勘違いってコワイ?
企画【五枚】第一回参加作品です。二作ありますので、よろしければそちらもお目通し下さいませ。五枚というキーワードで他の参加者さんの作品も探せます。
今日もとても良い朝ね。思わず駆け回りたくなるほど良い天気。
外へ出てみると、そよ風がまた心地良いの。こういう時は喜びを抑えるのが大変なのよね。ついつい叫びたくなっちゃうから。我慢し切れずに叫ぼうものなら、大好きな亮太さんに嫌われてしまう。
一定の距離を保ったまま、亮太さんが出かけるのを見守るのは私の日課。当然、声なんてかけないし、亮太さんが私に声をかけることもない。でも、たまに、本当にごくたまに、私の方を見て微笑んでくれる時がある。そんな日はもう、一日が楽しくて仕方がないの。
そろそろ亮太さんが帰って来る頃……あら? お友達かしら? 見慣れないヒトと一緒。気のせいか、私を見て笑っているように見えるけど。
まさか、私が変なオンナだって笑っているの? ううん、そんなはずはないわ。ほら、亮太さんは笑ってなんかいない。あの顔は、逆に怒っているのよ。なんて素敵な亮太さん。私を庇ってくれているのね。
待って。何、あのヒト。ちょっと、亮太さん、そのヒトは何? まさか、オンナ? 笑うお友達から庇うように抱いたりして。
そんな! そんな! 私を優しく抱いてくれたこともあったのに。キスだって何度もしたじゃない。私が見ているのはわかっているでしょう? ああ! 今すぐ引き剥がしたいのに、これ以上近づけない。鎖が私の首を絞めているかのように、一歩を踏み出すことを許してくれない。
あのオンナは、亮太さんと一緒に家に入った。それは間違いない。一体、私から見えないところで何をしているのよ! わざわざ私に見せ付けて、どういう……ふぅん。なるほどね。私、わかったわ。
亮太さん、見てなさい。あなたの想像を超える私を見せてあげるんだから。
亮太さんは、きっと知らない。私が亮太さんの部屋に入れる機会があるってことを。ふふ。
この時間は、亮太さんはいない。そんなに長い時間じゃないけど、私には十分な時間。
部屋に入ったことはないけれど、亮太さんの部屋は知っているのよ。出て行く時にあのオンナはいなかったから、きっと、部屋で待っているのね。待ってなさい。行くのは私だけどね。ふふ。
少し開いたままのドアをそっと動かして入ってみると……いた! ベッドの上に座っているなんて、いい度胸じゃない。私を見ても、声を上げるどころか、表情一つ変えないで、こっちを見てる。その余裕がいつまで続くのかしらね。亮太さんの前では大人しくしてたけど、私って結構コワイのよ。
亮太さんが帰って来た。さあ、私はアナタの考えに応えたわ。どんな反応を見せてくれるの?
あのオンナは、想像以上のオンナだったわ。不適な態度に我慢ならなかったから、ひっぱたいてやった。それでも、表情も変えず、声も上げないで、じっと私を見てた。気取っているだけだと思って服を裂いても、同じだった。だから、私もついカッとなって、カラダをバラバラにしてやったの。さすがにそれはまずいから、埋めちゃった。亮太さんにバレたら嫌われそうなんだもん。
亮太さんが出てきたわ。……泣いてるの? そんなにあのオンナのこと……?
負けよ、負け負け! わざとイチャイチャして、私の愛を試してるのかと思っていたけど、本気だったんだ。私の出る幕はなかったのね。いいわ、好きにすればいいじゃない。
ほら、亮太さんのオンナはここよ。せっかく埋めたけど、亮太さんのためだから、掘り起こしてあげる。
亮太さんが、私をじっと見てる。もしかして、今頃になって私の魅力に気付いたの? たった今、私は必死でアナタを諦めたのよ? 何でそんなに見つめるの?
……いいわ。私は狭量なオンナじゃない。アナタが望むなら、抱きしめてもいい。ほら、いらっしゃいよ。そんなにゆっくり近付いてくるなんて、意地悪なんだから。こっちがドキドキするじゃない。
ちょっと! 痛い! 痛いよ! 亮太さん! やめて! 何でそんなに叩くのよ! バラバラになったオンナなんか抱きしめて、やっぱりそのオンナが大事だったのね!
あれ以来、亮太さんは私を見ない。亮太さんがいない時間に中へ入れてくれていたお母さんも、もう中へ入れてはくれない。
あの次の日に、亮太さんはオンナを連れてきた。あのオンナと同じ顔で、同じ服のオンナ。かと思えば、水着のオンナとか、下着みたいなものしか着てないオンナとか、しょっちゅう連れて来るようになっちゃった。私から見えないところで何をしていようと、もういいわ。亮太さんは諦めたの。
最近は、別の優しいヒトが頭を撫でてくれるんだ。抱いてくれそうな時は思わず叫んじゃう。うん、もう我慢しないの。だってこのヒトは叫んでも怒らないし、飛びついても嫌われないんだもん。
嬉しくて、嬉しくて、今では尻尾もぶんぶん振っちゃうの。ふふ。羨ましい?
勉強しながら愉しむという企画ですので、どうぞ、ご指導よろしくお願いいたします。
第一回の制限事項は、「」表記の禁止でした。それとは別で、個人的に制限を設けて挑戦していることが二つあるので、読んで気付かれた方は、そちらも当ててみて下さると嬉しいです。