第一章 あの時
もしあの時
夢があったら……
成績が良かったら……
私は今ここにはいないだろう
こんな絶体絶命な状況に立たされた今でも
あの時の決断に後悔はしてない
(三年前)
それは私がまだ中3だった12月のこと……。
その時期は、もちろん受験ムードで『勉強勉強』と頭を悩ませるという時期……まさに『受験地獄』
私はその時
夢もなくて、進路もろくに決めていなくて
頭も全くよくなかったし、帰宅部で推薦の期待も持てない
という受験生にして最も崖っぷちだった。
「こんなんじゃ、進学なんてぜっっっったい無理!!」
私にとってそんな時期だった……。
(ある日の教育相談)
「お前は一体今まで何をやっていたんだ! 何を学んできた?」
担任の先生は、私を怒鳴りつける。
「受験生なんだぞ! もうすぐ入試だ」
分かっている……そんな事。今年何回聞いたのだろうその言葉。
『受験生だ、入試だ、勉強だ、高校だ、将来だ、進学だ』
この言葉は耳が痛くなるほど聞いたし……それは、学校だろうが家だろうが
全く関係なく、容赦なく私にたたきつけられた。
「お前が第一希望に書いた、このS校だが……」
年老いたベテラン教師は、老眼をかけて目を細めている。その目がパッとこっちに向いた。
「このままの成績では……全く足りない。最も最悪だな。後平均的に30点upさせることをオススメしておこう」
この発言を聞いて私は、無理だと断念した。この高校は、近いし、普通だから、夢のない私には丁度いい……と簡単に決めた高校。
それさえも今望みがないとすると、この先どうなる??成績を上げられる自信なんてまるでないというのに……。
「とにかく、今の勉強量+4時間。休みの日は一日勉強! これを残りの時間続けろ。もちろん冬休みは、外に出るな」
先生のこの忠告はキツイ……絶望と言える。
「分かったら教室に戻り、勉強勉強!!」
先生……勉強を2回も繰り返さないでください。そう思いながら小さな声で「ハイ……」と返事をする。かなり力のない弱い声だった。
「それと、決して自分を甘やかすんじゃないぞ」
そんな言葉を背に私は、肩を落として相談室を出る……。
(その四日後)
私はすっかり、やる気をなくした。それでも言われた通り勉強した。でも私は、馬鹿なんです先生。わかってください……。私はいくら勉強しても自分に進歩がないことに気づいていた。
しかし、そんなある日だ……。私の運命を変える放送が学校中に放送で告げられる。
『3年B組 川下みゆ。今すぐ校長室へ来なさい』
まだ何も知らない私は校長室という言葉にドキリとして、たくさんの視線を浴びながら廊下を走る……校長室に向かって。
つづく
|