第42話
時計が零時を指した。辺りは真っ暗で、明かりなどついていない。人通りは無く、静寂した夜だ。しかし、一台の黒いポルシェが走っていた。
「え?キールは、CIAだったんですかい?」
ウォッカが運転しながら驚いた。
「ああ…。」
ジンが冷静に言った。
「しかし兄貴、どうしてキールがCIAってわかったんですかい?」
ウォッカが疑問に思って、ジンに尋ねた。
「組織に潜り込んだ鼠を調べたら、奴もCIAって分かってな…。」
「え、鼠って…、キールが殺した奴ですよね?」
ウォッカがジンに尋ねた。
「ああ…、そうだ。鼠とキールは、繋がっていた様だ。」
「キールの事をどうするんですかい、兄貴?」
「裏切り者は、消すだけだ。」
ジンが冷たい笑みを浮かべて言った。
「しかしキールは、FBIに…。」
「キールを消す算段は出来ている。セシリアが上手く殺す予定だ。」
「セシリア…、奴の事ですね。」
「ああ…。」
ジンは、煙草に火を付けながら言った。
黒いポルシェが静寂した夜の町を駆け抜けて行った。
昼食を食べ終わって蘭は、台所で皿を洗っていた。
「蘭姉ちゃん、僕ちょっと出掛けて来るね。」
コナンが笑顔で蘭に言った。
「気をつけてね、コナン君。」
「はーい。」
コナンは、幼い声で言った。そう言った途端、ドアが開き、コナンは外に出て、ドアを閉めた。
コナンは階段を降りて、目的の場所に向かう為に歩き始めた。
杯戸中央病院の屋上で、赤井が壁に凭れながら缶コーヒーを飲んでいた。
「此所に居たのね、赤井さん。」
赤井の目の前には、奈月が立っていた。
「何か様か?」
赤井は、奈月を見て言った。
「水無怜奈が意識を取り戻したって、本当?」
「ああ、それがどうした?」
「水無怜奈は、組織の事何か言ってなかった?」
奈月は、真剣な顔で言った。
「…いや、奴等を追い詰める手掛かりは無かった。」
赤井が缶に入ってたコーヒーを全部飲んで、ゴミ箱に缶を捨てた。
「(じゃあ、あの事は…)」
奈月が心の中で考えながら言った。赤井は、奈月が黙った事に気付き、
「何かあるのか?」
「別に何もないわ。」
奈月がさらりと言った。
「何もなかったら、此所には来ないだろ?」
「理由がなかったら、来ては行けないの?」
奈月は、赤井に反論した。
「理由がなかったら、此所に来る様はない筈だ。」
赤井も反論した。
「遅いの奈月君、何処まで出掛けたんじゃ。」
博士がパソコンをしながら心配していた。
「散歩に行ったんでしょ?」
「そうじゃが…。」
「もうすぐしたら帰って来るんじゃない。」
哀は、雑誌を読みながら冷静に言った。
屋上は風が強い。奈月は、早く病院の中に入ろうと考えた。
「そろそろ、帰らせてもらうわ。」
奈月が病院のドアに向かって歩き出した。
「話は、まだ終わってない筈だ。」
赤井が奈月に言った。
「私の話は、終わったわ。」
奈月がドアに近付きながら言った。その時、ドアが勢い良く開いた。その一瞬、凄く強い風が吹いた。 |