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見学会前日!
タイム ガード
作:ノ・ローマ



第五章 反対


(家) 
帰宅した私は、自転車を裏に止めた。

両親は、八百屋を経営している。

商店街にある二階建ての八百屋が私の家だ。

今日も夕方となれば、客はどしどしやってくる。

うちの野菜の安さと両親のサービスが売りで、主婦やおばさん達がやってくる。

私は2階に上がって、自分の部屋に入った。

少し散らかった部屋は、勉強した後のままで、あまりいいとは言えない。

居間へ向かいテレビをつけ、動く画面は見ずにボーっとしてしまっていた。

その後、徐々にうとうととし始める……。



気づいた時は、8時を回っていた。時計の針を見たとき驚いた。

急いで、風呂に入り両親が店閉めをして上がってくるまでにたくさんの事をやった。

「あんた勉強は?」
 母は、こたつに入った時にそう話しかけた。

「今日はやけに帰りが遅かったじゃない!!もしかして、遊んでたんじゃないでしょうね?寄り道?」


「そんなわけないでしょ、私にもいろいろあるわけ」
 腹が立った私は怒鳴る。

「いろいろって何よ!親の見てないところで、悪いことでもしているの?」
 
「悪いこと?そんなわけないじゃん。高校行けなくなるでしょ」

「じゃあ何?先生にお説教でもされてたの?成績のことね」

「だから、違うってば、どうしてこう……悪い方ばかりなの?いつもいつも」

「あんたは、勉強できないし部活もしてない。これと言って特別じゃない。母さんは、だからこそ心配なの・・。もうすぐ冬休みなんだから、いつまでもダラダラしてないで、塾にバンバン行かなくちゃ。勉強して、金貯めて、早く親孝行でもしてくんないもんかね?」


「私にぐらいとりえはあります。それも人一倍の才能だってある。母さんが思ってるほど馬鹿じゃない」


「じゃあ、この間のテストは?3者面談は?毎度毎度の通知表の成績は?あれは嘘?いつだっていいもの見せてくれないじゃないの。結果に出てるの結果に」


「だから、私には見えない才能があるの!!」
 

「見えない才能?何の事かね?夢見てんじゃないよ。世の中甘くないの!!馬鹿らしい」


「馬鹿にして、それでも親?」

「親は親だよ、あんたがどう思ったってね。とにかく勉強しなさい、バカ娘」

「なんだ、仕事で疲れてる俺の目の前で、ギャーギャー喧嘩しやがって。少しは黙っとけよ、親子揃ってよ無駄な争いだ。そんな事してる暇があったらよ、勉強しやがれ受験生!!」

父も相変わらず吊り合わない。


「勉強勉強って言うけど、私のことなんか何も知らないんでしょ!!ガミガミガミガミ言ってるだけで、ほんとはどうだっていいと思ってるでしょ?」

私は、2人に向かって言った。


「お前父親にそんな口きいて、いいと思ってんのか?もうちょっと、働いてる俺たちに感謝して、優しい言葉の1つ2つかけてみろよ」


「父さんも母さんも、自分の事ばっか……。この家でてってもいいくらいなんだからね」

私は我慢できずそう言った。

2人の顔はゆがみ、さっきと違う表情になった。

「あんた、本気で言ってるの?出て行くって?」

母は、小さな声で聞いた。

私はうなずく・・・。

「そうか、お前をせっかくここまで育ててきたが、不良にでもなりたいってか?出ていくだ?お前みたいな馬鹿は、世間に簡単に通用するもんじゃねえんだよ。出ていきたいなら、世界の果ていや、宇宙の果てでもどこへでも行け。そうすりゃ俺達への感謝の気持ちを持ち、ありがたさと親の苦労も分かるだろうさ」

父は、そう言うと、居間を出て浴室へと行ってしまった。

「勝手になさい」

母もそう言ってキッチンへ行った。

私は、言ったことを少し後悔したが、自分が悪いように思えなかった。

『馬鹿だ』と自分の事をそういう両親が許せないし、謝ろうなんて思えない。

「ムカつく」

呟いた私は、自分の部屋へ戻る。

言おうと思ったことも言えなかった。

今じゃ、言う気になれないことだけど……。

出て行くなんて、軽い気持ちだ。

でも、実際『タイムガード育成校』に通うなら、出ていくという形になるのだろうな・・・・。

両親には、いやでもその内、言わなければならないことだ。

(2時間後)

「みゆ、ちょっとこい」

父が居間から私を呼ぶ。

「何?」

私は不機嫌に返事をする。

「ここにきて座れ」

私は言われたとおりにする。

「お前本当に出ていきたいか?」

父は、真剣な眼差しで聞いてきた。

「2人がそう思うならね」

私は、感情に任せて言った。

「父さんは、お前を外に追いやった所で恥をかくからな、それぐらいなら、ここに置いておいた方がいいなと思うが。お前が出ていきたいなら、そんときゃ、名前を捨ててもらうぞ!!もううちの子じゃないとみなして、うちにいた一切の証拠を消し去ってやる。
どうだ?それでも出て行くか?」

「父さんこそ、それ本気で言ってるの?」

「他にどう聞こえる?」

「私のこと何も知らないまま私が黙って出てってもいいの?」

「お前は、予想しない事言うなぁ。俺がお前の何を知らないって?成績の悪さか?そいつなら知ってるぞ」

父は冗談っぽく言った。私は笑うはずもない……。

「おい、俺の知らない、父さんの知らないことって何だ?」

さすがに、父は真面目になった。

「私にだって才能があるってこと」

私は、父の驚く反応を期待した。しかし……

「そうか・・、なら知ってるぜ。偉そうに親に反抗するすごい頭の回転力という名の才能だろ?」

私はあきれた・・。

「もういいよ、寝る」

「おいおい、勉強しろよバカ娘」

父も疲れたのか、後ろからそう叫んで後は何も言わなかった。

私は、黙って布団に潜り込んだ。

(終業式の日)
両親とは、相変わらず仲が悪く、あの話も結局持ち出さずに、見学会の前日を迎えた。

校長先生のダラダラとした話、通知表やらなんやら。

この行事は、大変疲れるものだ・・・。

「冬休みも勉強しなきゃね・・・、なんか憂うつだなぁ」
 帰り道、親友が言った。

「そうだね」
 私は、一言答える。

「みゆも塾とか行くの?」


「いや、そのつもりないけど……」


「え・・・・?まさかの余裕!!」


「そんなんじゃないから!!」

なぜか怒鳴りつけてしまった。

「ご、ごめん」

一気に気まずくなる。

「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」

「じゃ、用事思い出したから、先に急いで帰るね。あんまり無理とかしないでよ」

空気に耐えられなかったのか、気を使ったのか、親友は急いでペダルをこぎ

「バイバイ」

と手を振り、見えなくなる。


(家)
今日も商店街で忙しく働く両親。

私は、またボーっとテレビを見ていた。

明日は見学会だ、なんて張り切ることもない。

両親にすら話していないのだし、準備どころではない。





「あんたね、ゴロゴロしてないで、勉強するか手伝うかしなさいよ」

母は、怒って言った。

「あのさ、父さんと母さんに話したいことあるんだけど……」

私は、決心して言った。

「何?」

「後でちゃんと話したいから」

「なによ、今更真剣に」

「いいから、あとで」

私はそう言って自分の部屋へ戻った。


(1時間後)
「なんだ、話って?珍しいな」

父と母は、顔をしかめて私の目の前に座る。


「実は、推薦が来てて、そこに行きたいと思ってるんだけど、親の許可一応とっとかないとと思って」


「推薦!あんたが?」


2人は驚く。


「うん、そうだよ」


私は頷く。


「どこからの推薦だ?」


「『タイムガード育成校』ってとこ。どうせ言ったって分かんないと思うけどね」


父と母は互いに顔を見合わせる。


「お前…行くつもりか?」

「どうして?まだ決まってないけど」


「いつ来たのよ!推薦」

母は聞いた。


「二週間ほど前かな、多分ね」


「お前その学校が一体どんなものか知ってるのか?」



「うん、まだしっかりとは知らないけど、大体は知ってる」


「じゃあ、まだ決めてないんだよな?」


父は何故か慌てていた。

「だけど行きたいと思ってる。だから……」


「駄目よ」
「行くな」


2人は同時に言った。


「どうして?お金ならかからないよ」


「駄目なもんは駄目だ」


「だから何で?」


「そんなとこお前に向いてない」


父は険しい顔で言った。

「何も知らないくせに、どうしてそう決めつけるの?」


「理由は、いろいろだ。とにかく親として反対だ、いいな?」


「どうして?才能が認められたんだよ。なんで2人に将来の事決められなきゃいけないの?」


「親の許可が入るんだろ?父さんと母さんは反対だ!お前の才能をいかしてくれるような場所は、まだまだ沢山ある」


「さっきから2人して、反対してるけど、本当はこの学校の事いろいろ知ってるんじゃないの?じゃなきゃ、反対なんて」

「噂で聞いただけよ!」


母さんは怒鳴る。


「世の中には、いろいろあるんだ。何にしろお前をそこへだけは入れさせんぞ」


「そんなの2人の都合でしょ?私は明日見学会に行く事になってるから。その時に決めるつもり、でも、2人が反対しても後悔したくないから、もし行きたいと思ったら、ちゃんと自立する」


「見学会だと?」


「あんたなんで言わなかったのよ?」


「だって2人とも、全然話を聞いてくれないから……」


「見学会に行くつもりなんだな?」


黙って私は頷く。


「もう、止めても無駄なようだな……」


父はため息をつく。


「お前が自立すると本気で言ってるんだ。もう何も言わん。勝手にしろ!その代わり、もし入学する時は、二度と戻ってくるな。1度家を出て戻ってくるなんて、俺は許さん」


父は、そう言って立ち上がる。


「好きにして、勝手に生活しろ」


と居間を去る。


「母さんは…本当は心配なの。でも、父さんが言うなら母さんも同じ意見だから。ちゃんと考えなさい。見学会で決断をしっかりしなさいよ」


私は俯いていた。返事をしようと思わなかった。

何故か悲しくて悔しい。

たった1人居間に残り明日の事を考えた。


どうでしたか? ここまで読んで下さり、ありがとうございます。感想評価お願いします











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