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FBIから来た女:3〜猛火・赤の章
作:ユーリ



ファイル238:地球の神秘と陰謀(ストラテジー)『2・大陸の誕生と宝石の謎『前編』』


それから10年後・・・



アタシの名前は剣野刃。

ロシア人の女性と、日本人の男性との間に生まれた、女FBI捜査官です。

アタシは初めて、推理のスランプに陥っていました。

まったく推理する力がなくなってしまったのです。

ボ〜ッ・・・

アタシの推理力がなくなったという事は、当然平次の推理力もなくなったという事で・・・

和葉
「2人ともしっかり!!」

そんなアタシを心配してか、ユーリ兄が電話してきました。

ユーリ
「血まなぐさい事件ばかり扱っていると、そうなる事もある。オレはそんな時、ある推理の達人に会って頭をリフレッシュさせている。オマエも会ってみるといい。オレから電話しておく。」

アタシは推理力が戻るならとワラにもすがる思いでしたが、地学研究所なんて場所に推理の達人なんているのでしょうか・・・





館長室



「これだけ大きなルビーは地質学者を長年やってる私も初めて見た!」

「では、やはりこれは世界最大のルビー、ルブランの星!?」

楠本康隆(くすもと やすたか)『館長 古代博士』
「おそらく間違いないでしょう。」

「宝石の権威でもある博士に太鼓判を押してもらえたら、確実です。私は至急この宝石の正当な持ち主に電話してきます。」

ガチャ!

楠本
「おや、君達は?」

健太
「わー、すごい!!」

幹彦
「これが世界1のルビー!?」

繭美
「ウチ、こんなんつけてみたい!」


「繭美ちゃん、幹彦君、健太君!?あなた達、どうしてこんな所にいるのよ!?」

健太
「遅いで、刃ちゃん。」

繭美・幹彦
「そやで。」


「遅いって、アタシ誘った覚えないんですけど・・・」

和葉
「フフ、アタシが教えちゃった。」


「ったく、余計な事を・・・」

健太
「何言うてんねん!推理の達人に会うんやったら、ワイら浪花の少年探偵団も勉強しなくちゃやろ。」

繭美
「そやで、日々の努力があってこそ事件も解決できるんよ。」

幹彦
「刃ちゃんだけズルいで。」


「わかったわよ、勝手にしなさい・・・」

楠本
「君達は探偵の勉強をしているらしいね?」

刃・繭美・幹彦・健太
「はい!」

平次
「今日は子供らがお世話になります。」

和葉
「でもステキなルビーやね。この中に引き込まれそう!」

繭美
「ホンマ!」

平次
「女いう生き物は、なんでこう宝石に弱いんや?」


「平次兄、そんな事ないのよ。男性の宝石コレクターだって、たくさんいるんだから。」

平次
「へいへい。」


「でも、本当にキレイだわ・・・リリー姉やジョディさんが見たら、欲しがりそう・・・ん!?」

「!」

サッ・・・


「(なにかしら?)」

楠本
「君達は、ルビーがどこで採れるか知っているかね?」


「さっきルブランとか言ってたから、東南アジアの辺りじゃないですか?」

楠本
「その通り!ルブランは東南アジアの王国だ。ルブラン以外にもタイ、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、インド、スリランカ等に集中している。じゃ、さっそくだが、なぜそこだけに集中しているか推理したまえ。少年探偵団の諸君!!」

健太
「おっと、いきなり挑戦状か・・・」

楠本
「地球では長い歴史において数々の大事件が巻き起こっている。事件が起きるには必ず動機、いわゆる理由がある。そして証拠がある。君達には、その証拠をつかんで事件の謎を推理してほしい。」

繭美
「怪盗の挑戦みたいで、ワクワクすんな!」

楠本
「まず推理の道具として1つヒントをやろう!ルビーができるには、温度が500〜800度、圧力が8000〜16000気圧必要な事が条件だ。」

健太
「タイやミャンマーは、そんだけ暑い国なんや・・・」

繭美
「えっ!そんな場所、人は住めないよ・・・」


「圧力がそれだけ高いって事は、地底深い場所って事じゃない?」

楠本
「確かに地底深く進めば、それだけ岩や土が上からのしかかるから圧力は強い。だが、それだけではないんだな。」

和葉
「そうやんな・・・日本の地底だって圧力は高いやろうし、採れないのは何かが足りないって事やんな。」

楠本
「じゃあ次のヒントだ。物体と物体が衝突しても、圧力は高まる。」

幹彦
「という事は、地底で何かがぶつかったんやな?」

楠本
「だんだん近づいてきたぞ!よし、地球の中がどのようになってるか説明しよう。地球の外側は地殻といって、我々が乗っている部分だ。その下は熱く溶けた岩のマントル。そして中心に近い外殻では、鉄やニッケルなどの金属が高温のためドロドロに溶けているんだ。地球の表面を包んでいる外殻は、別名プレートと呼ばれている。このプレートは、1つではなくヒビの入った卵の殻のようにいくつかに分かれているんだ!」

平次
「な、何!!地面にはヒビが入っているやと!?」

楠本
「そうです。合計十数枚のプレートからできてます。アフリカ大陸もオーストラリアも日本も別々のプレートの上に乗っているんだ。」

幹彦
「プレートの下のマントルって本当に熱い岩なんですか?」

楠本
「800度から3500度もある。鉄を溶かす溶鉱炉でも2500度しかない事を考えれば、いかに高温かわかるだろう。」

健太
「何でそんな上に乗っているのにワイらは溶けへんのや?」

楠本
「ハハハッ。プレートの厚さは70キロメートルから150キロメートルもあるのさ!」

繭美
「よかった!プレートが厚くて。」

楠本
「プレートは海嶺(かいれい)という海の底でどんどん作られているんだ。」

幹彦
「海嶺?」

楠本
「海の底に火山が並んでいる場所だ。そこで海底深くからマグマが噴出し、海の水に触れると岩になり、それがプレートとなるんだ。」

平次
「いわゆる海底火山やな。」

楠本
「陸上なんかより比べ物にならない大きなスケールだ!3000メートルから4000メートル級の火山が、日本列島の数倍もある距離で連なっている。」

幹彦
「すごーい!富士山と同じくらいの高さですね!」


「深い海の中にあるから、見えないのね!」

楠本
「そしてその海嶺から新しいプレートがどんどん生み出され、古いプレートがそれに押されて動いているといわれておる。」

平次
「そんなアホな!この地面のどこが動いているんや?」

楠本
「ハハハッ、1年に数センチしか動かないから、感じないだけだ。」

平次
「なーんや、それじゃ止まってるも同然やないか。」

楠本
「イヤ、地球の長い歴史からみると実にダイナミックに動いておる。2億年前の地球は、パンゲアという1つの大陸しかなかった。だが、湧き上がってきたマグマのために、いくつもの大陸にバラバラにされたのだ!」

刃・平次・和葉・繭美・幹彦・健太
「ウソーッ!!」

平次
「博士、オレらをだまそうたって信じひんぞ。大陸が1つだったという証拠があるんか?」

楠本
「証拠か、ハハッ、あるんだなこれが!」

平次
「ええっ!!」

楠本
「それもこの部屋の中にある。みんなで探してみなさい。」


「えっ、この部屋の中に?」

楠本
「しっかり探したまえよ、探偵団の諸君!」


「ん?(この地球儀・・・アフリカ大陸が少しずれている・・・)」

スッ・・・


「ん!?こ、これは!!(そっか、こういう事ね!!)」

繭美
「どうしたん?地図なんか触って・・・」


「ホラ、ピッタリよ!」

繭美・幹彦・健太
「えっ!?」

ガチャン!!


「全部くっついちゃった!」

和葉
「大陸が、1つになった!!」

楠本
「この大陸がパンゲアだ。2億年前、世界は1つの大陸だったのだ。」

平次
「偶然や、証拠にならん。」

和葉
「平次!!」

楠本
「そうやって否定する学者が大勢いた。だから私はもっと確かな証拠を発見したのだ。」


「確かな?」

楠本
「君達少年探偵団は、殺人を犯した犯人が現場にいたという証拠をどうやって証明するんだね?」


「犯人の靴底に土や植物がついていれば、それが犯行現場の土や植物と一致するか調べます。」

楠本
「我々も同じさ!」


「も、もしかして、太古のアフリカと南アメリカには、同じ植物が生息していたとか?」

楠本
「その通り!両方の大陸から、グロソプテリスという植物の化石が発見された。その他にも、インド洋上の小島セイシェルで発見されたワニの化石と、アフリカから発見されたワニの化石が同じ種類だったのだ!」

和葉
「す、すごーい!!」

平次
「な、なるほど!淡水に住むワニが、インド洋を横断できるワケがない・・・完璧な証拠や。」

繭美
「地質学者ってすごい!名探偵みたいや!」

和葉
「ホンマ!平次よりすごいわ!」

平次
「ク、クソッ。」


「(ユーリ兄が探偵の勉強になるって言ってた意味が、少しずつわかってきたわ。)」

楠本
「地震はね、プレート同士のぶつかり合いで起きると考えられている。」

繭美
「ぶつかり合いで地震?」

楠本
「さっき、プレートの厚さはどれくらいあると教えたかな?」

幹彦
「70キロメートルから150キロメートルです!」

楠本
「それを頭に入れて想像してみなさい。探偵には想像力も必要なはずだ。」


「チョモランマの10倍以上もある岩同士が地下でぶつかれば、とてつもなく大きなエネルギーが生まれるわ!!」

楠本
「そういう事だ!!それが地震の原因だ。」

平次
「マジっすか?地震ってナマズが起こしてるんじゃ?」

和葉
「平次、ちゃかさんといてよ!」


「ナマズには地震を察知するような能力はあるけど、地震を起こす能力はないのよ?」

平次
「そやかて、そんな何十キロメートルの地下なんて、誰も見た事ないやろ?さっきのように植物の化石の証拠かて手に入らないんやで!」

和葉
「そっか!」

平次
「証拠はないんやろ、名探偵の地質学者さん?」

楠本
「確かに化石のような証拠はない。だが現場に残した犯人の爪痕から、プレート同士のケンカを推測できるんだ。」

平次
「現場に残した爪痕?」

楠本
「これは日本で過去に起きた大きな地震を地図上に示したものだ。偶然にもその場所とプレート同士のせめぎ合っている場所が一致するんだ。」

パッ・・・


「ホ、ホントだわ!!」

和葉
「これだけの個所(かしょ)が一致していれば、偶然とは言えへんな!」

平次
「う、うん・・・」

健太
「日本はなんで名前のプレートの上に乗ってるんや?」

楠本
「東北・北海道は北米プレートに乗ってて、それより西の関西・九州はユーラシアプレートに乗っていると言われている。その他にも太平洋沖には太平洋プレート、東海から沖縄にかけての沖にはフィリピン海プレートがある。」

幹彦
「日本の周りには、4つもプレートがあるんやね・・・」


「その4つがせめぎ合っているから、日本は地震が多いのね?」

楠本
「そういう事だ。」





「本当にあったんですって!何度言わせるんですか!!ええ、私はあなたからルブランの星探しを頼まれて10年、やっと見つける事ができたんです!!日本で一番権威ある地質学者に見てもらったから、まちがいありません!できるだけ急いでください!あの悪党のガンロップ大臣一味が宝石を狙っているというウワサですから!」












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