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窓辺の景色

作者:キュウ
 白イ天井。目を覚ますと、ぼんやりと白い天井が視界に広がっていた。白イ部屋。その光景に少年は、深い溜息を吐いてしまうほどにがっかりした。布ノ感触ガスル。今日も、やはり何も変わらない。布団ノ感触ダ。少年の現実は、なんともつまらない、この狭い部屋に制限されていた。左右共ニ白イ。
 ゆらりと身体を起こす。節々ガ痛ム。起こしたが、ただそこまでである。ヒンヤリトスル。動きたくたって動けず、少年に見える景色は、日の光すらも届かない、小さなベッドの上のみであった。肌寒イ。
 少年は幼い頃から身体が弱く、物心が付いた時には、既にこの病院に入れられて、記憶に在る限り、少年はここ以外の景色を見た事がほとんど無かった。白イ部屋。
 親は、少年が元気を出すようにと色々な事を教えてくれたけど、幼い頃の少年は、それらをほとんど理解できなかった。白イケド暗イ。何を言われても、水を握りしめたように実感が湧かないし、想像できなかった。陽ノ無イ部屋。いつしか少年は、親の話を陰り深い瞳で聞き流すようになっていた。暗イ部屋。
 そんな少年が少しばかり元気を出し始めたのは、彼の背丈が、部屋に一つだけの窓を頭一つ分ほど越えた頃からだった。寒イ。今まで、いくつかの色を繰り返すばかりの、殺風景な空しか見ることのできなかった窓。白イ。そこから、ようやく他の物たちが見えだした。ソシテ暗イ。
 それは、今まで想像し得なかった多くの人々。透明ナ窓。彼らが往来する広い町。外ガ見エル。日の光を返して、キラキラ宝石箱のように光る川。広ク明ルイ。それらは少年に、わずかな胸の高鳴りを与えた。少シ寒イ。そして同時に、大きな希望も与えた。外ヲ見ルト、少シ寒イ。
 ゆっくり伸ばしてみた手は窓にすら届かない。歩ク人達。ユラユラと落ちた手は、バサッと布団の上に伏して押し黙った。風ガヤッテ来ル。
 それでも少年は、今まで持っていなかった可能性を見つけられたことで、想像力を身に付けた。靡ク髪。外の風景について自分なりに空想を繰り返した。白イ部屋。出来る限り、多くの風景を夢想した。寒イ風。これまでの自分からは考えられないくらいの速さで、あらゆる想像をした。
 ……しかし、それに限界が来るのもまた早かった。暗イ部屋。よく外を観察した少年は、次第にそれらの風景を記憶しだした。白イ部屋。何度見ても、どこもかしこも、もう、同じ物しか無い。暗イ、寒イ。あんなにも広かった外は、白イ、そこにしか無かった本当の世界は、暗イ、もはや、白クテ暗イ、この部屋のように狭く、寒イ、灰色だった。寂シイ……。
 結局少年は、絶望だけを掌に乗せたまま、目を閉じた。色スラモ、何処ニモ無イ。

 ――容体……変化……そこで……見られ……部屋を……移り……、……。
 深い眠りの中、ユラユラスル、少年は霞んだ意識をたゆたう泡のような微かな声だけを聞いていた。真ッ暗ダ。疲労が一杯に溜まっていて、グラグラト暗イ中揺レル、目すらも開けられない。フワフワト浮イテイルヨウダ。ガタガタ厄介者の荷物みたく何かに運ばれているらしく、暗イ中浮カブ、グラグラと身体中が揺れていた。
 そして、布ノ感触、ようやくそれが治まると、マタ布団カ、またしても布団の上に寝かされていた。眩シイ。
 目を薄っすらと開くと、白イ、甚だ眩しくて、赤クテ白イ、思わずもう一度目を閉じた。見タ事ノ無イ何カダ。
 目を開くと、真っ赤な光が、正面の窓から射して来ていた。コレハ何。新たな病室の真っ白な壁と天井を、仄かに朱に染めて、少年の背には真っ黒な影を提げさせていた。アッタカイ。
 大きく丸い陽の下には、限りの在るようにはとても思えない広大な海が広がっていた。何ダロウカコレハ。少年にそれらが何かは分からないけれど、背ガゾクゾクスル、にわかに全身が震えた。何カハ分カラナイガ、自然と涙が流れだし、マルデ、夕日に反射して、天国ノヨウダ、小粒の光が灯る。
 初めて見たけれど、キレイナ世界ダ。
 やがて少年は、涙を遮るように、目を瞑ったのだった。
お疲れさまでした♪
ちょっと変わった表現をしてみましたが、いかがでしたでしょうか。
また気が向いたらこういうのをやってみようと思います。

HP(→http://kyunote.blog.fc2.com/)にて
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