遅くなって申し訳ないです
この先、割と鬱表現になると思うんで、苦手な人はどうかUターンを
非常に読みにくいのはわかってるんで、勘弁していただきたい
難解なのは作風ではなくて、ただ単に筆者の実力不足です。 どうかひらにご容赦を
零章-十四 最後の記憶
ほら、起きて、続きが始まるよ
あなたが待ち望んだ、この物語の続き
見たいでしょ?聞きたいでしょ?
だから、早く起きて
「―――私が、あなたをこの世界から消しました。 あなたにこの続きを見せたくなかったからです」
「?――――――。」
「それでも、どうしても見たいというなら、地獄に落ちる覚悟を」
「……、――――――。」
「後悔と絶望に身を焼かれる覚悟をしてください」
「―――。 ――――――。」
「……わかりました、でも安心してください。 どうしようないようでしたら、私が何とかしますから。 脅かしてごめんなさい」
…………
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―――もう疑う余地もない、彼女らは戦争に負け、国が、街が、人々が、彼ら異端によって蹂躙されていく
「ひっ・・ひゃはははっ!! ひははははははははっ!! ひゃーっははははははぁ!!」
何がそんなに面白いのだろう、絶望にひれ伏す俺を見てなのか、はたまたこの目の前に広がる光景を指差してなのか。 腹を押さえ、肩を大きく震わせ、目に涙を溜めながら少女は嗤う、その姿は笑い転げているというのが正しい
無論、そんなもの、いまの俺にとってなんら関心をひかれるようなことでもない
ある程度予想はしていたし、覚悟もしていた。だからこそ、ここまで取り乱すことなくいられたのだろうが
少女は言っていた、『見れば後悔する』、『地獄』と
間違いない、確かにあれは『地獄』だ。 なら、こうしてひしひしと感じているのは『後悔』なのか
棒立ちになりながらこの光景を眺める俺の姿は、見方によっては放心しているように見えるだろう。事実、腕は力なくだらんとさがり、膝をついていないのが不思議なくらい弱弱しく立っているだけなのだから
それでも、その視線は、視界に広がる光景の全てを見逃すまいと、瞬きすら忘れているかのように眺め続けていた
「ひははっははははは、ねぇ? どうこれ? 凄いでしょ!! 私がやったの!! ひゃっははははは!! ねぇ、褒めて! 君に褒められても嬉しくとも何ともないけど、ここには君しかいないんだもん! だから褒めてよ!! 頭なでなでしてよ! ほらほらっ、ボーっとしてないで褒めてってばぁ!! ひゃはははははははははは!!!」
少女の声が遠く聞こえる、否、それは声として認識されていない。 場違いな少女の歓喜も、さながら、この惨劇のBGMの一つといったところか
そもそも、俺が何を言ったところで、“この”少女には何一つ届かないわけであるが
言われている本人も、俺と同じように、こちらは膝をつき、涙を流し、なんども嘔吐しながら、それでも頭を伏せることなく、目の前に広がる地獄を目に焼き付けていた
―――ここでは俺はただの傍観者、あれに手を伸ばすことも、声をあげることもできないし、しても意味はない。
―――なら、せめて最後まで見届けよう、それだけは俺にも出来る
―――それが、俺の覚悟だ
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「ここは……」
最初はどこかわからなかった。 でもこうしてしばらく眺めていれば、いやでも頭は理解する
眼前に広がるのは、華琳たちと苦楽を共にし、俺が警備をした、魏の都市洛陽、俺はその街中に立っていた
普段なら、街は溢れんばかりの人で賑わっていて、子供たちが広場を楽しそうに走り回っている。 そんな光景が広がっているはずなのに……
ここに人の姿はない。 出店はおろか、のれんがかかっている店すらない
そもそも、人の気配がこれっぽっちもしない、まるで街そのものが死んでしまっているかのようで、慣れ親しんだはずのこの街が洛陽であるということに気づくまでには、少しとは言え時間を要した
「もうこの都市の住民は避難し終わったみたいね。」
いつのまにそこに居たのだろうか、この異常な光景見ながら、俺の心の疑問に答えるかのように資料室で出会った少女が口を開く
避難……? どうして避難なんてしなければいけないのか
戦争は終わったはずだ。 華琳たちが終わらせたはず
もう、人々を苦しめる乱世は終わったはずなのに
「流石は名高き魏の君主さま、こういう対応の速さには驚くしかないよね」
「ひな……「避難ってどういうことなんだよ!!」……えっ?」
口を開こうとしたその時、まるで俺の分身のように、身体から影が出てきて、少女に掴みかかる
「戦争は終わったんだ! 街の人たちが避難しなきゃならない理由なんかあるはずないだろ!?」
影の姿を確認して、一瞬俺は目を疑う。 その影は、姿、声、服装に至るまで、確かに俺だった。
少女は俺の分身に掴まれても、顔色一つ変えずに、それどころかわずかに微笑みながら
「慌てないでよ、どうせすぐにわかるんだからさ」
そういうと、片手で、まるで肩に着いた埃を払うかのようにして俺の分身を除ける
「っ!!、お前……」
予想外の力になすすべなく振り払われ、その勢いで尻もちをついてしまう俺の分身
「う〜ん、ここじゃなにも面白いものは見れないかもね。 場所を変えるわ」
「……なにを見せるつもりなんだ」
「う~ん、私の努力の結晶ってところかな」
―――目の前で繰り広げられている二人の会話を見ながら、頭の片隅で理解する。
そうだ、これは、于吉が見せたあのテレビと同じで、ただ見るだけ
外側から見るか内側から見るかの違い、ただそれだけの違いなんだ
……ならだれの記録なのだろうか、なんて考えるのは時間の無駄だ。 わかってる、これは俺の記憶
物語の最後の記憶
少女が何か手振りをする。 その瞬間、場面は切り替わり、俺達は遥か上空から大地を見下ろしていた
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そこには、なにか黒い草原が見えた
そして、今にもそれに飲み込まれようとしている青い草原、そこからはるか後方には、一つの街が見える
ここまで高いと、詳しくは見えないし、音も届かないが、青と黒の間で、両方がぐちゃぐちゃに混ざった部分から何か赤い色が舞い上がっているのがわかる
その赤色が舞い上がる度に、青い草原はどんどん小さくなっていって、段々と黒に染まっていく
これがなんなのか、理解が出来ない
下で起こっている現象はいったい何なんだ?
そんなことを考えているうちに、青い草原はどんどん細くなっていって……。
―――そうか、このとき、俺はこれが何なのかわからなかったのか。
まあしょうがないだろう、このときの俺にして見れば、こんなのはもう華琳たちが終わらせたことなのだし
なによりここまで一方的な戦いを俺は見たことがなかったのだから―――
そんな俺の様子を見て、少女はまた微笑む
「ごめんね、ここからだと今度はわけわかんないね。また場所を変えるよ」
言葉と同時に、また場面が切り替わる
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「んあ、間違えた」
場面が切り替わった瞬間、少女が声をあげる
そこには、見たことのない装備で固めている兵たちがいた
黒い毛皮のようなものを羽織り、剣と弓、盾を持っているのだが、やはりどれも見たことのない形をしていた
周りにはいくつか天幕が立っていて、ここが彼らの一時的な拠点であることがわかる
「―――ちょっと! これはどういうことなのよ!?」
後ろから、なにやらヒステリックな怒声が聞こえる。 何事かと振り返ってみると、馬の上から一人の武装兵……声から察するに女性の兵が、見下ろすようにしてその横に立っている背の高い、でも細身でやたらと気の弱そうな一人の男性兵に罵声を浴びせかけていた
「もう終わりますよ、後は頭領が、首級を掲げて、はい、終わりです」
「そんなこと訊いてんじゃないわ!! なんで私たちはこんなところでグダグダしてんのよ!! 報告受けたわ! 『洛陽の民、避難完了、街は既にもぬけの殻』ですって!? ふざけてんじゃないわよこのノロマ!!」
鬼のような形相で叫びながら、足で男性兵を何度も小突く、それを片手で受け止めながら、困ったように男性兵は答える
「いや、いいじゃないですか、僕らの任務は、彼らの殲滅ってだけで、街を襲えなんて一言も……」
「甘い!! 良い? 私は逃げ回る雑魚や、必死に許しを乞うゴミどもの姿が見たかったの! あんな死も恐れぬ糞将兵たちの死に様を眺めたってなんっにも面白くないのよ!! ……、もういいわ! 奴らの避難先はどこ? 案内なさい!!」
「うっわぁ、あなたほんとに趣味悪いですよね……」
「黙れノロマ!、さっさと号令出しなさい!」
「はいはい、では……、おーい!我らが姫が、奴らの後方に強襲をしかけるそうです! いまから挙げる部隊は、姫の後ろに……って、あぁあ、あんなに遠くに」
男性兵の視線の先には、既に豆粒のように小さくなった女性兵の姿があった
なんなんだこいつらは? 何の話をしているんだ?
いまあの女性兵は何をしに、何処へ行った? わからない、わけがわからない
―――自分の心の声が、考えていることがわかる
動揺、恐怖、焦躁感
この期に及んでまだ認めたくないんだ、華琳たちが終わらせた平和は……
兵たちの様子をなにやらニヤニヤしながら傍観していた少女は、何かを思いついたように顔を上げる
「まずはあっちから見てみようか」
場面が切り替わる
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「うわぁあああああ!!!」
一人の男が叫び声を上げる、それが引き金となって、集団で歩いていた人たちは一斉に振り返り、事態を確認すると、同じように叫びながら蜘蛛の子を散らすように駆けだす
「ははっ」
先程の女性兵が、一番最初に、叫びをあげた男を、馬上から槍の一振りで黙らせると、逃げ惑う人々を追い掛け、後ろから一振り、二振り、一刺しと槍を振り回す
その一振りが、背を向けていた老人の肩を抉り
その二振りが、手を繋ぎ、二人で必死に逃げようとする恋人同士の両腕を斬り裂き
その一刺しが、我が子を庇うかのように蹲っていた女性を、その子供ごと、背中から突き刺す
それは、一瞬の出来事だった。 止めようと駆けだす構えすら許さぬくらいに一瞬に行われていた。
次、次、次、次、と機械的に、効率よく人々を襲う。
その動きは機械的だったとしても、女性の表情は醜悪に歪んでいて、この狩りを心の底から楽しんでいるようだった
「ははははっ! ほら、早く逃げないと大変だよ! はははははは!!」
悪鬼による無慈悲の一撃の下、狩られた人たちは、物言わぬ亡骸に……
―――なっていなかった
この悪鬼は、わざと急所を外し、一撃から死までの数分を生き残らせている
恐怖に震え、痛みに叫び、やがてくる死に怯える人々の顔を、狩人はまるで喜劇でも見るかのように楽しげに、笑いながら眺めている
そして、尻目に映った無傷の少女見つけると、すぐさま近づいて蹴り飛ばし、すれ違いざまに背後から槍を突き刺そうとする
「やめろぉおおおおお!!」
俺は、その少女に駆け寄り、少女を庇うようにして槍の眼前に立つ
悪鬼は俺の姿など意に介さぬかのように、槍を穿つ。 あの槍を止める術などない俺は、やがてくる衝撃にに堪えようと固く目を閉じた
……?
「ひっははははは、なにやってんの、君、面白い! 面白い!!ひゃははははははっ!!」
覚悟していた衝撃がいつまで経ってもやってこないので、目を開けると、そこに悪鬼の姿はなく、俺を貫いているはずの傷もない
ただ俺を、さも滑稽そうに指差し、嗤い転げる少女がいた
「……やだ、助けて……、助けて……ぁああ」
「!!」
下から、少女の呻き声が聞こえて、慌てて視線をそちらに向けてみる
そこには、うつぶせに這いつくばり、背中からおびただしい量の血を流し、泣きながら助けを求める少女の姿があった
「おい、し……しっかりしろよ! いま助けてやるからな!!」
励ましの声をかけながら、まずはこの血をなんとかしようと、手で押さえようするのだが、いくらやっても触れない
まるですり抜けるように……、あぁそうだ、触れるわけがないんだ
そんなことをしているうちに、やがて少女は動かなくなって
「うぁあ……、うわぁあああああああああああ!!」
「ひゃはははははははは!! だから、なにやってんの!? 意味ないよね!? 意味ない、って言ったよねぇ!? ひはははははは!!」
この世界に、再び俺を呼んだ本人が、俺の無様を嗤う
やがて逃げる人がいなくなると、悪鬼はそれを確認し、次の狩り場へと向かう
残されて、目に映るのはまさに地獄
這いつくばり、助けを求める人たちの中には見知った顔もあって
助けに行こうとも、彼女のルールに縛られたこの身は、どうしようもないほど無力で
―――そうだ、これも一つの地獄
思えば、このとき正気を失ってしまえばよかったんだ
そうすれば……、あの絶望を味わうことなんてなかったの
「ひひっ、じゃあ、次ね、と言ってもこれで最後、寄り道はおしまい」
場面が切り替わる
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そこには、最悪の光景が広がっていた
目の前の光景を信じたくない
死体の山を築き上げているのは魏の精兵たち
辺りには黒煙が上がり、立っているのは敵兵だけ
その真ん中で、対峙する王と王がいた
憮然と立っている男が一人。 一見クマのようなその大男は、身の丈ほどにもあろうかという大剣を担ぎ、つまらなさそうに目の前に立つ少女を睨む
向かいの少女は無表情、それでも、瞳には怒りと悲しみを宿している。 ―――誰が見間違えるだろうか、かつてこの三国を平定し、乱世を制した覇王の姿を
「……どうしてくれるのよ、あなたのおかげで私の国が滅びたわ」
「ふん、この期に及んでそのような口をきけるか。 その器は褒めてやる」
「ありがと、褒めるついでに、その首おいてってくれないかしら?」
「我がわざわざ献上せねばならぬのか? 断ろう、欲しい物は自らの手で手に入れるべきだ」
「そうね、あなたの言う通りだわ。 だから、せめてあなたの首くらいは刎ねないと、彼女達に申し訳がつかないもの」
そう言いながら辺りを一瞥する
華琳の視線の先には、力尽きた兵たちが
苦楽を共にした武将たちの姿があった
変わり果てたその姿を見て、華琳の表情が一瞬歪むも、すぐに覇王の顔を取り戻し、再び視線を目の前に立つ男へと向ける
「五胡の王よ、我ら魏の大地を穢した罪、その身を以て償いなさい」
武器を構え、男を睨む
「……ふん」
けだるそうに、片手で大剣を構える五胡の王
―――この決闘に、意味などない。 勝敗は既に決したのだ
あるのは覇王としての誇りと責任
無論、華琳は目の前の男の武に手も足も出ないことなど百も承知
「……やめろ」
合図は無かった、華琳が先に動き、鎌の一閃が、男の首に伸びる
―――俺の声は届かない、ただ見ているだけなのだから
「……やめろ!」
男の大剣が鎌を弾き、そのまま華琳の胴を目掛けて振り下ろす
―――泣きながら懇願しても、意味はない
「やめろぉおおおおおおおお!!!」
紙一重に、後方に避けると、鎌を握り直し、再度鎌を振り上げる
再び大剣と鎌が交差する、決闘は一瞬で決まった
「……最後まで、卑劣なやつね」
「ふん、なんとでも言え」
否、それは決闘などではなかった、交差する刹那、華琳は周りに伏せていた弓兵に数人により、その身を貫かれていた
ガチャンッ!と、手から鎌が滑り落ちる
「……一刀……ごめんね」
それは何に対しての懺悔だったんだろうか、最期の言葉は、俺に対する静かな謝罪
「……あぁあああああああああああああああああああああああああ!!」
ゆっくりと、崩れ去る華琳の姿に、俺は狂ったように叫ぶ
いままで必死に笑いを堪えていた少女が、待ってましたと言わんばかりに歓喜に顔を歪め、笑い声をあげる
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―――華琳たちは、戦争に負けた
その一部始終を俺は見ていた
これが、俺の最後の記憶
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