第23話
1台の車が奈月の前に止まった。
「乗ったらどうだ?送ってってやるよ。」
車から赤井は、顔を出して言ってきた。
「本当に送ってくれるの?」
「ああ、早く乗ったらどうだ。」
「ええ、わかったわ。」
奈月は、そう言い助手席側から車に乗った。赤井は、奈月が車に乗った事を確認すると車を発進させた。
赤井が出ていってからも、ジョディとジェイムズがまだ話ていた。
「どうします、あの子の事?」
「あの子がそう言ってるし、FBIとしては受けて貰ったほうがいいがな。」
「しかし…」
「まだ、どうするかはもうちょっと時間をおいてから考えよ。」
「そうですね。」
「遅いの、どうしたんじゃろう?」
博士は、時計を見ながら言った。
「帰って来ないかもね。」
哀は、さらりと言った。
「あ、哀君。」
「もうちょっと待ってみたらどうだ?」
コナンは、博士を落ち着かせる為に言った。 「そ、そうじゃの…。」
博士は、深呼吸をして、落ち着いた。
「何処に行くき?送ってくれるんじゃないの?」
奈月は、車から見える風景が見た事のない所を走っている為赤井に尋ねた。
「ああ、送ってやるよ。 だが、その前に付き合え、良いな。」
赤井は、運転しながら言った。
「良いけど、何処に連れて行くきなの?」
「着いたら分かる。」
「そう…」
奈月は、そう言い窓の方を向き、外の風景を見ていた。赤井は無言のまま、車のスピードを上げた。
「そういえば赤井君は?」
ジェイムズが赤井が居ない事に気付きジョディに尋ねた。
「あれ、居ませんね。コーヒーでも買いに行ってるんじゃないですか?」
「そうか。」
ジェイムズは、そう言い窓の方を見た。夕日が病室を真っ赤に染めていく。
夕日が沈み始める。段々辺りが暗くなり始める。目的の場所に着き、赤井が車を止めた。
「着いたぞ、降りろ。」奈月は、黙って降りた。
「貴方が来たかった場所は此処?」
「ああ、そうだ。それに、此所は一番お前が知っている所だ。」
「ええ、知ってるわ。此処は、私が子供になった場所で、組織の施設があった場所。」
「まあ、今は何もないがな。」
「それで、此処に連れて来た理由は何?」
奈月は、赤井に本当の理由を聞いた。
「お前、兄弟は居ないのか?」
赤井は、奈月の質問を無視し尋ねた。
「居ないわ、それが聞きたかったの?」
「さあ、どうかな。」
「そろそろ本当の事を言ってくれない?」
奈月は、もう一度尋ねた。
「何故、証人保護プログラムを受ける?」
赤井は、本題を切り出した。
「私が受けたら、FBIにとっては有り難い事でしょ?」
「確かにな…だが、それで逃げられるわけじゃない。」
「どういう事?」
奈月は、赤井に尋ねた。
「それは、お前がよく知ってるだろ?奴等のやり方を?」
「知ってるわ、裏切り者は殺すまで追い詰める。」
「あの茶髪の少女は、証人保護プログラムを断ったぜ、逃げたくないからって。」
「え…。」
「お前は、何の為に奴等を裏切った?逃げる為か?それなら、何故あの火事の時に逃げた。逃げなければ奴等の呪縛から逃げられた筈だ、そうだろ。」
「貴方は、私に受けるなと言ってるの?」
「FBIとして有り難いが、俺の判断では受けるな。」「理由は、何?貴方は組織を恨んでいる筈、そうでしょ?」
赤井は、奈月の方を一度見てその後、前を向いた。
「俺は、3年間組織に潜り込んでいた。」
「………。」
「潜り込んだ理由は、分かってるだろ?」
「スパイ…でしょ。」
「俺は、潜り込んでいる間にある女と出会った。」
「で、誰なの?」
「宮野明美だ。」
「宮野…明美ってあの子のお姉さんでしょ。」
「知ってるのか?」「ええ、組織の命令で10億円を強奪して、殺された。殺したのは…」
「ジン…。」
奈月が言おうとした時、赤井が言った。
「奴があいつを殺した。」
「貴方は、宮野明美とどういう関係なの?」
「唯一守りたかった人…。」
「え…じゃあ、貴方は彼女の敵を打つ為に。」
「ああ、今までその為にな。」
「あの子は、知ってるの?」
「さぁな、だがあの茶髪の子は、あいつが殺されても逃げていない。お前は、逃げるのか?」「私は…恨んでいる。」 「奴等をか?」
「ええ…。」
奈月は、上を見た。もう夕日が沈み、星が出ていた。
「私の両親…組織に殺されたのよ。」
「両親も組織の人間か?」
「違うは…私を組織に入れる為に殺されたのよ、犠牲になって…。」 「そうか…だから裏切ったのか。」
「ええ、でもその事実を知ったのは先日。」
「なに、奴等は黙ってたのか?」
「そうよ、私はそれまで両親も組織の一員だと思ったわ。でも、それは空想だったわけ…だから、組織に居たくなかった、ただそれだけよ。」
奈月は、目を閉じた。
「………」
赤井は、黙って聞いていた。その後、奈月は目を開け、
「そろそろ帰してくれない?」
「ああ…。」
赤井は、そう言い車に乗った。奈月も続けて乗り、赤井は車のエンジンをかけ、車を発進させた。もう空には、月が顔を出していた。
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