ファイル314:業火の中の断末魔(クリーバー)『22・歩美と柚葉、光彦と美月』
杯戸町の南西にある、南杯戸霊園。
そこに、1人の少女がやって来ていた。
歩美
「また来たよ。お姉様・・・」
歩美は、墓前にしゃがみ込んでいた。
「歩美ちゃん。」
不意に、背後から声がする。
歩美が振り向くと、そこには光彦が立っていた。
歩美
「あ、光彦君。」
光彦
「ここにいるって聞いて来たんですよ。お邪魔でしたか?」
歩美
「そんな事ないわ。光彦君も花を供えていって・・・」
光彦
「はい。」
光彦は花を供えて手を合わせると、スッと引いた。
歩美
「じゃあ行こうか?光彦君。」
光彦
「そうですね。」
歩美
「また来るからね、お姉様・・・」
歩美はそう言うと、光彦と共にその場を後にした。
光彦
「ところで、歩美ちゃん。」
歩美
「なぁに?」
光彦
「さっきのお墓、誰のだったんですか?」
歩美
「・・・」
光彦
「すいません・・・話したくないのならいいんですけど・・・」
歩美
「かまわないわ、光彦君。あのお墓は、私の姉の墓なの・・・」
光彦
「歩美ちゃんのお姉さんのお墓・・・」
歩美
「そうよ。名前は吉田柚葉・・・悲しいお姉ちゃんよ・・・」
光彦
「え・・・?それって・・・」
歩美
「光彦君達には話していなかったけど、柚葉お姉様は例の組織の一員だったの・・・」
光彦
「『例の組織』って、まさか・・・!!」
歩美
「そう・・・黒の組織の構成員・・・コードネームは『レッドラム』だったわ・・・」
光彦
「レッドラム?」
歩美
「英語表記はREDRAM。逆さまに読むと、『MARDER』・・・」
光彦
「殺人者・・・」
歩美
「そう、お姉様は殺しのプロとして、組織に勧誘されたのよ。無論、協力しなければ私達を殺すという脅迫つきでね・・・」
光彦
「・・・」
歩美
「柚葉お姉様は私達を守るために、自ら組織に入ったのよ。そして、順調に功績を上げてきていたわ・・・ところが、ある日お姉様はそれが間違いだと知ったのよ。ある日出会った、1人の少年によってね・・・」
光彦
「1人の少年?」
歩美
「その少年の名前は、円谷美月。FBIの捜査官よ・・・」
光彦
「それって、ボクのお兄さんですよ。」
歩美
「やっぱりね。」
歩美と光彦はしばらく沈黙している。
その沈黙を解いたのは、光彦だった。 |