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FBIから来た女:3〜猛火・赤の章
作:ユーリ



ファイル239:地球の神秘と陰謀(ストラテジー)『3・大陸の誕生と宝石の謎『後編』』


「本当にあったんですって!何度言わせるんですか!!ええ、私はあなたからルブランの星探しを頼まれて10年、やっと見つける事ができたんです!!日本で一番権威ある地質学者に見てもらったから、まちがいありません!できるだけ急いでください!あの悪党のガンロップ大臣一味が、宝石を狙っているというウワサですから!」





ガンロップ大臣
「ルブランの星を絶対王子に渡してはならん。」

「あの宝石さえなければ、ルブランで2番目に大きいルビー、ルブランの涙を持つあなたが王位を継ぐ事になりますからな・・・」

ガンロップ
「フフッ、その通りだ・・・」

キラリィィン・・・





健太
「お妃になるはずの美里さんて女性は式に来なかったのか・・・」

繭美
「王子様がかわいそう・・・」

平次
「そやけど、なんでそのルブランの星が日本に?」

楠本
「当然この宝石は、王位を狙うガンロップ大臣が美里さんから盗んだというウワサがあった。」


「じゃ、美里さんは結婚式に出たくても出られなかったんじゃ!?」

「ガンロップはこの宝石を闇の宝石商に、10年間は売るなと約束させて譲った。だがその宝石商が不況で潰れたために、巡り巡って同じ宝石商をしている私の元へたどり着いたのです。」

和葉
「ひどいわ、そのガンロップって大臣!!」

楠本
「この宝石は、王妃になるためだけの物ではない。王が死ねば、1週間以内にこの宝石を戴冠式(たいかんしき)に持って来ないと王子は王になれないのだ。」


「ま、まさか・・・」

「はい、ルブラン王は6日前に死去しました。明日がちょうど1週間目・・・」

刃・平次・和葉・繭美・幹彦・健太
「えーっ!!」

和葉
「じゃ、ルブラン王には誰が!?」

「ルブランで2番目に大きいルビー、ルブランの涙を持つ人間・・・つまり、ガンロップが王位を継ぐ事になる。」

繭美
「そ、そんな!」

楠本
「ガンロップは賄賂(ワイロ)を要求したり、国の予算をかすめ取り、私腹を肥やしているというウワサが絶えないヤツだったな・・・」

「ヤツが国王になったら、国民はもっと貧困にあえぐでしょう・・・」


「国民がかわいそうだわ!!」





ガンロップ
「待ってろよ、ルブランの星・・・このオレが永遠に葬ってやるからな。」

チュッ・・・





平次
「そやけど、プレートとルビーにどのような関係があるんや?」

楠本
「私はルビーができるには何が必要と言ったかな?」


「高温と高圧。物がぶつかった拍子でもできるって!」

楠本
「その通りだ。さっき、プレートは移動する事を教えたよね?」


「ひょっとしてプレートに運ばれた大陸同士がぶつかった時に、ルビーができたんじゃ?」

平次
「アホな事言うな!!」

ゴン!


「イタッ!?」

平次
「ルビーが採れるのは、カンボジア、ミャンマー、インドやぞ!地図を見い、ヒマラヤ山脈に近い場所やないか!!」


「プレートがぶつかって、そのヒマラヤができたんじゃないの?」

平次
「なんであんな大きい山が、プレートがぶつかっ・・・」

楠本
「刃ちゃんが正解だ!!」

平次
「えっ!?」

楠本
「インド大陸がユーラシア大陸に衝突して、ヒマラヤ山脈ができたのだ。ハンカチの両端を押さえ、引き寄せるとシワができるだろ。地球のプレートがぶつかり、そのシワがヒマラヤ山脈になったんだ。」

平次
「地球のシワがヒマラヤ山脈にやと?証拠があるんか?」

楠本
「展示室に来たまえ。その証拠を見せてあげよう。」

「私はルビーの見張りで残ります。」

楠本
「お願いします。」





「とにかく、これを早くあの方に・・・」

サッ!

ガン!

「うっ!!」

ドサッ!

スッ!

「・・・」





展示室


繭美
「このアンモナイトの化石が証拠?」

楠本
「この貝の化石が、ヒマラヤの山頂付近で採れたんだよ。」

繭美
「えっ!あんな高い山にどうして海の貝が!?」


「もしかして、大昔ヒマラヤは海の底だったんじゃ!?」

楠本
「その通り!ヒマラヤは大昔テチス海という海だった。だが大陸同士がぶつかって、海の底が持ち上がったってワケさ。」

平次
「まさか!?誰かが大昔にそこで貝を食べて捨てただけとちゃうのか?」

楠本
「ヒマラヤ山脈の頂上は8000メートル以上だ。そして零下数十度。酸素ボンベなしでの登頂は、不可能に近い。」

和葉
「エベレストの頂上に人間が初めて登ったんが、約50年前やで?」

平次
「そやった・・・」

楠本
「刃ちゃんが言ったようにヒマラヤ周辺にルビーの産地が集中しているのは、大陸同士がぶつかって、ルビーの生成に必要な2500度の高温と8000〜16000気圧になったからだと私は考えている。ここでルビーにとって一番肝心なのは、クロムという物質だ。」


「クロム?」

楠本
「クロムが1パーセント混じればルビーになるが、0・1パーセントだとピンクサファイアになり、値段も1桁下がる。多すぎて5パーセントを超えると灰色のエメリーという、工場で使う研磨剤になってしまうのだ。自然のもたらした奇跡だから、大きな物が少ない。ルブランの星は、ルビーの中でもビジョンブラッドと呼ばれる最高級の物。その値打は、同じ大きさのダイヤモンドの10倍はする。」

和葉
「ダイヤの10倍!?」

平次
「それだけ貴重やって事やな。」

楠本
「ここでまた問題だ。レモンはなぜ黄色く見える?」

健太
「そりゃ、レモンが黄色いからやろ!」

平次
「アホやな、レモンの色素が黄色いからや。」

楠本
「ハハッ、どちらも正解とは言えないな。」

平次
「な、何!?」

繭美
「なんで黄色いん?」

楠本
「もう降参みたいだね?」

繭美・幹彦・健太
「うん。」

楠本
「虹でもわかる通り、太陽の光には様々な色が混じっている。」

繭美
「プリズムで太陽の光を屈折させると、いろんな色が見えるわ!」

楠本
「絵の具はいろんな色を混ぜるとどんどん黒に近づいていくが、光はいろんな色を混ぜると透明になるんだ!」

幹彦
「だから太陽の光は透明なんやね!」

楠本
「レモンが黄色い理由はね、レモンが太陽の黄色い光だけを反射しているから黄色く見えるんだ。海が青く見えるのは、海が青い光を反射しているからなんだ。もし世の中に黄色い光しかなかったら、レモンなどの黄色く見える物以外はリンゴも海もすべて灰色に見えるんだ。」

繭美
「黄色以外全て灰色の世界なんて、つまらへん!」

幹彦
「しょうがないよ、他の物は黄色を反射できないんだから・・・」

楠本
「だが、黄色い光の中でもルビーだけは赤く見えるんだ。」


「どうして、ルビーだけなの?」

楠本
「ルビーの中の1パーセントのクロムが太陽の光エネルギーに反応し、自ら赤い光を発光するんだ。」


「じゃ、ルビーは赤い光でも青い光でも、いつでも美しい深紅の色を放つのね!」

楠本
「そうだ!どんな光の中でも深紅の光を放つ!!」

ガチャ!

「こちらに私の国の至宝があると聞き、お伺いいたしましたが・・・」

楠本
「こ、これはルブランのケンロップ王子!」

和葉
「えっ、王子様!?」

「た、大変です!ル、ルブランの星が盗まれました!!」

楠本
「何だって!?」

「清掃員に頭を殴られて・・・」


「(清掃員!?)」

「キャーッ!!!」

平次
「今度は何や!?」





「イヤ、絶対渡さない!!」


「あっ!さっきの清掃員!」

「イヤ!」

バッ!!

「キャッ!!」

ケンロップ
「美里!!」


「えっ!?」

ガンロップ
「黙って渡すんだ!!」

美里
「イヤッ!王子に渡すためにやっと探した物なのに!!」


「(あの人が、王子の婚約者!?)」

ガンロップ
「クソーッ!こうなったら、女ごと車に乗せるんだ!!」

美里
「キャッ!!」

ケンロップ
「待て!!」

ガンロップ
「悪いな。これを渡したら私が王になれんのだ。」

ブロロロロ・・・

ケンロップ
「美里を放せ!誰か車を!!」

平次
「車のタイヤがパンクしとる!」

ケンロップ
「ガンロップの仕業だ!」


「アタシに任せて!!」

ダンッ!

ドルンッ!!


「頼むわよ、ターボエンジン付きローラーブレード!!!」

ギュオオオオ・・・

ケンロップ
「・・・」

繭美
「大丈夫!きっと刃ちゃんが取り返すわ!」

幹彦・健太
「ああ、刃ちゃんが負けるワケあらへん!」

楠本
「しかし、あの清掃員は10年前からワシの研究所で働いていたんだよ。」

和葉
「鈍いんやね、博士。あの人は、世界的な宝石の権威である先生の所にいたら、いつかはルブランの星に出会えるかもしれないと思って、清掃員になっとったんやで、きっと!」

楠本
「なるほど!」





ギュオオオオ・・・

ガンロップ
「しつこい小娘だ!!」

キュオオオ・・・

ガンロップ
「ぶつけて飛ばしちまえ!!」

「ハッ!」

ドッ!


「キャッ!!」

ガン!!

ガンロップ
「消えたか・・・」

ギャガガガガ・・・


「ス、スカートがめくれちゃう・・・って、恥ずかしがってる場合じゃないわね!!」

ゴッ!

トントン!

「ん?」

ガーッ!

バシィ!!

「ガッ・・・」

ドサッ!

ガンロップ
「お、おい!何をやってる!?」

キキキキキーッ!!

ガンロップ
「わああああ!!」

ガガァァン!!





シュウウウウ・・・


「美里さんと、ルブランの星を返しなさい!!」

ガンロップ
「小娘!キサマの仕業か?宝石はここだ。しかし、キサマに取り戻す事はできん!」


「何!?」

ギイ・・・


「あっ!!」

ガンロップ
「全部で10000個の、偽物のルブランの星だ!!これを駅前でばらまく。ルブランの星を手にした者は、ルブランの王子と結婚できると言ってな。」

トン!


「そんな事をしたら、大勢の女性が殺到しちゃう!」

ガンロップ
「その通りだ。明日までに王子がルブランの星を持って戴冠式に来なければ、ルブランの涙を持つオレに王位が譲られるのだ!!」


「なんて汚いマネを!!」

美里
「もうダメだわ・・・」


「何か手はないの!?(ハッ!)」

楠本『ルビーはどんな光の中でも深紅の光を放つ!!』


「そ、そうだわ!!美里さん、車に乗って!」

美里
「えっ!?」


「アタシは本当は19歳だから、運転もできる。動いて!!」

ブルルル・・・

ガンロップ
「ど、どうする気だ!?」


「美里さん!あなたなら、本当のルブランの星が見つけられる。」

美里
「ムリよ、こんなたくさんの中から・・・」


「大丈夫!宝石は、2人の思いと一緒。ただ1つの愛を信じ、どんな場所でも輝き続けたあなたと同じ。」

美里
「あっ!!」


「どんな光の場所でも、深紅の光を放っている・・・」

美里
「あったわ・・・」

スッ・・・

ガンロップ
「な、なぜだ!?」


「トンネルの中は、色い光のナトリウムランプで照らされているから、黄色以外の全ての物が灰色に見えるのよ!だけど、本当のルビーなら自ら光るから、黄色い光の中でもちゃんとわかるのよ!」

ガンロップ
「ク、クソッ!」

ジャキ!!

美里
「キャーッ!!」


「美里さん、下がって!天空を揺るがす乙女の怒り、受けてみなさい!!必殺・ハートネスサンダー!!!」

ピッシャァァァァァン!!

ガンロップ
「ぐわぁぁぁ!!」

ドサッ・・・

キキキッ・・・

ケンロップ
「美里!!」

美里
「王子様!!」



ケンロップ王子も美里さんと一緒で、10年間結婚しないで美里さんを探していたらしい。

ガンロップ大臣一味はその後、大阪府警に逮捕された。

ガンロップがアタシに何か言ってたような気がするけど・・・

おかげで、アタシの推理のスランプも無事に脱したみたいだ。












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