ファイル281:4月の花見の大騒動『後編』
30分後。
中央公園から米花町市街地へ向かう道を、1人コナンは歩いていた。
イヤ、厳密には2人だ。
その背中に哀を背負っている。
あの後は、正に上へ下への大騒動になってしまった。
博士や成美が倒れていた子達に近づいてみたところ、探偵団の3人と風月、さらにユリの計5人が急性アルコール中毒にかかっている可能性が出てきたのだ。
また、刃もこのままでは危険と判断され、病院送りになった。
ただ、救急車を呼ぶのもめんどうだったため、博士の車で送る事になったのだが、子供達と大人2人で満席となり、結局コナンは炙れてしまった。
ちなみに哀が残されたのは、症状が軽く、成美の診断曰く『寝ていれば治るわ。』と診断されたからだ。
また、酒を飲まず無事だったマリアとたくまの2人は(ちなみに2人はお茶を飲んでいた)、『ウチらは2人だけやけどお花見していくわ。』『みんなとはまた今度な。』と言って、公園でデートのような花見を続行していた。
『アイツら本当に小学生か?』とコナンは愚痴ったものの、それでどうとなるワケでもなく、今こうして彼は哀を背負っている。
その哀はスヤスヤと寝息をかいていた。
コナン
「まったく、世話かけさせやがって・・・」
というが、顔は笑っていた。
哀の寝顔を見るだけでなんか嬉しくなってくる。
コナン
「それにしても、とんだ花見になったな。せっかくみんなで集まったのに。・・・けど、今度はアイツらのように哀と2人で花見してえな。」
マリア達がうらやましいのか、それとも哀が聞いていないと思ってかそんな事を話し始めた。
コナン
「今度哀と花見にくる時は、工藤新一と宮野志保としてこの花を見たいな。そして、いつかは・・・オレ達で家族を作って見に来るんだ。哀は家族を失っちまったから・・・だから、やり直しは出来ないけど、今度はオレがオマエに家族を持つ幸せを教えてやりたい。」
コナンは後ろを見ていなかったからわからなかったが、実はこの時哀は起きていた。
そしてその顔は耳まで真っ赤であった。
そんな事も露知らず、コナンは続ける。
コナン
「オレはオマエが好きだ。オマエはオレにとって守るべき女の子なんだ。だから・・・」
コナン自身、話しているのが恥ずかしくなってきた。
この後、帰り着くまでコナンは自身の夢を話し続けた。
もちろん、あくまで独り言、だれも聞いていないと思っていた。
それを愛する人に聞かれていたと知るのは、8年後の春、米花中央公園での事であった。 |