ファイル257:女名探偵VS顔なき殺し屋『後編』
「先行隊より報告、被害者の身元が判明しました。黒崎勇二49歳、外務省で中国方面を担当している人物だそうです。」
祐
「中国!?愛子さん、これはやはり、妖の・・・?」
ガンガンガンガンガンガン・・・
美保
「(クソ!!どんどん差が詰められている・・・捕まったら、殺されちゃう!!)」
カンカンカンカン・・・
美保
「!(やった!あそこから出られる。通風口から出られれば・・・)アアアアアア・・・」
ガッシャアアアン!!
「!!」
美保
「(やった!!)あっ。これじゃ・・・降りられない・・・」
ヒュオオオオオオオオ・・・
美保
「クッ・・・」
ヒュッ!
トッ!
美保
「うっ・・・ああ・・・」
ドッ・・・
「(やったか・・・)!(こんなに若い娘だったのか・・・)」
ヴヴヴヴ・・・
カッ!
ダッ!
ヒュッ!!
「しまった!エレベーター!?」
ゴォォォォ・・・
「クソッ!!」
オオオオオオオ・・・
美保
「ぐぅ・・・ヤツの特徴を・・・内海さん・・・達に連絡・・・」
「探せ!!犯人は一本眉に口ヒゲの中国人男性!ヒゲ、眉は作り物ではなさそうだ!および怪しいヤツは任意同行を求めて、署に連れて行け!!犯人はまだこの近くにいる。必ず確保しろ!!」
祐
「愛子さん、ついてましたね。ホテルが署の近くで。これなら・・・」
愛子
「ええ・・・妖虎洞も、逃げられまい!!」
医務室
美保
「え?犯人捕まらなかった!?イタタタ・・・」
祐
「だ、大丈夫かい、美保ちゃん。」
美保
「うん・・・アイツ、通路がせまくて充分な力でナイフを投げられなかったのと、ナイフが骨に当たって深く刺さらなかったおかげで、思ったよりひどくないわ。それより、犯人は?」
祐
「イヤ、まだ捕まってないんだ。けど、美保ちゃんから最後の電話があった時には、ホテルの周りは固めていたから、外には逃げていない・・・もう袋のネズミ同然だよ・・・」
美保
「じゃあ、私面通ししよっか?」
祐
「え?」
美保
「内海さん忙しいのに私にくっついてるのは、私の具合がよくなったら面通し頼むようにいわれてるからでしょ?犯人がホテルのお客さんに紛れてる可能性があるもんね!」
祐
「ありがとう、助かるよ!!」
『大失態だな、顔を見られて逃がすとは。しかも、相手は高校生の女の子だと?警察にまで面が割れて・・・『妖虎洞の足音を聞いたら目を閉じよ』・・・伝説は泥にまみれた・・・オマエの名前を聞けば、誰もが恐怖に震え上がった。オマエから逃げる事は不可能だと皆が思った。その伝説こそが、我々にとってのオマエの値打ちだったのだ。だがそれも今日で終わった・・・お前の評価は、特級から格下げになった。どういう意味かわかるな・・・これからはキツい仕事になるぞ。少しでも長生きしたければ、力を示せ・・・まだまだ自分が使えるという所を見せてみろ。まずは、娘の始末だ。それで伝説が色を戻すワケではないが、小者を脅すには充分役立つ。2流の殺し屋として使えるか?あらためさせてもらおう。』
ピッ。
「・・・」
警備室
祐
「警察が到着した時、ホテル内にいた人間は全部ココに集めてあるんだ。まずは中国アジア系の人を集めたところを確認してくれるかい?」
美保
「・・・いない。」
祐
「いないか〜・・・変装している可能性もあるけど。」
美保
「大丈夫。眉、ヒゲがない可能性も考えて見てるよ。」
祐
「じゃ、この辺は?泊まり以外でこのホテルに来てたお客さん。」
美保
「いない。」
祐
「従業員は?」
美保
「いない。」
祐
「となると、やっぱり建物のどこかに隠れてるって事か・・・けど、ローラー作戦で調べてるのに、いまだに見つかんないんだよなー。いったいどこにいるんだ・・・」
美保
「(顔を見られた事のない殺し屋か・・・あのかっこうのままホテルから出れば、すぐに見つかる。普通の服装に着替えたハズだわ。だけど、その分逃げるのが遅れる。警察は私が通風口にいるうちに到着していたらしいし、とてもホテルの外に脱出できたとは考えられない。となると、この人達の中にまじっている可能性が高いんだけど・・・)あっちはどうなってるの?」
祐
「ああ、女装のチェックね。別室で婦警がチェックしたけど、全員正真正銘の女性だったって。」
美保
「そう・・・(そっちの線もなしか・・・もしやとも思ったんだけど・・・となると、他にどんな手が?眉とヒゲを落とす程度じゃ、私の目はごまかせないんだけど・・・いったいどこに・・・それとも、どこかに盲点が?)」
クルクル・・・
美保
「(ん?あのカレンダー、確か・・・)!フリーダ・カーロ・・・そうか・・・ひょっとして・・・」
「長いなー。」
「まだ部屋に戻っちゃいけないの?」
「おい、我々はいつまでここにいなきゃいけないんだね。」
「ああ、もう少しご協力を・・・」
「ご協力って、あの子は帰るみたいじゃないか。」
「あ・・・ホントだ!」
「どうしてあの子はよくて、私達はダメなのよ。」
「そうだ、どういう事だ!」
「ちょっ、ちょっと・・・」
祐
「ムリして協力してくれてありがとう。今パトカーで病院に送らせるから、ちゃんと見てもらって。」
美保
「うん、ありがと。あ、そうだ。私ちょっと・・・」
祐
「え?」
タタタ・・・
「・・・」
カッ。
スッ・・・
「・・・」
チャッ!
カッカッカッ・・・
「・・・」
ガチャ!
「!」
美保
「ここは男子トイレよ、お姉さん!」
「!!」
美保
「男子トイレだとわかってて、堂々と入ってくるって事は・・・あなたが、妖虎洞よ!!」
ダッ!!
「動くな!!」
バッ!!
「!!・・・」
祐
「しっかし驚いたな。妖虎洞が女だったなんて。一本眉にヒゲだよ、そりゃ男だと思うよ。もう男性客しか見てなかったよ。」
美保
「そこが盲点だったのよ。警備室のカレンダーの絵を見て思いついたの。フリーダ・カーロ・・・メキシコの女流画家よ。彼女、生来つながった眉と、口元にヒゲがあったんだけど、決して剃ろうとしなかったんだって。それで気がついたのよ。私達は男性しか見ていないって・・・」
祐
「男が女性に変装してるのならまだわかったけど、眉のヒゲ男がま〜さかあんなナイスバディな女性とは!そうだよなー。捜査は、あらゆる可能性を考えて進めなきゃいけないんだよなー。」
愛子
「まだまだ内海君も甘いわね・・・アタシは、妖が女性の可能性もあると思っていたわよ!」
祐
「ええっ、本当ですか!?」
愛子
「だって、『妖』って字に『女』が入ってるでしょ?」
祐
「ハハハ・・・」
美保
「どっちもあんまり変わらないよ・・・」 |