、実を言うのなら、それを認めているのは社会です。そして、医療の分野を観れば分かり易いですが、その扱いが難しいものもあります。脳死問題だとか、延命治療だとか。
 それに、今回、宇宙人対策委員会の再スタートが上手くいったのだって、社会的な事象とばかりも言えないのですよ」
 「と言うと?」
 「労働力が余っていなければ、対策委はそもそも機能できません。その場合、対策委へのお金の支払いはマイナスの効果を生む事にもなりかねないのです。これは、どちらかと言えば、社会的ルールというよりも、自然科学的な法則ですよ」
 僕にはセルフリッジさんの言う事が上手くイメージできなかった。その僕の困った表情を見てか、彼はこう続ける。
 「労働力が余っている。だからこそ、宇宙人対策の為のパトロールへその労働力を回せるのです。すると、そのパトロールに対して“通貨の循環”が発生し、その分だけ経済は成長をします。ここまでは、分かりますかね?」
 僕は「うん」とそう頷いた。
 「今回は、これを止めてしまった結果、不景気が発生してしまったのです。だから、それを復活させてやるだけで、経済は回復をしたのですね。
 ですが、もしも労働力が余っていなかったら、どうなったでしょう? この方法は、使えなかったのではないですか?」
 僕はそれを聞いて、ようやく「ああ、なるほど」と、そう納得した。労働力が余っていなければ、そもそも対策委のメンバーは集められない。だけど、同時に疑問も思った。それでそれを口にする。
 「でも、それって、不景気って問題が発生したのも労働力が余っていたからじゃないの?」
 すると、その僕の疑問を聞いて、セルフリッジさんは、何故かとても嬉しそうな顔をするのだった。
 「凄い。その通りです。ロマス高橋君は頭が良いですね」
 そして、そう言って僕を褒めてくれた。それからこう続ける。
 「ただし、それは同じ様に“労働力が余る”という問題が発生した時に、失業者を発生させない為には、その労働力を何かしらで使ってやる必要がある事を意味してもいます。
 もしかしたら、この町では、その為に対策費の増額が行われるかもしれませんが、その時に、無駄な道路や建物、或いは危険な発電手段といった、世の中にとってむしろ害になるようなものの為に労働力が用いられる危険もあります。
 だから、そうならないように、我々は確りとトップを監視をしなくてはならないのですよ。もちろん、社会にとって有益なものの為に、労働力を使わせるように。もちろん、その為の社会システムも必要ですがね。これは実は、システムが自己言及を行っているという事でもあります。複雑系科学や、論理学でも重要な観点で、そこで何が起きるのかは大変に興味深い……」
 正直に告白するのなら、僕にはそのセルフリッジさんの後半の説明はとても難しくてついていけていなかったのだけど、ただ、それでもその話を聞いてる時に、こんな風な想像はした。

 もしも、仮に宇宙人がいたとして、僕らの社会を覗き見していたとするのなら、一体、どんな風に思うのだろう?

 労働力が余っている状態ならば、例えばそれを利用して再生可能エネルギーの為の設備を整える事なんかも可能だ。なのに、それもしないで、エネルギー資源が枯渇し続けている現状に対してただただ傍観していたら、「やっぱり地球人は馬鹿だ」とか、そんな事を思われてしまうのじゃないだろうか。だって、これを放っておいたら、いずれはほぼ間違いなく少なくなったエネルギー資源を奪い合う為の、戦争が起こるのだし。
 ……セルフリッジさんの言う自己言及って、或いは、そんな感じで、誰かから観られている自分を想像するような事なのかも。
 そこまでを思って、僕はふと気が付いた。
 『こんな風に、宇宙人からどう思われているか?を想像するのも、ある意味では“宇宙人がいる事”の活用方法なのかもしれない』
 って。
社会現象・システムを、自然科学的に捉えるとするのなら、「サイエンス・フィクション」にもなります。

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