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FBIから来た女:3〜猛火・赤の章
作:ユーリ



ファイル280:4月の花見の大騒動『前編』


4月のある日・・・

ここは米花中央公園。

この公園は小高い丘の上に作られていて、毎年春になると一斉に桜が咲き誇り、お花見の名所として知られている。

今年も桜が満開になり、多くのお花見客で(にぎわ)っていた。

そんな中、コナンに哀、刃や少年探偵団にマリア、たくま、風月、暁、ユリ、そして保護者である博士と浅井成美を含めた御一行も御多分に漏れず、この桜の名所にやって来ていた。






「キレイ。」

桜並木を見た哀が呟く。

コナン
「オレはもう見慣れた光景だけどな。哀はお花見は始めてか?」


「ええ、組織にいた時はとてもお花見なんて出来なかったから・・・」

コナンは悪い事を言ってしまったと思った。

コナン
「あ、ごめん。」


「いいのよ、別に。」

そう言いながらも、彼女の表情にはどこか寂しさが表れている。

その状況を打破したのは刃であった。


「もう2人とも、そんな暗い顔しないで。今日は思いっきり楽しみましょう!」

そう言って、2人をみんなの所まで連れて行く。

博士が地面にブルーシートを引き、それを歩美とマリアが手伝っている。

その横で、今にもお弁当に喰らいつきそうな元太を光彦とたくまが止めている。

平和な光景だ。

みんながお花見の準備を始める。

そんな中、今回保護者として博士と成美の2人が付いて来ていたが、その内の成美が気づいた。

成美
「あ、しまった。つまみを忘れたわ。」

酒のつまみを忘れたのだ。

つまみがなくては酒がまずくなる。

そこで博士が提案した。

博士
「だったら一緒に買いに行くかのう。ワシもちょっと買い忘れた物があるんじゃ。まああの子達なら大丈夫じゃろ。」


「なら、ボクも行きますよ。日頃大人の酒の席を見てるから、似合うつまみがわかるんで。」

こうして3人は買出しへ出て行ったが、これが後々大きな問題となる。






「あら、博士は?」

コナン
「成美さんと一緒に買い忘れたものがあるから買出しへ行くって。」


「そう。」


「じゃあアタシ達で先に乾杯しちゃおうか。」


「そうね。」

刃が缶ジュースをコップに注ぎ、それを哀とコナンがみんなに配っていく。

あっという間に空き缶がたくさん出た。

その空き缶の内の数本に書かれている注意書きに、急いでいたのか刃は気づかなかった。

『お酒は二十歳(はたち)になってから。』






「では乾杯!!」

刃が乾杯の音頭を取り、みんな一斉にコップに口を付けた。

そしてみんな一気に飲み干した。

その後はそれぞれ花を見たり、おしゃべりしたり、お菓子を食べたりとしていたが、しばらくしてそれは起こった。

コナン
「おい哀。なんか顔が赤くないか?」

ほんのりと顔が赤くなっている哀を見てコナンが言う。


「そう言えばなんか、体が少し熱いような・・・」

その時、コナンは気づいた。

哀の口からオレンジに混じって、少しアルコールの匂いがするのを。

コナン
「おい、まさか・・・」

すぐに空き缶を見てみる。

予感は当たった。

ジュースに混じって、アルコール飲料の缶が混じっている。

典型的なジュースっぽい飲み物だ。

つまり、果実系の缶チューハイだ。

コナン
「マズイな・・・」

元の体ならまだしも、今は小学生である。

悪い影響を与えかねない。

コナン
「まあ前パイカル飲んでも大丈夫だったから、これくらい・・・」

しかし、その甘い希望は打ち砕かれてしまった。


「コナン君。」

いきなり、哀が抱きついてきたのだ。

その声は虚ろだ。

コナン
「わわわ!!あ、哀やめろ!!」

酔っているとはいえ、いくらなんでも皆の目の前でこういう行動は取って欲しくない。
 
さらに悪い事は続く・・・

そこになにやら厳しい視線が刺さるような気配を覚えた。

そっちに目をやると、刃が鋭い視線で見ている。

そしてその顔は、哀と同じく赤い。

さらに・・・


「いけないわね、哀ちゃんにコナン君。こんな所でそんな事しちゃあ・・・」

明らかに敵意が含まれた声・・・

コナン
「ゲッ!!!」

彼女も相当酔っている。

コナン
「(おいおい悪酔いかよ。マズイな・・・そうだ!!)」

まだ刃を止められる人間がいた。

金田一ユリと如月風月だ。

すぐに彼女らが座っていた方を見る。

コナン
「おい、ユリちゃんに風月ちゃん。なんとか刃ちゃんを・・・」

そこまで言って、絶句してしまった。

なんと、ユリと風月が倒れてしまっていたのだ。

イヤ2人だけでなく、少年探偵団の3人もダウンしている。

マリア
「ちょー、みんなどうしたんや?」

たくま
「おい、起きろ!!」

マリアとたくまが必死に起こそうとするが、5人とも完全にダメだ。

どうやら、酒を飲んだメンバーの方が多かったようだ。

コナン
「絶望か・・・」

その時、刃が何かを取り出した。

棒のような物である。

コナン
「何だそれは!?」


「博士に作ってもらった折り畳み竹刀よ。これで2人におしおきよ。」

竹刀を伸ばし、じわじわ彼女が近づいてくる。

このままではコナンと哀の命が危ない。

コナン
「仕方ない・・・許せ、刃ちゃん。」

彼は友達に向けては気が引けたが、自身の安全を優先して時計型麻酔銃の照準を刃に向けた。

彼女の首筋に狙いがあった所で打った。

針は見事に命中した。

しかし・・・


「コナン君、友達に麻酔銃を向けるなんていけないわね。こうなったら、もう手加減しないわ。」

コナン
「そんなバカな!!」

血液中のアルコールで中和されたのか、全く効いていない。

そして刃は竹刀をコナンに振り下ろそうとする。

コナン
「待て!!話せばわかる。」


「問答無用!!」

その瞬間、哀を突き飛ばし、さらにコナン自身もなんとか避けた。


「ちょこざいな。けど、今度は逃がさないわよ!!」

再び迫る刃。

コナン
「これで終わりか!!」

一瞬覚悟を決めそうになる。

しかし、彼は希望を捨てなかった。

コナン
「イヤ、まだ策はある。」

コナンは強行手段をとった。

ベルトからサッカーボールを射出し、キック力増強シューズの出力を上げた。

コナン
「行け!!」

コナンはボールを蹴った。

普段の彼女なら、これぐらいは避けられただろう。

しかし、酔っていたため判断が遅れたのだ。

ボールは刃の竹刀を直撃した。

竹刀が空中を舞う。


「え!!?」

その一瞬の油断をコナンは見逃さなかった。

刃の後ろに素早く回り、後頭部に手刀を入れる。


「うっ!!」

ドサッ・・・

刃が倒れる。

コナン
「なんとかなったか。」

呆気ないといえば呆気ないが、まあ勝てば良いのだ。

コナンは突き飛ばしたまま起き上がらない哀に駆け寄った。

コナン
「哀、大丈夫か?」

哀に声をかけてみる。

しかし、次の瞬間彼の頭が真っ白になる事態が発生した。


「コナン君。」

そう言ったかと思った瞬間、哀が自分の唇をコナンの唇に引っ付けて来た。

ようするに、キスしてきたのだ。

コナン
「〜っ!!!」

そのキスはしばらく続いた。

そして、哀がコナンから離れた時、コナンは真っ赤になって座り込んでいた。





20分後、ようやく博士達が戻ってきた。

博士
「なんじゃこれは!!?」

成美
「あなた達何やっていたのよ!!?」


「あー、コイツら間違えてお酒飲んだな・・・」

彼らが見たのは、酔いつぶれた7人と、それに声をかけて回るマリアとたくま。

そして放心状態になっているコナンの姿であった。

この日からコナンは思ったという。

『20歳になっても、必要以上に酒は飲まないでおこう』と・・・












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