やわらかい風が、窓から部屋の中に流れてくる その風は、薄暗い部屋でもはっきりと見える白いカーテンを揺らしていた 大きく揺れたり 小さくなったりと不規則に形を変えて揺れる 僕のところにも、流れ込んでくる風は、やさしかった この部屋に住んでいた夫婦をまたいで 窓に近づく 風はやさしいまま 手にしているナイフからは 赤い血がポタリと床に落ちている だけど、そんなことも忘れて 僕はただ、風のやさしさを肌で感じていた 殺り終えた後に感じる爽快感は、いつもない だけど、今は感じる 風が爽快感をくれた 夫婦にもこの風を送ってみようか、と思ったけど 振り向いたら、息絶えていた 舌打ちした それは、静かな部屋に響いた 僕はただ、殺すだけ どんな奴でも、気に食わなければ殺す 時間帯は気にしない 殺りたい時に殺る ただ、それだけ そんなことを思っても 風はやさしいままだった