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黒い影
作:紅佐洲仮



第49話


「どうして、組織を裏切ったの?」
澤井は、真剣な顔で尋ねた。
その時、奈月と澤井の間を冷たい風が吹き抜けた。



「ジョディ先生は、なんと言ってたんじゃ?」
博士は、哀が電話を切ってから尋ねた。
「あの子に話があるなんて…、知らなかったみたいよ。」
「じゃあ、話しと言うのは…。」
「嘘って事よ。」
哀は、腕を組みながら言った。
「じゃ、じゃあ、奈月君を迎えに来たのは、何の為じゃ?」
博士が焦りながら哀に尋ねた。
「さあ、分からないわ。でも、ジョディ先生が探してくれるみたいよ。」
「そ、そうか…。」
博士が心配そうに言った。
「(澤井美咲、何者かしら?)」
哀は、その人物について考え始めた。



「貴方も知ってる筈よ。私の両親を組織が殺したって…。」
奈月は、冷たい風を感じながら言った。
「ええ、知ってるわ。でも、その事は貴方には言ってなかった筈よ。どうして、知ってるの?」
澤井が不思議そうに尋ねた。
「偶然聞いたのよ。組織が父と母を殺した事をね。」
「ふーん、そう言う事だったの…。」
澤井は、納得した様に言った。
「でも、私の予想は外れたみたいね。」
澤井は、がっかりした様子で言った。
「予想って、何?」
「貴方が組織を裏切ったのは…、あの女が殺されたからって、思ってね。」
澤井が笑みを浮かべながら言った。
「あの女?」
奈月は、内容が掴めず澤井に尋ねた。
「あら、忘れたの?貴方が組織でもっとも信頼してた女の事を…。」
「!!」
奈月は、その言葉に驚いた。
「その顔は、思い出した様ね。」
「忘れられないわ。あの人を殺したのは、貴方達よ。」
奈月は、叫びながら言った。
「勘違いしてない。あの女が死んだのは、任務を失敗したから…。」
「たった一度の失敗で、殺すことはなかった筈よ。」
奈月は、怒りの目で言った。
「貴方も知ってるでしょ?組織は、失敗を許さないって…。」
「…………。」
奈月は、目を伏せて黙っていた。
「さあ、そろそろお別れの時間よ。」
澤井が笑みを浮かべて言った。
「貴方には、貴方の両親とあの女と同じ運命を送ってもらうわ。」
澤井は奈月に拳銃を向けて、引き金に手を伸ばした。
「さようなら、アイリス。」
澤井は、勝ち誇った笑みを浮かべた。しかし、その時…、
「そこまでだ…。」
何処からか、誰かの声が聞こえて来た。
「誰か居るの?」
澤井は、声のした方を見た。だが、そこには誰も居なかった。
「やっと、本性を現したか。」
「その声、赤井秀一ね。」
澤井は、驚きながら言った。
「澤井美咲、水無怜奈をどうやって殺すきだったんだ?」
赤井は、澤井に質問した。澤井は拳銃を構えながら、声がする方に歩き始めた。
「簡単よ。呼び出して、消すだけよ。ちょっと、話があるって言ってね…。」
「此所に呼んで、殺すつもりだったのか?今の様に…。」
「予定ではね。でも、あの女を殺す為に丁度良かったから、此所に連れて来たのよ。」
澤井は、赤井の声のする方に段々近付いていた。
「CIAには、何の為に潜入してたんだ?」
「キールを探す為よ。組織に潜り込んでいた、鼠の正体が分かってね。」
澤井は足を止めて、どの辺りから声がするか、辺りを見回した。
「そいつも、CIAだったのか?」
赤井の声が大きく聞こえて来た。澤井は、再び歩き始めた。 
「ええ、そうよ。だから、CIAが何処まで組織の事を知っているか、調べる為に潜入したのよ。」
「それで、水無怜奈の正体を知ったわけか…。」
澤井は、辺りを注意深く見ながら歩いていた。
「あの時、スミス・ケイトは殺すつもりだったのか?」
赤井の声が近くで聞こえて来た。
「あの場所で、殺すつもりはなかったわ。でも、最終的には殺すつもりだったわ。」
澤井は、真剣な顔で辺りを見回しながら歩いている。その時、澤井がコンテナの角に近付いた時…、
「最初から、殺すつもりだったのか…。」
コンテナの角から、赤井の声が聞こえて来た。澤井は拳銃を構えて、コンテナの角を曲がった。しかし、赤井の姿はなかった。
「(居ない。声は此所から聞こえてた筈…。)」
澤井は、辺りを見回した。その時、コンテナの壁に何かが張り付いているのを澤井が見つけた。それは、ボタン型のスピーカーだった。
「何処いるの?いい加減に出てきなさい。」
澤井が怒りながらスピーカーに向かって言った。
澤井から少し離れた所に、コナンが澤井の様子を伺っていた。
「良いだろう。お前の目の前に、現れてやろう。」
コナンは笑みを浮かべながら、蝶ネクタイで赤井の声を出して言った。
澤井は警戒しながら、辺りを見回した。その時、誰かの気配を感じた。澤井は、気配の為る方に走り出した。そして、奈月の居た場所まで戻って来ると、赤井がそこに立っていた。
「やっと、現れたわね。赤井秀一。」
澤井は、真剣な顔で言った。
「お前が望んだ事だろ?出て来いって言ってな…。」
赤井は、笑みを浮かべた言った。
「あの女を何処にやったの?」
澤井は、奈月がいない事に気付き、赤井に尋ねた。
「安全な場所に連れて行った。」
「…どうして、私が組織の人間だって判ったの?」
「あいつに発信機と盗聴機を付けておいてな…。」
「発信機と盗聴機…?まさか、最初から判ってたの?」
澤井は驚きながら、赤井に尋ねた。
「ああ…。」
「どうして、判ってたの?」
澤井は、さっきと似た質問をした。
「奴等は、水無怜奈奪還に失敗した。しかし、そう簡単に諦めない奴等だ。何だかの方法を取って、あの病院に来ると予想してな…。」
「…………。」
澤井は、黙って聞いていた。
「…そして、必ず水無怜奈に近付いて来る可能性が高い。その予想で現れたのが、澤井美咲お前だ。」
「流石ね…。じゃあ、あの女を殺す事も判ってたの?」
澤井は鋭い目をしながら、赤井に尋ねた。
「ああ…、お前があいつの顔を知ってたら、あいつに近付いて来ると思ってな。」
赤井は、冷静に言った。
「そろそろ、話も終わりだ。お前には、色々聞きたい事があるからな…。」
赤井が続けて言った。
「何かしら?」
「まずは、その拳銃を地面に置け。」
赤井は、澤井に拳銃を向けながら言った。
「…………。」
澤井は無言で、屈み始めた。そして、拳銃を地面に置こうとした時…、
「!!」
赤井の方に拳銃が飛んで来た。赤井は、間一髪で避ける事が出来た。しかし、その間に澤井は逃げ出していた。


バァン…、


赤井は澤井に向けて、銃弾を撃った。しかし、澤井はコンテナの間に入り、銃弾は澤井には当たらなかった。
「ちっ…。」
赤井は舌打ちをして、澤井を追い掛け始めた。
澤井は、コンテナの隙間を必死に走っていた。赤井もコンテナの隙間を必死に走っていた。
「くそ、何処行った。」
赤井は走るのを止めて、辺りを見回した。その時…、

バァン…、


一発の銃声が聞こえた。
「!!。」
赤井は、銃声の為る方に走り出した。
銃声のした場所に着くと、澤井が血を流して倒れていた。
「おい、何があった?」
赤井は澤井に近付いて、尋ねた。 
「赤井さーん。」
コナンと奈月が、赤井に近付いて来た。
「何かあったの?さっき、銃声が聞こえたけど。」
「澤井美咲が撃たれた。」
「さ、澤井さん。」
コナンは澤井の姿を見て、驚きながら言った。
「誰かに撃たれた様だ。」
赤井が冷静に言った。
「澤井さん。誰に撃たれたんだ?」
コナンが澤井に近付いて、尋ねた。
「…………。」
澤井は、何も言わずに黙っていた。
「救急車を呼んだ方が良いんじゃない?」
奈月がコナンと赤井に言った。
「そうだな…。」
赤井はポケットから携帯を出して、救急車を呼び始めた。
「とっ…、鳥取…、倉吉…。」
澤井は、静かな声でそう言った。


こんにちは、沙栖戒です。
奈月が組織を裏切った理由は、もう一つありました。ある女性の死が原因です。
赤井とコナンが奈月に発信機と盗聴器を付けていました。
そして、澤井美咲が誰かに撃たれました。
更に、澤井美咲が最期に言った言葉は此からのキーワードです。
これからもよろしくお願いします。











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