ファイル274:美保と殺意のレストラン『中編』
「(なんでこんな所に刑事達なんかが来るんだよ!!それも捜査1課の・・・この店内に隠した死体が見つかったら、即アウトだ!!死体の隠し場所だけは、なんとしても悟られないようにしないと・・・)」
美保
「さて、何食べよっかな。よし、私この鶏のスペシャルソテーとライス!」
「あ・・・お客様それはちょっと・・・」
美保
「あれっ・・・どうして?さっき鶏肉捌いてたんでしょ?」
「あ・・・イヤ、鶏肉は夕食に予約が入ってまして・・・牛肉ソテーかカレーでしたら今すぐできます。」
美保
「フーン・・・じゃあ私カレーライス!」
祐
「ボクは牛肉ソテー。」
「かしこまりました。」
「(え〜い!カレーはレトルト!牛肉は適当に切手、ここにあるスパイス全部入れてやれ!!)」
ババババ・・・
美保
「ねぇ、マスター。トイレどこ?」
「ト・・・トイレですね、え〜っと・・・」
美保
「あ、あったあった!わかりづらいわね〜・・・」
ガタン!
「(お・・・お客様〜席の立ち座りはお静かに〜!あれを倒されでもしたら、死体のありかが・・・)」
バタン!
「(・・・ったく、人騒がせな・・・)」
キィ・・・
美保
「マスター。」
「はい!何か・・・?」
美保
「紙ないんですけど、くれませんか?」
「え・・・!?あ・・・い・・・今切らしてまして・・・」
美保
「え〜っ、どうしろっていうのよ!」
「ス・・・スイマセン!」
美保
「しょうがないわねー・・・」
バタン!
ジャーッ・・・
ガチャ!
美保
「なんだ!紙はトイレの天井棚に山ほどあるじゃないですか!自分の店の事忘れちゃダメですよ、マスター。」
「あっ・・・そ・・・そうでしたね。」
「こんちはー。」
カランカラン・・・
「(ま・・・また客!?)」
「クリーニングの水原です!ユニフォームのお洗濯あがりました。」
祐
「よかったじゃないですか、マスター!そんな上等なワイシャツで料理してるから、ボクも気になってたんですよ。」
「ハハ、まったく!実はこのユニフォームが届くのを待ってたんですよ・・・(ん?ハッ・・・どわ〜!!ユニフォームって・・・このピンクのフリフリエプロンですかい!?し・・・しかしこの状態じゃ引っ込みがつかーん!)」
祐
「フーム・・・」
美保
「なんか・・・変わった趣味ですね〜マスター・・・」
「そそ・・・そうかしら?いいい・・・意外と似合うでしょ〜?(た・・・耐えろ!今はこの屈辱に耐えるんだ・・・)」
フラフラフラフラ・・・
祐
「人の好みはわからんもんだな。このコーヒーはおいしいのに・・・」
美保
「私も内海さんの味覚がわかんないわ・・・全然・・・」
「お待ちどうさまでした。」
美保
「わ〜!カレーが大盛りだわ!」
祐
「肉もスゴく多いじゃないか。ん〜、このスパイスの配合はまさに絶品!肉にはちとうるさいんだけど・・・マスター!達人ですね。」
美保
「ホントホント!内海さん、ついでにデザートも食べてこうか?」
祐
「そうだな!そうしよう!マスター!食後にこのスイカと花弁クッキー!もちろん、コーヒーもね!」
「か・・・かしこまりました・・・!(トホホ・・・また注文ですかい!?)」
美保
「あ〜、食べた食べた!」
祐
「実においしかったよ!これならデザートも期待できそうだ。」
「ありがとうございます。」
美保
「さて・・・と・・・フーン・・・」
祐
「スゴい数のレコード・・・アメリカンフォークか・・・」
美保
「たまにはこういうのもいいよねー・・・あれ?このギターに『店長があなたのリクエストにお答えします』ってあるじゃないですか。マスター!私のリクエスト弾いてくださいよ!」
「(ギターのリクエストだとぉ〜?あ・・・あの女ぁ〜!!どうしてこう余計な事ばかり・・・)」
祐
「待て!美保ちゃん!勘定はボクが出すんだから、リクエストはボクが先だ!」
美保
「えー、私が先よぉ!」
祐
「イヤ、ボクが・・・」
「(何とかこの場はごまかさないと・・・そ・・・そうだ・・・)」
ガシャーン!!
「イタタタタタ!!」
美保
「どうしました!?マスター!」
「割れた皿で指を・・・」
美保
「これじゃギターは弾けませんね。」
「ええ・・・本当に残念です。」
祐
「マスター、すぐ手当てを!救急箱は!?」
「ああ〜い、いいです!家捜しはしないで!!ホラ!こうしたケガにはセロハンテープが一番!!みのもんたも言ってます!!」
ペタペタ・・・
祐
「そうか?セロハンテープがいいなんて聞いた事・・・」
ピピピピピ・・・
祐
「おや・・・何かアラームが鳴ってるぞ?料理ができたようだな!」
美保
「マスター、あれ・・・何作ってたの?」
「(何って〜、こっちが聞きたいくらいだよ〜!)あ・・・あれは・・・」
美保
「ん?なんか焦げ臭い・・・?」
「あ〜!!オーブンが・・・」
ブスブス・・・
ガチャーン!!
「ウアチチチチチチ!!」
祐
「大丈夫か?マスター!パンを焼いてたのか!」
美保
「ダメじゃないですかマスター!そんな事まで忘れちゃ〜・・・」
「そ・・・そうですね・・・」
ペタペタ・・・
「(あ・・・あと一息だ。早いトコデザート食わせて帰しちまおう。)ん!?(うわっ!こんな所にあの女のクツがっ!!ま・・・まずい!アイツらに気づかれないうちに処分しないと!!掃除のフリしてさりげなく・・・)」
ギクシャク・・・
美保
「?何してるの?マスター。」
「い・・・いえ、さっき割った皿のカケラがあったので・・・意外と飛距離があったようで!ハハッ・・・」
グイグイ・・・
ゴトン!
「(うまく入ったか・・・)」
カサカサ・・・
美保
「ん?」
ササッ!
美保
「キャッ!ネズミ!!」
ガタン!
グラ〜・・・
「あ〜!!」
ガタン!!
ゴロン・・・
美保
「・・・これは・・・イスの中に・・・野菜が?」
「イヤ・・・そこは野菜のストックケースで・・・驚かせました?」
美保
「なーんだ!あんまり大きい声出すから、スゴいものが出てくるのかなと思ったわ!」
祐
「ホントにな。死体とかな〜!」
「それじゃ、ご注文のあったスイカを失礼・・・」
ス・・・
「(どうかアイツらに、気づかれませんように・・・)」
「ご注文のスイカと花弁クッキーでございます。(長い戦いだった・・・もうお金はいらないから、早く帰ってほしい・・・)」
美保
「うん!おいしー!よく冷えてるわ!」
祐
「この花弁クッキーもいける!」
祐
「さて、腹も膨らんだしそろそろ帰るとするか!マスター、お勘定!」
「全部で2500円です。」
祐
「おいおい、そりゃあサービスしすぎだよ!」
「いえいえ、いいんです!本当に!!」
祐
「うーん、実にラッキーだったな!今日は!」
ポン!
美保
「ちょっと待った、内海さん!!」
祐
「あ?」
美保
「忘れ物があるわよ!」
祐
「何言ってるんだ?携帯もサイフも警察手帳もあるよ!いったい何を忘れたんだ?」
美保
「・・・まだ残っているのよ!京都府警捜査1課警部としての仕事がね!」
祐
「何だと!?」
美保
「どうやら、謎はすべて解けたわ!あなたはこの店の店長を殺し、その場しのぎでマスターになりすましていたんでしょ!しかもここで殺人があった事を物語る、あきれるほどハッキリした証拠が・・・この店内に隠されている!」
祐
「な・・・何だと!?それじゃ本物のマスターは・・・」
美保
「ええ・・・その人は、この店の『ある場所』に隠されているのよ!」 |