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エルフの惑星 -Planet of the Elves- 作者:霧瀬ミツル
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10/29

#1-10 光の柱

 警鐘が鳴り響く街の中、俺とレズリーと数名の武装メイドたちは街の城壁へ走ってた。
 時折壁の向こう側に閃光が走ったあと警鐘すらも掻き消すほどの爆音と空気振動が街の中まで伝わった。

 『アキラ様、ほんとにピュティ様が前線まで行ったの見たんですね』
 『ハァッ!ハァッ!あぁ!見たたしかに壁の方へ向かったのを見た』

 正確には見たわけではないが、アリスの衛星写真から確認はできてた、ピュティが何をとち狂ったのか、姫が自ら戦いに赴こうとしてたのだ。

 『アキラ様、無理についてこなくても大丈夫ですよ!』
 『ハァッ!ハァッ!だ、大丈夫だこれしき・・・!あいつ(ピュティ)探すのに精霊アリスの声が聞こえる俺が適してるからな!』

 アリスの体内ナノマシンのアシスト機能で体の運動機能をフル稼働させて、辛うじて彼女たち武装メイドの走りにやっと追いついてる。
 レズリー含めた俺の前を走る武装メイドたちは、当たり前の様に片手で自分よりもデカイ剣や斧、盾などを担いで走っていながら息の一つも切らせてない、元は戦闘用か工業用のエルフの子孫なのか、俺はまじまじと人間とエルフの身体能力差を見せ付けられていた。
 そんな俺を案じてなのか、先頭を走るレズリーが俺に来なくてもいいと声を掛けて来た。
 できれば今すぐ回れ右で引き返して逃げたいとこだが、衛星写真から断続的に送られてくる写真から判る壁の向こうの乱戦具合、その中で戦いながらピュティを捜索するのはレズリーたちには無理だ、幸いアリスが機転を利かしてくれたお陰で飛び出したピュティを監視衛星で追跡してある、俺なら一直線でピュティを連れて離れることができるはず。
 しかし・・・アシスト機能をフル稼働させてもレズリーたちにどんどん距離差をつけられていく。

 なんなんだエルフのあの身体能力・・・。


 ジュドォオオオオオーンッ!


 また壁越しで強い振動が空気を震わせ体を伝う、先ほどから断続的に伝わってくる振動は、衛星からの写真からじゃよくわからないが、すでに数機《王蟲オーム》が街の外壁に張り付いてる、それが爆音振動を起してるらしい。


『該当キューブ型機体から固有振動波を壁に打ち込むことによって発生された、音と振動により強固な壁を崩壊させる目的だと思われます、まだ数機しか居ませんが取り付いた数が増えれば振動波面が増えて壁の強度が耐え切れないでしょう』
『なんて環境に優しい兵器なんだ・・・』

 そう思考を巡らせながら、前方を走ってたレズリーたちは足止めた、無我夢中で走ってたが気付いたら何とか街の城壁前までたどり着いた。

 『アリス!ピュティの現在地はどこだ』

 俺の言葉に反応して、上空から街のマップに俺の現在地とピュティの現在地をマーキングがされた。

 『よし、でかした』
 『アキラ様、どうしました?』
 『なんでもない!精霊にピュティの居場所聞いてた、俺は彼女連れ戻してくる』
 『・・・わかりました、私たちは外の・・・』

 ピピピギュイイイイイッジュドォオオオオオーンッ!

 レズリが言い終わる前に壁からまた、大きな振動。

 『―――ッ!』

 壁の近くに居たせいかその振動は俺の身揺らし骨を三半規管を大きく震わせた、予想よりも大きな振動で身構えるレベルを間違えたおかげか、ほんの一瞬だけ視界がくらっと来た。

 『ともかく頼めた義理じゃないですがアキラ様、ピュティ様を連れてここから離れてください!私たちは外の応援しに参ります!』

 そう言ってレズリたちは壁の衛兵詰め所の通路を通り壁の向こう側へ走ってた。

 『アリス、いるか!』
 『なんでしょ?マスター』
 『いちおレズリーたちも監視してくれ、何か状況が起きたら教えてくれ』
 『判りましたマーキングしておきます』

 俺の声にアリスは反応はしたが、衛星を操作と監視にリソースを割いてるんだろう姿は見せなかった。

 『とりあえず、ピュティは城壁の上か・・・』

 幸いなことに深夜の敵襲に指揮系統が混乱してるのか、城壁の詰め所の兵士たちは耳無しである俺にすら気にも留めず詰め所は怒号が渦巻く修羅場だった。
 すれ違う兵士たちは大急ぎで梯子やハンマーを壁の外搬入してた、そして俺は城壁の上に続くであろう階段を見つけ、勢い任せ駆け上る。



 ---


 そしてピュティがそこに居た。

 『祖なるガイアよ、精霊の声よ、我はその名を賛美し称える語り継ぐ!この刹那、この一時の狭間、我の呼びかけに応えよ! 《e59fb7e8a18ce382b3e3839ee383b3e383892fe68c87e5ae9ae9a098e59f9fe696ade5b1a4e99a86e8b5b7e5ae9fe8a18c》』

 ピュティは魔法の詠唱らしきものし、長杖を壁の外に向けると、壁に向かってきてる《王蟲オーム》の数機の足元の土が隆起しひっくり返した。
 ひっくりかえされられた《王蟲オーム》は短い脚部アームをジタバタさせていて、そこに数名の兵士たちが群がり一人の重装備の兵士が梯子で《王蟲オーム》の腹の上に登り、巨大なハンマーで腹を何度も叩き、その四角い蟲は機械音の断末魔を立てて機能を停止した。
 エルフたちはあの蟲の倒し方を理解してるらしいが、あまり効率はよくないようだ、数人がかりでようやく一機仕留めてる間に他の《王蟲オーム》が着実に壁に迫ろとしてた。 

 『ピュティ!何してるんだ!』
 『ふぇ?!アキラ!なんでここに!』

 俺が来たことに驚いたのか、ピュティは目をぱちくりさせてた。

 『早くここから離れろ!ここは危ないんだ!』
 『い、嫌です!私も街を守るお役に立ちたいんです!それに、今この街にいる魔法使いは数少ないんです!それともアキラは何かいい案があるんですか!』
 『う・・・』
 『ないなら邪魔しないでください!』

 どうやらピュティはテコでもこの場を動く気はないらしい、たしかに見回しても魔法を行使してるエルフは見渡す限りで少なかった、《王蟲おーむ》ひっくり返しては仕留めるだけじゃ効率が悪すぎた。
 どうすれば、どうすればいいだ・・・!。
 俺は思考をなんとか巡らせてる間にもピュティは詠唱続け、他のとこも魔法使いらしきエルフが詠唱をし土を隆起させ蟲をひっくり返し、兵士数名が梯子で登り底辺部にあると思われる弱点をタコ殴りにして辛うじて侵攻を食い止めてる。

 『祖なるガイアよ、精霊のノームよ、我はその名を賛美し称える語り継・・・ッ』



 ピー―――――― キーキーン

 『うっ・・・眩しいです』

 突如敵の後方から眩しいほどの閃光が俺とピュティの目を焼きつく、それと同時に耳鳴りがなり、俺はもちろん、ピュティは光の目くらましと耳鳴りで詠唱を中断してしまった。

 『アリス、何が起きた!』

 俺は姿見えないアリスに叫んだ。

 『敵群体後方の超巨大型マシンによる高出力の指向性閃光発音波動を照射をされてました、これによりアンドロイドたちに突発的な目の眩み、難聴、耳鳴りを発生させ、一時的な行動の制限を発生さてるようですね』
 『スタングレネードみたいなものか』
 『そう、捉えて頂いて差し支えないかと、すでにマスターの視覚と聴覚にフィルターを掛けました、次は大丈夫です』
 『そんなもん、エルフたちじゃどうしょうもないじゃないか!』
 『幸い、あの超巨大マシンの照射には連続で出来ないみたいです』

 壁の向こう側から発してる閃光の正体がようやくわかった、目くらましで城壁の下いる兵士たちもたまたま後方を向いてた者以外は動けないでいる、その間にも《王蟲オーム》は緩やか前進した。

 『そうだ、ピュティ!おい大丈夫か!おい!』
 『あ、アキラ?うぅ、あの光が・・・』 

 蹲ってるピュティを俺は介抱した、なんとか持ち直したピュティは、再度長杖を持ち詠唱を始めようとした。

 『おい、待て!ピュティ!とりあえずここから離れよう!』
 『絶対に嫌です!ここを離れたらこっち側の壁の魔法使いが居なくなります!』
 『・・・仕方ない』
 『え?アキラ?』
 『ピュティ、これは貸しだ!俺が力を貸す』
 『ふぇ?それはどゆうこと?』


 俺の答えにピュティはきょとんとしてた、土壇場で俺が狂言妄言を言ってる様に見えるだろうが、打開策は一つだけある。
 この状況だ、仕方ない、マリアに託された物を使う。

 『アリス!準備は?!』
 『はい、現在衛星の光パネル展開しました、リキャストに数分掛かります、短時間の連続照射はできませんのでその間なるべく一点に対象を集めてください』
 『あ、アキラ?どうしたの?』

 アリスとの会話をピュティは不思議そうに俺を見てた。

 『なんでもない、精霊から助言して貰ったんだ』
 『?』
 『それよりピュティ!土を隆起させてる魔法使ってたな、じゃ土を陥没させることはできるか?』
 『え?は、はい、下位土魔法なので私でも使えますが、どうするんですか?』
 『じゃ土を蟻地獄の様に陥没させてくれ!こちら側の蟲たちを一点に集めることはできるな?!』
 『で、できますけど、意味ないですよ!《王蟲オーム》はどんな穴を掘ってもすぐ這い上がります!ひっくり返して腹を叩かないと倒せないですよ?!』

 ピュティは俺の提案に即座に反論してきたが、俺は続いた。

 『大丈夫だ、信じてくれピュティ、必ずお前も皆もを助ける!』
 『ッ・・・』

 ピュティは俺の言葉を聞き、その綺麗な蒼い宝石のような瞳で俺を覗き込んでいる、その吸い込まれるような瞳に見つめられ俺はドキっとしてしまう、女の子にマジマジと目を見詰め合うのが流石に初めてだった。

 『・・・ます』
 『?』
 『信じます!アキラは嘘をつかない目をしてます!私のことも助けてくれた・・・だから信じます!!』
 『よしっ、それでいい必ずピュティを助ける、これは貸しだ未来の《七色の使徒セブンズ》』

 俺がそうピュティをおだてると目を輝かせて、小さく頑張りますと呟いた。

 『よし、ピュティこっちだ!』
 『は、はい!』

 俺たちは《王蟲オーム》の一団を近くで目視できる壁の通路の位置に移動した、幸いこちら中央側と違い端っこ側の壁にはまだ《王蟲オーム》が取り付いてない。
 城壁ですれ違う兵士を一人捕まえてこっち側の城壁下にいる兵士を全部中央側の応援にいかせるよう指示した、ピュティにはこれは伯爵の命令と偽って兵士に説明させた、俺が説明するより姫のピュティが命令した方が説得力があったからだ。

 『ぜ、全員を中央の方へですか?ほんとに伯爵様がそう命じたのですか?ピュティ様!』
 『は、はいぃぃぃ、そ、そうですぅはいぃ・・・!』

 嘘を付くのが下手なのか、ピュティは顔におもっきり出てしまってる、くわえて足をがくがくさせて小鹿の様に小さく震えてる。

 『で、ですがこちら側の《王蟲オーム》は・・・!』
 『え、えーとあのーっ!あわわわわ・・・』

 潤んだ目でこっちを見てくる。

 『こほん、今からピュティ様が光の大魔法を使います、ピュティ様とサポートの俺にここを任せてください』
 『そうなんですか?!ピュティ様?!』
 『え?!』

 俺の大魔法宣言に一番驚いてたのはピュティだった、話が違うよぉアキラ~をまさに顔に浮かべて俺に訴えてきてるが、それは全て無視だ。

 『はやく下にいる兵士を皆連れて行け、いまからピュティ様の放つ光の大魔法に巻き込まれるぞ』
 『たしかにドリアドネの姫様は魔法の才に長けてると噂に聞いたことがある・・・な、なるほど、頼もしい、ではすぐ伝令をしてきます!!』
 『ち、違うん・・・んぐ』

 なんとか否定しようとしたピュティの口を神速で塞いで阻止をした、その兵士はすぐさま壁の階段降り、瞬く間にこちら側の壁から兵士たちが中央へ皆離れていく。

 『私大魔法なんて使えないです!』
 『大丈夫、心配するな』

 《王蟲オーム》はもう30メートル弱まで迫ってた、マリアの説明ならここがギリギリラインだな、。

 『ピュティいいか、あの地点、そうだなあの蟲の進行方向にある大きな岩を中心に土地を蟻地獄のように陥没させてくれ、やつら一点に纏める』
 『うぅ・・・し、信じますからね!』

 俺の指示をうけピュティは進行方向の《王蟲オーム》たちを大きな蟻地獄一点に集めてた、脚部アームのアンカーを無理矢理崩れる土に打ち込んで体勢を計ろうとする機体もあったが上から転がってくるくる別の蟲で落とされていく。

 『よしこれで、最後だ』

 俺は《王蟲オーム》の一団最後の一機が落ちたのを確認した、穴の中央は押し込まれた蟲たちが地獄の餓鬼の如く蠢きいまにもその穴から這い出ようとしてる。
 意を決した俺は、腰につけてた黒い箱の取っ手を片手に持つ。



 シュイ―――キキ、カシャカシャ。



 鈍く黒い箱は俺が持つと小さく機械音を立てて起動した、高速で複雑な変形を重ねその銃剣ガンブレードの姿を現した。
 『?』
 『ピュティ下がってろ、あとまた眩しいのがくるから気をつけろ』
 俺の持つ変な杖に気を取られていたピュティを、軽く下がる様注意する、

 『どうするんですか?!アキラぁ!』
 『・・・』
 『アキラ!』
 『・・・』 

 銃剣ガンブレードが溝の機関部から蒼い光が浮かび上がり、先端に銃口に備え付いてる青いレーザーサイトが表示される。
 俺はその青いレーザーサイトを蟻地獄でもがく蟲の群れに向けた。

 『アリス、やれぇぇ!』  

 夜の空に向けて、おれは叫んだ!。




 ---




 アキラ達の城壁の攻防の最中、遙か上空。
 かつて《地球》と呼ばれてたその星の衛星軌道上に巨大な剣が宙を漂っていた。



 その大きな剣のシルエットを持つそれは、 
 ―――Ω型監視衛星


  
 かつて、人工知能Ω型マリアが廃棄された人類の衛星群を接取し、長い年月をかけ地球軌道圏周辺を漂う兵器の残骸を回収をして、ブラックボックスと化した過去の大戦兵器を解析し継接ぎで衛星を増改築を繰り返してきた。
 そしてマリアは人類が残した一振りの剣を回収し、その剣を衛星の一部として取り込んだ、その衛星に取り付けられた剣の形をした《超大型変形機甲照射荷電粒子砲》。

 
 マリアから衛星の管轄全権を任されたアリスは、軌道に漂う衛星と意識を接続してた。

 『マスター、間違いが起きない様もう一度言います、衛星の《超大型変形機甲照射荷電粒子砲》は照射時は砲自体の磁場妨害で、光学レンズつまり私の目が見えなくなります』
 『・・・』
 『照射はかならずマスターの銃剣ガンブレードでレーザー誘導を行なってください、私はその誘導地点を約10秒間照射を続けます、なお再照射にはジェネレーターを一旦冷却しリキャストには最速でも数十分かかります、なのでけして外さないでください』
 『・・・』
 『沈黙は理解と解釈します、では合図を』

 複合パネルの反射板をいくつも展開し、荷電粒子砲に接続してた監視衛星の数百ものジェネレーター機関をフル稼働させ、エネルギーが臨界寸前までチャージされてた。
 彼女の主人アキラからの合図を待つ。




 『アリス、やれぇぇ!』




 その瞬間時が動き、彼女はその剣を振った。





 ---




 ―――――――――ッ





 大きな光の柱降り注ぐ、この場の戦場のどんな音よりもどんな光も掻き消すほどの光の柱、この場に居たエルフたちはもちろん、近隣の街や山の向こうまで寝てる者ならばきっと柱の発する音に目覚め、光の柱に釘付けになるであろう。


 ピュティが隣に来て何かを俺に叫んでるが、柱の音と耳自体に掛けられたアシストのフィルターでまったく聞こえてない。

 『―――――』


 柱が顕現して約10秒間、この場に居たエルフならばすべからく動きを止めてこの柱を魅入っていた、それはエルフたちの遺伝子の記憶に刻み込まれた原初の創造主の叡智の光への憧憬か、それとも畏怖の念が彼らの動きを止めたのか・・・。
 《王蟲オーム》側は想定外の要因ファクター検出と、荷電粒子砲による同時に数十機もの機体をLOSTしたことによる戦術同期リンクのエラー発生により稼動を一時停止していた。


 そして永劫にも続くと思われる光時間が終わり世界は、元の夜の世界へと戻った


 荷電粒子砲の照射が終わり衝撃波が突風となり一番間近に居た俺とピュティをを吹き飛ばした。


 ―――ビューウウウウウ、フゥ―――


 『ぐっ!』
 『きゃっ!』

 俺は壁の通路に叩きつけられ、同じく隣に叩きつけられたピュティを、ま突風から守るため俺は倒れてる彼女に追いかぶさった。
 ほんの数十秒やがて風が収まり、何事もなかった様に世界は戻る。

 『だ、大丈夫かピュティ?』

 状況確認のためあたりを見回した。

 『―――・・・』
 『お、おい!』

 そして彼女の顔を見つめた、追いかぶさる体勢でで俺はピュティの上に跨って居た。
 彼女はまたその全てを見通す青い瞳と目が合った、彼女の大きな胸が、服越しに俺の心の臓と合さり、お互いの心臓の鼓動も聞こえるぐらいな錯覚すら覚える。
 俺とピュティは互いに唇がもうすこしで触れそうなほど顔が接近してた、お互いの現状を認識し二人とも顔が真っ赤している。
 気まずい・・・。
 ピュティは耳まで真っ赤になり、すこし目を泳がせ、意を決して目を閉じ身を任せるという選択をしてきた。
 そんなピュティの選択に俺は・・・。
 俺は・・・。
 ・・・。




 じー。




 そんな俺の苦悩を寝転がって眺めている赤い瞳が居た、アリスだ。

 『はい♪はい♪マスターのいいとこ見て見たい~♪はい♪チュー♪チュー♪チュー♪~』

 と、いつから復旧したのか、アリスはいつもの調子で寝転がりながら俺を煽って来る。
 こ、コイツ・・・。
 千年の恋もこいつが常に隣に居たら醒めてしまいそうな勢いだ。

 コツンっ。

 ピュティのおでこに軽くデコぴんをして彼女を起し、

 『ふぁ?!』

 ピュティは何が起きたのか判らず目をパチパチとさせていた。
 俺は身を起し周辺と、照射されたとこで出来た大穴やら現状確認に勤しんだ。

 『はぁ・・・で何か報告は?』
 『ジェネレーター冷却中、エネルギチャージにあと10分は掛かります』
 『10分、さすがに長いな、思ったよりは短いか・・・とはいえ10分・・・』
 『それはそうとマスター、いい知らせと悪い知らせありますがどっちから知りたいですか?』
 『・・・じゃ、いい方から』
 『侵攻してた箱型マシン群の撤退が確認されました』
 『は?』

 すぐ様中央部分の壁側を見てた確認した、たしかに壁に取り付いてた《王蟲オーム》が続々と撤退している。

 『なんで、急に・・・どゆうことだ?これは』

 そしてアリスは続けた。

 『では悪い知らせです、敵性大型マシンのAIから大気ナノマシン経由で通告メッセージが送られて来ました、再生しますか?』
 『再生しろ』

 俺の視界に αと刻み込まれたモノリスの映像がメッセージを語る。



 《―――――――――》
 《・・・・・ラ・・・α直轄・・・ディアサ・・・生・・・圏・・・カタ・・・ト・・・プロジェ‥・中・・・デス》
 《不測事態・・・・・・・・・・・・・・・・因子所持・・・・・・・・住民退去・・・勧告・・・ヲ・・・・・・・ス・・・》
 《不明ナ点ガ・・・・・・・・・・シタラα直轄・・・・・・・・・・シス・・・・ヲゴ利用・・・・・・・・・・サイ》
 《4・・・・・・後・・・・ス・・・ロフィ・・・クト再実行・・・デス・・・ス・・・・・・カ・・・・・・ヲシマス》




 送られた男とも女とも言えないメッセージログはバグってて何を言ってるのかがよく判らない。
 アリスもお手上げのポーズをして首を横に振った。

 『大気ナノマシンのダイレクト通信のせいか、AI言語中枢に深刻なエラーなのか、どちらにせよメッセージの意図要領をえないでが、何かマスターに警告を出してるのだけは理解できました』

 まったく意味がわからない通信だが、アリスの言うとおり何か警告してるのは俺でも判った。

 『・・・ん、あれは』

 撤退していく《王蟲オーム》たちが一回りも後方にある巨大《大王蟲ギガオーム》に連結接続し、巨大な一つ長方形を作りその付近の空間が歪み、土が捲れその空間を大きく揺らぎその大きな巨体が忽然と姿を消した。

 『対象群は《質量転移空間ディストーションフィールド》を起動しました、追跡出来ませんでした』
 『・・・』

 もう何がなんだか呆気に取られてた・・・俺は疲れた・・・凄く眠い・・・。
 地面に座り込み一息ついた。
 そんな俺の隣で目をキラキラわくわくさせて俺を見てる奴がいる、ピュティだ。

 『あの、あの!アキラ!』
 『・・・』





 
 『アキラ!私をあなたの弟子にしてください!』




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