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零章-十壱 華琳
・・・目が覚める

私は寝台の上に寝ていて、まどろみの中をしばしさ迷う

窓に目を向ければ、空は白み掛かり、日がゆっくりと登ろうとしているのがわかる

そろそろ起きないとまずい時間だ



―――頭では、わかってはいるのだが、心と体が言うことを聞いてくれない

 もう少しこの余韻に浸っていたい




 なんだか、長い夢を見た、それは、すごく幸せな夢で
 
 
詳しく覚えているわけではない、ぼんやりと、大まかに


 夢には一刀が出てきた。

 今までだって、夢の中に一刀が出てくる、なんてことは何度でもあったのだが、今朝のそれは、いつもとは雰囲気が変わっていた


一刀はただ、ボーっと私を見ているだけ

私は一刀がいない間の思い出を語るだけ



会話をしていたわけではない、そもそも視線だって合っていたかどうか怪しい

はたから見れば完全に一方通行



―――それでも、通じ合っていた


私の想いは一刀に、一刀の想いは私に

……うまく言葉にはできないけど


―――私がどれだけ手を伸ばそうと届かないくらい遠くに、”一刀は居た”

 
 でも、私は、一刀が帰りたそうにしているのがわかった

 一刀も、私がいまでも帰りを待っているのがわかってて
 
 私が待っててあげてるのが、一刀は嬉しくて

 一刀が嬉しいと、私も嬉しくて



 いろんな想いが、一刀と私で行き来して


―――多分、心が、一つになっていたんだと思う、それくらい近くに“一刀はいた”





―――でも夢だった




こんな夢を見せられたりしたら


「……やっぱりね」


案の定、私は泣いていた、自覚してしまえば、もう駄目だ

「っく……ぅぁあ……っ」

 必死に、声を出さないように、枕に顔を思いきり押し付けて、収まるのを待つ。

 こんなのは、こんなに辛くて、切なくて、悲しくて……、こんな気持ちは、あの時以来だ

「っかぁ……ばっ……っかぁぁぅっ」

あの馬鹿はホントに性懲りもなく、いなくなっても変わらないで

「っばかぁぁ、ばかっ、ばかぁぁあっ……」

私を、私でいられなくする








―――あぁ、そうだ、私はまだ寝惚けてるんだ


寝惚けているなら、まだ夢は続いてるんだ


夢がまだ続いているのなら、一刀ともまだ、繋がってるはず


繋がってるなら、届く




……、我ながら支離滅裂な思考、それでも、それに縋ってあらん限りの想いを






 ―――、好きなの、3年経った今でも


 ―――、大好き、あなたがいない間にも想いは変わらない


 ―――、愛してる、変わらない? 嘘ね、どんどん膨らんでるわよ、馬鹿
 

 ―――、寂しい、恨んでるんだから、私にこんな思いさせて


 ―――、悲しい、どんなに素晴らしいことがあっても、そこにあなたがいないってだけで


 ―――、切ない、時が経てば、経つほど、あなたという存在が薄れていくようで 



 
 ―――、だから、帰ってきて


 ―――、はやく、帰ってきて





 ―――、……帰りたい



 「……えっ?」


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