零章-十五 夢の続き
≪《更新されました》→“ゲスト”の権限を追加します≫
≪《閲覧》→“ゲスト”が仮入室しました。 ※チャットを行う場合は、入室手続きを行ってください≫
……気づけば、俺は、少し前に貂蝉に連れてこられた“宇宙”に立っていた。
目の前には資料室で出会い、夢の中にも出てきた少女が、俺を見上げるようにしてじっと、俺の瞳を覗きこむようにして見つめている
俺は、怒気を孕ませ、睨みかえす……、耳鳴りのように、頭の中で不快な嗤い声が、まだ聞こえてくるような気がする
「……」
少女は反応しない。
「……あれは、何だ?」
「……」
滲み出る怒りを隠さずに、少女が見せた夢について質問してみる。 少女は反応しない。
「お前が、やったのか?」
「……」
「答えろよ!!」
思わず怒鳴ってしまうが、それでも反応しない
……怯えている様子ではない。 それどころか、なにか哀れで、可哀想なものを見るような視線を俺に向けている
「……やはり、こうなってしまいましたか」
「……? なにを言って……」
「ごめんなさい。 でも、私には、あなたに頼るしか道はありませんでした」
「だから……「私も、ある程度覚悟はしていました。 でも、こうして現実を目の当たりにすると、正直つらいです」……話を……」
独白のように語りだす、とてもではないが俺に語りかけている様子ではない。 それでも、目線は俺に合わせている
「……聞こえていませんよね? わかってます」
そう言って、少女は俯く。
……まさかと思い、肩幅一つ分ほど、横に動いてみる。
やはりというか、そこに、俺が今の今まで経っていた場所には、聖フランチェスカ学園の制服に身を包んだ男が立っていた
回り込んで、顔を確認してみる、案の定、正真正銘、俺の顔がそこにある。
だが、目は虚ろ、口はだらしなく開かれており、生気の無いまるで死人のような顔をしていた
立っているのが不思議なくらい全身の力は弛緩していて、顔だけに限らず、死人のような風態をしている
……、どうやら、まだ夢は続いているらしい。 ならばと思い、佇まいを直し、少女の話に耳を傾けることにする
「安心してください、と私は最初に言いました。 こk…………」
? なんだ?
話の途中で、まるでビデオを一時停止したように……違う、動画の途中で接続が切れてしまったかのように、少女は動かなくなる
「…………」
凍ったようにビクともしない。 ……フリーズ?
≪《更新》→500error サーバーが存在しません≫
「……? なに?」
≪《更新》→500error サーバーが存在しません≫
今度は何だ? 声が聞こえたわけではなく、頭の中に、直接情報が送り込まれたような感覚に陥る
丁度、華琳たちの世界に来たばかりの時、なんて発音しているのかはわからないけど、何を言っているのかはわかるような、そんな感じ
≪《更新》→500error サーバーが存在しません≫
≪《接続エラー》→“―――”のIPが見つかりません≫
≪《入室》→“―――”が入室しました≫
≪《上書き》→本当によろしいですか?《Yes》〈No〉≫
≪《上書き》→実行中、しばらくお待ちください≫
≪《上書き完了》→実行された手続きは、正常に完了しました≫
≪《更新》→しばらくお待ちください≫
「……終わったのか?」
いったい何だったんだ? 今のは……、更新?上書き?
不可解な現象におろおろと周りを見回してしまう。 別段変った様子はないのだが……
ピクリ、と少女が動き出す。
「……ひゃはっ」
「!! お前は」
聞き間違えようのない、不愉快な笑い声が聞こえて、咄嗟に身構えてしまう
だが、俺のことは眼中にないようだ……、というより、少女の視線の先に居るのは影人間(仮)一刀君
「ひゃははっ、面白い顔―っ、そんなに楽しかった? 喜んでくれて嬉しいよ! 」
ゾンビ(仮)一刀君を指差しながら、皮肉とも本気とも取れないような様子で、黄色い声で騒ぐ少女
こいつ……。 今までこういう感情を、女の子に対して抱いたことがなかったのだが、こいつにだけは違う、こいつは駄目だ
こうして落ち着いて確認すれば、良く分かる、さっきまでの少女と、こいつ。
……資料室で会った少女と、夢の中に居た少女は間違いなく別人だ。
さっき、入れ替わった→≪《更新されました》→ ゲストの権限を追加します≫
……頭の中の何かが切れる直前になって、少女は「あっ」と、屍(仮)一刀君を見て、何かに気づいたような仕草をすると
「もうすぐ閉幕だね。 じゃあね、短い間だったけどさようなら、もう会うことはないだろうけど、念には念を入れて、全部壊しておいてあげるから」
そこで言葉を区切り、距離を離して、大きく手を振り「ばいばーい!」と、身体が消えていく
≪《退出》→“―――”が退出しました≫
声(?)が聞こえると、残されたのは、俺と無気力(仮)一刀君だけ
……結局なんだったんだ?
ここで起こった出来事の半分も理解できていない。
……理解出来ていないのだが、なぜだろうか、こうして一人(と一体)になると、異常なまでに冷静な俺がいる《ログを更新します》……なに?
そう、異常なまでにだ、思えば最初から何か色々とおかしかった気がするが……
意識して思考してみると《ログを更新します》ほら、なんだこれ→《エラー》
……よし、手探りで、出来ることをしてみよう、夢→《仮入室中》がいつ醒めるかもわからないしな……。
仮入室中?……仮入室中だと、何が出来るんだ?
→≪《選択してください》→《ログの閲覧》〈ログのソート(未設定です)〉〈ログのコピー〉〈ログの貼り付け〉〈次へ〉≫
次へ。
→≪《選択してください》→《戻る》〈ログの更新(自動設定されています)〉〈※入室が必要です〉〈※入室が必要です〉〈※入室が必要です〉〈次へ〉≫
入室。→
≪《入室》→しばらくお待ちください≫
≪《接続エラー》→“ゲスト”のIPが見つかりません≫
なら……、ログの閲覧。→
≪《ログの閲覧》→しばらくお待ちください≫
≪《ログの閲覧》→ロードが完了しました≫
≪《ログの閲覧》→《No.1》〈No.2〉〈No.3〉〈No.4〉≫
一番。→
≪《ログの閲覧》→No.1を参照します→<・・・目が覚める俺はベッドの上に寝ていて、まどろみの中をしばしさ迷う 傍らの時計を見れば、そろそろ起きないとまずい時間だ だけど>≫ 待て待て!! ストップ!!→≪《ログの閲覧》→中断します≫
……→
≪《ログの閲覧》→《No.1》〈No.2〉〈No.3〉〈No.4〉〈次へ〉≫
……鼻血→
≪《ログの閲覧》→<しかし、猛った猛獣は、そんなことでは満足してくれなくてそして……ブゥッ!!」>≫……。
なるほど……、ここは相当便利な空間みたいだな。 大体わかった。
頭ん中で命令するんじゃなくて、意識して思い出そうとすれば→≪《最適化》→手続きの簡略化を行います。 よろしいですか?→《はい》〈いいえ〉≫
……はい≪《最適化》→しばらくお待ちください≫
≪《最適化》→実行された手続きは、正常に完了しました≫
よし、なら、……ここに来るまでの状況を整理してみよう。→《ログのソート(手動設定)》
まず、ここまでで起きた一連の出来事は、俺が華琳たちの世界から、元の世界に戻ってきて、目を覚ますまでの間に起きた出来事だ→ <No.12〜No.15前半参照>
最初に、声が聞こえてきた。→<No.14前半参照>
次に、一緒に遊びにでも誘うような陽気な声が聞こえてきた。→<No.14前半> 多分、悪い少女(仮)の声だろう。《ログを更新します》
その後、俺と静かな少女(仮)が二人で何かを話していた。→<No.12前半参照>
何故か俺がなんて言っていたのかが思い出せないが、少女がなにを言っていたのかは覚えている。
→<「―――私が、あなたをこの世界から消しました。 あなたにこの続きを見せたくなかったからです」
「それでも、どうしても見たいというなら、地獄に落ちる覚悟を」
「後悔と絶望に身を焼かれる覚悟をしてください」
「……わかりました、でも安心してください。 どうしようないようでしたら、私が何とかしますから。 脅かしてごめんなさい」>
少女の言葉から察するに、資料室でした話と、似たようなことを話していたのだろうな→<No.14後半参照>
そして。→<No.15参照>
正直、思い出したくない。 でも、悪い少女(仮)が、何か重要なことを言っていたはずだ。
……そう→<「ひははっははははは、ねぇ? どうこれ? 凄いでしょ!! 私がやったの!! ひゃっははははは!!」>これだ。
―――あの“地獄”は、あの少女がやったのだと、そう言っていた。《ログを更新します》
自らの手で、地獄を作り出したということなのか?→《エラー》
あの二重人格の少女たち(仮)は華琳たちの世界の住人?→《エラー》
……異端者とは彼女たちの事→《エラー》
……
……駄目だ、情報が足りなさすぎる。
―――そうだ、貂蝉たちならなにか知っているかもしれない
そのためには、夢《仮入室中》から醒めないといけないんだけど……
退出。
→≪《退出》→“ゲスト”が退出します。 よろしいですか?→《はい》〈いいえ〉≫
《はい》……俺の意志で出来るのかよ。 最初からするべきだったかな……。
ふと、視線を手に落として見れば、だんだんと透明度が増していき、少しずつ消えていくのがわかる
さて、戻ったらまずは何から聞こうか……。→《ログのソート(手動設定)》
これって、夢から覚めても使えんのか?だったら便r…………
≪《退出》→ゲストが退出しました≫
……
≪《入室》→“―――”が入室しました≫
≪《ログの消去》→管理者権限により、指定された特定のチャットログの消去が実行されます。 よろしいですか?→《はい》〈いいえ〉≫
≪《ログの消去》→しばらくお待ちください≫
≪《ログの消去》→実行された手続きは、正常に完了しました≫
≪《退出》→“―――”が退出しました≫
≪《入室》→“水も滴るいい漢女”が入室しました≫
≪《退出》→“水も滴るいい漢女”が退出しました≫
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