ファイル278:商売繁盛の秘密『後編』
「オマエ達、あのお嬢ちゃん共はおとなしくしているのか?」
「ええ。地下室に運んだ時にあんなに暴れていたのが、まるでウソのようですよ・・・」
「そうか。まぁ、ワシらの秘密を知られた以上、生かして帰すワケにはイカン。今夜中に始末する方法を考えるぞ。」
「ハッ・・・」
一方、地下室に監禁されたユリと風月は・・・
2人は床に顔をこすりつけ、なんとかガムテープをはがしていた。
ユリ
「フゥ・・・これでしゃべれるわね・・・」
風月
「ゴメンナサイ、ユリちゃん・・・私が捕まったりしなければ、あのままアイツらを倒せたのに・・・」
ユリ
「大丈夫よ、風月ちゃん。一度やられたフリをして油断させた方が、勝てるから・・・」
風月
「ユリちゃんは強い女の子だよね・・・私なんかまだ7歳だから、こんな状況怖くて怖くて泣き出したくなりそうなのに・・・」
ユリ
「あなたがいるからよ。」
風月
「え?」
ユリ
「風月ちゃんが一緒に今いるから、私は平気でいられるの。もし1人だったら、怖くて怖くて泣き出したくなると思う。」
風月
「ユリちゃん・・・」
ユリ
「人は誰しも弱い心を持っているわ。完璧な人間なんてこの世にはいやしないのよ。だけど、そこから強くなれるかはその人の周り次第・・・その人の周りに信頼できる友がいれば、どんなに不安な状況でも決して泣かずにいられる・・・まぁ、私もそれをコナン君達に教わったんだけどね!」
風月
「私もユリちゃんみたいに強くなれるかしら・・・?」
ユリ
「なれるよ、風月ちゃんなら。今のあなたには、コナン君達や私という仲間がいる。それに・・・」
風月
「それに?」
ユリ
「愛しの王子様もいるじゃない。暁君が♪」
風月
「なっ、なっ、なっ・・・!!」
カァァァァァ・・・
風月
「ユリちゃん・・・今まであなたをからかい続けた事、謝りますから許してください・・・」
ユリ
「ダ〜メよ♪」
風月
「ふぇ〜ん・・・」
ユリ
「ま、話はここまで。ここを脱出するわよ。」
風月
「でも、どうやって?手足はキツくロープで縛られてるんだよ?」
ユリ
「大丈夫よ。風月ちゃん、向こうにある私のポシェット持って来て。」
風月
「うん。」
風月はがんばって向こうまではっていくと、ポシェットを後ろ手に持ってユリのところまで来た。
ユリ
「そのポシェットを開けて、小さな小箱を取り出して。」
風月
「うん。」
風月はなんとか小箱を取り出した。
ユリ
「それを開けて。中にカプセルが入ってるから。」
風月
「ま、まさかこれって・・・」
ユリ
「そう、美保ちゃんがつくったATBT6489よ。これを飲み込めば、大人の姿に変身できる。縄なんて簡単に引きちぎれるわ。」
風月
「そ、それって・・・ふ、服破けちゃうんじゃ・・・」
ユリ
「ああ、大丈夫よ。万が一の時に備えて、哀ちゃんが開発した伸縮性の服を着てきたから。」
風月
「マジですか・・・」
ユリ
「さ、早く薬を!」
風月
「うん!」
風月はカプセルを口にくわえると、ユリの口にカプセルを入れた。
ゴクッ!
まもなく効果が現れ、ユリは見る見るうちに大人の姿、リリスに変身した。
その瞬間、ロープが引きちぎれた。
風月
「ユリちゃんの大人の姿って、私初めて見たわ・・・」
リリス
「まぁ、あんまりみんなに見せた事ないし。」
風月
「私のロープもほどいてくれる?」
リリス
「そうねぇ〜。今までさんざん私、あなたにからかわれたし・・・このまま放っといちゃおうかなぁ〜?」
風月
「そ、そんなぁ〜!!」
風月は今にも泣きそうだ。
リリス
「冗談よ、冗談!私がそんな事をする女の子に見える?」
風月
「・・・見える。」
リリス
「じゃあ、本当に放っときましょうか?」
風月
「ゴメンナサイ・・・ほどいてください・・・」
リリス
「はいはい♪」
リリスはあっという間に風月のロープをほどいた。
リリス
「さてと・・・あの店長と男達には・・・お仕置きが必要ね♪」
リリスの顔は笑っていたが、彼女をまとうオーラはまったくちがう。
風月
「(ユ、ユリちゃんがいつもとちがう・・・なんか怖い・・・)」
そりゃそうだ。
自分の行きつけの店に、あんな事をされたのだから。
その後、店の店長と男達はリリス1人にボッコボコにされ、病院に搬送された後に逮捕という形になった。
その時の彼女の姿を見た風月は、あまりの恐ろしさにユリをこれからはからかわない方がいいだろうと悟ったんだとか・・・ |