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Double Role~異世界魔王の暇潰し~ 作者:遊座 音無
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第4話 頭上から美少女

ここで初めての戦闘シーンが入ります!
と言ってもすぐ終わってしまうのですが...

あ、少しだけグロテスクな表現が含まれますのでご注意ください。
....................
...............
..........
.....



勇魔「............えーっと」


冷静になればなるほど状況を理解する事ができない。


勇魔「俺はさっき...家の玄関から外に出たはずだよな.....」


勇魔「................至って普通に」


そう。今、杜若勇魔(かきつばたゆうま)は完全にパニックに陥っている。


なぜなら...玄関を開けて外に出たら外じゃなかったからだ。


勇魔「..........ダメだ...さっぱり分からない」


とりあえず現在いる場所を見渡してみる。


勇魔「ここは.......パッと見る感じ..........何かの倉庫か?」


そこは倉庫や物置といった言葉が1番納得できる......そんな場所であった。


東洋の物語に出てきそうな大きな木箱、何かの儀式に使用されるのであろう神楽鈴、その他にも様々な祭具が辺り一面に保管されている。


勇魔「なんで...こんな所に.....」


自分がなぜこのような場所にいるのか未だに理解できないながらも、慎重に今の状況を整理していく。


勇魔「入口の扉も.....窓も.....普通にあるよな」


そう言ってドアを開けようとした勇魔の耳に何かが聞こえた。


勇魔「ん?.......外で話し声が聞こえる!?」


とりあえず自分以外の誰かの存在に少なからず安心する。


勇魔「.........少しだけ開けてみるか」


扉の外にいる人物が何者か分からない以上、気安く出ていく訳にも行かない。


扉を少しだけ、音を立てないように慎重に開ける。


そしてその隙間から外の様子を観察する。


勇魔「なんだ......この場...ヘボバァ!!??」


勇魔は思った事を最後まで言い切る事ができなかった。


???「イ.. イサナ!!・ン...ンメゴ!!!」


何が起こったのか理解できない。


ただ分かるのは、自分の上に誰かが急に落ちてきた(・・・・・)
ということだけ。


勇魔「モゴッ!....モゴモゴッ!.......モゴゴッ!」


目の前が真っ暗で何も見えない。


加えて顔に何か温かく柔らかいものが押し当てられているせいでまともに話すことができない。


勇魔(な..なんだ?..この絶妙に柔らかくて且つ温もりのある感触は?)


今、勇魔は仰向けで倒れている。


つまり顔の上にその落ちてきた何かが乗っている状況だ。


???「ヤッ...テメヤ!!...デイナ...カゴウ...」


勇魔「モゴッ!....モゴォォ!!!!.....プハッ!」


顔の上の何かを力任せに持ち上げて、その正体をようやく目視で確認することができた。


勇魔「こ..これは!?.......この絶妙に柔らかいこれは!?」


否、それは触るだけで十分に判断できるものであった....


勇魔「.....................おっぱ....」


???「テ!.....テメヤ!!!」


パシーン!!!!


勇魔「ヘボバァ!!??」


倉庫内に乾いた音が1回...響き渡った。


.........................
....................
...............
..........


勇魔「.......なんで急に上から女の子が降ってくるんだ....」


不可抗力とはいえ思いっきり女性の胸を鷲掴みしてしまった勇魔は盛大なビンタを1発受けた後に、正座して当人と向かい合っていた。


???「イ...イサナ....ンメ...ゴ......」


なんの前触れもなく唐突に頭上から落ちてきた少女が何かを伝えようとしている...事は分かるのだが.....


???「タナア・ゼナ・ナンコ・ニロコト??」


勇魔「あー.....ごめん...ちょっと何言ってるかサッパリで..」


???「バトコ・リカワ・カスマ?」


少女が必死に語りかけようとしている...


そんな少女の片手には小さな籠が握られており、その中には色とりどりの綺麗な花が摘まれていた。


勇魔「.........ジー」


???「....?」


勇魔(.....なんで花なんか持ってるんだ??)


???「....??」


勇魔(ていうか...花も綺麗だけど....よく見るとこの子も.....)


その少女はとても可愛らしい少女であった


綺麗な黄緑色のショートヘアが良く似合う整った顔立ち。


一目見ただけで分かる少女を包む優しい雰囲気。


まだ僅かに幼さを残す体の輪郭も、その少女にはよく似合っていた。


見た目だけで判断すると、勇魔と歳は変わらなそうな女の子だ。


???「......ア!!!」


勇魔「あ、ごめん...なんかずっと見ちゃって....」


自分がずっと無言で見続けていた事を自覚し、一言謝ろうとすると....


???「(えーっと....聞こえていますか?)」


突然、勇魔の頭に直接言葉が聞こえてきた...


勇魔「うぉっ!?....な、なんだ!?」


突然の出来事に驚きを隠せない....


???「(聞こえますか?...もし聞こえていたら何か返事をお願いします)」


勇魔「き...聞こえています!」


訳が分からずとりあえず全力で頷く。


???「(良かった.....あ、驚かせちゃってごめんなさい!)」


勇魔「......?」


ただただ驚く事しかできない。


目の前の少女がこの現象を引き起こしているのだろうか..


そうとしか考えられない。


でも一体どうやってこんな...これじゃまるで....


勇魔「.....テレパシー.....だよな...」


リアルタイムで体験している事を理解できずに、考えをまるでまとめることができない。


???「(えっと、驚かないで聞いてくださいね)」


???「(私の能力は『テレパシー』なんです。自分が伝えたい事をそのまま相手に伝える事ができるのですが...)」


???「(まさか異国の方にも使えるなんて...私自身さっきまで知りませんでした...)」


勇魔「の...能力?.....異国?.........どゆこと?」


理解するための説明を理解できないのは初めての経験だ....


???「(あ..私が能力を使っている間はあなたも同様に伝える事ができます!なので...自分が伝えたい事を頭の中でイメージしてください!)」


???「(そうすればちゃんと私にも届きます!)」


勇魔「え?...俺にもできるの?...えっと、じゃあ..」


まず真っ先に思い付いた質問を目の前の少女に問いかける...


勇魔「(.....君は一体どこから落ちてきたの?)」


???「(...やっぱり気になるのはそこですよね...)」


問われた少女は困った表情で質問に答える...


???「(それが私にもサッパリ分からないんです....)」


それは数秒の沈黙だったが、当事者の二人にとってはもっと長く感じられる沈黙であった....そして........


勇魔「(..........え?...分かんないの!?)」


返答の意味を理解した勇魔は思わず大きな声で聞き返す。


???「(はい.....それで....あの..あなたは?....)」


質問の対象が自分になった勇魔は慌てて現状を説明する。


勇魔「(あ!決して怪しい者じゃないよ!?俺の名前は杜若勇魔(かきつばた ゆうま)っていうんだけど...)


勇魔「(普通に家の玄関からドア開けて外に出たらここにいた.....んだけど..........って何を言ってるんだ俺は..)」


ただでさえ自分すら今の状況を理解できていないのだ。


他者に説明するというのは酷な話であった。


???「(カ、カキツバタユーマ...さん?...め..珍しい名前.....ですね...)」


勇魔「(『勇魔』でいいよ.......君は?)」


???「(あ..私の名前は『ルミナ・サウンテット』です...えっと、お店の前で花を売っていたんですけど、突然地面が無くなっちゃったみたいに下に落ちる感覚があって...それで今に..至ります........私何言ってるんだろう...)」


お互いに自身の身に起きたことをそのまま説明しているのだが、非現実的過ぎて自分達の説明を理解することができない。


勇魔「(じゃあ、つまり...お互いになんでこんな所にいるのか分からないってことだよね....)」


ルミナ「(はい。なんで大聖堂の倉庫(・・・・・・)なんかに.....)」


ルミナの言った何気ないその一言を勇魔は聞き逃さなかった。


勇魔「(....ちょっとまった!この場所の事知ってるの!?)」


ルミナ「(??....はい、もちろんですよ?私ずっとこの町で暮らしているので...)」


現在地の情報を目の前の少女が持っているという事を知った勇魔はひとまず安心する。


ルミナ「(今は....『勇者選定の儀』を行う時間ですね)」


その安心感から勇魔は聞き慣れない単語に興味を持った。


勇魔「(...勇者選定の儀?.........なにそれ?)」


ルミナ「(知らないんですか!?...『勇者選定の儀』ですよ!?)」


勇魔「(そう言われても....そんな事は俺の管轄外で...)」


ここに住む人々にとってその『勇者選定の儀』とやらはどうやら一般常識のようだ。


ルミナ「(...だったら!...今見ちゃいましょう!!)」


見る?今?............どこで?


勇魔「(え..今見るの?.....どゆこと?)」


ルミナ「(今まさにこの大聖堂でその『勇者選定の儀』が行われているんですよ)」


幸か不幸かその儀式は今この大聖堂で行われているらしい。


まあ、見るだけなら.....


軽い気持ちで了承する勇魔。


2人は並んで扉を少しだけ開けて倉庫から顔を出す。


勇魔「(それで...儀式って具体的に何をするの?)」


ルミナ「(やることは単純です...ただ台座から剣を.....キャッ!!!)」


勇魔「うぉゎ!!??」


倉庫から儀式を覗こうとした2人は突如巻き起こった暴風に堪らず後方へと吹き飛ばされた。


あまりに急な展開に何が起こったのか分からない。


勇魔「いってて....今日は厄日(やくび)か....」


どうにか起き上がった勇魔は同時に吹き飛ばされたルミナを探す。


やはりルミナも勇魔同様に後方に飛ばされていたが、見た感じ怪我はなさそうだ。


勇魔「さっきのあの竜巻みたいなの....何だあれ?」


ルミナ「(まさか...魔王軍がこの町にも!?)」


勇魔「(魔王軍?....なにそ.....うぉっ!!!)」


ルミナ「(あ...ユーマさん!!)」


そして今度は逆に勇魔の体が倉庫の入口の方へと吸い寄せられていく!


まるで誰かが意図的に風を操っているように。


勇魔「うぉぉ!!......アダっ!!!」


倉庫内から無理矢理引っ張り出された勇魔は聖堂内の床に放り投げられた。


そして勇魔はそこで目の当たりにした。


勇魔「なんだ....これ.....」


聖堂内は悲惨な状況だった。


辺り一面は...どこまでも赤かった....


大量の赤色のペンキを盛大に引っくり返した様な...


元は人間のそれ(・・)であったのであろう肉片がまばらに散らかっている。


そしてそれらが全て人間の血液であると理解するのにそう時間はかからなかった.....


勇魔「ウッ!!......ヴォェ!!!......グェ!!!」


あまりに悲惨な状況に耐えられなかった勇魔はその場で吐いてしまう。当然だ。人間の、ましてやこんな死に方を今まで見たことなんて無いのだから....


黒ローブの男「カ・リコノキイ。レバ・タク」


勇魔「...!?」


それは必然か.....


突如として現れたその黒のローブの男は、勇魔に向けて手をかざした。


勇魔はそれを本能的に危険であると感じた....


故に咄嗟の判断で後方へと回避した。


黒ローブの男「トダ・ンナ!?」


その結果..黒ローブの男の手から放たれた風の直撃は免れることができた。


しかし、その風の威力は凄まじく、勇魔の体はいとも容易く後方へと吹き飛ばされてしまう。


勇魔「ガッ!?............グハッ!!」


吹き飛ばされた体は聖堂の壁へと叩きつけられた。


意識が飛びそうになる中なんとか堪える。


黒ローブの男「イイノンウ・メツヤ。ギツ・ソコ・スロコ」


黒ローブの男が少しずつこちらへと近付いてくる。


今度こそ勇魔を仕留めるために。


勇魔(ヤバ...イ.....このままじゃ......死ぬ!!)


朦朧とする意識の中で己の死を感じる...


勇魔(何か....今の俺にできる.....何か....!!!)


それは幸か不幸か。


藁をも掴む思いで散乱した周囲を見渡した視界の隅にそれは映った。


勇魔(これは....剣...か?)


吹き飛ばされた勇魔のすぐ横に、1本の剣が台座に深々と突き刺さっていた。


次の瞬間にはもう体は動いていた。


勇魔(こんな....ところで....死ねるかぁ!!!)


ただ目の前の敵を倒すこと。


今の勇魔はその事しか考えていない。


腕を持ち上げるだけで全身が悲鳴をあげるが、そんな事はお構い無しで勇魔はその剣の柄に手をかける。


勇魔が柄を握るのとほぼ同時、黒ローブの男も勇魔の目の前へと接近していた。


黒ローブの男は再び手をかざした。あの風をもう一度巻き起こすつもりのようだ。


勇魔「ウグッ!......うぉぉぉ!!!!!!!!」


しかし、勇魔の方が僅かに速かった!(きし)む体を無理矢理にでも動かす!


柄を握ると同時に剣を引き抜き、その勢いのまま黒ローブの男に斬りかかった!


黒ローブの男「ナンソ...・..ナカ.....バ.....」


完全に油断していたローブの男はその予想外の反撃を避けることができなかった。


勇魔に斬られた黒ローブの男は黒い煙となって消滅した。


それを確認する余裕もなく勇魔も力を使い果たし、その場に倒れ込む。


勇魔(あぁ.....ダメだ......もう...意識..が...)


予想以上にダメージが大きく、体は限界だった。


もう何かを考える事すらできず、今はただこのまま意識を手放してしまいたかった。


そうして倒れ込んだ勇魔はそのまま深い闇の中へ意識を沈みこませた。


ルミナ「(ユーマさん!!!)」


偶然にも倉庫内から事の経緯を見る事ができたルミナは、勇魔が倒れ込むのと同時に倉庫から飛び出した。


ルミナ「(え..え..嘘どうしよ!意識がないよ!?)」


ルミナ「(体もボロボロだし!?あぁ!もう!!どうしよ!?)」


自分がどうすれば良いか分からず、焦りと驚きからルミナはあたふたしてしまう。


しかし、ルミナが驚く理由は怪我だけでは無かった....









ルミナ「(ユーマさんが...勇者の剣...抜いちゃった...)」




.....
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.....................
作者への質問コーナー!

Q. あなたはなんの前触れもなく頭上から美少女が落ちてきたらどう思いますか?


A. 普通にビビります。


補足

今回のサブタイトル「頭上から美少女」

諺の「二階から目薬」と似てますよね(笑)
+注意+
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