FBIから来た女:3〜猛火・赤の章(40/111)縦書き表示RDF


オリジナルキャラクター・ファイル8

矢笠鉄之助(やがさ てつのすけ)

大阪に住んでいる発明家で、リアンや平次達の良き友達。
東京の阿笠博士とちがうのは、博士といってもまだ30代である事ぐらいで、研究のたびに爆発で壁を破壊する回数は阿笠博士といい勝負。
いろいろ昔の事を知っているが、阿笠とちがうところも多いようだ。
FBIから来た女:3〜猛火・赤の章
作:ユーリ



ファイル262:10年前のリアンと平次『3』


マリア
「カラスマの証を消し去り、濁った声で孤独を噛みしめろ?その紙にはそう書いてあったんやな?」


「ええ・・・その奇妙な女が作った、3番目の暗号にはね!」

幹彦
「頭のカラスマは烏丸町の事やとしても、その後の文章がサッパリやね・・・」

繭美
「もしかしたら、歯医者の事やないの?噛みしめろて書いてあったんやろ?」

健太
「バッティングセンターやないのか?打つ時に歯を食いしばるし・・・」


「イヤ、烏丸町にバッティングセンターも歯医者もないわよ!」

幹彦
「ほな、どこなんや?」

繭美
「じらさんと教えて、刃ちゃん!」


「まぁ、まずは暗号の前半部分の『カラスマの証を消し去り』ってのから考えてみなよ・・・」

健太
「ほな、スーパーなんやないか?」

幹彦
「え?スーパー?」


「ど、どうして?」

健太
「オヤジがよう言うてんねん!『赤字消すんはオカンのやりくり次第や』て・・・そやからワイのオカン、いつも買い物で悩んどって・・・」

風月
「違うわよ!赤字じゃなくて、証!潔白の証明とか、何かの証拠とか、印となる物の事よ・・・」

繭美
「印見つけるんやったら、銀はがしなんやけどな・・・」

幹彦
「印を消すとなると・・・」

マリア
「・・・消印?まさかそこって・・・」


「そうよ!10年前にアタシもそれに気づいてね・・・」





ゴォォォ・・・

矢笠
「え?烏丸郵便局に向かってくれ?ほんなら、暗号が解けたのか?リアン君!」

リアン
「ああ・・・半分はね・・・この証っちゅうのは印っちゅう事やろ?その印を消せっちゅう事は・・・」

矢笠
「そうか、消印!切手や葉書に使用済みの証として押す日付印・・・そやから郵便局か!!」

リアン
「うん、間違いあらへんと思うで!」

平次
「そやけどそやけど・・・郵便局の人、変な声なんかしてないで?」

リアン
「ああ・・・その後の濁った声で孤独を噛みしめろっちゅうのはまだわからへんけど・・・郵便局やったら行かへん手はないで!」

平次
「え?なんで?」

リアン
「そやかてこの暗号は、場所を解いてそこに行って、赤い物に貼られた次の暗号を見つけてまた解くの繰り返しやろ?最初の赤は消火栓!次の赤は踏切の警報機!そしてこの3番目の暗号が郵便局の近くやったら、絶対どっかに・・・」

平次
「ポスト!!真っ赤なポストがあるな、きっと!!」

リアン
「そゆこと!!」





静華
「ええ!?またウチの平次を連れてった!?あなたの妹が?」

リリー
「ええ・・・平次君今朝やって来て、お隣の矢笠さんと3人で車で出かけてったで・・・高槻港に行くとか言うてたかな?」

静華
「た、高槻港って、あそこは昨夜殺人が・・・」

ユーリ
「まぁ、いいじゃないですか・・・その事件は今朝解決したと聞きましたし・・・せっかくの祝日・・・家に籠もってTVやゲームに熱中するのなら・・・好奇心に駆られて扉の外へ冒険に出かけるのも悪くない・・・ウチの妹も最近家で本ばかり読みふけっていたから、連れ出してくれた息子さんに感謝したいぐらいですよ!」

静華
「そやから、連れ出したのは妹さんの方じゃなくて?」

リリー
「まあまあ・・・矢笠さんもついてる事やし、心配あらへんて!」

静華
「ったく・・・リリーちゃんはいつもお気楽極楽なんやから・・・あ、そうそう、警視庁からユーリ君とジョディさん宛にお礼の電話がありましたよ!『御協力ありがとうございます!おかげで宝石は守れました!』て・・・」

リリー
「ああ・・・この前の・・・ユーリ兄とジョディさんが追っ払った、あの女怪盗の事件やな!」

ユーリ
「イヤイヤ、見事に逃げられたって言った方が正解かな?」

リリー
「そやけどなんで静華さん家に?」

静華
「昨日の夕方、何度かけてもつながらなかったらしいで・・・」

リリー
「さてはユーリ兄、ウチらの買い物中にまた電話線を抜いとったな?」

ユーリ
「あ、イヤ・・・締切間際の時は原稿に集中したくてね・・・」

静華
「とにかく、あの子らからそっちに連絡が入ったら息子に伝えてな!すぐに帰って来なさいて!」

リリー
「え?帰ってまうの?お茶ぐらい飲んでいけばいいのに・・・」

静華
「そんなにのんびりしとられへんのよ!米花小学校との剣道と合気道の交流試合が来週に迫ってるから、羽織ちゃんと一緒に向こうに挨拶に行っとかな・・・」

リリー
「そっか、平次君と和葉ちゃんの初陣やったね!がんばってな!!」

静華
「おおきに・・・まぁ、最初やからウチの平次も羽織ちゃんトコの和葉ちゃんも、相手校にコテンパンにやられてしまうやろうから・・・その時は慰めてちょうだいね・・・」


ユーリ
「そういえば、オマエも誰かと打ち合わせがあるんじゃなかったか?」

リリー
「え?」

ユーリ
「ホラ、昔オマエが変装術を学ぶために弟子入りした、同い年の女奇術師(おんなマジシャン)と・・・」

リリー
「あー、忘れとった!エッセイ書くために会う約束したんやった!ヒマならユーリ兄もジョディさんと来る?原稿が上がった事やし・・・」





平次
「なぁ、リアンちゃん・・・ポストはあったけど、何も貼ってないで?」

リアン
「おっかしーなー、絶対そうやと思たんやけど・・・」

矢笠
「やはりその後の『濁った声で孤独を噛みしめろ』というのを解かんとアカンようやなぁ・・・」

リアン
「うーん・・・」

カラン・・・

「ちわー!夕刊でーす!どうっスか?調子は?」

「見ての通り・・・閑古鳥が鳴いてるよ・・・」

リアン
「(閑古鳥?)なぁ、博士!『閑古鳥が鳴く』ってどういう意味や?」

矢笠
「お店とかでお客さんが来なくて、ガラーンとして寂しい時にそう言うんや・・・」

リアン
「寂しいって、孤独っちゅう事やんな?」

矢笠
「あ、ああ・・・」

平次
「ほんなら、そのお店の中にあるんやない?次の赤い物!お店、郵便局の隣やし・・・」

矢笠
「しかし今の店長、濁ったダミ声じゃなかったしなぁ・・・」

リアン
「なぁ、その鳥どんな鳴き方する?」

矢笠
「ん?閑古鳥とは郭公の事やから・・・カッコーかな?」

平次
「別に鳴き声は濁ってないな・・・」

リアン
「それを濁らせるとガヅゴー・・・ガッゴー・・・」

リアン・平次
「学校や!!」

矢笠
「そういえば、この郵便局の裏にオレの母校の烏丸中学があったなぁ・・・」

リアン
「そこに赤い物はなかった?」

矢笠
「ウーム・・・赤といえば、パトカーがよく通学路に停まっとったよ・・・道が曲がりくねっとるせいで、交通事故が多くてな・・・そやけど、今もパトカーが来てるとは・・・」

リアン
「イヤ、そんな道ならパトカーがいなくてもあるハズや!赤い止まれの標識がな!!行くで博士!服部!!」

ダッ!

矢笠
「(え?服部?)」

平次
「う、うん・・・」

平次『なぁリアンちゃん!リアンちゃんってばー!』
リアン『ったく、言うたやないか!学校じゃ名前で呼ぶなって!恥ずかしいやろ?』
平次『そやけど、リアンちゃんはリアンちゃんやで?』
リアン『同じ名字でややこしいんやったら、ハートネスさんって呼べや!アタシも、イトコ同士のアンタの事は服部君て呼ぶからさ・・・』
平次『(え?)』
リアン『ま、いつまでもガキやないんやから!よろしゅう頼むで服部君?』

平次
「・・・」





リアン
「な、なぁ博士?何か見つかったか?」

矢笠
「イヤ・・・特に何かが貼ってある様子はないなぁ・・・」

リアン
「もっとよく探してや!絶対あるハズやから・・・」

矢笠
「そういってもなぁ・・・」

平次
「あ・・・根本の棒に何か貼ってあるよ!」

リアン
「そうか、子供に向けた暗号・・・子供の手が届くところにしたんやな!」

ビリッ!

リアン
「ん?何やこれ?」

平次
「漢字ばっかり・・・」

矢笠
「どれどれ・・・」

『□寝□
・□屋□
・□川□
・□中□
・□国□
・□士□
・[[東]]』

矢笠
「ウ、ウーム・・・」

リアン
「博士も読めへんのか?」

矢笠
「ああ・・・今までの流れだと、頭の『寝屋川』が寝屋川町やという事はわかるが・・・」

平次
「中国語かなぁ?ホラ、『寝屋川』の次の字って、中国て読むんやろ?」

矢笠
「ああ、そうやけど・・・そやからといって中国語とは・・・」

リアン
「寝屋川中・・・寝屋川中学校ってある?」

矢笠
「イヤ・・・大学と高校、小学校、幼稚園とあるが、中学校はないよ・・・」

平次
「そやけどなんで最後の字だけ、四角で囲んであるんかなぁ?」

リアン
「(あれ?この[東]って・・・どっかで・・・)」

「平次!?何やってるんや?こんな所で!?」

平次
「オ、オヤジ!?」

平蔵
「さてはまた、リリーちゃんトコのこのイタズラ娘にたぶらかされて・・・」

矢笠
「あ、イヤ・・・実はこれにはワケがあって・・・」

平蔵
「ワケ?」

リアン
「は、博士が・・・博士が作ってくれた暗号を解いて・・・遊んでたんや!!ね!博士!」

矢笠
「あ、ああ・・・」

平蔵
「暗号?」

平次
「オヤジはなんでここにおるん?」

平蔵
「今朝捕まえた犯人が、昔そこの郵便局に勤めていてな・・・和義らと事情を聞きに来てたんや・・・」

和義
「しかし暗号とは懐かしいですなぁ!オレも子供の頃、友達とよく暗号を作ってスパイごっこをしてましたよ!」

矢笠
「ハァ・・・」

平次
「そやけどこれ、難しいてわからへんの!」

和義
「どれ!見せてみ!」

リアン
「ええけど、ホンマに難しいで?」

平蔵
「ハッ!何言うてんねや!オレらは刑事やぞ!?こんな子供騙しの暗号なんか、ちぃっと見ただけでやなぁ・・・」

パシッ!

平蔵・和義
「・・・」

和義
「おい、平蔵・・・わかるか?」

平蔵
「イ、イヤ・・・サッパリ・・・」

ヒソヒソ・・・

平蔵
「な、なかなかよう出来た暗号ですねぇ・・・まぁ、子供にはちと難しすぎるようやけど・・・」

リアン
「(解けてへんな・・・)」

平蔵
「あ、和義、今夜あたり久し振りに卓を囲まんか?」

和義
「おお!実はオレもそう思てたところや!」

平蔵
「イヤな・・・さっきの暗号を見とったら、なんや麻雀を打ちとうなってきてなぁ・・・」

和義
「なーんや、平蔵もかいな?」

リアン
「(麻雀!!)」

ユーリ『リアン・・・これは中国から伝わって来た麻雀というゲームでな・・・7(セブン)ブリッジのように、『(まち)』の牌を自分で引くか相手が出すと上がれるんだ・・・』
リアン『ヘー・・・』
ユーリ『ただ、7ブリッジとちがうのは、麻雀にはポーカーのような『役』がある事と・・・この東場(とんば)南場(なんば)という・・・ゲームを支配する『場』というルールがある事なんだ・・・』

リアン
「!!」












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