FBIから来た女:3〜猛火・赤の章(61/111)縦書き表示RDF


オリジナルキャラクター・ファイル19

蜂野鈴也(はちの すずや)

蜂の能力を受け継いだ、桜流蜂忍術使いの昆虫忍者。
桜野松葉とは幼なじみであり、学校も同じでとても仲が良い。
現在は時雨山大学院に通う、大学院生。
本当は2人共両想いなのだが、鈴也と松葉両方が照れ屋であるためなかなか関係が進展する事がなく、第2章のバレンタインの時にようやくキスまでいく関係となった(この時、2人のクラスメート4人にキスシーンを目撃され、1時間にもわたって冷やかされた)。
後は告白してゴールインするだけでいいのだが、この2人の性格上、いつになったら結婚できる事やら・・・?
FBIから来た女:3〜猛火・赤の章
作:ユーリ



ファイル283:蜂野鈴也の淡い過去


蜂野鈴也、19歳。

文武両道、質実剛健と言われる男である。

いつも朝4時には起床する。

彼の生活は、夏休みであっても変わる事はない。





鈴也
「はっ!!」

ガッ!!
「それまで!!」

「しっかしウチもいい加減だな、空手を相手に他流試合だなんて。」

「小三郎があれだしなー!しかし鈴坊はこっちでもいけるんじゃねえか?」

「それじゃアイツの頭がもったいねえよ!」

「ハハッ、違えねえ!」

「小三郎!息子をちったあホメてやれよ!」

鈴也
「いいんですよ・・・」

「おお!!」

鈴也
「!」

「全国区レベル相手にようやったな!桜野!」

松葉
「いやー、苦労した苦労した!!ん?なんやなんやぁ!?オマエも勝ったんやからちっとは嬉しそうにせいや!かてーヤツやなぁ!!」

ツンツン!!

鈴也
「イテテ、やめろっての!!」





桜野にはいつも、妙なかたちで元気づけられる鈴也であった。

学校以外では、わりと気安い仲の2人なのだが・・・





『Birthday Party for Matuba Sakurano』

鈴也
「桜野の誕生会かあ。もうそんな時期か・・・ん?」

『何か芸をしろ。 松葉』

鈴也
「何か芸をしろって言われても・・・変な芸を見せたりしたら、また松葉に怒られるし・・・般若心経(はんにゃしんぎょう)の暗唱とかじゃあダメか・・・」

友人達の前では、松葉はなぜか鈴也にキツかった。

鈴也
「く、くそぅ!みんなが喜びそうなものがさっぱり思いつかん!だが・・・男・蜂野鈴也!みんなを失望させるワケにはいかん!!学研の手品セットでも何でもいい!何かないか何かないか!」

ガサガサ・・・

鈴也
「ん・・・?これは・・・」

心の奥で眠っていた思い出が・・・

目を覚ます事がある・・・

そう、あれは・・・

小学2年の夏・・・





ドカッ!!

「オマエってマジ弱ーよ!」

「ダッセー!それでも道場の息子かよ!」

「ムダなんだよっ!弱ーくせに武術やんなっつーの!」

「カッコつけやがって!」

そんな事は、本人であるボクが一番よくわかっていた。

父に無理矢理やらされているだけなんだから。

「マジメ君はガリ勉してりゃあいいんだよ!」

バリン!

鈴也
「あ・・・!」

「ハッハッハ!!」

鈴也
「(ならなんでメガネを割るんだ・・・勉強できないじゃないか・・・)」





ボクは、いわゆるイジメられっ子だった。

もくもく・・・

カチャカチャ・・・

鈴也
「ごちそーさま!」

「鈴也!残すんじゃありません!そんなんじゃ、マツちゃんにどんどんおいてかれるわよ!」

鈴也
「(普段は『ヨソはヨソ』と言ってるのに・・・不条理だ・・・)」

ボクは頭脳労働向きなのだ。

ムリヤリ比べられても困るのだ。


マツちゃんは明るい、みんなの人気者(ヒーロー)
それにひきかえ、ボクは・・・





松葉
「やぁ!!」
ガッ!!

鈴也
「あつぅ!!いつつ・・・」
ス・・・

鈴也
「?」

松葉
「大丈夫?練習終わったらみんなでおソーメンやろ?めいっぱいおなか空かせとかないとなー!」

彼女にはとてもかなわない。



松葉
「ホレホレ、もっと食え!」

鈴也
「も、もーいいって!」

松葉
「あー、こぼしてるって!ホラ、もー!」

鈴也
「ゴ、ゴメン・・・」

「・・・」

ムカムカムカ・・・





かたやヒーロー、かたやイジメられっ子、分不相応のツケはたまる一方で・・・

音楽のリコーダーの授業の日・・・

堰をきったように激しく、最強のイジメ『全員シカト』が始まった。

まるで自分が空気になったような、ビックリするほど不自然な感覚・・・

ほどなく、ボクは不登校になった。

ボクは、なんにも悪くない。

嫌いな学校なんか、こっちから願い下げだ・・・





松葉
「蜂野ー!」

鈴也
「!」

ガラッ!

鈴也
「マツちゃん!」

松葉
「笛の発表!アタシ音楽係やから、先生がアタシと組めってさーっ!」

音楽係だから
+マツちゃんがヒーローだから
+ボクがイジメられてるから
=完全な同情と事故満足!

『ここで行ったらダメだ!』

ボクは思った。

鈴也
「行かない!ボクは行かない!!断固行かなぁい!!!」

ピシャッ!

松葉
「なにー!!!出てこーい!!出てくるまで吹くぞー!!!練習もかねてー!」

ピュラルリラー!





よせばいいのに、意固地になるボク。

それでも、マツちゃんはやって来た。

それこそ、蒸し暑い日も雨の日も、風の日もだった。

ジリジリジリ・・・

ザアアアーッ・・・

ビュウウウウ・・・





ボクは一応、指の練習だけしていた。

鈴也
「(マツちゃん、今日は遅いなぁ・・・)」

「松葉!早く帰って寝なさい!」

鈴也
「!」

ヒョコッ・・・

鈴也
「(マツちゃんのお母さん・・・)」

松葉
「ヤダ!まだいる!」

「いい加減にしなさい!あなたカゼひいてるのよ!」

鈴也
「!」

ボクは・・・サイテーだ・・・





翌日・・・

松葉
「おおっ!よーやく行く気になったか!!先生が『早く演奏しろ』ってウルサイんや!ガンバローな!!」

マツちゃんは何も言わなかった。

カゼをひいた事、お母さんに止められた事、それと・・・


ピロリラ〜!

ザッ!

鈴也
「!」

「おーなんだなんだ?」

「桜野!オマエ男と組むなんて恥ずかしくねーのかよ!みんな女どーしだぜ!?」

「お似合いだねー!結婚式はいつでっか!?」

松葉
「カ・・・カンケーないやろー!あっち行けぇ!」

「じゃーなんで蜂野なんかと組んでんだよー!」

・・・もーいいよ、マツちゃん・・・

先生の言いつけなんて、破っちゃっていーんだから・・・

「だいたい桜野、オマエ他の奴と組めって先生に言われてたじゃんかよー!!」

「男と、しかも蜂野とだぜー!?」

「フツー恥かしーよなー!!」

・・・え?

・・・あれ?

ちがうよ・・・

だってマツちゃんは、先生の言いつけでムリヤリボクと・・・

ドカッ!!

「ウワッ!!」

松葉
「・・・なんかないっ!!恥ずかしくなんかないっちゅうねん!!!」

「うわーんっ!!!」

ダッ・・・

松葉
「二度と来るなー!!!ドアホー!!!ホラ!さっさと練習続けるよ!」

・・・マツちゃん・・・

ホントは、ものすごく恥ずかしかったんだろう・・・

ビュラルラリ〜!

ピュルラ〜!

松葉
「だああ!何泣いてんだぁー!!!しかも、音外しまくってるやないかぁ!!」


決めた・・・

ボクは、マツちゃんみたいなヒーローになる!!!





鈴也
「・・・うん!」





誕生会当日



その日、鈴也はまた一歩、ヒーローの松葉に近づけた気がした。

鈴也
「一番、蜂野鈴也!リコーダーを吹きます!!」

ビッ!

ピロリラリ〜!

松葉
「アハハ、引っ込めドヘタクソー!」

カーン!

そして松葉は、その日の思い出の事を忘れていた。












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